大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年9月5日(火)11:00~11:14 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 冒頭1件私のほうからお話をさせていただきたいと思います。
 IPBESの侵略的外来種に関する評価報告書の公表についてでございます。
8月28日から9月2日にかけてドイツのボンで開催されましたIPBES総会第10回の会合において、侵略的外来種に関する評価報告書の政策決定者向け要約、これが承認されまして昨日公表されましたので、御報告をさせていただきます。
 この報告書では、大きく3点が明らかになりました。1つが、ヒアリや熱帯地域の蚊など3,500種以上の侵略的外来種が、世界の生物多様性や人の生活環境に深刻な悪影響をもたらしているということ、2点目が、侵略的外来種による経済的損失は年間61兆円を超えると推定され、その被害は今後も増加し続けるということ、3点目が、侵入予防及び早期対応が最も費用対効果が高く、そのための体制整備や、とりわけ国際協力の強化やビジネスを含む多様なセクターの参画推進が有効であるということであります。
 我が国におきましても、ヒアリをはじめとする外来種問題は喫緊の課題であります。この報告書を踏まえて、さらなる取組の強化を図ってまいりたいと考えております。
 なお、この報告書の作成に当たり、我が国は地球環境戦略研究機関(IGES)による技術支援や専門家の派遣を通じて大きく貢献しておりまして、各国から高い評価が得られたということをお伝えさせていただきたいと思います。
 冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社のNHK林と申します。よろしくお願いします。冒頭発言にありましたIPBESの侵略的外来種の件について、改めて、今冒頭申し上げていただいた中での環境省、環境大臣としての受け止めと、今後の施策にどのように具体的に活かしていくのかということを伺いたいと思います。
(大臣)この報告書では、侵略的外来種の被害による膨大な経済的損失額が年間61兆円を超えるというふうに推定されております。さらなる取組の強化が重要であるということを改めて認識いたしました。
 また、費用対効果の高い対策として、侵入予防及び早期対応の体制整備が示されております。運輸業界や国土交通省などと連携して侵入防止を徹底している我が国のヒアリ対策が、報告書の内容に整合しているということが確認できたと思います。
 来年度には、外来種対策の中長期的な総合戦略であります外来種被害防止行動計画、これの改定を予定していますけれども、この報告書の内容を適切にそれに反映して、対策をさらに強化してまいりたいというふうに考えています。
 また、昨年の12月に採択されました昆明・モントリオール生物多様性枠組の達成に向けまして、侵略的外来種対策に関する国際連携をさらに強化してまいりたいと考えています。特にG7首脳会議や大臣会合の成果といったものを踏まえまして、侵略的外来種対策に関する国際ウェビナーを来月開催して、国際協力の強化をリードしてまいりたいと考えています。この国際ウェビナーは、我が国がG7議長国として今回初めて設置するものでありますけれども、これを通してしっかり国際連携を深めると同時に、来年度以降もG7議長国において、これを継承していっていただきたいというふうに期待しております。
 
(記者)時事通信の鴨川です。今日の14時からクマの被害対策関係省庁連絡会議が行われると思うのですけれども、環境省としてクマの被害を抑えるためにどういった対策を行っているのでしょうか。
(大臣)今御指摘があったように、本日、関係省庁連絡会議が開催されて、課長級で様々な議論をしていただこうというふうに思っておりますけれども、今年度のクマによる人身被害の件数といったものが、7月末の時点で全国で計54件ありました。過去10年間で最も多い数字となっています。国民の皆様には改めて注意喚起、注意を呼びかけてまいりたいというふうに思っております。
 環境省は、市街地などへのクマの出没を抑制して、そして被害を軽減するために、2021年3月にクマ類の出没対応のマニュアルを改定いたしました。都道府県等にこれは周知しているところであります。また、昨年度から、6道県、北海道、岩手、新潟、長野、福井、奈良といった6道県を対象にして、クマの出没時の対応体制、これの構築や専門人材の育成などを支援するモデル事業を今実施しているところであります。
 こうした対応マニュアルや事業の成果を都道府県等に周知することによって、全国でのクマ類の出没対応、これの強化を進めてまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)エネルギーと環境の清水です。1つ伺いたいのですが、大臣としての個人的見解でいいですが、例の神宮外苑の樹木伐採問題、大分著名人なんかの反対運動もあるようですけれども、だからといって質問するわけではありません。環境省が、どういう関与をしているのか。もちろん東京都の都市再開発事業で、東京都の何というか、専管というか、そういうことだろうとは思っていますが、環境省のやっぱりアセス制度自体にも問題あるのではないかと。というのは、国交省の都市開発事業と、経産省の電気事業と、原子力を含むこの事業が、全く環境省は共管にしていまして、言わば独自の対応ができない構造になっていると私は理解しています。
 やはりこれだけ国民的な関心のある、デコ活も大事でしょうけども、個別の問題に対して、日本の環境省として、どういうスタンスでどういう認識をしているかというのは、きっちり対外的に出すべきじゃないかと。それは、よしあしもあって当然だと思いますが、どうですか、その辺、どういう認識ですか、環境省は。
(大臣)今御指摘ありました神宮外苑地区における再開発事業、これにつきましては都の条例に基づいて、環境影響評価手続が実施されたというふうに承知しております。事業者において、この知事の意見に基づく環境配慮も含めた対応が適切に行われるものというふうに認識しています。一般論として申し上げますと、樹木を含めた都市緑地というものは都市に生きる生物の生息、また生育の場であると同時に、都市住民にとりましては身近な自然との触れ合いの場であると思っておりまして、大変重要だというふうに考えております。環境省としては、こうした都道府県等から御相談があった場合には、環境配慮に関する事例の紹介、また調査方法などに関する技術的な助言といった必要な情報、これを提供させていただいているところでございます。
 よりよい環境保全といった観点から様々な条件、課題がある中で、環境への最大限の配慮、これを行った事業の実施というものを期待したいというふうに考えています。
(記者)そうしますと、東京都の事業への対応というのは、樹木伐採も含めて300本か500本も含めて、これは妥当だという認識をされているのですか、それともそこはまだ留保されている、あるいは東京都から相談がない、こういうことでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げたように、都の条例に基づいて、環境影響評価の手続が進められたものでありまして、知事の意見といったものも出ているというふうに承知しております。こうした知事意見などに基づいた環境配慮、これしっかり事業者のほうでやった上で事業がなされるというふうに承知しております。
(記者)最後にします。もう一つ、関連して大きな問題は、CO2の削減、要するに環境省はJCMや何かで国の大きな予算を使ってCO2の吸収源ということで、海外も含めてやっておられるわけですよね。で、樹木の伐採、私もアセスを見ましたけども、CO2の削減がどういう形で影響するかという東京都のそういう条例や何かの温暖化対策計画にどう影響するかというのはほとんどされていないのですよね。要するに地球環境問題という視点では、どうもこれはきっちり定量的・定性的にはやられていないと思うのですけどその点どう思いますか。
(大臣)樹木がCO2を吸収・定着させるという、その役割は非常に大きなものがございます。その上で、林業関係者の皆様からお話を伺った中には、樹木の樹齢によって、CO2の吸収量が変わってくるという話もありますし、そういった細かいところも含めて、これから行えるような事業はぜひ検討していただければと思いますけれど、今回この都のほうからは具体的に御相談はございませんでしたが、都自体としてしっかり環境影響評価手続、これは進めたものというふうに承知しております。
 

会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/rW4aDwfydcE?si=hbZ-rbMCHfhTPeXd
 
(以上)