大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年7月21日(金)11:03~11:21 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日は3件冒頭お話をさせていただきたいと思います。
 まず1つが、秋田県での大雨に伴う災害廃棄物への対応について御報告をさせていただきます。これまでの地方環境事務所職員の現地派遣に加えまして、昨日、災害廃棄物対応に経験のある本省職員1名を秋田市に派遣いたしました。秋田県や秋田市とともに、環境省として全力で支援をしてまいりたいと考えております。
 これに加えまして、環境省の災害廃棄物処理支援員制度、いわゆる「人材バンク」を活用いたしまして、本日から福島県いわき市と熊本県熊本市の地方公共団体職員を派遣いただきます。支援員を派遣いただいた、いわき市及び熊本市に心から感謝を申し上げたいと思います。
 また、災害廃棄物の処理に関しまして、本日、秋田市から秋田県を通じて、防衛省・自衛隊へ災害派遣の要望がございました。今後、正式な手続を経て自衛隊に派遣要請がなされた場合に、秋田市、秋田県、防衛省、自衛隊との連携の下に、被災地域における災害廃棄物の除去、運搬等が円滑に行われるように、環境省として最大限の支援を行ってまいります。
 2点目が、G20環境・気候持続可能性大臣会合に出席するために、26日からインドのチェンナイに出張いたします。その後、ブータンに移動しまして、シャルマ天然資源大臣と面会し、両国の環境協力について意見交換を行います。
 G20は世界全体の温室効果ガス排出量の約8割を占める主要経済国の集まりであります。「パリ協定の実施指針」の合意や「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の採択を受けて、まさに世界は、具体的な行動を実施する段階に入っていると考えております。我が国はG7の議長国として、G20とともに具体的な行動を加速する成果が得られるように、議論に積極的に貢献してまいりたいと考えております。
 3点目が、令和5年度の原子力総合防災訓練について、本年秋頃を目途に、新潟県の柏崎刈羽地域を対象として実施いたします。
 具体的な訓練内容等につきましては、今後、関係機関等と検討、調整を進めてまいります。原子力災害の備えに「終わり」、そして「完璧」というものはございません。常に改善を続けるということが重要であります。新潟県を始めとする関係自治体や実動組織を含めた関係省庁と連携をして、訓練を行い、原子力防災対策の更なる充実、強化、これを図ってまいりたいと考えております。冒頭は以上であります。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の日本テレビの西出です。よろしくお願いします。冒頭発言のありましたG20環境・持続可能性大臣会合に関連して伺います。日本はG7の議長国として積極的に議論に参加していく必要があると考えますが、大臣としてどのように貢献していくか、意気込みをお聞かせください。
(大臣)今の国際情勢の中において、ロシアのウクライナの侵略、こうした中にありましても、G20が環境・気候変動問題に揺るぎなく取り組む姿勢、これを示せるように、G7議長国として、G20の取組の加速化を呼び掛けてまいりたいと考えています。
 具体的には、パリ協定の1.5度目標の達成に向けて行動を強化すること、また、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」、これを迅速に履行すること、2019年のG20大阪サミットで合意された「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を踏まえて、プラスチック汚染に関する条約交渉に積極的に貢献すること、こうしたことへの合意を目指してまいりたいと考えています。こうしたものが、しっかりと実現できるように、私自身も会合において積極的に貢献してまいりたいと考えています。
 
(記者)日経新聞の田中です。お願いします。ALPS処理水の関係について1点お尋ねなのですけど、先週金曜日の環境省のモニタリング専門家会議で、環境省の事務方の方が、「モニタリングを確実に実施するためには荒天時の放出を避けるべきだ」といった趣旨の御発言をしていまして、環境省として、最初の放出時というのは即日モニタリングをするべきと考えているのかということと、天気が荒れている日というのは放出を見送って、海象が安定している日に1発目、最初の放出を開始すべきだという考えなのか、ちょっとそこら辺の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
(大臣)海域モニタリングにつきましては、風評対策の観点から、放出開始後速やかに実施することが重要だというふうに考えます。一方で、モニタリングの実施に当たり、安全面も考慮する必要があることは言うまでもございません。先日の専門家会議でも、今御指摘があったように、そのような議論があったというふうに承知しています。環境省といたしましては、ALPS処理水の放出開始後、可能な限り速やかにモニタリングを実施できるように準備してまいりたいと考えております。具体的な放出の時期というのは、まさに安全性の確保や風評対策の取組の状況、これを政府全体で確認して判断していくことになると思います。
(記者)2点目に尋ねた、海が荒れているときには放出を見送るべきなのかというところに関してはどうなのでしょうか。
(大臣)その海洋の状況、そういったものも踏まえてですね、風評対策の点においてはできるだけ速やかに海域モニタリングをやる必要があると考えておりますけれども、当然安全面、それも考えていかなければなりませんので、その海の荒れ具合等々、様々な状況があると思います。その状況をしっかり政府として見ながら判断してまいりたいと考えています。
 
(記者)環境新聞の小峰です。今の質問に関連しまして、やや古い話ですけど、福島第一原発の処理水の放出に関連して、公明党の山口那津男代表がですね、「夏の海水浴は控えた方がいいのではないか」という発言をなされました。政府・与党であるのに、山口さんは風評被害を自ら拡散するような言動を行いましたことについて、西村大臣はどう受け止めていますか。また、環境省としてALPS処理水と海水浴に関する関係をどうなさるつもりですか。以上です。
(大臣)山口代表の御発言に関して、環境大臣として申し上げる立場にはございませんけれども、環境省といたしましては、この海域モニタリングは科学的知見に基づいてきちっとした数字を、信頼性をもって公表すること、このことによって風評被害を押さえる、また、福島の皆様方の安心にもつながっていくのだろうというふうに考えております。しっかりとした信頼性、透明性を持った海域モニタリングを実施してまいりたいと考えております。
(記者)海水浴についてはどう考えていますか。
(大臣)海水浴というよりもですね、ALPS処理水、これの放出に当たって、信頼性の高い、科学的知見に基づいたモニタリングを行っていくということが環境省としての務めだろうと考えております。
(記者)大臣、答えになっていませんけれども。
(大臣)海水浴があるなしにかかわらず、環境省とすれば、科学的知見に基づいたモニタリングをしっかりと行い、そしてそれを情報公開していくということに尽きると思います。
 
(記者)エネルギーと環境、エネルギージャーナル社の清水です。G20でね、やっぱり最大排出国中国、そしてアメリカへの対応を日本はどう働きかけていくのか、その辺が焦点だろうと私は思うのですが、環境省としての、中国、アメリカ、そしてインドも大きい排出国ですけれども、さっきおっしゃったG7の議長国として、どういう基本方針あるいは議長国としての発信を期待していますか。その辺聞かせてください。
(大臣)これまでもエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP、また、モントリオールで開催されたCOP15を含めてですね、様々な場面において、今御指摘のあったアメリカ、インドとともに中国とも様々な話をしてまいりました。
 この地球温暖化という地球規模での非常に大きな問題に取り組んでいくためには、一部の国、一国だけで取り組んでいけるものではありません。世界、できるだけ多くの国々がしっかりと同じ目標を持って会議を進めていく必要があります。
 そうした中で、非常に経済的に大きな成長を遂げている中国が、しっかりと同様の認識を持って地球温暖化問題に取り組んでいけるように、しっかりと話をしてまいりたいと考えております。
(記者)特に今の時点で、G7議長国としての日本の基本方針というか、考え方のアプローチというのはないんですね。
(大臣)日本としての取組方針は、先般のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合において、取りまとめたものでございまして、これをしっかりとG20の国々とも連携をしながら、地球温暖化の大きな問題に取り組んでいかなければならないと考えております。
(記者)その後ブータンに行かれるようですけど、ブータンの訪問の目的というのは、どういう目的ですか。JCMか何かの拡大という、そういうことを目的とされるのですか。協定や何か。
(大臣)ブータンとは1986年の外交関係の樹立以降ですね、我が国の皇室とブータンの王室間を含む要人の交流や、技術協力を通じて、大変良好な関係を構築してきている国でありまして、環境分野では、例えば、今お話しいただいたJCMもございますし、またこのJCMは非常にブータンとしても興味を持たれているというふうに聞いております。
 また、JICAを通じた廃棄物管理に関する支援も実施しているところでございますので、今回ブータンにおいては、環境大臣としては初めての訪問になります。シャルマ エネルギー天然資源大臣を始め、各大臣がブータン訪問に期待を寄せていただいていると承知しておりますので、そうした会談を通じて、環境分野の協力について前向きな意見交換、これが行われることを期待しております。
(記者)ちょっと話が変わるのですけども、この暑さ、それから熱中症対策など、環境省は適応の法律改正をして、適応で災害対策も含めて強化するということですけれども、今ね、働き方改革として、これだけこの猛暑になってきたら、やはり国として、長期の夏休みの確保とかね、そういうやっぱりね、何ていうのですかね、国民も分かりやすいような対応を期待していると思うのですけれども、何か新しいステップに入ってきているのだから、そういう構造対策を環境省、環境大臣として打ち出すということも存在感を出す意味でも、環境省の存在感を出す意味でも、非常に大きいと思うんですけど、どうですか、働き方改革の一環として。
(大臣)働き方改革につきましては御承知のように、政府全体としてしっかり今取組を進めているところでございます。この非常に暑い中に、少し長い夏休みというのも1つの御意見だとは思いますけれども、各経済活動を営んでいる企業や、また団体としての活動の需要もございますので、そういった点も踏まえながらですね、確かに、体に負担がかからない働き方、これに環境省として、どのように関わっていけるのかを考えていく必要もあろうかと思います。
 
(記者)読売新聞社の服部と申します。よろしくお願いします。福島第一原発の処理水の関係でお伺いしたいのですけれども、地元では風評を懸念する方々が漁業者中心におりまして、それでモニタリングというのは政府がしっかりと監視するということだと思うんですけれども、そういう計画を知っていただくということが大事だと思うんですけれども、そういったモニタリング計画の国内外への周知ですとか、あるいは大臣自ら地元に出向いて、「こういった計画でしっかり監視していきます」という説明をするとか、そういった御予定があれば教えてください。
(大臣)先ほどの繰り返しになりますけれど、海域モニタリング、これをしっかりと、信頼性、透明性を持って行っていくということが必要だろうというふうに考えております。
 また現地に関しましてもですね、状況を見ながら、私又は私の代理のしかるべき者が現地入りして状況を見るということも検討していかなければならないと思っております。
(記者)あともう一個いいですか。原子力防災訓練の関係で、新潟県のほうはやっぱり大雪のときにちゃんと避難できるのかというのが課題になっていると思うんですけども。その辺、例えばトンネルの建設とか、その辺で何か環境省で支援できることがあるかどうか教えてもらえますでしょうか。
(大臣)ちょうど先般、新潟県知事、花角知事がおいでになられました。以前から親交がある方ですので、率直にいろいろ意見交換をいたしました。その中で、豪雪を含めてですけど、原子力防災体制の充実・強化における道路整備の必要性などを御要望いただきましたけれども、そうした原子力災害時における避難の円滑化というのは本当に地域住民の皆様の安全・安心といった観点からも重要でございます。
 こうした豪雪を含めたですね、御要望をいただいておりますので、今回、柏崎刈羽地域においては冬季の積雪が多い地域でもありますので、豪雪等の複合災害時における避難の実効性の向上、これは大変重要だというふうに考えております。
 ほかの地域と同じようにですね、国と地方公共団体、こういったものとの協力体制の実効性の確認や、また避難計画の検証、また職員、要員の皆さんの技能習熟といった基本的な事項、これを重視しつつも、豪雪時における災害、複合災害時の対応能力の向上に資するような内容、これもしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=jrRL_o0lfrI&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 
 
(以上)