大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年5月26日(金)09:31~09:50 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

本日、冒頭2件についてお話をさせていただきたいと思います。
1つが「食品ロス削減推進表彰」の募集開始についてであります。本日から、令和5年度の食品ロス削減推進表彰の募集を消費者庁と合同で開始をいたします。環境大臣表彰は令和3年度より開始いたしまして、今年度が3回目の募集となります。この表彰は食品ロス削減に効果的であり、波及効果が期待できる優れた取組を表彰するものでありまして、7月31日まで募集をして、9月下旬頃に受賞者を決定する予定であります。
食品ロスの発生量は、事業者や国民の皆様の御協力のおかげで、減少傾向が続いておりますけれども、この流れを確かなものにするためには、食品ロス削減の取組を更に拡大・定着させる必要があるというふうに考えております。全国で様々な取組を進めている皆様のご応募をお待ちしているところでございます。
 2件目が、「条件付特定外来生物」の指定についてであります。アカミミガメ及びアメリカザリガニを「条件付特定外来生物」に指定する、改正外来生物法施行令が来週6月1日に施行されます。これによりまして、6月1日以降は、アカミミガメ及びアメリカザリガニの野外への放出、販売、購入などを許可なく行うことが禁止されます。一方で、引き続き手続なしで、一般家庭で飼育などをすることはできます。飼い主の皆様には、絶対に屋外に放出せず、最後まで大切に飼っていただくよう、お願いをいたします。
 環境省では、今回の規制内容を説明した動画やチラシ、漫画「ラストカルテ」とコラボしたポスター等をホームページに掲載しております。また、「マーシーの獲ったり狩ったり」というYouTubeチャンネルで、この規制に関しまして、環境省とコラボした分かりやすい動画を掲載していただいていますので、是非御覧いただきたいというふうに考えております。これがそのポスターであります。冒頭は以上であります。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、共同通信藤原です。よろしくお願いします。冒頭発言のあったザリガニとカメの規制ですけれども、アカミミガメ、アメリカザリガニ、特にアメリカザリガニは子供たちにとって身近な生物で、これから夏休みには各地の水場で捕獲したり、飼育したりする子供が出てくると思いますけれども、たくさん捕り過ぎて自宅に持ち帰って、保護者から「自然に返してくるように」と言われたりとか、飼育しても世話をし切れず自然に戻すケースも毎年あると思いますが、規制ではその放出が禁止されています。子供たちやその保護者に混乱が一時的に生じるおそれも考えられますけれども、文科省と連携するなどして、国として子供やその家庭向けに、どのような周知徹底を図る考えでしょうか。
 あともう一点、この規制では、違反者に3年以下の懲役または300万円以下の罰金などの罰則規定が設けられています。先ほど述べたように子供や保護者が誤って違反するケースが結構出てくるのではないかと考えられますけれども、現場レベルで規制や罰則規定をどのように運用されるのでしょうか。教えてください。
(大臣)まず、アメリカザリガニにつきましては、Twitterやウェブサイトにおいて、適正な飼い方などを子供さんにも分かりやすく、理解できるように説明したイラストや動画といったものを公開しております。また、アカミミガメにつきましてもYouTubeにおいて、環境系エンターテイナーのWoWキツネザルさんとコラボした動画を公開したところでありまして、小学生の親子とともに、自然環境局長も自ら出演をして、規制内容や終生飼養の重要性等について発信しているところであります。
 また、両種の規制内容をまとめたチラシを作成して、ウェブサイトに掲載するとともに、都道府県等に配布をいたしております。また、規制内容や飼い方などについて気軽に相談できる相談ダイヤルというものも開設をいたしております。
 両種は水草や絶滅危惧種の捕食などによって、生態系に非常に大きな被害を及ぼしておりまして、野外に放出しないということが最も重要であります。
 規制が生態系の保全につながるように、今後も報道機関の皆様の御協力を得ながら、様々な形で情報発信によって、周知を徹底してまいりたいと思いますので、是非報道機関の皆様、御協力いただければと。特に「夏休みに向けて」という御指摘もあったとおりでございますので、是非御協力いただきたいと思います。
 また、今回の規制に関しましては文部科学省とも連携いたしまして、全国の小学校に向けて学習ツール等を紹介しておりまして、教育現場においても、こうしたものを活用して、アメリカザリガニ等を野外へ放出することのないように、そして生態系の影響等を伝えていただきたいというふうに思っております。学校の現場における先生方の御協力を仰ぎたいというふうに思っております。
 また、アクアショップなどのザリガニやカメを販売する業界に向けましては、今回の制度について説明を行っておりますし、また関係の業界誌に広告を掲載したりすることなど、販売等の違反行為が行われないように、関係する事業者に事前に、十分に規制内容の周知というものを行っております。
 規制の開始後も、関係者と協力して、引き続き、野外に放出することのないように、その規制内容についてですね、普及啓発を更に推進すると同時に、規制の実効性を高めるための取組、こういったものをしっかりと検討しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
(記者)罰則規定の現場レベルの運用については、どうでしょう。
(大臣)法律上、そういったことを決めておりますけれども、それを厳格に取り扱うかどうかということだと思いますけれども、それは子供さんたちにしっかりとですね、注意を喚起して、何より大事なのは、法律によって罰するということではなくて、そういった生態系への影響、そしてまた生き物に対する命の大切さ、これをそれぞれの皆さんが理解して、そして大事にしていただくということが大事ですので、そこを重点的に支えていきたいというふうに思っております。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。少し、ちょっと前になってしまうのですけど、G7の広島サミットで年限が入らなかった石炭火力の段階的廃止とかですね、水素・アンモニアの発電での利用とかについては1.5℃目標とか、2035年の電力脱炭素化の目標など、条件が幾つもついている状態だと思います。アンモニア混焼は商用化に時間がかかるという中で、今後1.5℃目標に直線的にちゃんと減らしていけるんだというところは、環境大臣として、今後どういうタイミングで、どう発信していこうかという考えがあればお聞かせください。
(大臣)今、御指摘あったように、まず1.5℃目標に向けては、各国それぞれの状況が異なる部分もございます。そういったものも、これまでの様々な国際会議においても議論してきたところでありますが、最終的に地球全体としてCO2をいかに減らしていくのか、そして、それに向けて、各国がどのように道程を組んでですね、進めていくのかということは、それぞれの事情によるものでございますけれども、我が国においては今御指摘があったようにですね、様々な技術開発を進めると同時に、それぞれの業界の皆様方と連携しながらしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。
 2030年に向けての非効率石炭火力、これのフェードアウト、これを着実に進めるということと、2050年に向けては、水素やアンモニア、またCCUS、こういったものの活用によって、脱炭素化型の火力に置き換えていくという我が国の取組、そして方針というものをこれまで発信してきたところでございます。
 今般採択されたコミュニケにもあるようにですね、気候変動への具体的な取組につきましては、先ほど申し上げた各国の実情を踏まえた多様な道筋、また選択肢が存在するわけでございまして、この1.5℃目標の達成に向けて国内の排出削減対策が講じられていない石炭火力、これのフェードアウトが重要でございますので、環境省としてしっかりとその取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
(記者)追加で、そういう意味では、アンモニアを使った火力発電の脱炭素化については、今回のG7で、各国の理解が得られたと思われているかということをまずお聞きしたいのと、あと、2035年の削減目標を来年のCOPで提出することが推奨されています。来年のCOPの、次の削減目標に向けて、このゼロエミッション火力の削減に向けたロードマップを示すような考えがあるかどうか、この2点についてお聞きしたいです。
(大臣)まずは、先日のG7札幌大臣会合において、各国の合意の下で出されたコミュニケにおきまして、低炭素及び再生可能エネルギー由来のアンモニアを開発するということ、そしてまた産業及び運輸といった特に排出削減が困難な分野において脱炭素化を進めるための効果的な排出削減ツールとなるときに使用するべきことといったものが位置づけられたところでございます。
 また、電力セクターにおける水素、アンモニアの活用につきましては、1.5℃目標への道筋及び2035年までの電力部門の完全又は大宗の脱炭素化という目標と一致する場合、ゼロエミッション火力発電に向けて取り組むために使用を検討する国があるというふうに記載されておりまして、一定の理解を得たものというふうに考えているところでございます。
(記者)それで、その次の35年の目標の提出が推奨されている中で、本当に1.5℃目標に沿っているのかというところの根拠は今後どう示していこうと考えていますか。
(大臣)まず我が国の、2020年10月に、2050年カーボンニュートラル宣言というのが我が国のスタンスでございまして、2021年の地球温暖化対策推進法の改正において、2050年カーボンニュートラルといったものを法律に明記しておりまして、2030年度に46%削減ということとともに、政府全体でまず取組を推進しているところであります。まずはこうしたものの達成、実現に向けて地球温暖化対策計画、またエネルギー基本計画、GX基本方針に基づいて対策、施策といったものを着実に実施してまいりたいと思っておりまして、その上で、3年ごとの地球温暖化対策計画の見直し、これは2025年までの提出が奨励されている次期NDC、こうした機会を見据えて、IPCCによる科学的知見や排出削減の実績、また、対策の進捗と今後の見通し等を踏まえながら目標とそれを実現するための対策、又は施策について関係省庁、それぞれございますので、そうしたところと連携しながら検討を更に進めていかなければならないというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の市野です。サミットで、札幌会合のコミュニケの話になるのですけれども、札幌会合のコミュニケの和訳の表現についてですね、市民団体の放射線被ばくを学習する会が、処理水であったり除去土壌の部分について誤訳だと指摘をしていて、環境省などに申入れをしております。処理水に関して「廃炉及び福島の復興に不可欠である」という表現がどこにかかるかというところなんですけども、広島サミットの共同声明でも同じ表現でもありました。この点について、この市民団体が申入れをしているわけですけれども、この修正の必要性であるとか、今後の御対応の御予定というのはどのようになっているか教えてください。
(大臣)まず、G7札幌大臣会合のコミュニケにおいても、また広島サミットのコミュニケにおいても、あくまで英文が正本でございます。その上で分かりやすさと、そういった観点から、外務省、経済産業省、そして環境省としっかり一緒に仮訳というものを作成して公表しているところでございまして、今御指摘いただいた点、特にALPS処理水についてはですね、経済産業省を中心に、今その精査を行っているというふうに聞いておりますし、その精査を受けた上で、経産省のほうからそれに対するお答えがあるというふうに承知しております。
(記者)除去土壌の部分についてはいかがかというのと、その精査の御予定というのが、いつくらいに御結論を出される御予定かというのはいかがでしょうか。
(大臣)ALPS処理水は今申し上げたように経済産業省を中心に精査しておりますし、除去土壌の再生利用等につきましては、今、環境省において精査をしておりますので、その精査が完了次第、速やかに回答したいというふうに考えております。
(記者)現状でいつかというのは固まっておられないということですか。
(大臣)「速やかに」ということで、そんなに多くの時間をかけるものではないというふうに考えています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。冒頭で掲げられたポスターについてなんですけれども、掲げられているキャッチコピーについてや、またポスターの印象、それから、これを通してどのようなことを国民に伝えたいか教えてください。
(大臣)これは書いてあるとおり、「外来種を入れない、捨てない、拡げない!」こういったことを非常にシンプルな言葉でございますし、ストレートな言葉ですけれども、しっかりと、特にこういった子供さんを中心にですね、こういった思いを持っていただくというのが非常に大事だというふうに思っております。伝えたいことは、先ほど申し上げたように、生物の多様性というものがこの地球、そして我々人間が生きていく上で非常に必要なものであるというのが大きな根っこでありますし、その中において、在来種を含めて捕食したり、また水草等を食べることによって、そういった生物が絶えてしまう、そういったことのないような、地球に対する優しさ、そして生物に対する優しさといった思いをそれぞれに持っていただくということを是非進めていきたいというふうに考えています。

 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZNDMtjBn_KA&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 
(以上)