大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年4月28日(金)09:31~09:49 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、私のほうから2件申し上げたいと思います。
 1件目が、脱炭素先行地域の第3回の選定結果についてでございます。2050年を待つことなく、2030年度までにカーボンニュートラルの実現を目指す脱炭素先行地域、これにつきまして、今年2月に第3回の募集を行いまして、全国67の地方公共団体から58件の御提案をいただきました。評価委員会の評価を踏まえまして、本日16件の提案を脱炭素先行地域として選定いたしました。
 今回は、民間事業者との連携がこれまで以上に強化されて、熟度の高い提案が多く見られたほか、新設いたしました重点選定モデルとして評価された先進性やモデル性の高い提案、こういったものもございました。今回選定された地域の皆様の今後の取組に大いに期待をしているところでございます。
 第4回の募集は、今年の8月頃に予定しておりまして、その後も、2025年度までに、少なくとも100か所の選定に向けて、継続的に募集を行ってまいりたいと考えています。
 もう1件が、水俣病犠牲者慰霊式への出席等についてでございます。5月1日、熊本県の水俣市において開催されます水俣病犠牲者慰霊式に参列をいたします。水俣病によってお亡くなりになられた方の御冥福を、心を込めてお祈りを申し上げたいというふうに思います。また、慰霊式の参列にあわせて、語り部の方々や関係団体の皆様とも懇談をして、地域の声を拝聴させていただく予定でございます。
 さらに、4月30日には、阿蘇くじゅう国立公園、5月2日及び3日には対馬にありますツシマヤマネコ野生順化ステーションや海洋プラスチックごみの現場等、また、5月6日及び7日には中部山岳国立公園等を視察させていただきます。
 これらの視察を通じまして、各地域における環境保全上の課題などに関する理解を更に深めて、自然公園の魅力向上や地域脱炭素、海洋プラスチックごみ対策などの今後の効果的な環境施策の推進につなげてまいりたいというふうに考えています。
 冒頭は以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社のTBSテレビの池田と申します。第3回脱炭素先行地域の選定結果について、改めて大臣の受け止めを教えていただきたいです。
(大臣)今回も、市街地、漁村、観光地等の様々な地域の資源を活用して脱炭素化を図って、その価値を高めようとする御提案が多く見られて、先進性、モデル性のあるものを選定することができたというふうに思っております。
 今回、特に新たに設定いたしました4つの重点選定モデルのうち、施策間連携モデルとしてはですね、水産加工場のボイラー燃料への海ごみの活用や、地域の再エネ電力による漁村を丸ごと脱炭素化といった青森県佐井村の御提案。そしてまた、デジタル技術を活用した再エネの最大限導入と複数エリア間での効率的な電力需給調整の御提案のあった福島県の会津若松市など。また地域版GXモデルといたしましては、自営線マイクログリッドを活用した電気・熱の脱炭素化による事業者の経営安定化などの御提案をいただいた長野県の生坂村、また高知県の須崎市など、地域固有の課題を脱炭素により解決しようとする提案を選定することができたというふうに考えています。
 今回選定されました16地域が、これまでに選定されております46地域にはない特徴と強みといったものを発揮して、後に続く地域のモデルとなっていただきたいというふうに強く期待しているところでございます。
 
(記者)朝日新聞の市野です。脱炭素先行地域に関連してお伺いいたします。最近の電力会社のカルテルの問題で、今回の脱炭素先行地域に含まれている、例えば松江市さんと中国電力であったりとか、過去にも姫路市さんと関西電力など、既にですね、自治体のほうで指名停止措置を取られている自治体もございます。今回のカルテルの問題も含めて、事業への影響というものを環境省としてどのように見ているかというのをお答えください。
(大臣)一部の電力関係事業者において、独占禁止法や電気事業法への違反があったということは、大変遺憾に思っております。脱炭素先行地域の事業実施に係る責任は、主たる提案者であります地方公共団体が担っておりまして、共同提案者である民間事業者等との関わり方というのは様々であるというふうに思います。
 今回選定された16件、及び既に選定されている46件の地方公共団体に対しまして、今回の事案による影響の有無を確認いたしました。そうしたところ、指名停止期間中に入札を行う予定がない。また、事業の実施者が複数存在する。こういったことのために、現時点では事業実施に支障がないという回答をいただいているところでございます。
 脱炭素先行地域は、2030年度までに実現するものでありますので、指名停止期間はその中の一部の期間でありますので、環境省とすれば、各地域の進捗状況、これをきめ細やかにフォローアップして、事業実施に万全を期していきたいというふうに考えています。
(記者)この問題については、経産省さんのほうだと、例えば電力会社への補助金の停止などの措置をとっていまして、今回のカルテルの問題というのも、再エネの普及というものを妨げることにもなっていたかと思うのですけど、環境省として、間接的とはいえ、脱炭素先行地域を通じて交付金を出すという、電力会社にも交付金が出ていくということに関する是非について、どのように考えておられるか教えてください。
(大臣)脱炭素先行地域につきましては、地方公共団体が、環境省から交付される交付金、これを活用して事業を実施するものでございます。また、地方公共団体が実施する事業については、一般的に、入札によって選定された事業者が実施するものというふうに承知をしています。
 環境省では指名停止等措置要領、これに基づいて、今回の事案に係る電力関係事業者に、入札に係る指名停止期間を講ずる予定でございます。また、各地方公共団体に対しましては、環境省及び関係省庁の対応を踏まえて、それぞれの財務規則等に基づいて適切に対応していただくように注意喚起を行いたいというふうに考えています。
 地域の電力事業者は、地域脱炭素の実現に不可欠な主体であるということを、改めて認識して、今回の事態を重く受け止めて、そして再発防止の徹底、これを強く求めてまいりたいというふうに考えています。
(記者)今ですね、環境省としても入札停止を講ずる御予定だということだったのですけど、例えば経産省に関しては補助金の停止までやっているわけですけども、そこについて、環境省ではそこまでいかないということの理由をどう考えているのかというのと、今のお答えだと、その是非については仕方ないという御認識なのかを改めてお伺いいたします。
(大臣)今、その詳細の中身については事務的に詰めをしているところでございますので、それが確定した時点で公表させていただきたいというふうに思っております。
(記者)是非については。
(大臣)それを含めて、今、検討しているところでございます。
 
(記者)NHKの林と申します。別の話題で、先般、沖縄県の宜野湾の市長が、PFASの関係でこちらにいらっしゃっていたと思うのですけれども、その中で話題に出ていた、いわゆるPFASの除去対策について、環境省として今後どのように考え、進めていくというふうにお考えでしょうか。
(大臣)一昨日、小林副大臣のところに、宜野湾市の松川市長がお越しになられ、面会して、PFOS等に関する意見交換を行ったというふうに承知しております。
 市長のほうからは、環境省の専門家会議の設置、そして検討が行われているということについて、感謝の意が表されたというふうに聞いております。現在の宜野湾市の事業として、市内の公園にPFOS等を除去する装置を、防衛省の補助金を利用して設置したという旨の報告を受けたとも聞いております。
 環境省といたしましては、国内外のいわゆる対策技術や除去技術、こうしたものに関する知見を収集して、また、宜野湾市を始めとした関係自治体にしっかりと提供していきたいというふうに考えています。
 
(記者)共同通信の村越と申します。冒頭発言で、5月1日に水俣市で開かれる慰霊式に参列されるとのことで、それに関連して2点お伺いしたいと思います。
 まずですね、公式確認から67年を迎えるに当たり、大臣の所感と、この水俣病の解決に向けてどう取り組んでいくかという御視点についてお伺いしたいと思います。
(大臣)水俣病というのは、環境が破壊されて、多くの方々が健康被害に苦しまれてきた、まさに我が国の環境問題の原点であるというふうに認識しています。
 今、御指摘あったように、この67年の間、公害健康被害補償法の施行や、また2度にわたる政治解決、多くの方々が様々な形で多大な御努力をなされてきたわけでございますが、現在もなお認定申請や訴訟を行う方が多くいらっしゃるという、この事実は大変重く受け止めています。
 環境省として、地域の方々が安心して暮らせる社会、これを実現するために、公害健康被害補償法の丁寧な運用、また地域の医療・福祉の充実、地域の再生・融和・振興、こういったものに取り組んでいきたいというふうに考えております。
(記者)ありがとうございます。もう1点、水俣病特措法に基づく住民健康調査についてなんですけれども、昨年末、新たな診断手法を国水研によって公表されて、その際に健康調査の在り方について検討するということでしたが、現在の検討状況について教えてください。
(大臣)水俣病特措法に基づく健康調査、これについてはですね、関係者の中においても様々な御意見があるというふうに承知しております。引き続き、丁寧に御意見を伺いながら検討を進めていく必要があるというふうに考えています。
 あわせて、調査の在り方の議論を進めるために、専門的知見の充実また整理を図る必要がございますので、現在、研究班の立ち上げ、これを進めているところでございます。こうした専門家による議論、これを十分に踏まえながら、できるだけ早く検討を進めていきたいというふうに考えています。
(記者)ありがとうございます。研究班の立ち上げということだったんですけど、発足時期とか、メンバーとか、概要で教えていただけるものがあればお願いいたします。
(大臣)今、準備を進めている段階でございますので、現時点において確定しているところはございませんが、確定次第、お知らせしたいというふうに思います。
 
(記者)熊本日日新聞の中尾です。お願いします。今の質問に重複する部分もあるのですけれども、冒頭で慰霊式への出席の件で、今回、新型コロナの影響もあって実に3年半ぶりの現地での出席になるかと思うのですが、その点については、現地で出席するということについて大臣としてどのように考えられるかという点についてまずお願いします。
(大臣)先ほど申し上げたように、公害問題の原点の水俣病において亡くなられた犠牲者の皆様の慰霊式でございます。令和2年度以降、今、おっしゃられたように新型コロナウイルス感染症の影響によって、中止また規模縮小で行われていたというふうに承知しておりますけれども、まさに環境大臣として出席するのは4年ぶりになります。政府を代表して、水俣病でお亡くなりになられた皆様方の御冥福というのを、心を込めてお祈りをしたいというふうに考えています。
 
(記者)電気新聞の湯川です。脱炭素先行地域で25年度までに100件を目指すという方向で、だんだんその達成が見えてきたのかなと思うのですけど、環境省として自治体の支援とかを行っているので、目標の引上げみたいなところは考えていたりするのでしょうか。
(大臣)少なく100か所以上という思いでやっております。御提案が非常に多くのところから出ております。そうした中で、非常に今回も、選考をしっかりやっていただいて、どれでも選定しますということではなくて、非常に提案の内容というものを専門家の皆さんにチェック・検討いただいて、かなり先進性とか、モデル性とか、そういったものが高い御提案が選ばれてきているというふうに思っています。
 応募された地域の中には、まだまだ中身を高めないといけないのですかという話があるぐらい非常に中身の濃いものを選定させていただいております。
 ただ、今回選ばれなかった地域の皆さんに対しましても、そこの地域の環境事務所でしっかりフォローアップする、選考時期に応募したいというところにはしっかりとフォローさせていただきますし、また、今回選ばれなかった理由についても、その改善点等々その当該自治体にお知らせして、更なるブラッシュアップをして応募いただきたいというふうに思っておりますので、中身の濃い地域をしっかり選んで、少なくとも100か所以上、そして意欲のある自治体というのは非常に多いというふうに思っておりますので、そういったところは後押ししていきたいというふうに考えています。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=eo9A5oT7RXs&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE 
(以上)