大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年4月21日(金)09:29~09:48 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、冒頭2件、お話をさせていただきたいと思います。
 1つ目が、2021年度温室効果ガス排出・吸収量についてであります。本日、国連気候変動枠組条約の事務局に、我が国の2021年度温室効果ガス排出吸収量の確報値、いわゆるインベントリを提出いたします。2021年度の我が国の温室効果ガスの排出・吸収量は、11億2,200万トンとなり、2020年度比で2.0%の増加。2013年度比で20.3%の減少というふうになりました。2020年度からの増加については、コロナ禍からの経済回復によってエネルギー消費量が増加したことなどが要因と考えられますが、2019年度からは3.4%減少しており、2030年度目標の達成及び2050年カーボンニュートラル実現に向けた取組については、一定の進捗が見られるところであります。また、2021年の森林等による吸収量は4,760万トンとなり、4年ぶりに増加に転じました。今回の国連への報告では、我が国として初めて、ブルーカーボン生態系の1つであるマングローブによる吸収量を計上いたしました。
 先日のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合におきましては、各国とも1.5度目標達成に向けた迅速な取組の重要性を再確認いたしました。我が国としても、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。
 2点目でございます。除去土壌の再生利用等に関するIAEA専門家会合第1回の開催についてでございます。5月8日から12日まで、除去土壌の再生利用等に関するIAEA専門家会合が開催されます。
 本会合は、環境省の要請によりIAEAが実施するものでありまして、再生利用、最終処分等に関する環境省の取組に対して、評価や助言等を行っていただくものであります。私も12日に会合に参加する専門家の方々と直接お会いする予定であります。期間中に、専門家の方々が福島県内を視察するというふうに聞いており、現地の様子を肌で感じていただきながら、有意義な議論をしていただけることを期待いたしております。
 冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます。TBSテレビの池田と申します。令和3年度に国内で排出された温室効果ガスの量が8年ぶりの増加となりましたが、大臣としての受け止めと、環境省としての今後の対策を教えてください。
(大臣)2021年度の我が国の温室効果ガスの排出・吸収量は2020年度比で2.0%増加したところであります。これは先ほど申し上げたように、コロナ禍からの経済回復によって、エネルギー消費量が増加したことなどが要因というふうに考えられまして、他のG7各国においても同様の傾向が見られます。
 一方で、再エネの導入や省エネの着実な進展等によりまして、新型コロナウイルスの感染拡大前である2019年度から3.4%減少しておりまして、2030年度目標や2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、一定の進捗が見られるというふうに考えております。これに一喜一憂することなく、今後も引き続き、政府一丸となって、対策、施策というものを着実に実施してまいりたいというふうに考えています。
 環境省として、地球温暖化対策推進法の枠組みの下に、2030年度46%削減、さらには50%の高みを目指して取組を進めて、この政府全体の対策推進というものをしっかりとリードしてまいりたいと考えています。また、加えて地域脱炭素、地域と共生する再エネの導入、ライフスタイルの転換、こういったことなどの具体的な政策というものを実現してまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)時事通信の鴨川です。動物の熱中症対策についてお伺いしたいのですけれども、犬を車の中に放置することを防止する「くるまで待てない」といったポスターが環境省の省内に貼られているんですけれども、このポスターに期待する効果とか必要性について、御意見お願いいたします。
(大臣)ペットとして飼われている動物の多くは体温調節が苦手であることから、人間と同じように、熱中症になるリスクがございます。近年、飼い主がペットを車内に放置してしまうという事案が報じられておりますけれども、特に気温の高い日に、ペットを車の中に放置するということは、ペットの命に関わることでもありますので、飼い主の皆様の十分な注意が必要であるというふうに考えています。こうしたことを受けて、環境省では、今御指摘のあった、ペットの車内放置による熱中症の危険性を飼い主に呼び掛けるポスター、これを作成したところであります。
 飼い主の皆様には、ペットの車内放置による熱中症の危険性というものを十分認識していただくと同時に、ペットの命や健康の維持に責任を持っていただくようにお願いしたいというふうに考えています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。冒頭にあった温室効果ガスの増加についてですけれども、経済活動は2021年よりも22年のほうがもっと活発になっていると思うのですが、コロナ禍の時間が経ってですね。あと、状況一般的に見ても2年連続で増加することは十分考えられると思うのですけれども、IPCCの報告書で、2035年、19年比60%削減という話も、この間のG7のところで言及もされておりました。対策としては今までのものでいいのか。大臣の見解をお願いいたします。
(大臣)今、御指摘あったようにG7の札幌で開催された気候・エネルギー・環境大臣会合のコミュニケでは、IPCCの最新の見解を踏まえて、世界の温室効果ガスの排出量を2035年までに60%削減することは緊急性が高まっているということを強調したところでありますが、我が国とすれば、先ほどお話したように、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けまして、それに整合的な形で2030年度46%の削減目標、そして、50%の高みに向けた挑戦、これの継続を表明しているところであります。
 コロナ禍からの経済回復による温室効果ガスの排出量への影響、また再エネの更なる導入による削減量、こういったことなどがどの程度のものになるかは現時点においては不明でありますけれども、そういったものを踏まえながらですね、特にこれまでの2021年の10月に改定された地球温暖化対策計画、また、エネルギー基本計画、あるいは今年の2月に策定したGXの基本方針、こうしたものの効果が今後、出てくるものだというふうに考えています。
(記者)もう1点ですけれども、ChatGPTについてですが、環境省としては、この活用はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)ChatGPTなどのAIによる支援技術が今、注目されているということは承知しております。現時点においては、環境省においては、具体的な検討には入っておりませんけれども、まずは業務の効率化など当該技術の導入による有効性やリスクについて情報を収集していきたいというふうに考えています。
 なお、ChatGPTなどの外部サービスの活用に当たってはですね、情報漏えい、またプライバシーなどといったリスク、これを考慮して、取り扱う情報の範囲や必要な情報セキュリティー対策、こういったことを検討した上で利用の可否を含めて判断する必要があるというふうに考えています。
 
(記者)NHKの林です。冒頭の除去土壌再生利用のIAEA専門家会合の開催に関して、それに絡んで改めて現在、除去土壌の県外の実証事業というのを進められていると思うのですけれども、その進捗と当初、年度内に開始するということも一度は会議等で表明されていたと思うのですけれども、専門家の会合で。それが実施できないという現状、これも含めた受け止めと全体の除去土壌対策の進め方というのを、お伺いしてよろしいでしょうか。
(大臣)福島県外において再生利用の実証事業、これを実施するに当たりましては、これまでも繰り返し申してきたように地域の住民の皆様の御理解が大変重要だというふうに考えております。前年度において、実証事業まで進めませんでしたけれども、引き続き丁寧に説明を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
 また、福島県内の除去土壌、県外最終処分、これは国としての約束でもあり、また法律でも規定された国の責務であるということは、しっかりと受け止めて進めてまいりたいというふうに考えています。
(記者)同様の質問で、今回のIAEAの会合に改めて期待することというものを、仮にIAEAから厳しい評価というのを受けた場合は、その際は対応というのはどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
(大臣)どのような話が出るか。これは予断持ってお答えするのは控えたいと思いますけれども、これはIAEAの会合が専門的な会合でありますので、そういった専門家の会合の議論を通じて環境省がこれまでやってきた除去土壌の減容、再生利用に関する取組等によって得られた知見、または経験などを、そういった国際社会と共有して、その評価を得ていくことで、県外の最終処分、また再生利用に向けた国民の理解醸成につなげてまいりたいと思っておりますし、また専門家会合においては、そういった国民とのコミュニケーション、また理解の促進といった社会的な観点についても取り上げられる予定だと聞いておりますので、そういった議論を注視してまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。温室効果ガスの削減とG7札幌の関係でお聞きしたいのですけど、会合後ですね、アメリカのケリー特使が弊紙のインタビューに対して、日本が温室効果の削減の主軸の1つに据えている火力発電のアンモニア混焼技術について、長期的な脱炭素への移行を遅らせるなど、重大な課題をもたらす可能性があると懸念を表明したのですけども、これに対して大臣として、その国際的な1つの批判だと思うんですけど、それに対する考えというのをまず、お聞かせください。
(大臣)そういった石炭火力に対する各国の意見がある中で、G7の札幌会合において、非常に議論があったのは承知しておりますし、ただ、それぞれの国において2050年カーボンニュートラルという大きな目標に向かって、それぞれの国の事情を反映しながら進めていくという中で、日本においては日本の置かれている状況がございますし、またドイツ、フランス、アメリカそれぞれの国において置かれている状況が違う中で、ケリー特使がそういった懸念をお持ちだということを踏まえながらですね、最終的に先ほど申し上げたカーボンニュートラルに向けて、着実に石炭火力の、特に非効率なものはフェーズアウトしていきますし、そういった技術、移行期も含めてですね、検討をしながら最終目的に向かって進んでいきたいというふうに考えています。
(記者)ケリー特使の懸念については、アメリカ側がこのアンモニア混焼技術に対して懸念を示していたということは承知されていたのでしょうか。
(大臣)ケリー特使とはG20以降、様々な機会を通して話をしておりますし、また今回もバイ会談を含めて、かなり突っ込んだ意見交換をしてまいりましたので、アメリカの考え、特にケリー特使の考えというのは十分承知しております。それを踏まえながら我が国としての立場、またG7、今回のコミュニケを取りまとめる立場としていろいろ私としても意見を申し上げて、その上でケリー特使も御理解をされて、今回のコミュニケになったというふうに考えています。
(記者)最後、もう1点。今の点に関連してですが、IPCCも御案内のとおり、今後10年で大幅で急速な削減を必要としていると。35年の60%削減の緊急性が高まっていると。先ほどおっしゃられたように、G7でも認識は一致していると。その中で、アンモニア混焼というのは35年までの、少なくてもアンモニア専焼の商業化はというのは見込めない中で、今後、その国際的な批判というのは強まっていくというふうに考えていますでしょうか。
(大臣)先般のコミュニケにおいてですね、「水素、アンモニアが様々な分野、産業、さらにゼロエミ火力に向けた電力部門での脱炭素化に資する点」というのが明記されております。ブルーとかグリーンといった色によらない炭素集約度の概念を含む国際基準や認証スキーム構築の重要性を確認したということがコミュニケのほうに書かれておりますので、その部分を踏まえながら、進めていかなければならないというふうに思っています。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=K-COqs3WDTE&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE

 
(以上)