大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年3月31日(金)11:04~11:24 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 冒頭、本日は2件についてお話をさせていただきたいと思います。
 1つ目は、生物多様性国家戦略の変更及び自然共生サイト認定の申請受付開始についてでございます。本日、閣議におきまして、生物多様性国家戦略の変更について、決定いたしましたので御報告したいと思います。
 今回、決定した国家戦略は、生物多様性条約のCOP15で採択された新たな世界目標であります、昆明・モントリオール生物多様性枠組、これを踏まえて、世界に先駆けて策定したものであります。2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させるという「ネイチャーポジティブ」の実現に向けたロードマップとなるものでございます。
 本戦略の閣議決定に当たりまして、私から関係閣僚の皆様に対して、30by30目標などの達成に向けて、政府一体となって政策を推進していくことについて、協力を要請したところでございます。
 また、来週の4月3日(月)から、自然共生サイト認定の申請受付を開始いたします。自然共生サイトは、民間による生物多様性保全の取組が行われているエリアを認定するものでありまして、30by30目標の達成に向けた重要な施策となります。この詳細は来週の月曜日に、記者発表資料にてお知らせをさせていただきたいと思います。
 環境省といたしましては、この戦略に基づき、様々な関係者と連携して、自然共生サイトの認定を始めとする持続可能で自然と共生する社会への変革に向けた取組、これを推進してまいりたいと考えております。
 また来月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合におきましても、本戦略について積極的に発信をして、そして議長国として国際的な議論をリードしつつ、世界目標の達成に貢献をしてまいりたいというふうに考えています。
 もう一点が、外来生物法の施行についてであります。明日、4月1日から改正外来生物法が施行されます。これによって、国、自治体、事業者、国民の特定外来生物の被害防止に関する責務規定が新設されることを受けまして、各主体の取組や連携を更に強化して、外来生物対策を推進してまいります。
 特に、1日から要緊急対処特定外来生物に指定されます、ヒアリ類につきましては、侵入時の対策が重要であります。港湾、空港事業者また物流事業者、荷主などの皆様の御協力というものが不可欠であります。4月中に国土交通省と共同で、こうした関係事業者の取組事項をまとめた、対処指針を交付する予定であります。関係事業者の方々に早期発見や拡散防止の御協力をいただきながら、ヒアリの定着を確実に阻止してまいりたいと考えています。
 アカミミガメ、アメリカザリガニの放出禁止等に関する規制は6月1日から開始されます。規制内容や適切な飼い方について、SNSなども活用しながら、更に周知をしてまいりたいと考えています。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の時事通信の真島と申します。冒頭発言にもありました国家戦略に関して、お伺いいたします。国内では気候変動対策と比べて、生物多様性に関しては知名度が低いと思われます。今回の決定を機に、どのように周知啓発していくのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)私たち、人類というものは、食料や水、また気候の安定といったことなど、生物多様性がもたらす様々な恵みによって、社会経済活動というものを営んでおります。生物多様性はまさに人類の存続の基盤というふうに考えています。
 ただ、今、御指摘がありましたように、気候変動やカーボンニュートラルというものに比べて、生物多様性というのは認知度が確かに低いものだというふうに思っております。昨年10月に公表した、政府の世論調査によりますと、生物多様性の意味を知っていた人は約3割にとどまっておりまして、その重要性について国民の皆様に十分に周知、認識されているとは言い難いのではないかと考えます。
 この新たな国家戦略の策定を契機として、生物多様性の重要性と戦略の内容を社会に広く浸透させて、国民の皆様の具体的な行動につなげていくということが重要だというふうに考えます。
 このため、官民連携のプラットフォームであります、2030生物多様性枠組実現日本会議J-GBF、こういったものなども活用して、フォーラム等のイベントでの周知や、また、つなげよう、支えよう森里川海プロジェクトなどを通じまして、国民運動を推進してまいりたいというふうに考えております。
 こうした様々な取組を、これまで以上に進めてまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。原子力防災訓練について伺いたいと思います。今年度も行うと思いますけれど、昨今、原発の安全性、避難の対策をめぐっては、広域による通行止めとか、あるいはロシアの、ウクライナの原発に対する攻撃など、様々な事象が起こっていると思いますけれども、今年度以降のその訓練で、積雪時の通行止めとか、あるいは原発がテロ攻撃を受けたり、あるいはミサイル攻撃を受けたりといった想定をした上で、訓練をして習熟度を高めていくと、そういった必要性もあるんじゃないかなと思うんですけれども、この点について大臣のお考えはいかがでしょうか。
(大臣)まず、関根記者、今日がこのクラブの最後の御質問だと思います。是非、新天地での活躍を祈っているところでございます。
 その上で今の御質問ですけれども、まず来年度の原子力総合防災訓練、これの実施時期や場所と地域というのは現時点では未定でございます。それゆえに、訓練における自然災害の想定についても、現状は未定でありまして、実施地域が決まった後に訓練目的などを踏まえて、検討していくことになろうと思います。全国の中でどこでやるかによって、今御指摘のあった積雪の関係の訓練も必要なところと、そうでないところというのは出てくると思いますが、その積雪に対する備えと訓練というものが非常に重要なものだというふうに認識しております。
(記者)特段のテロとかミサイル攻撃とかは、これに対しての考え方というのはいかがでしょうか。
(大臣)今のテロや武力攻撃についてのお話だと思いますけど、この原子力総合防災訓練は原子力災害対策特別措置法に基づく計画に従って行うものでございますので、国民保護法や事態対処法、こういったものなどの枠組みによって対応することになる武力攻撃に関する内容は含めておりません。
 ただ、原子力発電所に対する武力攻撃への対処につきましては、国民の保護に関する基本指針、これにおきまして、災害対策基本法に基づく防災基本計画 原子力災害対策編、これの定めと同様の措置を講ずることを原則としつつ、状況を踏まえて臨機応変に対応する」ということになっておりますので、原子力総合防災訓練を通じて関係の省庁と、そしてまた関係の自治体が連携を深めて訓練を行うということは非常に意義のあることだというふうに思っております。
 なお、武力攻撃を想定した訓練につきましては、今申し上げた国民保護法に基づいて、国や地方公共団体、住民の皆様などが参加する下に実施されることとなっておりまして、武力攻撃の原子力災害に係る訓練が実施される際には、こういった訓練が行われる場合は、この内閣の原子力防災として積極的に協力してまいりたいというふうに考えております。
(記者)別の法律の枠組みだからできないというのは、何となく役所の縦割りの弊害みたいな感じがしていて、それが連携してやればいいでしょうし、自治体がやるところに協力するとなれば別に国が主催して積極的にやってもいいと思うのですけど、そういうふうにしないのは何でなんでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げたように原子力総合防災訓練は、原子力災害対策特別措置法の計画に従って行うということで、今御指摘のような話も理解はできますけれども、ただこの原子力総合防災訓練というものと、武力攻撃によるミサイル等による攻撃に対する対応というのは、それぞれ別なものでございますが、多分御指摘なのは、原子力発電所施設等への武力攻撃が行われた場合のことだと思いますが、これはミサイル攻撃の部分と原子力発電所が何らかの事故が起きた場合、これは複合的になるものですけれども、それぞれの訓練をしっかり行っておくことによって、両方が連携した形で、その退避を含めた、またミサイル等に対する対処も含めた訓練になっていくのではないかと思います。
(記者)ちょっとこれ以上のお答えは難しいと思うので、これは最後、これまでどういう事態を想定するかという中で、放射能の拡散は結局はOIL2、毎時20マイクロというところまででとどめた内容になっていて、その上のOIL1、毎時500マイクロという、その状況を想定した訓練というのは行ったことはないと思うのですけれど、これは、福島事故を鑑みると、実際に原発のごく周辺でしたけど500マイクロというのは計測されていたし、さらに2号機の圧力上昇とか、危機的な状況というのは十分にあり得たわけで、このOIL1を想定した訓練というのは必要になってくるのではないかなと私は思うのですけれど、その点大臣はいかがお考えですか。
(大臣)原子力総合防災訓練における事象の想定というのは、訓練の目的を踏まえて設定をされるものでありますので、今後の訓練の企画を具体化していく中で定めていくものだというふうには考えております。
 最近の訓練においては対応要員の練度の向上、これを念頭に置きまして、放射性物質の放出を前提として、今御指摘があったOIL2に伴う一時移転区域の設定や、住民の移転に係るオペレーションの訓練を行ってきたわけでございます。今御指摘いただいたOILの設定をどのようにするかについても、今後訓練の企画を具体化していく中で検討していくものでございますが、その上で申し上げますと、福島の事故においてはOIL2の地域が大半でございまして、御指摘あるようにOIL1に関しても、一部ありましたけれども、そういった意味において、まずしっかりとこのOIL2に対応する状況を訓練の練度、対応要員の練度向上、こういったものをまず進めていきたいということで考えています。
(記者)最後にします。要は30キロ圏、即時避難というのが事実上難しくて、やるといろいろと大変なことが分かってしまうから、やらないということじゃないかなと疑ってしまうのですけど、そうではないのですか。
(大臣)今申し上げたように、その地域の皆さんが安全に退避、避難できるような、そういった体制をしっかりとサポートする対応、これをやっていくために特に対応要員の練度向上等を念頭に置いてやっているということでございます。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。生物多様性の国家戦略ですけども、2030年までの世界目標である昆明・モントリオール目標では生物多様性に有害な補助金については少なくとも年5,000億ドルという定量目標が示されています。
 翻って今回の日本の国家戦略は、これから特定を進めるとしてその金額は示していないわけですが、これはその30年まで時間がないわけですけども、これいつまでに金額を示すお考えでしょうか。
(大臣)まず今回、昆明・モントリオール生物多様性枠組、これを踏まえた新しい国家戦略、これを世界に先駆けて取りまとめたものでございますので、その方向性をしっかりとまず今回取り決めた上で、実働的な部分というのを多分お知りになりたいと思うのですけど、これは今後、速やかに検討を進めていくつもりであります。
(記者)補助金の問題は農水省とか、他省庁との調整がかなり必要になってくると思います。これに関しては、今後環境省としてどういうふうに調整をしていきたいと考えていますか。これ、有害補助金もそうですけれども、例えば再エネ等のトレードオフのところでも、問題になってくることだと思うのですけど、その辺のお考え、今後の御姿勢をお聞きしたいです。
(大臣)当然しっかりとこの課題を進めていくためには、政府一体となった取組が必要でありますので、今御指摘があった、農水省を始めとした関連する省庁としっかりと連携して、取り組んでまいりたいというふうに思っています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。G7の関係で伺いたいのですけれど、電気自動車(EV)に関する目標で、EUが合成燃料に限ってガソリン車の新車販売も35年以降導入するという方向に転じたと思うのですけれど、日本政府、環境省としてこの合成燃料に関するスタンスというんでしょうかね。つまり基になるのは水素と二酸化炭素、つまり二酸化炭素の扱いというのがポイントになってくると思うのですけれど、この点に関して特にどういうスタンスでしょうか。
 具体的に言うとCCUS由来のCO2を使うということも認めるのか、それともダイレクトエアキャプチャーに限った方向性なのか、大分違ってくると思うんですけれども、それについてのお考えがあれば教えてください。
(大臣)今お話があったように、前回の記者会見のときにちょっと触れられた件だと思いますけれども、3月28日に欧州において新車販売における電気自動車等の割合を2035年100%にするという規制が決定されましたが、この過程においてドイツ政府と欧州委員会が合成燃料のみを使用する車両については販売を認める方向で合意しているというふうに承知しております。
 他国の制度に関するものでございますので、日本政府としてはコメントすることは差し控えたいと思いますが、高い関心を持って注視をしてまいりたいと思っています。我が国とすれば、2035年までに乗用車新車販売で電動車100%という目標を掲げております。電気自動車や燃料電池自動車に加えて合成燃料の活用、これも選択肢の1つだというふうに考えています。
 環境省とすれば引き続き電動化促進、こうしたものへの必要な支援に取り組んでまいりたいというふうに考えています。
(記者)35年新車販売目標のところに、合成燃料というのは間に合うのでしょうか。それも含めた2035年の目標という理解でいいですか。つまり商用化が今現段階では40年以降というふうな政府の見通しだと思うのですけど。その整合性というか、どういうふうな理解をすればいいんでしょうか。
(大臣)今申し上げたように、電気自動車そして燃料電池自動車に加えて合成燃料の活用も選択肢の1つだというふうに考えておりますけれど、この合成燃料を直ちに導入する状況にあるかないかというのは、ちょっと別問題として選択肢の1つだというふうに考えているというふうに、今日のところは発言させていただいたところです。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=y47tmcT5NsM&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 
(以上)