大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年3月17日(金)09:10~09:28 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日1件でございます。「福島、その先の環境へ。」という対話フォーラムについてでございます。
 福島県の除去土壌等の県外最終処分・再生利用に向けた全国での理解醸成のために、明日3月18日に「福島、その先の環境へ。」と題した通算8回目の対話フォーラムを宮城県仙台市において開催をいたします。私も現地に赴いて参加者の皆様の理解が深まるように丁寧なコミュニケーションを図りたいというふうに思っております。オンラインでも中継する予定でありますので、是非多くの皆様方に御覧いただきたいというふうに考えております。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の朝日新聞の関根です。よろしくお願いします。IPCC報告の関連で伺いたいと思います。今まさに総会で第6次の統合報告書が審議中だと思いますけれども、その中で、来年中に2035年時点での温室効果ガスの排出削減目標について、言及もあるかと思いますけれども、こちらのNDCの方針について、来年中に提出が求められると思いますけれども、日本政府としての検討の進捗について伺いたいということと、これは基本的には科学の根拠に乗っ取って60%削減というのを目安に強化していく方向性という理解をしていていいでしょうかということについて伺いたいと思います。
(大臣)まず、今お話ありましたように、来年中、2024年中の提出というお話ございましたけれども、これ、パリ協定の下においては、来年中ではなくて2025年に2035年目標、また2030年に2040年目標、これを報告することが奨励されているということでございます。
 我が国は2030年度の46%削減、さらに50%の高みに向けて調整を続けていくという、こういう目標を掲げているところでございまして、これ以降の削減目標については、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、関係省庁とも連携をしながら、目標年度や具体的な対策、施策等も含めて検討していくことになります。
(記者)PFASの関連ですけれども、先日アメリカの環境保護庁が、飲料水の生涯健康勧告値ですか、1リットル当たり各4ナノグラムという値を公表しましたけれども、月内にもまた専門家会議が開かれると思いますけれども、こちらの議論にどのように反映していくお考えでしょうか。
(大臣)今回、米国の環境保護庁EPAが、PFASに関する飲料水の規制値案を公表したということは今御指摘のように承知しております。
 今回、示された案につきましては、今後、米国内で確定に至るまで様々な手続があるものだというふうに承知しております。環境省といたしましては、厚生労働省と連携しながら、今お話のあった専門家会議で水質の目標値等について御議論いただいているところでございます。
 今回、公表された米国のEPAの考え方や、現在作業が進められているWHOのガイドラインなども含む最新の知見を踏まえて、できるだけ速やかに議論を深めていただくことを期待しているところであります。
 その結果を踏まえて、国民の皆様の安全・安心、これのための取組をしっかりと進めてまいりたいと考えています。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。来月に迫ったG7の気候・エネルギー・環境大臣会合について、2点お聞きしたいのですけれども、去年のコミュニケでは、電力部門の脱炭素化と石炭火力のフェーズアウトについて、それぞれ2035年までの大部分の脱炭素化と年限を示さない形での石炭の段階的廃止というのを言いました。これに関しては、欧米から、踏み込みが足りないという指摘がこれまでの事前協議の中で上がっているということですけれども、この部分について、議長国として、どういった考えで進めていくか、前進させていく考えというのはないでしょうか。
(大臣)今、お話のあった、今年4月のG7の大臣会合に向けては、現在事務方の準備会合で成果文書の議論を行っているというふうに承知しております。議論の内容については、外交上も、まだ議論の途中でございますので、ここでお答えすることは差し控えたいとは思いますけれども、今、御指摘のあった我が国の石炭火力については、できる限り発電比率、これを引き下げていく方針であります。
 具体的には、電力の安定供給を前提として、2030年に向けての非効率石炭のフェードアウトを着実に進める。そして、2050年に向けては水素・アンモニア・CCUS、こういったものを活用して、脱炭素型の火力に置き換えていくという取組を推進してまいりたいというふうに考えています。
(記者)関連して、この水素・アンモニアを活用したものをその火力発電の脱炭素化に活用していくという考え方は、これはほかの6か国の理解は得られるだろうと考えていますでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げたように、事務方において議論しているということでございます。将来的なカーボンニュートラルに向けて、しっかりと段階を踏みながら、最新目標に向かって歩みを進めたいというふうに考えています。
(記者)もう一点は、ちょっと雑駁な質問で恐縮ですけれども、あと、残り1か月、もちろん事務方で今交渉中ということは踏まえてですけれども、今回のG7の閣僚会合のヘッドライン、まあ目玉と言いますか、というところはどういったところに置きたいというふうに考えていらっしゃいますか。改めてお聞かせください。
(大臣)今回もカーボンニュートラルを含めたですね、特に気候変動のみならず、生物多様性においても、この前、昆明・モントリオール枠組が決まりましたので、今、我が国においても世界に先駆けて、その国家戦略、これを世界の第一弾という形で、取りまとめています。そういった先駆けの取組をG7各国と共有すると同時に、先般、今年に入ってインドにも参りましたけれども、インドに行ったのはG20の議長国ということでございます。G7とG20が将来の目標について、考えを共有しながらやっていく必要性を感じて、行ったものでもありますので、そういったG7とG20の連携を図りながら、世界全体として、カーボンニュートラルであったり、生物多様性であったり、気候変動、そういったものに対する取組を進めたいというのが基本的な考えであります。
 
(記者)北海道新聞の大能です。ただいまの質問に関連してなんですけれども、2030年の石炭火力の段階的廃止というのは、現時点では日本としては難しいというふうにお考えなのでしょうか。もし、そうであればちょっと理由を教えていただけないでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げたように、最終的な目標に向けて歩みを進めなければなりませんけれども、現状からそういった目標に向かって歩みを進めていく過程におけるものの考えというのも必要だろうというふうに思っております。特にG7のみならず、G20そして世界各国の様々な国々と同じ方向を向いていかなければならないわけでありますので、そういった意味において、現状を理解しつつも、少しずつでも前に進めていけるようなことも考えていく必要があるだろうというふうに思っています。
(記者)年限を明示するよりも、少しずつ進めていくことが大事だというような御趣旨ですか。
(大臣)少しずつというか、できるだけ早く目標達成に向けて歩みを進めなければならない、これは当然でありますけれども、その現状というものを認識しながら、対策、取組というのは進めていく必要があるだろうというふうに考えています。
 
(記者)環境新聞の小峰でございます。昨夜のWBCのイタリア戦で、侍ジャパンが勝ちまして準決勝の進出を決めました。活躍された選手は、宮城県や岩手県の、被災地の出身者や、ゆかりのある大谷翔平、佐々木朗希、ダルビッシュ有と、この活躍が大きかったと思いますけれども、大臣は宮城の御出身ですけれども、昨日の結果、準決勝進出をどんなふうに受け止めていますでしょうか。
(大臣)本当に今、国会終盤というか、予算編成の審議の終盤に向かっている中ではございましたけれども、テレビのほうは見させていただきました。大変、すばらしい勝ち方であったろうというふうに思っています。大谷選手がちょっと失点をした後に、すぐに打線が活躍して、非常に今回、これまでの試合、大変安心して見ていられるようなものが続いていたでありましょうし、今御指摘のあった、大谷選手、佐々木選手、ダルビッシュ選手を始めとしたゆかりの選手が活躍することを大変うれしく思っております。また、ちょっと不振だった村上選手にいいバッティングが出てきたので、是非、今ちょうどアメリカに向かって飛行機に乗られているというふうに聞いておりますので、もう間もなく到着だろうというふうに思いますが、是非優勝に向けて頑張っていただいて、そして日本の国民の皆さんに、元気と希望、勇気を与えていただければというふうに思っています。
 
(記者)共同通信の服部と申します。すみません。幹事社質問に関連して、アメリカEPAのPFOS、PFOAの飲料水規制ですけれど、米軍基地が汚染源の1つとして疑われている沖縄県ですけれど、アメリカの基準値4ナノグラムはおろか、日本の基準値を超過することも度々ですけれど、今後、米側に対して対策強化や汚染源特定への協力を求めるようなお考えというのはないでしょうか。
(大臣)今回、今お話しのあったようにEPAにおいて規制値案が公表されわけでございますので、そういったものを含めてしっかりとした、日本としても基準をしっかりと決めていかなければならない。そのためには、アメリカEPAの案を含め、WHOのガイドラインといったものを参考にしながら、速やかに結果を出していきたいというふうに思っておりますし、今御指摘のあった米軍の基地の話もございますので、その基準値が科学的にしっかりとしたものができた上においてですね、当然、そういったものを超えたものに関する対応策というのは検討していかなければならないだろうと思っております。
 ただ、米軍基地内の話というのは、今、防衛省において米軍側といろいろな協議をしているというふうに承知しております。
(記者)すみません、追加で。日本側の50ナノグラムを決めたときの参考にしたデータの1つが米側の健康勧告値の70ナノグラムだったと思うのですけれど、米側がかなり厳格化したことで、今回、日本が検討している新しい水道水の基準値も引下げの方向で検討が進むと考えてよろしいでしょうか。
(大臣)先ほどお話ししたように、まず、米側の規制値案が公表された、それが1リットル当たり4ナノグラムということでございますけれども、米側においてもまだ規制値案という形で今提示されましたけれども、これから様々な検討、手続を経て決定していくというふうに承知しておりますので、その議論もしっかり見据えつつ、またWHOで今ガイドラインの検討をしているということでございますので、こういった最新の科学的知見、これを踏まえながらしっかりとしたものをつくり上げたいというふうに考えています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。G7を何回か質問されていると思うのですけど、関連して、G20がまとまらない中でG7の重要性はとても増していると思うのですけれども、重ねてで恐縮なのですが、石炭の火力発電もやっぱり踏み込んだ議論というのが求められると思うのですが、これは、どうやってかわしていかれるのですか。
(大臣)かわすというより、真摯にG7各国の意見を承りながら、やっていかなければならないというふうに思っています。
(記者)数値というか年限を区切っていくところも求められると思うのですが、それはどういうふうにやっていかれるのですか。
(大臣)それは今、事務的にも交渉しておりますし、これからG7の各国の考えを当然しっかりと聞きながら、また、先ほど、私申し上げたように、世界各国で認識を持ちながら、歩みを進めなければならないという中で、G20等々の考えも聞きながら取りまとめというものをしていきたいというふうに思っています。
 
(記者)NHKの林と申します。PFASに関してですけれども、今年初めに、特に規制値に関してですけれども、議論が始まってからアメリカの今回のEPAの動向であったりとか、WHOも議論を進めていると思うのですけれども、そうした世界の議論の進捗を含めて、改めてその目標値というのをどこまでに設定するというのが、始まった当初よりも見えてきたということはあるのですか。いつまでにという意味では。
(大臣)環境大臣として、そういった動きがあるということは承知しておりますけれども、現在、日本においては、この専門家会議を立ち上げて、そこで御議論いただいております。当然、その専門家会議の中においてもEPAの今回の案の公表、そしてまたWHOのガイドラインを参考にしながら検討していただくものと承知しておりますので、その専門家会議の、まさに科学的知見を踏まえた結論というのを尊重してまいりたいというふうに考えております。
 
(記者)朝日新聞の関根です。冒頭発言でIPCC伺いましたけれども、そうすると2030年の日本の削減目標と、50年のカーボンニュートラルの目標の間には改めて削減目標を設ける考えは今のところはないという、そういうことでよろしいでしょうか。
(大臣)2030年度に46%の削減、そして50%の高みという目標、そして、2050年のカーボンニュートラルの実現、これは今まで掲げた目標でありますので、これの実現に向けて取り組んでいるということでございます。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=629jyY_wQ4U&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 
(以上)