大臣談話・大臣記者会見要旨

IPCCによる第六次評価報告書に関する西村環境大臣談話

 本日、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)による第6次評価報告書 統合報告書の政策決定者向け要約が公表されました。これは、気候変動に関する最新の科学的知見をまとめたものです。
 今回の報告書では、『人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がない』、『継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、短期のうちに1.5℃に達する』との厳しい見通しが示されました。これは、この10年間に全ての部門において急速かつ大幅で、即時の温室効果ガス排出削減の必要性を示すものです。
 しかし、今すぐ対策を講じることで、海面水位の上昇、洪水の増加、熱中症の増加など、温暖化に関連したリスクを抑えることが可能であることも示されました。
 IPCCの科学的知見を踏まえ、政府は、緩和策・適応策の両面から対策を強化してまいります。先月、「GX実現に向けた基本方針」及び「GX推進法案」が閣議決定されました。これに基づき、政府として、今後10年間で150兆円を超える官民のGX投資、成長志向型カーボンプライシングの導入を実現することで、2050年カーボンニュートラルと産業競争力強化・経済成長の同時実現を目指してまいります。さらに、地域脱炭素の推進、住宅の断熱改修支援等、需要側からの取組を進めるとともに、新しい国民運動を通じて脱炭素で豊かな暮らしへのライフスタイル変革を促してまいります。また、熱中症による健康被害を軽減するため、今国会に、これまでより一段上の「熱中症特別警戒情報」の導入等を盛り込んだ気候変動適応法等の改正案を提出しており、熱中症対策を抜本的に強化します。
 温暖化を1.5℃に抑えるには、我が国を含めた世界全体の排出量を大幅に削減する必要があります。我が国が構築した二国間クレジット制度(JCM)や、都市間連携事業等を通じて、世界、特にアジアの脱炭素化に貢献していきます。また、来月、「G7 札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合」を開催し、議長国として、世界全体の脱炭素化に向けて国際社会をリードしてまいります。
 国民の皆様におかれましては、脱炭素社会に向けて、一人一人が果たす役割が大きいことを御認識いただき、御協力賜わりますよう、よろしくお願い申し上げます。
 
令和5年3月20日