大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年6月27日(金)11:00~11:20 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

冒頭4件、発言いたします。
始めに、原子力防災会議についてであります。先ほど、第13回原子力防災会議が開催され、柏崎刈羽地域原子力防災協議会において内容を確認した柏崎刈羽地域の緊急時対応について報告し、了承をいただきました。原子力災害の備えに終わりや完璧はありません。今後も、関係自治体等と一体となって、同地域の原子力防災体制の充実・強化に取り組んでまいります。詳細は、この後、事務方から説明いたします。
続きまして、熱中症予防についてであります。先週6月16日月曜日以降に全国的に急に気温が高くなり、熱中症警戒アラートの発表回数は、本日までに60回と、昨年度の同時期と比較して2倍近くとなっています。また、消防庁によると、6月16日から6月22日までの熱中症疑いでの救急搬送者数が全国で8,603人と、前週と比べ約9倍に増加したとのことであります。気象庁からは、今日からは再び全国的に暑くなり、しばらく厳しい暑さが続く見通しと発表されました。これから夏休みシーズンを迎え、野外で活動する機会が多くなり、熱中症の発生リスクが更に高くなります。そこで、環境省では、一般社団法人日本パブリックビューイング協会の協力の下、7月から8月末まで、大型ビジョンで、熱中症予防、熱中症警戒アラート等についての情報発信を行います。環境省のLINE公式アカウントや熱中症予防情報サイトの情報はもちろんのこと、このような情報もぜひ御活用ください。
続きまして、2023年度の食品ロス発生量についてであります。環境省と農林水産省が推計している食品ロス発生量の最新の結果がまとまりましたので御報告します。家庭系食品ロスと事業系食品ロスとを合計した食品ロス発生量は、2023年度に約464万トンまで減少し、推計開始以降最小となりました。引き続き、事業系は2000年度比で60%削減、家庭系は2000年度比半減の早期達成という政府目標を目指します。環境省では、飲食店での食べ残しを持ち帰るmottECO推進、地域でのモデル事業実施やフードドライブの普及
、など消費者の行動変容の促進と自治体の取組の促進に関する支援を実施してきました。食品ロスの削減は、循環経済への移行、また、ネット・ゼロの実現に向けても重要であり、皆様の更なる御協力をお願いいたします。
最後に、奄美大島への出張について発表いたします。6月30日、奄美群島国立公園及び世界自然遺産でもある奄美大島において、外来生物であるフイリマングースの根絶という、世界でも類をみない事業を達成した現場等を視察いたします。視察の結果を、他の世界自然遺産地域の保全管理の一層の推進につなげたいと考えております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(記者)幹事社の共同通信の竹生です。
食品ロスの推計について伺います。事業系食品ロスは2022年度の推計で2030年度までに2000年度比50%減の目標を前倒しで達成しましたが、家庭系はあと一歩届いていません。米を始めとする食品の価格高騰により消費者の行動変容も期待されますが、目標達成の見込みはいかがでしょうか。
(大臣)食品ロス発生量は減少傾向にあり、2030年度目標である合計435万トンの達成まで、事業系は残り約13万トン、家庭系は残り約17万トンとなっています。環境省としては、食品ロス削減の取組が、地域で、そして全国に広がり定着するよう、冒頭の発言でも申し上げました、飲食店での食べ残しを持ち帰るmottECOを、地方自治体や食品関連事業者等、地域の関係主体と連携して推進することのほか、デコ活を通じた食品ロス削減などの、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル転換の後押し、デジタル技術等を活用した食材買い過ぎ防止など、食品ロス削減効果を実証するモデル事業等を行ってまいります。今後も、関係省庁や地方自治体等と連携しながら、政府目標の達成に向けた着実な取組を進めてまいります。
 
(記者)共同通信の広江です。よろしくお願いします。
大臣から冒頭御説明があった原子力防災会議のことで質問ですけれども、柏崎刈羽地域の緊急時対応が了承されまして、大臣の受け止めと、他の地域と比べた柏崎地域の避難計画の違い、どういった点を考慮して避難計画を策定したか、御説明ください。お願いします。
(大臣)まず、受け止めでありますけれども、柏崎刈羽地域の緊急時対応は、これは違いを含めての話になりますけれども、地震や津波に加えて、柏崎刈羽地域の特徴である豪雪といった自然災害と原子力災害との複合災害を想定し、こうした複合災害にも、原子力災害対策指針の考え方に基づく、避難や屋内退避が行える内容として取りまとめられております。一方で、原子力災害の備えに終わりや完璧はありません。今後も、関係自治体等と一体となって、柏崎刈羽地域の原子力防災体制の充実・強化に取り組んでまいります。
(記者)それで、今月11日に協議会が開かれて、この計画が具体的であって合理的だということを確認したと思うんですけれども、それから2週間ちょっとで原子力防災会議に至ったと思うんですけど、政府として急いでいるようにも見えたりしますけど、この参院選の前のタイミングで原子力防災会議を開いて了承したような理由であるとか、もしあれば教えていただけますでしょうか。
(大臣)柏崎刈羽地域の緊急時対応については、平成27年から10年かけて20回に及ぶ作業部会を開催し、複合災害への対応など様々な議論を行い、案を取りまとめた後、本年6月11 日の柏崎刈羽地域原子力防災協議会において、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認したということでありますので、6月11日にいきなり決めたというわけではないということでございます。
 
(記者)共同通信の鈴木です。
話題変わりまして、ウナギについて2点お伺いします。EUは今日27日にも、ワシントン条約で全種類のウナギについて、国際取引を規制すべきではないかという提案を行います。報道によると、これに日本は反対するというふうに伺っています。まず、この提案について、環境省の立場、受け止めをお伺いしたいです。2点目も続けてお伺いしますが、日本政府は報道によるとニホンウナギの資源量は十分あって、規制の必要はないという立場と聞いておりますが、ニホンウナギについては、環境省、それから国際的なIUCNも、絶滅の危機にあると評価しております。保全のあり方、必要性など、考え方を改めてお伺いできればと思います。
(大臣)本年11月のワシントン条約第20回締約国会議に向けて、先日、EU農漁業理事会が、ニホンウナギを含めたウナギ属の全ての種について附属書Ⅱに掲載する提案を行うことを決定したことは承知しております。本件については、水産庁が対応を検討しているため、水産庁にお問い合わせいただきたいと思いますが、その上で、環境省としては、ニホンウナギを含め、生物多様性を保全するために必要な知見の蓄積等に引き続き努めてまいります。御指摘のニホンウナギの保全の必要性ということでありますけれども、ニホンウナギは河川改修による生息環境の悪化などにより、1970年代と比較して自然環境の中での個体数が減少していると考えられたことから、2013年に公表した環境省レッドリストで絶滅危惧IB類と評価しております。環境省としては、ニホンウナギの保全は、生息地の保全と適切な資源管理の両面から取り組むことが重要と考えています。生息地の保全については、環境省では、2017年にニホンウナギの生息地保全の考え方を公表し、生息地の保全のための技術手法、優良事例を示しているところであります。資源管理については、関係国、地域が連携した資源管理が行われており、国際取引による絶滅のおそれは無いと認識しているところでありますが、引き続きこうした取組を徹底していくことが重要と考えています。
 
(記者)エネルギージャーナルの清水です。
1つは熱中症予防の、今日のペーパーもありますけれども、やっぱりここ1ヶ月内の気象状況を見ると、そしてかつ、ゲリラ豪雨とか、そういう自然現象からいくと、もう相当、温暖化の影響にストレートに結びつくかどうかっていうのは議論あるんでしょうか。ただもう気象庁やなんかは明確にそう言っていますよね。ある意味非常事態じゃないでしょうか。環境省、環境行政から見ると、その辺どういうふうに認識をされていますか。
(大臣)熱中症については、累次申し上げていますけれども、政府としても予防の呼びかけをしっかりとしながら、やっていかなければいけないということでありますけれども、先ほど申し上げました通り、今年はすでに搬送者の方が、去年の同じ時期と比べても大分多くなっておりますし、搬送者の方が前週と比べて9倍に増加したということと、熱中症警戒アラートが2倍近くなっているという中で気候の影響というものも、十分考えられると思っていますし、そうしたことに対する対策もしっかりととっていかなければいけないと認識しております。
 
(記者)対処療法的な対策も大事でしょうけれども、やはり構造的な対策を一緒に、環境省がやる必要性があるわけで、その構造的な対策の中には、前にも質問させてもらったけども、日本で夏休みを長期的に取るようなスキーム、それは交付金とか減税も大事かもしれないけれど、今は地方創生ということからいったら、夏休みを取った人は地方に一定期間移住するとか、そういうことを石破首相に進言されたらどうですか、そういう要するに構造的な対策を環境省は何もやらないで、大型ビジョンもいいでしょうけども、もうちょっとダイナミックな対応をしないと国民には響かないのではないでしょうか。
(大臣)政策を総動員してやっていかなければならないと思いますし、御意見、しっかりと承っていきたいと思います。併せて、構造的ということで言えば、かねて私が申し上げております光合成を人工的にやると、これも早く実現していきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
 
(記者)共同通信の松本です。
水俣病の関連でお伺いします。家庭教師のトライで水俣病に関して事実と異なる説明をした問題があり、昨日同社の幹部が熊本県で、被害者団体の方に謝罪をされたと思うんですけれども、まず、トライの熊本での謝罪の大臣としての受け止めと、正しい情報発信のために塾業界、教育業界や、関係自治体などと、環境省としてどう取り組みを進めていくかお考えを伺えればと思います。
(大臣)トライグループの幹部が6月25日に熊本県水俣市を訪問し、関係者に対して謝罪を行ったことは承知しております。引き続き、トライグループにおいて報告書に記載された再発防止策等を取り組むことが重要であり、環境省としても、トライグループがしっかりと取組を進めているかどうか、注視してまいりたいと思いますし、今御指摘ありました塾の業界等に対しても、御協力の依頼というのを出させていただいていますので、そういったことの経緯についても、しっかりとフォローアップしてまいりたいと思っています。
 
(記者)NHKのくにともと申します。
冒頭御説明のあった原子力防災会議についてお伺いします。柏崎刈羽地域の緊急時対応で、大雪と原発事故が同時に起きたときの実効性についてお尋ねします。避難のために、除雪が必要な場面が出てくるかと思うんですけれども、民間からの協力は実際に除雪に関して得られるとお考えでしょうか。またそれが難しい場合は、自衛隊など実動組織が除雪することもあるかと思うんですけれども、自衛隊などだけで迅速な除雪を行うことは可能だとお考えでしょうか。
(大臣)原子力災害との豪雪の方の複合災害時においては、放射性物質の放出の恐れにより、民間事業者が基本的な除雪していただけけると思っていますが、除雪が困難となった場合には、自衛隊等の実動組織により、人命救助のための除雪等を実施することが、緊急時対応に盛り込まれておりまして、実動組織による除雪も必要に応じて、しっかりと行っていくということでございます。
 
(記者)環境新聞の小峰です。
先の東京都議選での自民党の惨敗等々ありまして、7月3日にはいよいよ参院選が公示されますけども、今日の閣議、またその前後のですね、閣僚のやりとりで、この状況について、どんなお話が、浅尾大臣も含めてなされたでしょうか。
(大臣)今日の閣議、その前後で、特に参議院選挙の話は出ておりません。
(記者)続けてちょっと質問させていただきます。今回の7月3日公示の参院選には、環境省からは、中田副大臣が、いよいよ戦場に出陣しますけれども、浅尾大臣から、部下の副大臣中田さんに、贈る言葉は何かありますか。
(大臣)環境省としてのコメントは差し控えますけれども、中田副大臣は、この間、特に廃棄物、あるいは原子力防災といった、大変重要であり、一方でそれほど目立つものではないことにおいて、大変知見を発揮され、御尽力を賜ってまいりました。御本人が、横浜の市長もされていたので、廃棄物についても相当知見がありますので、そういう中で、ぜひしっかりと頑張ってもらえればと思っております。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=C7vLqk48cfc
 
(以上)