大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年2月10日(金)09:42~09:59 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、冒頭に2件お話をさせていただきたいと思います。
1つがGX基本方針及びGX推進法案の閣議決定についてでございます。本日の閣議で、「GX実現に向けた基本方針」及び「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案」、いわゆる「GX推進法案」について決定をいたしました。この基本方針及び法案は、今後10年間で150兆円を超える官民のGX投資、成長志向型カーボンプライシングの導入を実現することで、2050年カーボンニュートラルと産業競争力強化、経済成長の同時実現を目指すものでございます。環境省としては、これまでの知見をいかしつつ、経済産業省と連携して、成長志向型カーボンプライシングの実施に協力してまいります。また、交付金を活用した地域脱炭素の推進、住宅の断熱改修支援、商用車の電動化推進など、GXを推進するための支援措置も講じてまいります。
 2点目です。脱炭素都市国際フォーラムの開催についてでございます。世界各国の都市の脱炭素移行に向けた日米協力の一環として、3月1日にアメリカ政府と共催で、「脱炭素都市国際フォーラム2023」を開催いたします。このフォーラムでは、国内外から多数の市長や国際機関を招待し、都市の脱炭素化や強靭化に関する先進事例を共有するとともに、4月に開催いたしますG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合に向けて、国と自治体との連携推進策を議論してまいります。事情が許せば、私自身もこの開会式に出席して、脱炭素先行地域などの日本の先進事例を世界に発信して、地域脱炭素の更なる国際展開につなげてまいりたいと考えています。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)本日から幹事社を務めます、NHKの林と申します。よろしくお願いします。幹事社質問、1点ですけれども、冒頭発言にあったGX推進法案と基本方針の関係ですけれども、今回この決定を受けて、経産省との連携というのを発言の中でも触れられていましたが、そこを踏まえて、今回の法案について、環境省が果たす具体的な役割というのをどのようなものと認識されているのでしょうか。
(大臣)本日閣議決定されましたGX推進法案、これは産業活動の脱炭素化によって産業競争力を強化して、経済成長を可能とする、経済構造への移行を目的としております。このために、経済産業省が中心となって運用されるものではありますけれども、この法案には環境大臣との協力規定が設けられておりまして、両省の緊密な連携の下でGXを推進することとしております。今、御質問ございました件につきましては、環境省とすれば、この法案に基づいて、これまでの知見をいかしつつ、成長志向型カーボンプライシングの実施に協力していくほか、地域や暮らしの脱炭素化を始めとしたGXを推進するための支援措置も講じてまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)日経新聞の岩井です。今週の原子力規制委員会についてお伺いします。今週水曜日に規制委の定例委員会がありまして、60年を超える原発の運転を可能にする規制制度案について、委員が1人反対されまして、決定を先送りにしたということがありました。これについて、受け止めをお願いします。
(大臣)一昨日の原子力規制委員会において、委員のお一人が高経年化した原子力発電所に関する安全規制法案の概要に反対する旨の意思表明をされたことについては承知しております。独立した原子力規制委員会の中の議論でありますので、その内容についてのコメントは差し控えたいと思いますが、山中規制委員長としては議論を続けていくことが望ましいというふうにお考えになって、決定について見送られたものというふうに承知しております。来週改めて議論されるということでありますので、その議論を見守ってまいりたいというふうに思っております。
(記者)本日決定されたGXの基本方針とも関わってくる話かと思うのですけれども、規制制度が決定していない中でこの基本方針を閣議決定したということは、問題なかったのでしょうか。
(大臣)本日閣議決定されたGX実現に向けた基本方針には、このGXの実現とエネルギーの安定供給の両立に向けて、原子力の利用政策の観点から今後の方針が示されているものでございますけれども、安全規制に関する今後の方針については含まれておりません。したがいまして、基本方針の閣議決定自体には問題があるとは考えていませんが、その上で、原子力の安全規制の在り方については、引き続き原子力規制委員会の議論をしっかりと見守ってまいりたいというふうに考えています。
(記者)仮に規制委が今後もその議論を継続すると、来週以降も、なった場合に、炉規法の改正案を規制委が決定しないという展開も、もしかしたらあるのかもしれないと思っているのですけども、もしそうなった場合に、利用政策の観点から準備されている束ね法案というのは、政府として国会提出できるものなのでしょうか。
(大臣)予断を持ってお答えするのは差し控えたいと思いますけれども、引き続き原子力規制委員会において議論がしっかり進んでいくというふうに承知しておりますので、環境大臣といたしましては、この独立した原子力規制委員会の議論、これをしっかり見守りたいというふうに考えています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。冒頭発言あったGXの基本方針を閣議決定されたということで、今一度ちょっと確認ですけれども、小泉環境大臣であったり、山口環境大臣、前の環境大臣が、原発政策に関しては、原発の安全性を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り依存度を低減するというふうにお話ししていましたけれども、この方針というのは、今回のGXの基本方針、原発のことも触れられていますけれども、これをもって変わったということなのでしょうか。
(大臣)政府方針はしっかりと、再エネを含めた最大限の活用ということで、変わっておりません。
(記者)原発は可能な限り依存度を低減するというところに関しては、どうなのでしょうか。
(大臣)政府方針とすれば、変更はないと承知しています。
(記者)そういった中で、今回、150兆円とか、莫大なお金が、単位が出ているわけですけれども、将来的に依存度を低減するものに投資する意味というか、そういったところは、どういうふうに、大臣は考えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)成長志向型カーボンプライシングを推進すると同時に、エネルギーの安定供給という大きな命題と、総理からもお示しされておりますので、この政府の方針に従って、やってまいります。
(記者)あと、もう一点、すみません。鳥インフルエンザに関してですけれども、鳥インフルエンザは、今シーズン過去最多の殺処分ということで、卵価格の影響とかも出ていますが、環境省の所管としては、野鳥や飼養鳥の管轄となると思うのですけれども、今の鳥インフルエンザの現状と、それから大臣の持っていらっしゃる危機感など、伺えればと思います。
(大臣)今シーズンの高病原性鳥インフルエンザの発生状況は、今、御指摘あったように、令和5年2月9日現在において、野鳥で184件、飼養鳥で8件、家きんで74件となっております。今シーズンは、野鳥及び家きんにおいて、過去最も早く確認されたほか、発生件数及び確認された都道府県数が過去最多というふうになっております。環境省としても、各発生地の周辺10キロ圏内の野鳥監視重点区域に、その周辺10キロ圏内を指定して監視を強化してきたところでありますけれども、また、昨年の10月に、全国の対応レベルを最高の「3」に引き上げております。現在も、発生が確認されていない地域も含めて、国や自治体による野鳥の監視・調査を強化しています。渡り鳥が越冬するこの季節においては、全国で鳥インフルエンザの発生リスクが高い状況が続いておりますので、引き続き最大限緊張感を持って対応してまいりたいというふうに考えています。具体的には、関係機関で連携を取りつつも、野鳥の監視の強化とともに、死亡した野鳥の、できる限りの速やかな回収等を徹底して実施していくことが、これ以上の蔓延を防止するためにも重要だと考えております。この鳥インフルエンザは、通常の生活では人に感染するものではございませんので、国民の皆さんにおかれては、過剰に心配することなく、冷静な行動をお願いしたいというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。GXの関連で2つ伺いたいと思います。1つは、話題になっていた規制委員会のお一方の、石渡さんですか。反対の中で、「これは安全側への改変ではない」という指摘をされていたと思うのですけれど、今回の一連の運転延長というのは、これは安全側への改変ではなくて、利用政策を加味して運転延長を認めるものだと。政府としてもそういう認識でよろしいでしょうか。
(大臣)総理の発言、そしてまたGXの基本方針の中にも書かれていますように、原子力の利用政策の観点から今後の方針が示されておりまして、中身はGXの実現とエネルギーの安定供給の両立を図るということでございます。
(記者)さきほどの日経さんの質問に対しての答えがちょっとよく理解できなかったのですけど、つまり、原発を活用するということも含めて活用していくという、そのGXの方針に安全規制の観点が含まれていないというのは、何か、いわゆるちょっと片手落ちといいますか、そういうものでいいのだろうかという、初歩的な質問、疑問ですけど、その点についてはどうでしょうか。
(大臣)安全規制のものに関する今後の方針が規定されていないということですけれども、中身にあるように、既存の原子力発電所を可能な限り活用するため、現行制度と同様に運転期間は40年、延長を認める期間は20年との制限を設けた上で、原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、一定の停止期間に限り追加的な延長を認めることとするというふうにGXの基本方針には書かれているということでございまして、原子力規制委員会とすれば、引き続き厳格な審査を行うための検討を進めているものというふうに承知しておりますので、その結論がどうであれ、厳格な安全審査を行うという方針には変わりがございません。基本方針に影響を与えるものでもないというふうに考えています。
(記者)そうすると、また元に戻っちゃうのですけど、要するにその部分の前提条件が、今、ないわけですよね。昨日、おとといですか、先送りされたということで。前提条件を欠いたまま閣議決定することはどうなのですか、という疑問だと思うのですけど。そうすると、また堂々巡りで、また戻ってしまいますよね。
(大臣)その前提において、原子力規制委員会においてですね、引き続き議論されるということでございますので、その原子力規制委員会の議論を見守ってまいりたいというふうに考えています。
(記者)議論を見守ってから閣議決定するという手法は、検討しなかったのですか。来週の委員会があると思うのですけど、別にそんなに慌てなくても、原発事故から十何年たって積み重ねられた教訓というのをある意味変更するわけですから、1週間ぐらい待ってもいいのではないかなと思うのですけど、そこはどうなのでしょうか。
(大臣)GXの利用政策の法案がこのGX推進法案でございますので、ただ、その中に原子力規制委員会の厳格な審査という前提の部分が当然入っているということでございますので、このGXの基本方針の話は、繰り返しになりますけれども、GXの実現とエネルギーの安定供給、この両立に向けて、原子力の利用政策の観点からまとめたのがこのGXの基本方針でございます。その安全審査に関しては、原子力規制委員会で厳格な審査をするということは変わっていないということです。
(記者)それ、ちょっと理解できないですけど、次の質問に行きます。パブコメが、多分先ほど結果が公示されたと思うのですけれども、3,303件でしょうか。聞くところによると、反対の意見がかなり多かったということだそうですけれど、今日閣議決定されたのは、基本方針には、このパブコメで示された意見というのは、具体的にどういうふうに反映されたのかというところについて、例えば具体的に、こういった意見についてこういうところに反映されたと、1つでも御紹介いただけると、国民の皆さんに分かりやすく伝わっていいのかなと思うので、よろしくお願いします。
(大臣)ちょっと、今、私の手元にはそれがございませんので、後ほど事務方のほうから説明させていただきます。
(記者)「拙速な議論が行われているのではないか」という指摘がかねがねされていたわけで、その中でパブコメというのは、そこを担保する1つの手段だったと思うんですけど、担当大臣のお一人である西村大臣がどういうふうに受け止められたのかというのが分からないまま閣議決定するというのは、ちょっと問題じゃないかなと思うのですけど、どうですか。
(大臣)今、御指摘のあったパブコメの細かな意見がどこに反映されたかという細かい作業については事務方から説明させますけれども、この基本方針をお示しして、そして国民の皆様からパブリックコメントをいただいた。そういった手続を経て、今回、閣議決定をされたということです。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=R1bGZed0Ahk&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE  
 
(以上)