大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年1月23日(月) 10:14~10:29  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日は1件冒頭にお話をさせていただきます。経団連との懇談会についてでございます。
25日朝、経団連との懇談会を開催いたします。経団連からは十倉会長を始めとする幹部の皆様方、環境省からは私のほか両副大臣・政務官がそれぞれ出席して、気候変動、循環経済、生物多様性、こうした様々な分野における双方の取組について説明した上で意見交換を行う予定でございます。
 経団連とは、これまでも様々な領域で連携をしてきたわけでございますが、環境政策をめぐる昨今の動きを踏まえて、今後の更なる連携等について積極的に意見を交換してまいりたいというふうに考えています。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)今週より幹事社になりましたフジテレビ藤村です。よろしくお願いいたします。まず幹事社から、明日1月24日に第1回のPFOSの専門家会合が開催されます。大臣はこの会合にどのようなことを期待なさっていらっしゃるのか。また、今後のスケジュール等についてお聞かせいただければと思います。お願いいたします。
(大臣)明日開催される専門家会議では、PFOS・PFOAに係る水環境の暫定目標値について、厚生労働省と合同で、最新の科学的知見を踏まえて検討いただくことを考えております。中身に関しては、その数値や位置づけの検討を行っていただきます。
 また、専門家会議のほうに関しては、第2回以降の予定は現時点ではまだ決まっておりませんけれども、国内外の毒性評価の状況等も踏まえて、できるだけ迅速に検討してまいりたいというふうに考えています。
 30日月曜日には、国民の皆様への情報発信の在り方など、PFASに関する対応の方向性を検討いただく総合戦略専門家会議を開催する予定でございます。専門家の皆さんに科学的な知見を踏まえつつ、国民の安全・安心の確保に向けて精力的に御議論いただくことを期待しております。
 こうした会議における専門的見地からの議論を踏まえて、今後しっかりと必要な対応を行ってまいります。
 また、この総合戦略専門家会議においては、様々な科学的知見を収集、そして評価した上で、国民の皆様への分かりやすい情報発信等について、2か月に1回程度の頻度で御議論いただく予定になっております。
 
(記者)朝日新聞の関根です。先日、自民党の麻生副総裁が、地元での会合でしょうか、「原発事故で死亡した例はゼロだ」という趣旨の発言をしておられましたけれども、大臣、環境省、あるいは原子力防災担当大臣として、国内での原発事故によるその死亡例ということについてどういったものを把握しておられるでしょうか。改めて教えていただければと思います。
(大臣)原子力発電所において、直接、放射線障害で亡くなった事例はないというふうに認識しておりますが、1999年に核燃料加工事業者でありますJCO東海事業所において臨界事故によって2名の方がお亡くなりになっているというふうに承知しております。心から御冥福をお祈りしたいと思います。
 また、放射線とは関連ございませんけれども、2004年には美浜の原子力発電所における配管破断事故によって5名の皆様がお亡くなりになられております。原子力発電所敷地内において労働災害等による死亡事故が発生していると承知しておりまして、美浜の皆様にも心から御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思っております。
 それぞれの死亡事故の対応の詳細に関しては、原子力規制委員会、また厚生労働省など所管する省庁に御確認いただきたいと思っておりますけれども、いずれにしましても、原子力発電所における労働者の安全というのは大変重要なものでございまして、死亡事故があってはならないというふうに考えています。
(記者)ちなみに、福島に関していいますと、オフサイト、避難の最中で亡くなった方もいると思うのですが、福島での事案というのはどういった把握になっておられますでしょうか。
(大臣)今お話のあったように、東京電力福島第一原発事故のときに、周辺地域の医療機関に入院されていた方々などが避難中や避難先でお亡くなりになったということは承知しております。この教訓を踏まえて、原子力規制委員会は、新たに原子力災害対策指針を策定して、発電所からおおむね5Km圏内における医療機関や福祉施設の入居者等は、緊急事態の早期の段階で避難を開始するとともに、移動による健康リスクが高まるような方に関しましては、無理な避難を行うことなく、放射線防護施設などにとどまって、安全に避難できる準備が整い次第避難を行うということを明確にしております。私もこの前、美浜のほうで、その施設の受入体制といったものを視察させていただきましたけれども、こういったものをしっかりと整えてまいりたいと思っております。
 原子力防災担当としては、放射線の防護対策施設の準備や避難手段として、ストレッチャー付きの福祉車両等の確保など、各地域の原子力防災体制の充実・強化、これをしっかりと関係自治体と連携しながら支援してまいりたいというふうに思っております。
(記者)最後に伺いたいのですが、今るる御説明伺っていますと、麻生さんの発言というのは明らかに事実誤認なのかなというふうに思うのですが、副総裁という幹部の方がそういった誤った事実を国民の皆さんに伝えるということについて、政権は原発について最大限活用するという新しい方針も掲げていますけれども、今後、麻生氏はどういった対応をするのが望ましいというふうにお考えですか。
(大臣)政治家としての発言ですので、自ら御説明されるものであろうというふうに思っておりますけれども、原子力防災担当大臣とすれば、今申し上げたような対応をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。昨年12月のGX実行会議を踏まえた再生可能エネルギーの今後について、環境省の方針を伺わせてください。
(大臣)再エネというのは、脱炭素電源であると同時に、エネルギー安全保障や地域活性化に寄与できる国産エネルギー源であります。その最大限の導入が必要であろうと考えています。このため、GXの実現に向けた基本方針におきましても、国民負担の抑制と地域共生を図りながら、主力電源として最優先の原則で再エネの最大限導入拡大に取り組んで、2030年度電源構成比率36~38%という政府目標の確実な達成を目指してまいりたいと考えています。
 一方で、再エネ設備を設置や拡充する際には、適正に環境に配慮されて、地域の合意形成が図られることが不可欠であります。環境省としては、環境アセスメント制度や昨年4月に施行された地球温暖化対策推進法に基づく促進区域の仕組みなどを適切に運用して、地域共生型の再エネを促進してまいります。あわせて、GX経済移行債、仮称でありますけれども、こうしたものを活用しながら、地域脱炭素推進交付金の創設・拡充、そして脱炭素先行地域づくり等の加速、また、株式会社脱炭素化支援機構を通じた民間投資の拡大、こうしたものを図って再エネの導入拡大に努めてまいります。
(記者)まさに今説明があったとおり、GX実行会議の基本方針の中には、再生可能エネルギーの主力電源化という項目がありまして、分量でいえば原子力の活用と同じぐらい文言があったわけですけれども、大臣の年頭の言葉の中では、再生可能エネルギーという言葉はなかったですし、地域における脱炭素化と適用の推進とはおっしゃっていましたけれども、あと7年しかないですよね、30年までに。今言葉あった再生可能エネルギーの比率を38%にする。そのために今年何をしなければいけないのかというところを、むしろ年頭の言葉とかで、説明すべきだったのではないかと思うのですけれども、特にこの今年、再生可能エネルギーの主力電源化に通じるために何をしなければいけないと大臣は考えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)今申し上げたように、GXの実現に向けた様々な施策の導入、これはもうしっかり進めてまいりたいというふうに考えておりますし、それに併せて、今回、今御説明したようなGX経済移行債や地域脱炭素推進の交付金、また脱炭素化支援機構、こうしたものを活用して、実際に動いていけるような、機能的に動き出すような推進をしっかりとやってまいりたいというふうに考えています。
(記者)この基本方針の中に、細かい課題といいますか、そういったものも書かれていまして、例えば、出力変動に伴う再生可能エネルギーの拡大には定置用の蓄電池が必要だとか、また、次世代型太陽電池(ペロブスカイト)の研究開発や導入支援が書いてあったりですとか、再エネの更なる拡大に向け、安定的な発電の見込める、地熱、中小水力やバイオマスについても、必要となる規制や制度の不断の見直しとか書いてあったのですが、こういったところに対して、何かすべきというところは大臣としてはあるんでしょうか。
(大臣)今、地熱を含めて様々なモデルがあることを御指摘いただきましたけれども、それは環境省内の各担当部署において、関係企業であったり団体含めて、既にその推進のための連携を図って、今調整を進めているというふうに承知しています。
(記者)大臣としては、取組としては十分なところが今進みつつあるという認識なのでしょうか。
(大臣)環境省の各担当者は精力的にやっているというふうに思っておりますし、さらに今年は、今おっしゃったように、時間が迫っているという意識を環境省の職員皆が持って、より加速ができるような対応をしてまいりたいというように考えています。
 
(記者)NHKの林と申します。冒頭の幹事社質問のほうに若干戻ってしまうのですが、PFOS等の会議についてですけれども、改めて今月から2つの専門家会議が立ち上がることの理由というか、その意義と、その会議で目指すことはどういったことなのでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げたように、科学的知見がまだ確立していない、数値も確定していない中で、様々な地域住民の皆様の御心配、不安という声も届いておりますので、しっかりとそういった専門家の皆さんの御意見をいただきながら、科学的な知見に基づいて、その数値や位置づけといったものの検討を進めていかなければならないということで、今回の会議をやっているということでございます。
(記者)今おっしゃっていただいた「様々な地域住民の不安の声」というのは、例えば大きなものとしては環境省としてどういったものを把握されているということなんでしょうか。
(大臣)地域全体という場合もありますけれども、それぞれ様々数値が発表されると、自分の地域が高い数字が出ているというと、やはり報道によって不安になられる皆様の声というのはございますので、どの地域というよりも、そういった数値が出たことによって不安になられている皆様がいて、そういった声が届いているということです。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=5ld-DPrwVA8&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE 
 
(以上)