大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年1月6日(金) 11:18~11:35  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 皆さん新年明けましておめでとうございます。また本年もよろしくお願いします。まず、2023年の年頭所感について、申し上げたいというふうに考えております。今年の重要課題、そして目指す方向性について申し上げたいというふうに思います。
 1点目は、環境外交でございます。今年4月には、G7の札幌気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されます。昨年の気候変動枠組条約COP27や生物多様性条約COP15、プラスチック条約策定に向けたINC1などの国際会議の成果を踏まえて、議長として世界の環境問題解決に向けた議論をリードするように全力を尽くしてまいりたいと考えています。
 2点目が、東日本大震災からの復興・再生でございます。環境再生事業の着実な実施、県外最終処分に向けた取組、風評払拭について、地域にしっかりと寄り添い、関係者の理解を得ながら取り組んでまいりたいと考えています。
3点目が、地域における脱炭素化と適応の推進であります。昨年末のGX実現に向けた基本方針を踏まえまして、地域脱炭素の推進のための交付金や、脱炭素化支援機構を活用して、また、脱炭素に向けた国民運動の展開を通じて、地域と暮らしを豊かにする脱炭素を進めてまいります。併せて、熱中症対策を強化するための気候変動適応法の改正法案の準備を進めてまいります。
 原子力防災では、関係自治体等と連携して、原子力防災対策の充実・強化を図り、原子力災害対応の実効性向上に取り組んでまいります。さらに、不変の原点であります、人の命と環境を守る取組や環境基本計画の改定に向けた議論を含め、環境行政全体を更に前に進めていく1年としたいというふうに考えています。年頭所感については以上でございます。
 もう1点ございます。インド・ラオス・タイの出張に関してでございます。
来週11日から18日までの予定で、インド・ラオス・タイを訪問いたします。インドではヤーダブ環境・森林・気候変動大臣とお会いいたします。ヤーダブ大臣とは、これまでも何回かお会いして、G20議長国ということで、G7議長国との間の連携を図るために議論を進めてまいりましたけれども、さらに今年に入ったということで、もう一度お会いして、更にこの話を進めてまいりたいと思っております。お話とすれば、今申し上げたようにG7議長国である日本とG20議長国であるインドとの連携について、更に議論を深堀りしたいということでございます。
 また、両国の環境分野のビジネスチャンスを支援する、日本・インド環境ウィークが開催されますので、この開会式に出席してまいります。ラオスでは、本年ASEAN環境大臣会合議長を務めるヴォーラチット天然資源環境大臣とお会いしてまいります。日・ASEAN友好協力50周年であります今年に開催いたします、日ASEAN環境ウィークへの協力を要請する予定でございます。このほか。ラオス・タイでは、二国間クレジット制度、いわゆるJCMによって整備されたフロン破壊施設等を視察する予定であります。冒頭は以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の読売新聞の山下です。2点お伺いします。年頭所感でも触れられましたけれども、G7環境大臣会合に向けて、大臣として最も取り組みたい課題があれば、具体的にお伺いできればと思います。
 もう1点が、今シーズン、鳥インフルエンザの発生がかなり増えておりますけれども、現状への大臣の受け止めと対策について、以上2点をお伺いします。
(大臣)まず1点目、G7環境大臣会合に向けて最も力を入れて取り組みたいことは、という御質問でございますけれども、4月に開催されます、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合では、皆さん御承知のように、議長国として、世界の環境問題の解決に向けた具体的な取組を加速化させる成果文書を取りまとめたいというふうに考えています。議題としましては、気候変動、生物多様性保全、循環経済、プラスチック汚染など、社会経済システムの変革が必要となる課題を取り上げる予定でございます。気候変動につきましては、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるパリ協定1.5℃目標達成に向けた具体的な行動が求められているところでございます。生物多様性につきましては、昨年12月のCOP15で採択したポスト2020年枠組の実施に向けた具体的な行動について、議論を深めることが重要だと考えています。また、条約交渉が開始された、プラスチック汚染の問題も含めて、循環経済への移行、これも国際的な課題だというふうに考えておりまして、こうした取組をG7が中心となって進めるべく、議長国として国際社会の議論をリードしてまいりたいというふうに考えています。
 2点目の御質問でございますが、野鳥等における、高病原性鳥インフルエンザ、これは、今シーズンは、これまでで最も早い、昨年9月末に初めて確認をされまして、かつ、確認された都道府県数も過去最多となっております。まさに全国各地で発生しているという状況でございまして、環境省としては、各発生地の周辺10km圏内を野鳥監視重点区域に指定して監視を強化してきたところです、また、国内の複数箇所で連続して発生が確認されました昨年10月7日に、全国対応レベルを最高の3に引き上げました。現在も発生が確認されていない地域も含めて、国や自治体による野鳥の監視・調査を進めているところでございます。渡り鳥が越冬するこの時期でございますので、全国で鳥インフルエンザの発生リスクが高い状況が続いているということから、引き続き関係機関で連携を取りつつ、野鳥の監視や、死亡した野鳥の速やかな回収などを適切に実施してまいります。鳥インフルエンザは、通常の生活では人に感染するものではございません。国民の皆さんにおかれましては、過剰に心配することなく、冷静な行動をとっていただくようにお願いしたいというふうに考えています。以上です。
 
(記者)日経新聞の岩井です。今年もよろしくお願いします。原子力発電所の運転期間の延長を巡って、原子力規制庁と資源エネルギー庁が非公開の面談を繰り返していた件についてお伺いします。昨年12月27日に規制庁が調査結果をまとめられて、28日の委員会で今後、面談録を公表するルールを作っていくという方針が示されました。このことの受け止めをお願いします。
(大臣)今、御指摘いただいた一連のやり取りにつきましては、原子力規制庁が資源エネルギー庁における政策検討の状況の伝達を受けたものでありまして、原子力の安全規制に関するすり合わせを行ったものではないという報告を受けております。また詳細につきましては、昨年中に原子力規制庁のほうから御説明があったというふうに承知しておりますが、このため独立性に問題があるというふうには考えておりません。一方で、28日に改正された原子力規制委員会の定例会合におきまして、今後は、透明性の観点で疑念を持たれることがないように、原子力規制庁がいわゆるノーリターンルールが適用される行政機関と面談を行う際には、これまで事業者間における場合に実施していた議事概要の公表、これを新たに行うということなど、より透明性を高めるための取組が行われることになったというふうに承知しているところです。いずれにしましても、科学的な見地から原子力の安全性を確保していく上で、今後とも独立性の高い原子力規制委員会が厳格に規制を行っていくことに変わりはございません。原子力規制庁のガバナンスについても、まずは独立した原子力規制委員会において適切に対処していただきたいと考えておりますし、私としても、それを適切にサポートしてまいりたいというふうに考えています。
(記者)追加でお願いします。規制庁の調査結果で判明したことですけれども、環境省に対して資料が提供されていたと。その中身については、規制委の議論を経ない規制制度の案として読めるような内容が環境省に渡されていたということが判明していますが、この件は問題なかったのでしょうか。
(大臣)資料を受け取っていたことについてですか。環境省の事務方からは、昨年の8月24日に開催されたGX実行会議の資料の中に、原子力発電所の運転期間の延長に関する記載があったために、原子力発電所の運転期間について定めた原子炉等規制法を所管する原子力規制庁に対しまして、何らかの検討が行われているのかについて問合せをしたというふうに聞いておりまして、これは環境省の事務方が原子力規制庁との間で日々行っている情報交換の一環でございまして、事実関係を問い合わせたものでございまして、原子力規制委員会の意思決定過程への関与を意図するものではなかったというふうに承知しておりまして、問題はないというふうに考えています。
(記者)ありがとうございます。今後、具体的なことは決まっていくと思うのですけども、行政機関の間で面談の記録を残して公表するということは決まっていますが、これを実行していくと業務に何らか支障を来さないかとかですね、透明性は高まるとは思うのですが、どういった影響があると思われますでしょうか。
(大臣)ノーリターンルールと行政官庁との面談記録の公開ですね。これは特に大きな影響があると考えておりません。これまでも事実関係のやり取り等々あった中で、原子力規制の行政に関する意思決定に関する関与というものはしておりませんでしたので、それが公開ということになっても大きな影響はないと思います。強いて言うならば、その議事録を作る作業が増えるということで、御指摘のような中身に関しての影響はないというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。今の点についてちょっと1点。昨年の委員長の記者会見で、委員長は今回の件について、透明性について問題があったので対応を改めると、そういう流れだと思うのですけれども、この透明性ということについて、西村大臣としては、やはり問題があったというふうな受け止めなのでしょうか。その点についての見解を教えていただければと思います。
(大臣)昨年の28日の会見において、山中委員長が今、御指摘あったように「透明性に欠けた部分があった」旨の発言をされたということを承知しております。そのため昨年28日に開催された原子力規制委員会の定例会合において、今後は、透明性の観点で疑念を持たれることがないように、原子力規制庁がいわゆるノーリターンルールが適用される行政機関と面談を行う際には、議事概要を公開するなどの、より透明性を高めるための取組が行わることになったというふうに承知しているというところです。
(記者)すみません、最後。独立性に問題はないが透明性に問題があったというロジックがちょっとよく分からないのですけれど。つまり、独立性を担保するためには透明性というのがやっぱり必要で、透明性に問題があったということは、独立性にも必然的に、課題があったというふうに論理的には捉えざるを得ないと思うのですが、その点について、もう一度分かりやすく教えてもらっていいですか。
(大臣)そもそも、原子力規制委員会ができた経緯はもう御承知だと思いますので、そうした中で独立して規制を行っていく必要性というのが東日本大震災後に議論されて、独立した委員会として原子力規制委員会が設置されました。そして、その運営を行っていく中で、特に事業者間などにおいてはきちんと透明性を公開するようにしてきたわけですけれども、今回、内部においても事実関係の問合せというものが、そういったすり合わせではないかというふうな疑念を持たれたということで、そういったものに関してもノーリターンルールが適用されるような行政機関との面談においては、それの議事内容を公開するということで、透明性に欠けたところがあったというふうに委員長は御指摘されていますけれども、より透明性を高めるために今回のルール改正を規制委員会として行ったということでございまして、独立性の部分というのと透明性と、おっしゃる意味は分かるんです。独立性、独立を保つためには透明性が必要ですという一般論としては十分に言わんとすることは分かりますけれど、規制委員会の独立性はしっかりと担保されておりますし、そして、その中で今回、そういった疑念を持たれる部分があったということで、より透明性を高めようということで、規制委員会としてそういった決定をしたというふうに承知しているということです。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=P7M9sxZnv2Y&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE 
 
(以上)