大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年12月23日(金) 11:41~12:01  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 冒頭、1件、GX実行会議の取りまとめについて申し上げます。
 昨日、GX実行会議におきまして、GXの実現に向けた基本方針が取りまとめられました。私からは会議の場で、今回の基本方針は、これまでの環境省の意見が反映されたものであり、新しい資本主義の実現による気候変動問題の克服に大きくつながるものであるということ、そしてGXの実現に向けては、この会議の成果を、政府一丸となって実行に移すことが重要であるということなどについて発言をいたしました。最後に総理から、この具体化に向けてGX実現のための法案を次期通常国会に提出すべく、関係省庁が連携して準備を進めるようにという指示がございました。環境省としても気候変動対策の経験や知見を活かして、関係省庁とよく連携しながらしっかりと役割を果たしてまいりたいと考えております。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の日本テレビの西出です。よろしくお願いいたします。今回取りまとめられたGX基本方針を踏まえて、環境省では今後どのような取組を進めていくご予定か、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)まず第一に、成長志向型カーボンプライシング構想について、具体的な方向性が示されたということでありますので、制度の実現と詳細な制度設計、これに貢献してまいりたいと考えております。
 そしてもう1点が、需要側からのGXの取組であります、地域・暮らしの脱炭素化について、大臣折衝でその倍増が認められた交付金等も活用して自治体の取組を加速してまいりたいと考えています。また新しい国民運動、これも展開しつつ、断熱窓などGXに資する製品の普及にも取り組んでまいりたいと考えています。
 そしてもう1点は、我が国の優れた脱炭素技術が評価されるような国際市場づくり、これに向けまして、COP27で立ち上げたパリ協定6条実施パートナーシップも活用して、JCMのパートナー国の拡大なども進めてまいりたいと考えています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。この冒頭の発言の中で「基本方針の中に環境省の意見が反映された」というふうな発言がありましたけれども、具体的なところでいうと、どういったところに環境省の意見を反映されたと考えていらっしゃいますか。
(大臣)今これからどのように取り組んでいくかということについてもお話しさせていただきましたけれども、こういったものをしっかり取り組んでいく前提となるような成長志向型カーボンプライシング構想、またGXの取組である地域・暮らしの脱炭素化、そして国際市場づくり、こういったものをベースにしながら環境省として施策を進めていきたいというようなところも含めて、このGXの中で、総体の中に組み入れられたというふうに考えています。
(記者)基本方針の中で、今の話はこれからの取組というところだと思うのですけれども、ここにかなり環境省の意見が取り入れられたというようなところは何かあるのですか。
(大臣)GX全体の会議の話においても、私がGX会議で申し上げたように、成長志向型カーボンプライシング構想を通じた社会全体に対する効果的、効率的な行動変容や地域・暮らし分野における面的な需要創出や資源循環分野における支援の確保、また日本の脱炭素技術が評価される我が国主導の国際的市場づくり、こういったものをGX会議においても申し上げておりまして、こういったところがしっかりと反映されているというふうに承知しています。
(記者)原発の話がかなり強く出ていますけれども、再生可能エネルギーの拡大、最大限導入という方針は変わらないということでいいのでしょうか。
(大臣)昨年閣議決定された第6次のエネルギー基本計画では、安定供給を図りつつ、2050年カーボンニュートラルを実現できるように、あらゆる選択肢を追求するという方針が示されておりまして、その方針の範囲内においてしっかりとやっていくということで、流れとすれば、第6次エネルギー基本計画の流れの中でやっているということです。
(記者)最大限導入という方針は変わるのですか、変わらないのでしょうか。
(大臣)この再生可能エネルギーの主力電源化という項目のところに主力電源として最優先の原則で最大限導入拡大に取り組み、関係省庁・機関が密接に連携しながら、2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は36~38%の確実な達成を目指す。というふうにこの中に書き込まれているということです。
 
(記者)東京新聞の小川です。原発事故に伴う除染で出た土壌についての再利用について伺いたいのですが、所沢と新宿御苑で説明会を開催したと思いますが、出席者からそもそもの周知が不十分だったのではないかという指摘がありました。大臣としてはどのように認識し、どのように改善をすることをお考えなのでしょうか。
(大臣)先般の会見でも同様の御質問がございましたが、説明会でいただいた、その周知に関する御意見等々ございましたので、その御意見をしっかり整理しながら追加の説明会の開催を含め、よく当該の自治体と相談させていただきながら、今後の対応を検討してまいりたいというふうに考えております。特に再生利用の本格化に向けましては、県外での実証事業というのは非常に重要でございますので、この実施に当たりましては地元の皆さんの御理解というのは欠かせないというふうに考えております。地元の皆さんの御理解が得られるように丁寧に説明すると同時に、御指摘いただいたような周知方法に関しましても改善を図ってまいりたいというふうに考えています。
(記者)もう1点だけ。東北や中部とか関西、九州などでも実証事業等は検討しているのでしょうか。
(大臣)今、ほかでも検討していますけれども、まだ決まってはおりません。
(記者)念のための確認ですけれども、福島県外で実証事業をする狙いというのは、何なのでしょうか。安全性の確認をするだけならば福島県内でやっても同じなのではないかと思うのですけども、あえて県外でやる狙いというか、そういうところの認識を教えていただければと思います。
(大臣)先ほど申し上げましたように、除去土壌の県外処分ということを進めるに当たって、また再生利用の本格化を行っていく上では、県外での実証事業というものが重要であるというふうに考えておりますので、今、県外の、特に環境省の敷地関係でまずは始めるということであります。
 
(記者)朝日新聞の関根です。やり取りの中で、GXの中で、「我が国主導の国際市場づくり」というようなお話がありましたけれども、これは、パリ協定6条実施パートナーシップを活用したJCMのパートナー国を増やすとか、あとは何か具体的に環境省として想定、政府として想定しているような分野というのは、例えば車とかエネルギーとか分かりませんけど、何かあるのであれば、教えていただけませんか。
(大臣)まだ細かいところ、今、関根記者からも御指摘があった問題意識の持たれている細かいところまでは、まだ検討中でございますけれど、総体として、今御指摘のあったパリ協定6条実施パートナーシップ、また、JCMを活用しながら、特にJCMにおいては、当該途上国の皆さん方からの、それぞれの国が掲げた課題、要望がございますので、そういったものを受け止め、相談しながらこういった形を1つずつプロジェクトとして進めていくということでございます。
(記者)「我が国主導」というところをあえて強調されているのが面白いなと思ったのですが、例えばEUなんかが割と先鋭的にいろいろやっていますよね。そういったものに対する何か対抗意識みたいなものがあるということなのでしょうか。つまり、日本が主導した形の新しい、何というか、脱炭素の在り方みたいなものを模索していくという、そういう位置づけですか。
(大臣)ほかの国と競い合うとか、そういった趣旨ではなく、この環境問題というものに我が国として積極的に取り組んでいくという姿勢でございます。
 
(記者)日経新聞の岩井です。GXのカーボンプライシングに関してお伺いしたいのですが、今後、詳細な制度を設計していって法案を国会に提出していくという流れになるのではないかなと思うのですけども、環境省はどう関与していくのでしょうか。
(大臣)今のカーボンプライシングの賦課金の話、そしてまた排出量取引の2026年とか2028年、2033年といった数字が入ってきておりますので、こういったものを具体的な形にしていく上で、経済産業省と当然中身についてよく相談しながらやっていくということでございます。
(記者)実際の制度をリリースされるときには、環境省も共管していくという形になるのでしょうか。
(大臣)最終的にどのような形になるか、これはまだ詰まっておりませんけれども、だから、予断を持ってそれについてはお答えしづらいところですが、当然、その制度設計をしっかりやっていく上では環境省と経済産業省がしっかり協議しながらやっていくと。どちらかが一方的にやるというような話ではない、協働しながらやっていくということです。
(記者)もう1点お願いします。規制委員会の件ですけれども、原発の運転期間の延長に関して、新しい規制の制度のパブリックコメント案が、数日前に規制委員会のほうで了承されました。このときに明らかになったのですけれども、規制庁の職員が、規制委員会の山中委員長の指示がある前から、経済産業省と必要な法改正などに関して水面下で検討を進めていたということが明らかになっていますが、これについてはどう受け止められていますでしょうか。
(大臣)規制委員会の中のことについては、私がここで今申し上げるべき話ではないので、規制委員会のほうにお問合せいただければと思います。
(記者)大臣もこれまでに独立性が重要だというお話を再三されていて、まさにその推進官庁である経産省と水面下で、公表せずに制度改正の検討を進めていたということについてどう思われますでしょうか。
(大臣)そのこと自体の報道等は承知しておりますけれども、中身について正確な報告を受けておりませんので、ここでコメントするのは控えさせていただきます。
(記者)では、中身について把握していただいた上で、また御見解をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
(大臣)規制委員会としての内部文書に関するものに関しては、山中規制委員長のほうからですね、原子力規制庁に対して事実関係を確認するように指示がなされているということで、今後調査結果が原子力規制委員会のほうにおいて公表されるというふうに承知しています。
(記者)私が聞いているのは、西村大臣の見解なのですが、それについては如何ですか。
(大臣)この状況をよくまず把握するというのが最初だと思います。
(記者)またお伺いさせていただきます。ありがとうございます。
 
(記者)TBSテレビの池田と申します。話が戻って、除染土の件ですけれども、先日、所沢と新宿御苑で説明会が実施されて、十分な理解はまだ得られていないという認識でいいのでしょうか。
(大臣)まず、住民の皆様に丁寧な説明をするというのが大事だということは申し上げたとおりです。
(記者)住民の方の十分な理解はまだ得られていないということでいいのでしょうか。
(大臣)得られているかどうかは住民の方が判断されることだと思いますが、もっと追加の説明会をというような御意見もあったということで、しっかりそういうふうに対応してまいるということです。
(記者)ありがとうございます。それを踏まえて、環境省の方が記者会見で、実証実験を始めるに当たって、明確な基準は設けていないというようなことをおっしゃっていたのですけれども、どうしたら実証試験を始めるのかというところは、大臣としてはどういうふうに考えてらっしゃいますか。基準について。
(大臣)詳細については後で事務方のほうから説明させますが、まだどういった細かいところでやるかというところは、当然住民の皆さんとの意見交換の中で方向性は見えてくるのではないかと思います。
 
(記者)朝日新聞の関根です。ちょっと戻って、また規制庁の話に戻るのですけれど、1点、原子力規制委員会は、環境省が法的な所轄というか、担当しているところだと思うのですが、この中で起こった問題について「自分の見解はありません」というのはちょっとおかしいのではないかなと私は思うのですが、いかがですか。
(大臣)まず、報道の中身に関しましては、先ほど申し上げたように原子力規制委員会において事実を確認中ということでございまして、いずれにしても、今後とも独立性の高い原子力規制委員会が厳格に規制を行っていくという方針に変わりはございませんし、規制制度の変更に伴う判断が必要な場合には、原子力規制委員会、公開の場所で決定されるものであるということで、独立性、透明性に関して問題があるとは考えておりません。
(記者)ちょっと戻りますが、除染土のところで、先ほど、住民の理解が得られているかどうかという質問に対して、得られているか判断するのは住民が判断することだと思うというふうに発言されていましたけれど、そうすると、いつまでたっても理解が得られているかどうかというのは判断することができないような気がするのですが、環境省としては理解が得られているかどうか判断しないということなのですか。どういうことか、ちょっとその辺、説明してください。
(大臣)先ほどの御質問では、今の段階で理解を得られているかどうかということなので、今の段階においては、「追加の説明会等々をやってほしい」「もう少し周知してほしい」というお話があったので、現段階ではその住民の方々がどう思われているかということについて、私が今は言及しないけれども、当然これからそういった追加の説明会等々をしていく上で住民の皆さんの御理解が得られたかどうかというのは判断されていくことだと思います。
(記者)最終的には環境省が判断するということですね。
(大臣)環境省として、その丁寧な説明の中で判断していくということです。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=d0VhzWgYn90&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE

(以上)