大臣談話・大臣記者会見要旨

西村環境大臣COP15期間中ぶら下がり会見録 (令和4年12月15日(木)10:35~10:45(現地時間)  於:COP15会場)

1.発言要旨

 大変遅くなりました。様々な閣僚級からバイ会談の申入れ等々ございまして、今まで、精力的に様々な交渉を続けてきたところでございます。まだCOP15の会議自体は続いておりますし、合意に向けての詰めの交渉が精力的に行われている段階でございます。まだそういった状況でもございますので、今までを振り返った形でお話をさせていただきたいというふうに思います。
 15日には、日本国を代表してナショナルステートメントを行いました。その中でも、新たに公表いたしました、2023年から2025年にかけて1,170億円のプレッジ、これにつきましては、各国から評価をいただいたものと感じております。また、14人の閣僚や国際機関、NGOと会談を行うとともに、3つのサイドイベントに参加いたしました。これらのサイドイベントでは、生物多様性日本基金(JBF)、この第2期のローンチを宣言するとともに、そのうち約7億円規模でSATOYAMAイニシアティブに関するプロジェクト(COMDEKS)に支援を行うことを宣言したところでございます。これらのことによりまして、COP15における交渉の進展を促すとともに、今後の生物多様性保全法を始めとする環境政策を各国、また各国のみならず、国際機関と協力して進めていくということを改めて確認したところでございます。また、ドイツのレムケ環境大臣との会談におきまして、G7の札幌における気候エネルギー環境大臣会合の議長国としてのバトンを受け取ったところでございます。4月の開催に向けて、その準備を加速させてまいりたいと考えています。最終合意に向けまして、引き続き日本政府代表団として交渉を続けてまいります。
 今回の会議は、まだこの段階ではございますけれども、大変意義深いものであったというふうに感じております。このCOPで議論されたことを踏まえて、全ての国と一致団結して生物多様性の取組を積極的に進めてまいりたいというふうに感じています。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)NHKの安藤です。2点お伺いします。まず、1点目。「ポスト2020生物多様性枠組」について、現在まで交渉が難航している点について、日本の主張と、それに対してどのような対立する主張が出ているか教えていただけますでしょうか。
(大臣)「ポスト2020生物多様性枠組」については、文言を含めた技術的な検討が引き続き進められております。特に資源動員、DSIを併せて、閣僚級との議論が、今進められているという状況です。今申し上げた資源動員につきましては、途上国が、新たな基金の創設とともに先進国による支援強化、これを求めています。日本は、新しい枠組みの実施に適切な資源動員が必要なことは認識しております。生物多様性日本基金(JBF)の第2期のローンチや、2023年から2025年にかけての1,170億円規模の途上国支援をプレッジするということなどで、引き続きこの分野で貢献することを表明しています。その上で、新しい枠組みが着実に進むためには、先進国だけではなく、途上国の間の協力、そして民間や自治体からの支援、各国国内での生物多様性保全に回る資金の拡大、こういったことなど、あらゆる面からの資源動員、さらに既存資金の効率的な利用、気候変動などの他分野の資金との連携、これも重要だというふうに考えております。また、DSIにつきましては、DSIの利用による利益配分に関する解決策を見いだすために今、議論が続いているというところです。日本としては、専門家やステークホルダー、こういったものの関与の下、法的・制度的な実現可能性の観点を踏まえて、ステップ・バイ・ステップで検討を進めるべきものだというふうに考えています。
(記者)ありがとうございます。続いて、もう1問伺います。会期中、大臣が御挨拶の中で、「生物多様性の損失は、気候変動とともに立ち向かわなければならない重要な地球規模の課題である」とおっしゃっていましたが、現実問題として、日本国内でそのような危機感が浸透しているとは言えないと思います。いま一度、なぜ生物多様性の保全が必要なのか、そして野心的な世界目標を作ることが必要なのか、御見解をお伺いできますでしょうか。
(大臣)会見でも申し上げたように、日本における自然環境の変化というのを感じられている方は多いと思います。会見においてはメダカの話もさせていただきましたけれども、例えばシカやイノシシといった数が非常に増えて、それによって植生が失われる。植生が失われることによって森林が荒廃する。そしてそのことによって生物多様性も当然失われてまいりますし、災害リスクが高まっている、こういった地域もございます。また、ヒアリのような危険な外来種、またアメリカザリガニのように固有の在来種を駆逐するような外来種の問題等々もございます。さらに、森林というものは、CO2の吸収源としての機能、また湿地などは遊水池としての機能を持っております。こうした自然は気候変動の緩和や適応に大きな役割を果たしているわけですけれども、これが今失われてきている状況です。人類は、生物多様性がもたらす恵み、すなわち食糧、水、また、生物由来の医薬品、また気候の安定、こういったことに依存しながら今生きているわけでございますけれども、この生物多様性が日本のみならず、世界各地で失われてきている。それもかなりの速度で失われてきているというのが現状でございます。生物多様性の損失といったものが、まさに人類の存亡に関わる深刻な危機であるというふうに考えています。今ここで世界各国が野心的な枠組みを採択して、速やかに行動に移すということが重要であるというふうに考えています。今回、各国が高い危機感を持って活発な議論を行っておりますし、ここに集まっている企業やNGO、またユース、若者の皆さん、こうした人たちが高い危機意識を持って活動しているということを感じたところです。この結果を国内へもフィードバックして、関係者と連携しながら取組をしっかりと推進してまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)共同通信の井田と申しますが。お金が幾らあっても足りないということだと思うのですが、G7の議長国でもあり、国へ帰られてからもう一声、真にアディショナルでニューなお金というのを、財政当局とか首相とお話しになる考えというのはありますか。
(大臣)これまでもGEFへの新規増資、また日本基金の第2期の増資、またJICAを含めた形で日本とすれば支援は続けてきております。そしてその資金のみならず、人的な貢献も含めて、先ほどもGEFや様々な団体のほうとも話しましたけれど、そういったところに人を出したりという形で、金銭のみならず、資金をしっかりと出していることは御承知だと思いますけれども、それに加えて、日本ができる支援策はしっかりと今後もとり続けていきたいというふうに思っています。
 
(記者)共同通信の石川といいます。今回のCOPが終わりますと、次は国家戦略の策定、それを受けまして各自治体は地域戦略の策定と流れていくと思うのですが、まだ自治体によっては、戦略を策定できていないところがまだ多いと聞いています。その辺の地域の生物多様性、地域戦略の策定を、環境省として今後どのように支援していくお考えでしょうか。
(大臣)今、御指摘があったように、国として旗を振るというだけではなくて、やっぱりそれが機能的な意味を持つためには、各自治体の活動というのが非常に重要になってまいります。今、御指摘があったように、各自治体がそういった計画を立てて、実施していけるような、その後押しというのは、これまでもやってまいりましたけれども、さらに力を入れてやっていこうと思っています。
 

(以上)