大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年12月13日(火) 11:03~11:18  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日は1件、御報告申し上げます。生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)への出席についてでございます。
 カナダのモントリオールで生物多様性条約第15回締約国会議COP15が開催されております。私も明日出発して、15日から17日まで開催される閣僚級会合に出席いたします。COP15の最大の焦点は、生物多様性の新たな世界目標である「ポスト2020生物多様性枠組」、これの採択でございます。この枠組には2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30目標」や、生物多様性に取り組む企業活動を評価する目標などが盛り込まれることが期待されております。2030年に向けた世界的な取組の方向性を決める重要なものであると認識しております。現地では閣僚級会合でのナショナルステートメントのほか、他国の閣僚や条約事務局長等との会談、またサイドイベントへの参加を予定しております。途上国への支援など、我が国の取組も積極的に発信して、COP15における本枠組の採択を各国に働きかけてまいりたいというふうに考えております。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、日本テレビの西出です。よろしくお願いいたします。幹事社より1点質問させていただきます。冒頭もCOP15第二部の最大の焦点は、「ポスト2020生物多様性枠組」の採択であるとの発言がございましたが、日本はどのように「ポスト2020生物多様性枠組」の議論に貢献していくのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)我が国が重視する要素は、主に5点ございます。1つが昨年のG7で合意いたしました「30by30目標」。そして、2点目がビジネスにおける生物多様性の主流化。3点目が自然を活用した解決策、いわゆるNature-based solutionsの推進。4点目が国際的に連携した外来種対策の強化。そして、5点目が新枠組を確実に達成していくための強固なPDCAサイクルでございます。この5点を中心に、これらの要素を新たな枠組みにしっかりと盛り込むべく、各国と連携して交渉に臨みたいと考えております。また、私も閣僚級会合でのナショナルステートメントや各国閣僚とのバイ会談におきまして、30by30の重要性を始めとした新しい枠組に対する日本の考え方などを発信してまいりたいと考えています。
 
(記者)共同通信の出崎です。防衛費増額の関連でお伺いしたいのですが、岸田首相は財源の一部を増税で賄う方針を示しています。このことに関して幾つか質問です。防衛費増額のための財源の一部を増税で賄うことへの賛否が1点。また、与党の税制調査会が具体的な財源として、法人税やたばこ税の増税、復興特別所得税の転用を組み合わせる案を検討していますが、こうした案への賛否についてもお伺いできますでしょうか。
(大臣)防衛力の強化のための財源確保、これにつきましては、担当閣僚である財務大臣にお尋ねをいただきたいというふうに考えます。また、防衛力強化のための税制措置についても御質問がございましたけれども、現在、与党の税制調査会で議論が行われているものと承知しておりますので、私の立場からコメントするのは控えたいというふうに考えています。
(記者)関連でもう一点お願いします。「コメント差し控える」というようなお話もあったと思うのですが、大臣としましては、例えば、その代替案として国債の追加発行でしたり、ほかにこういう案のほうがいいのではないかというような意見はございますでしょうか。
(大臣)これはもう先ほど申し上げたように、財務大臣にお聞きいただきたいと思いますし、ただ、1点申し上げますと、防衛力強化に係る歳出・歳入、こうした両面での財源確保の具体的内容を年末に一体的に決定するという認識は閣内において共有されております。
 
(記者)NHKの林です。冒頭発言にあったCOP15に関してですけれども、改めて生物多様性に関する、日本国内で見たときの課題であったりとか、その課題に対してどう克服するかというのを、今回のCOPなどで、何か表明するといった方向性などはあるのでしょうか。
(大臣)今、御質問あったように、我々日本国民みんなが、日本の自然環境の変化、こういったものを感じているというふうに思います。例えば、かつては日本各地の川で見られたメダカ、これは各地の川で見られたわけですけれども、今や絶滅危惧種となっております。また、人の管理が行き届かなくなった里山、こういったところが荒れ放題になって、保水力が失われて、災害の危険が増している地域もございます。一方で、ヒアリのような危険な外来種、また、アメリカザリガニのように固有の在来種を駆逐するような外来種の問題もございます。このような生物多様性の損失というものは、日本のみならず世界各地で深刻化している状況であります。人類は、生物多様性のもたらす恵み、すなわち食料や水、生物由来の医薬品、気候の安定など、これらに依存しているわけでありますので、生物多様性の損失というのは人類の生存に関わる深刻な危機であるというふうに認識しております。こういった自然の恵みを次の世代も享受できるように、今こそ生物多様性の損失を食い止めて、回復へと転じさせる行動を始めなければならない。各国が生物多様性の重要性について認識を共有して、世界の変革に向けた取組を連携して進めていく、こういったことを進めていく必要があるというふうに考えています。COP15、はこうした機運を高めて、そして実際の行動につながるような、そうした会議になるように、積極的に貢献してまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。カーボンプライシングについて伺いたいと思います。次回のGX実行会議で詳細な案が出てくるということだそうですけれども、現時点で説明されているところでは、カーボンプライシングの本格的な導入は30年代になってからということであることと、それから負担の割合については、今の負担からも抽象的に重くしないということで、単純計算すると、炭素1トン当たりの価格が1,000円ぐらいになるのではないかなということだと思うのですけれども、その時期と規模について、いろんな識者の方の指摘を聞いていると、やはり温暖化対策に必要な「勝負の10年」に向けて遅過ぎるのではないかという指摘がまずは一点。もう一点が、大臣も常々指摘されておりますけれども、将来炭素の価格が高くなるのだったら、技術投資に向けようと、そういう動機づけが目的だと思うのですけれども、1トン当たり1,000円ぐらいの価格水準というのは、そうした行動を促すのに十分な数字になるのかということについて、環境大臣としてどのようなお考えを持って、政府内で発信しておられるのか、お考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
(大臣)お尋ねの件については、総理から次回のGX実行会議において、いつからプライシングを開始するのかなどを含む制度案を示すようにという指示があったところでございます。今はその具体的な内容については、中で検討を進めている段階でございますので、その中身について、現段階においては、お話しするのは差し控えたいというふうに思っております。
(記者)どういう案が出てくるかということについてお聞きしているのではなくて、本格的に導入する時期が遅いのではないかということと、規模についてどれぐらいがいいと思っているのか、大臣の考えを聞いているのですが、言えない理由というのは何なのでしょうか。
(大臣)今、他の関係省庁と様々な議論をしながら中身を進めているということでございまして、ただその導入時期が遅いという御指摘は承知しておりますけれども、そういった御意見も踏まえながら、今そういった時期、そして中身の規模について、検討を進めているという段階でございます。
(記者)中ではしっかりとした指摘を環境省はしているということで、議論の中では、そういった指摘をしっかりとしているという、そういう認識でよろしいわけですか。
(大臣)経済産業省を中心に、関係省庁としっかり連携をしながら、特に、この問題は環境省としても非常に関わりのある重要な課題でありますので、その中身については、しっかり議論しながら進めているということでございます。
(記者)結局、議論が見えにくいですよね、この会議は、基本的に非公開ですし、それから大臣はぶら下がりやらないし、議事録が出てくるのも遅いし。どういう議論が行われているというのがさっぱり分からない中で、結論が出てから「こうでした」というのは、国民の皆さんに負担を求めるという問題ということからすると、ちょっとおかしいのではないかなと私は思うのですが、今のやり方でいいのでしょうか。
(大臣)御指摘は受け止めておきたいと思います。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。前回ちょっと聞きそびれてしまった件ですけれども、16日に行われる環境調査研修所の除染土についての説明会なのですが、実際に案内を見てみると、「実証事業」と書いてあるだけで、除去土壌の事業の説明とは記載がなかったり、あるいは「事前登録が必要」となっています。これで地元に十分な説明ができると考えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)まず、福島県内の除去土壌の再生利用実証事業について、12月21日に開催するということでございます。今御指摘あったような説明の仕方まで、承知していない部分もございますけれども、しっかり地域住民の皆様に説明できるように対応するように改めて指示をしたいと思います。
(記者)21日は新宿御苑の説明会で16日は環境調査研修所ですけれども、案内の仕方が違うみたいなんですね。環境調査研修所のほうは事前登録が必要で、地元の方に聞いても、「そこまで事前登録とかして行くという人はかなり少ないのではないか」ということがあったんですけど、その辺りは先般から地元に十分な説明をというふうにお話を大臣はされていますけれども、そこに関してはどうでしょうか。
(大臣)事前登録が必要かどうかというのは、私も今、初めて聞きましたけれども、どういった状況なのか、すぐ確認をして、なぜそうなっているのか、また、できるだけ地域住民の皆様にきちんと説明できるような体制を取るというのが何より重要でございますので、その辺しっかり確認しておきたいと思います。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=ee-9XR3Mcg0&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 
(以上)