大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年12月2日(金) 09:21~09:49  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。本日私から冒頭1件、お話をさせていただきたいと思います。第23回の日中韓三カ国環境大臣会合についてでございます。
 昨日、第23回の日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM23)がオンラインで開催されました。TEMMは日中韓環境大臣が北東アジア地域の環境問題や気候変動、生物多様性等の地球規模の環境問題の対処のための協力について、議論する重要な機会というふうに認識しています。国会の都合上、私が参議院の予算委員会に出席しておりましたので、山田副大臣に出席をいただきました。中韓両国と気候変動、生物多様性、循環経済等について議論が行われました。その上で、今月開催される生物多様性条約(COP15)におけるポスト2020生物多様性枠組の採択に向けて協力していくことなどを含む共同コミュニケに、私が署名を行ったところでございます。今後とも中韓両国と連携しながら、環境分野の協力を着実に進めてまいりたいというふうに考えています。
 冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、毎日新聞の岡田です。よろしくお願いします。少し前になりますけど、11月29日のGX実行会議でカーボンプライシングの具体策について、賦課金と排出量取引を柱とする原案が示されました。年末までに、詳細を詰めるという総理指示がありましたけれども、排出削減の動機づけとして機能させるためには、環境省として、どういうことが必要だというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。導入時期とか、価格水準などについて、お考えがあればお聞かせください。
(大臣)企業などに対しましては、脱炭素投資を促していくためには、炭素価格が徐々に引き上がっていく方針をあらかじめ示して、まさに予見可能性を高めていくことが重要だというふうに考えています。総理からは、次回のGX実行会議において、いつからプライシングを開始するかなどを含む制度案を示すように御指示があったところであります。具体的な内容につきましては、次回の会議に向けて政府全体として、検討を進めてまいります。
 
(記者)朝日新聞の関根です。ちょっと前の話になります。COP27の関係ですが、合議文書の中に、かなり報道もされましたけれども、今後の脱炭素の電源として、「low emission energy」という定義が入ってきました。こちらは決まった定義がないという解釈だそうですけれども、例えば天然ガス火力とか、あるいは日本がやろうとしているアンモニアの混焼とか、そういったものも入ってくるのか、我が国として、環境省としてどういうものが入ってくるのかということについて、まずはお考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
(大臣)今、御指摘の低排出エネルギーの定義につきましては、御指摘があったようにCOP締約国間で合意はされていないものと認識しています。我が国のエネルギー部門に係る脱炭素化の基本方針に変更はございません。国内石炭火力につきましては、2050年のカーボンニュートラルに向けては、何よりも再生可能エネルギーの主力電源化、これを徹底してまいります。その中で、石炭火力につきましては、その比率をできる限り引き下げていく、このため2030年に向けて非効率石炭のフェードアウトを着実に進めるとともに、2050年に向けては、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで、脱炭素型の火力に置き換えていきたいと考えています。一方で我が国としては、途上国の固有の事情を踏まえて、脱炭素社会に向けた現実的な移行を包括的に支援していくという基本方針に変わりはございません。引き続き、ネットゼロとエネルギー安定供給確保の両立に向けまして、あらゆる選択肢を追求してまいりたいと考えています。
(記者)ありがとうございました。ちなみに天然ガス火力発電というのは、この低排出エネルギーに入ってくるというお考えなのでしょうか。
(大臣)非効率石炭のフェードアウトを進めると同時にそういった、水素、アンモニア、CCUS、天然ガス、そういったものを含めて脱炭素型の火力に少しずつ移行していく上で、天然ガスも含めての検討になると思いますが。
(記者)そうすると、ある程度当初は移行の中では活用をするのをやむを得ないけれども、天然ガスを含めてだんだんと減らしていくべきだと、そういうことでしょうか。
(大臣)そうです。今の石炭火力の中の非効率石炭をまずフェードアウトしていきつつ、少しずつ脱炭素型の火力に置き換えていくと。ただ、基本方針とすれば、脱炭素型の基本方針の中で再生エネルギー等々の量の最大化をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えています。
(記者)天然ガスについても同じ考え方でいいのですか、要は徐々に減らしていくという考え方でいいのですかという伺い方をしたんですけれども。
(大臣)最終的に再生可能エネルギーの主力電源化に向けていく上においては、そういう形になっていくと思います。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。おはようございます。先ほどもあった先日のGX会議の件なのですけれども、大臣としてはどのような発言をされたか教えてください。
(大臣)GX会議におきましては、3点発言いたしました。1つが、成長志向型カーボンプライシング構想について、これについては、環境省のこれまでの議論が反映されたものであり、この制度の実現に今後も貢献してまいりたいということ。そして、もう1点が、投資促進について、需要側の地域・暮らしの分野や資源循環の分野において、脱炭素化支援機構の活用も含めて取り組んでいくということ。そして、3点目が、国際転換について、COP27で我が国が立ち上げたパリ協定6条実施パートナーシップ、これを活用して、アジアゼロエミッション共同体構想などに貢献するということが、私のほうから3点発言させていただいた点でございます。
(記者)昨日から政府としては節電要請となりましたけれども、環境省としてはどのように呼びかけますでしょうか。
(大臣)環境省としても、まず暮らされる皆さんの健康を第一に考えて、無理のない形の中でそれぞれが節電できるもの、先般も新しい国民運動を立ち上げましたけれども、こういった、それぞれの中で、小まめに電源を切ったり、ただそれが無理のないような形で是非やっていただきたいというふうに考えております。
 
(記者)環境新聞の小峰です。今朝未明のサッカーワールドカップ、日本対スペイン戦、日本が劇的な勝利を収めましたけれども、大臣の感想をお聞かせください。
(大臣)小峰さんも朝起きて御覧になられていたのでしょうか。今日も朝、閣議で結構皆さん、今日当たっている先生たちも早起きをしたようでございまして、テレビを見ながら興奮をしていたという話が幾つか出ました。本当にスペインというのは、非常に強豪国ですので、心配しながら見ましたけれども、私も朝、テレビを見ていたら、前半なかなか厳しい状況の中でよく頑張って、決勝リーグのほうに進んでいただけたなと思っています。私も2002年の日韓で共催されたワールドカップサッカー、あれの誘致に当時、世界中回って、是非日本へ投票してくださいと呼び掛けをした経緯もございました。その頃からワールドカップで日本が早く優勝できるような強豪国になってほしいと思っておりました。特に平成5年5月15日でしたっけ、Jリーグが開幕して、非常に日本のサッカーのレベルというのがグレードアップしていったという中で、今回スペインそしてドイツという強豪国を破って、決勝リーグに行ったということで大変喜ばしく思っております。特にサッカーというのは、世界的に人気のあるスポーツでございますので、こうした中で活躍するということ、そしてそれと同時にやっぱりスポーツというのは、様々な政治的なものを乗り越えた、国際的に輪が広げられるものだと思っておりますので、是非そういったものが広がっていければなと思っています。特にサッカー外交推進議員連盟で、私、副会長兼事務局長というのを今やっておりますので、かつて日韓国会議員サッカーというのをやっておりまして、つい先般もそういった催しがあったというふうに聞いておりますけれども、こういった形で、早く国際的な情勢が落ち着いて、平和裏にスポーツが繰り広げられる、そんな状況を期待するところでございます。
(記者)今回の日本の勝利で、何か国民もまたものすごい湧いていますけれども、経済に対する影響なんか出ますでしょうかね。
(大臣)プロ野球においても、どこどこのチームが勝ったというと、その地域のセール等々に非常に購買力が上がるという話も聞いておりますので、経済的には非常に大きなメリットがあるのではないかと思います。何よりですね、やっぱり気持ちが盛り上がるというのが非常によいことではないかなというふうに思っています。 
 
(記者)エネルギーと環境、エネルギージャーナル社の清水です。さっきのテレ朝の川﨑さんの関連で、GX実行会議のことで伺います。先日、カーボンプライシング、大枠が了承されたということのようですが、環境省が15年来、脱炭素にとっては不可欠だと言っていた炭素税は、実質的に見送り、別な名称で、賦課金というようなことになっているようですけど、そういう、十数年来主張してきた、必要だと言ってきた炭素税について、このGX実行会議の前に言っている、方針了承を踏まえて、どういう認識をされているか、これが1点です。 GX実行会議の中身は、当面5年とか、2030年以降に導入、賦課金等を導入してGX国債の財源にしていくという方向ですけど、2030年まで、大事な10年と、大臣も就任されて、発言されていたと思うのですけれども、こういうことで、いわばパリ協定か何かの目標に向かって、国民に協力を要請する、CO2削減図っているということできますか。どうですか。2点伺わせてください。
(大臣)まず1つ、1点目が、今お話のあった、炭素税から賦課金へというお話でございますけれども、確かに炭素に対する賦課金ということは、税制上の措置ではないというふうに認識しております。ただ、環境省としては、社会全体に対して、効果的、効率的に脱炭素に向けた行動変移を促して、脱炭素と経済成長の同時達成に資する制度とすることが重要であるというふうに考えておりまして、政府全体としても、こうした方向で進めるということで、これまで言っていた炭素税が、賦課金で変わったのではないかという御指摘ではございますけれども、脱炭素に向けて行動変移を促すというこの1点において、炭素税であれ、賦課金であれ、この大目的のために資するものであるというふうに理解しております。そして、もう1点、しっかりこれが進んでいけるのかという御指摘でございますけれども、これは進めなければならないということで、次回のGX実行会議において、総理も、いつからプライシングを開始するかなどを含む制度案をしっかりと検討して、提出するようにという御指示がございました。そうした制度案と同時に、先般環境省として立ち上げた新しい国民運動等々で、国民の皆様の理解を得つつ、行動変移をしっかりと促していくというふうに、これを進めてまいりたいというふうに考えています。
(記者)端的に伺います。炭素税という言い方の税制、これは、今年度の税制改正要求でも、きちっと出していたと思うのですけど、これはいわばもう環境省としては、賦課金ということに衣替えされたので、導入するということは考えないということですか。
(大臣)今回、先般のGX実行会議で、岸田総理のほうから賦課金と、そして、排出量取引、これのハイブリッドで考えるように御指示がございました。その中で、環境省としては、かつてずっと炭素税というものとして言ってきましたけれども、これも先ほどからの繰り返しになりますけれども、社会全体に対して、脱炭素に向けた行動変移を促すというのが大きな目的でございますので、それにおいて、総理の御指示の下、賦課金という形で、その目的を達せられるのであれば、賦課金と。そしてまた排出量取引のハイブリッドという形で、他省庁とも連携しながらしっかり進めていきたいというふうに思っています。
(記者)もう1点だけ。「成長に資するカーボンプライシング」という言い方、環境省も経産省も、それをモットーに進めているわけですけども、150兆円の投資。大臣、これについて、それを国のいわば脱炭素国債なんかを呼び水としてやるんだというのですが、150兆円の投資をして、CO₂がどれだけ出るのかということは、環境省は計算しているんですか。環境省は個別企業に対して、環境アセスメントとか、事業活動に伴う負荷の部分を厳しくやっているようですが、そもそもの、150兆円の投資に伴うCO₂排出なり環境負荷なり、自然環境の劣化とかいうもの、そういうものをやっぱりやらないで、成長に資するということだけで安易に対応するというのはおかしくないですか。国民的な視点で見ても、そう思うのですけど、どうですか。
(大臣)御指摘を真摯に受け止めなければならないと思っていますが、環境省としても、各部署の中で連携しながら、また経産省とも連携しながら、そういった御懸念点が払拭できるように、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っています。
 
(記者)NHKの林と申します。別件の話題で、昨日、沖縄の宜野湾市長が環境省を訪れて、周辺のPFOS対策などについて要望されていましたけれども、改めて、この問題について、環境省として、どのように取り組んでいくかお考えがありますでしょうか。
(大臣)昨日、宜野湾市の松川市長がおいでになられまして、小林副大臣と面会して、PFOS等について意見交換をしたというふうに承知しております。PFOSにつきましては、現時点では、有害性についての知見が不十分なために、目標値や基準について、国際的な様々な科学的な議論が行われているというのが現状です。一方で、宜野湾市を始めとした関係した自治体や、地元の住民の皆さんからは、PFOSに関する不安、そして目標値や基準値の検討等の対策を求める声が上がっていることも承知しております。こうした声を受けまして、環境省としては、年明け以降に、専門家会議を設置して、PFOS等に関する水環境の目標値等の検討、またPFOS等対策の全体戦略の検討、これを開始したいと思っております。国民の安全、安心のために、しっかり取組を進めてまいりたいというふうに考えています。

(記者)環境新聞の小峰です。今のPFOSの話に関連します。沖縄だけじゃなくて、日本全国の各地でPFOSの問題が出ておりますけれども、それに関連して、確か西村大臣は、一、二か月前でしたか、このPFOS等の話について、アメリカの環境庁長官と話して、このPFOS問題について削減する方向性で、確か合意したと聞いております。元々PFOSの話は、防衛省と国防省との話ですので、非常に相手が手ごわいということですけれども、ここで、西村大臣が、PFOS問題で、米国政府の環境庁長官と話して、合意しているということは、難敵国防省を動かすのではないかと環境新聞は評価しているのですが、大臣の見解を改めてお聞かせください。
(大臣)この問題、特に沖縄、宜野湾において、非常に地元住民の皆様が不安に駆られているという状況でございますので、その点につきましては、アメリカ側と意見交換しつつ、その不安は払拭すると同時に、しっかりとした対応策を考えていかなければならないというふうに、今話をしてきたところであります。特に、このPFOS等につきましては、令和2年度に水質の要監視項目に位置付けまして、令和3年度から本格的に自治体による水質調査、これは御指摘あったように、宜野湾に限らず、関係したところの調査を進めています。調査地点数は、公共用水域において、25都道府県の約700地点、地下水においては、17都道府県の約300地点において、そうした水質調査を自治体によって進めているところでございまして、令和3年度の調査結果につきましては、年度内に環境省として取りまとめて公表する予定でございます。
(記者)米国の環境庁長官と話ししたこと、何か月か前の話ですけど、御記憶を遡って、大臣いかがでしょうか。
(大臣)これは、外交的な部分も含めての話でございますので、この場においては詳細は差し控えさせていただきたいと思いますが、宜野湾を始めとして、地元住民の皆さんも大変不安に思っているということ、そして、環境省としては、この問題を何とか解決の方向に持っていきたいという、強い意思表示はさせていただいております。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。今、お話のあったPFOSに対しての、年明け以降の専門家会議の件なんですけども、今、水に関しては、暫定基準値が設計されていますが、土壌に関しては、そちらでも検討する予定とかあるのでしょうか。
(大臣)土壌のほうは、まだ報告来ておりませんので、ちょっと確認して、また御連絡させていただきます。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=3VVFYZ-NOyw&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE 

(以上)