大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年11月11日(金) 10:01~10:21  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず冒頭、私のほうから国連気候変動枠組条約第27回締約国会議への出席について申し上げます。
 現在、エジプトのシャルム・エル・シェイクにおいて国連気候変動枠組条約締約国会議COP27が開催されておりますが、先ほど手続がととのったということで、来週の閣僚級会合に参加したいというふうに考えております。
 現地では、日本国代表としてステートメントを行うほか、現在調整中ではございますが、20人近くの閣僚等とバイ会談を行いまして、また様々な会議に出席して、世界全体の気候行動を促進する観点から交渉を行う予定でございます。特に排出削減を世界全体で進めることが重要でございまして、COP全体の決定に緩和の重要性を盛り込みたいというふうに考えています。また、排出削減に向けた野心と実行力を高める緩和作業計画を採択することを求めてまいりたいと考えています。
 気候変動は世界共通の大変大きな課題であります。厳しい国際情勢の中ではありますが、それを乗り越えて全ての国が一致団結して取り組まなければならないというふうに考えています。また、我が国が有します経験や知見、技術、こういったものを活かして、国際社会が一丸となった途上国支援が進むように働きかけをしてまいりたいと考えています。
 冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)日経新聞の岩井です。おはようございます。カーボンプライシングについてお伺いします。政府与党が2023年度の税制改正で炭素税の導入を見送るとの報道がありました。西村大臣の受け止めと、適切な炭素税導入の時期について、お考えをお願いします。
(大臣)政府として炭素税導入の先送りを決めたという事実はないと承知しています。いずれにしても、成長志向型カーボンプライシング構想、これに係る制度設計は、その導入時期を含めて、現在検討を進めている状況でございます。環境省としても、先日のカーボンプライシング小委員会で有識者の御意見をお聞きしたところでもありまして、いただいた御意見も踏まえて、構想の具体化にしっかりと貢献してまいりたいと考えています。
 
(記者)共同通信の出崎です。COPの関連で2点お伺いしたいのですが、COPでは、先進国と途上国のスタンスの違いが鮮明になっています。このことについての受け止めが1点目で、2点目が、COPでの成果、経験を、今後日本が議長国となるG7での議論にどう活かしていくのかをお聞かせください。
(大臣)先進国と途上国のスタンスの違い、こういった報道が出てきているというのは承知しておりますけれども、現在、そのスタンスの違いに関しては交渉中ということで、具体的なコメントは差し控えたいと思います。
 ただ、気候変動というのは世界共通の大変大きな課題でもありますので、先ほど申し上げたように、すべての国が一致団結して取り組まなければならないものでございます。特に排出削減を世界全体で進めることが重要でありまして、COP27においても、我が国としても、COP全体の決定に緩和の重要性というものを盛り込んでまいりたい。そして、この決定的な10年の間の野心と実行力を高める緩和作業計画をはじめとする議論に貢献してまいりたいと考えています。
 加えて、先ほども申し上げましたけれども、我が国の有する経験、技術、これを活かして、途上国への脱炭素移行支援が進むように積極的に働きかけをしてまいりたいと思っております。
 あと2点目の、今回のCOP27に向けて、次回G7に向けてどのようにつなげていくかという御質問ですけれども、COP27の結果を見極めた上で検討する必要があるとは思っておりますが、1.5℃目標の達成に向けて、2030年までの、要するに「勝負の10年」における具体的な行動の強化が重要であるということ、そして、主要経済国の温室効果ガス排出削減の強化が必要であるということは変わりございません。そのため、来年のG7閣僚会合に向けましては、世界全体での脱炭素化を牽引すべく、G7の行動を促進するとともに、他の主要経済国を含めて、G7以外の各国の対策の加速化につながるように、議長国、来年度の議長国として、その議論をリードしてまいりたいというふうに思っております。会期中は、G7各国の閣僚とバイ会談を予定しておりますので、そのバイ会談をベースに、各国との信頼関係を構築してまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。まず、葉梨法務大臣の件ですけれども、同じ岸田内閣の閣僚として、朝、死刑のはんこを押して、昼のニュースのトップになるのはそういうときだけという地味な役職という発言がありましたけれども、その後は撤回されましたが、大臣としてはどう捉えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)大臣の職務というのは、それぞれのもちろん持ち分において非常に重要なものでありますし、それをしっかり職務を果たしていくということが重要だと思っております。 葉梨法務大臣の発言に関しましては、政治家とすれば、自らの言動に関しては、自らの責任において、しっかりと説明をすべきものだと思っています。
(記者)すみません、もう一点ですけれども、岐阜県の御嵩町でリニア中央新幹線の開発工事に伴う残土の処分場候補地に、環境省が選んだ重要湿地、美佐野ハナノキ湿地群というところが含まれているということですけれども、大臣としてはどう捉えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)今の御指摘のあった湿地、お名前も出ました美佐野ハナノキ湿地群、これは絶滅危惧種のハナノキなどが集中的に分布しておりまして、環境省が選定した生物多様性の観点から重要度の高い湿地、いわゆる重要湿地に含まれています。重要湿地に選定されることによって法的に規制が生じるというものではありませんが、当該地域における事業を検討する際には、関係自治体や事業者が適切に環境配慮を行うということが大変重要であるというふうに思います。
(記者)ありがとうございます。あとCOPについてなんですけれども、今回のCOP、途上国の気候変動による損失及び補償、いわゆるロス&ダメージというものが中心的な議題の1つになっていると思うのですが、このことについてはどのように向き合っていくおつもりでしょうか。
(大臣)ロス&ダメージが今回議長国を中心に、様々な意見が出ているというふうには承知しております。非常に重要な議題にはなるとは思いますけれども、まだこれから現地に赴いて交渉に入りますので、その中で、しっかりとそれぞれの意見を伺うと同時に、議論を進めてまいりたいというふうに思っています。
(記者)そのCOPで、日本が先日、化石賞を取りましたけれども、この件についてはどう捉えていらっしゃいますか。
(大臣)御質問にあった件については承知しておりますけれども、民間団体の方々の活動について、政府として、特段のコメントをするということは差し控えたいというふうに思っています。ただ、我が国とすれば、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた取組といったものをしっかりと推進して、パリ協定の目標であります脱炭素社会の実現に向けて、しっかりと国際社会を主導してまいりたいと考えています。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)電気新聞の湯川です。話変わって恐縮ですけど、脱炭素の国民運動があったと思うのですが、これから官民協議会がいろいろと動くと思いますが、先日のイベントで小池知事が、もうちょっと何かライトなネーミングといいますか、そういう発言があったと思うのですが、クールチョイスとかあったなとか思ったのですが、何か考えられていることはあるのでしょうか。
(大臣)会合の後に、小池知事とも、また2人でお会いして、いろいろ御意見もいただきました。会場においても、いろいろな団体の皆様から同様な御意見もありました。確かに、新しい豊かな暮らしをつくる国民運動という、非常に難しい名前であるので、もっと、すっと国民の皆さんに入っていくネーミングというのは、また官民連携協議会という難しいネーミングも、もうちょっと、すっと入るようなものを考えていかなければならないと思っております。できれば、我々だけで考えるというよりも、公募等を行って、国民の皆さん方からいろんなアイデアをいただければなというふうに考えております。いずれしても、現在そういった方向で事務作業を進めているという状況です。
 
(記者)日経の岩井です。政府が政策的に進めているアンモニア火力について、お伺いします。先ほど、大臣の発言などでCOP27への意気込みや来年のG7に向けた議論で、この10年の緩和の重要性ということに言及されました。一方で、アンモニア火力については、2030年時点で20%の混焼というのが実現しても、ガス火力よりも排出が多いという状況であります。これをどう捉えていらっしゃるのか。先の説明と矛盾しないのかというところをちょっとお願いします。
(大臣)今、石炭火力、アンモニアの混焼などを進めていくという実証事業等々も進んでいると承知しております。ともかく、非効率型の石炭火力を低減させていくという目標に向けて、今、様々な水素を含めた、様々な技術検討をしている状況ですので、そういった技術がしっかりと進んでいき、その中で一番よいものがブラッシュアップされていくのではないかというふうに思っております。だから、今、現状において、どれがいい悪いというよりも、検討できるものはしっかり、それぞれ進めていっていただく、そしてそれを支援しながら、よりよいものを見つけ出していきたいというふうに考えています。
(記者)勝負の10年とか、2030年までが重要だというお話もあったと思うのですが、何というんですかね、目標というか意気込みと、アンモニア火力を推進しているということは、一致しないのではないかなと思うのですけれども、どうでしょうか。
(大臣)一致しないということではなくて、そういったアンモニア混焼、また水素とか様々な技術開発が今進んでいる状況だということですので、当初から、それを排除するというものではないということです。
 
(記者)環境新聞の小峰でございます。年末に向けて、恐らく日本最大の課題である国家安全保障戦略など、安保関連3文書、そして防衛費の増額が課題になっておりますけれども、11月9日、一昨日、首相官邸で開かれた、第3回「国力としての防衛を総合的に考える有識者会議」では、総合的な防衛体制の強化に資する経費、すなわち総合防衛費の枠を、2024年度にも設ける方針が示されました。そこで、西村大臣に内閣府の原子力防災担当大臣、そして、また環境大臣として質問させていただきます。
 まず、原子力防災担当大臣としてお聞きしますが、中国や北朝鮮のミサイルは、日本の原発を標的にしているというのは、これは実態的に事実だと思います、そして、こういう事態に備えて、原発防災担当大臣として、原発に対するミサイル迎撃体制は、どのようにお考えになっているのでしょうか。
 それから、もう一つ、環境大臣としてお尋ねします。岸田首相は、一昨日、9日の会議で同志国の国際協力も新たな予算の枠組みにしたいという発言もしております。こういう観点から日本のJCM、二国間クレジット取引制度、これも大いに活用できるのではないか。先日、大臣が、恐らく大臣の意向が非常に強かったのではないかと思いますけども、スリランカ、中国の債務のワナにかかっているスリランカ、そしてロシアの周辺国で、ロシアの脅威に、もう事実上さらされているモルドバ、アゼルバイジャン、そしてジョージアをやっております。このJCMというのは、そういう意味で2024年度にもできる総合防衛費枠の中に入ってもいいんじゃないでしょうか。と同時に、OECMですね、自然保護。この辺の予算も大きい意味での国防費になると思いますので、この辺の御検討、環境省はどうしているのか。ちょっと質問長くなりましたが、よろしくお願いいたします。
(大臣)まず、1点目のミサイル攻撃の話ございましたけれど、政府として、我が国に直接脅威が及ぶようなことを防止・排除すべく、様々な外交努力をまず推進しているところでございます。また、ミサイルによる武力攻撃に対しては、イージス艦やPAC-3といったもので、防衛力によって、しっかりと対応していくものでございまして、その上で、万が一、国内で武力攻撃による原子力災害が発生、または発生するおそれがあるような場合は、事態対処法や国民保護法、こういった枠組みの下で、総理を本部長とする事態対策本部において、政府一体となって対応していくものだと承知しております。日本国における防衛に関しては、原子力防災担当大臣の所掌を超えるものでございますので、詳細に、ここで原防担当大臣としてお答えするのは差し控えますけれども、ただ、国民の生命や財産を守ることは重要な責務でございまして、原子力発電所の安全についても、政府全体として、しっかりと連携しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 また、2点目の御質問の総合防衛費の話でございますが、安全保障に関して、いつも貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。ただ、環境省とすれば、やっぱり炭素中立、循環経済、自然再興、こういったものの同時達成に向けて、御指摘のあったJCMやOECMといったものの推進を進めていかなければならない。そして、そのために、必要な予算をしっかりと要求しているところでございます。
 環境省としては、こういった施策というのはしっかりと進めていって、地球環境、そして我が国の自然環境を守っていくことが重要だというふうに考えております。
(記者)ありがとうございました。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=_8UESLVrgKY
 
(以上)