大臣談話・大臣記者会見要旨

COP27閣僚級セッション 西村環境大臣ステートメント

○ COP27の開催に尽力されたエジプトに感謝申し上げます。

○ まず、ロシアによるウクライナ侵略に対する最大限の非難と、ウクライナ国民への団結を明確に表明します。

○ 今日の地政学的に困難な情勢においても、全締約国の気候変動対策への合意が揺らぐことがあってはなりません。足元のエネルギー危機の克服を最優先しつつ、それを2050年までのネットゼロにつなげることが不可欠です。

○ 1.5℃目標の達成が重要であり、日本は、パリ協定の1.5℃目標と整合した長期戦略及びNDCを既に策定しました。まだそうしていない国、とりわけ主要経済国に対し、更なる温室効果ガス排出削減を呼びかけます。

○ COP27は実施のCOPです。この10年間の野心と実施を高めるカバー決定及び緩和作業計画を採択し、国際社会に我々の決意を示しましょう。

○ 我が国は、ネットゼロと産業競争力強化・経済成長の同時実現に向けてグリーントランスフォーメーション、GXを推進しています。企業の予見可能性を高め、大胆なGX投資を引き出すための「成長志向型カーボンプライシング構想」を早期に具体化し、国内において今後10年間で150兆円超のGX投資を実現します。

○ 日本は、世界規模でのネットゼロとGXの実現に貢献する覚悟です。この秋、エネルギー・環境関係の各国閣僚や有識者を世界から日本に招いて「東京GXウィーク」を開催し、社会の排出削減への貢献が評価される仕組み作りをはじめとして、活発な議論を行いました。

○ また、製品・サービスの選択など消費者の行動を変える需要側の対策として、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動を10月から始めました。日本は、官民連携によるライフスタイル・イノベーションを推進します。

○ 皆さん、日本は誠実に約束を果たします。先進国全体による年間1000億ドルの資金目標達成のため、昨年のG7コーンウォール・サミットで表明した600億ドル規模の支援、さらに岸田総理がCOP26で表明した最大100億ドルの気候資金支援及び適応資金の倍増について、着実に実施していきます。

○ 日本は、台風をはじめとする自然災害の脅威を経験しています。途上国の関心が高い、適応やロス&ダメージへの支援強化の必要性を肌で理解しています。日本は、これまでもこの分野での支援を実施してきましたが、本日、技術的支援等を包括的に提供し、最大限の効果を発揮させることを目的とした「ロス&ダメージ支援パッケージ」を実施していくことを表明します。本パッケージでは、アジア太平洋地域における官民連携による早期警戒システム導入促進イニシアティブを新たに追加的に立ち上げます。加えて、世界銀行が運営するグローバル・リスク・ファイナンシング・ファシリティに初めて拠出し、ロス&ダメージへの支援を強化することを検討しています。

○ 世界全体の排出削減を進める上で、民間資金の拡大が必須です。一つの鍵となるのは、6条に沿った「十全性の高い炭素市場」の早期かつ確実な構築による民間資金の拡大です。6条を実施する能力の構築を支援するため、「6条実施パートナーシップ」を、多くのパートナー国とともに、11月16日に立ち上げます。

○ 6条に沿って実施される二国間クレジット制度、JCMは今年になって新たに7か国が加わり、パートナー国は24か国となりました。

○ また、今後途上国において必要となる膨大なエネルギー投資を賄うためには、脱炭素社会に向けたグリーン・ファイナンスとトランジション・ファイナンスが重要です。日本は、アジアの有志国からなるプラットフォームを構築し、省エネ、再エネ、水素、CCUSなどの有効活用により、「アジア・ゼロエミッション共同体」構想の実現を目指します。

○ 今後も日本の技術とノウハウを活かし、各国に寄り添いながら、気候変動対策に共に取り組んでいく決意です。

○ 今を生きるすべての世代の責任として、我々にはCOP27を成功裏に終える義務があります。ありがとう。
 
令和4年11月15日
(日本語仮訳)