大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年11月4日(金) 09:21~09:45  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

私のほうから、本日は冒頭にお話することはございません。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の日経新聞の岩井です。よろしくお願いします。7日のカーボンプライシング小委員会に関連してお伺いします。環境省はこれまでの小委員会で、温対税の見直しという形で、炭素税の本格導入に向けて検討するという方向性を打ち出しています。一方で、10月のGX実行会議では岸田首相がカーボンプライシングについて発言されたのですが、温対税や炭素税という言葉はありませんでした。環境大臣としては、将来の炭素税導入の必要性について、今どのように考えていらっしゃいますでしょうか。お願いします。
(大臣)この成長志向型のカーボンプライシング構想におきましては、安定的に逓増するカーボンプライシング、こうした制度をつくることによって、企業などの予見可能性を高めて、その行動変容を促すということが重要だというふうに考えています。具体的な制度設計につきましては、こうした考え方に基づいて、排出量取引や炭素税などの各手法の特徴をいかしたものとなるように検討を進めてまいりたいというふうに考えています。来週7日に開催予定のカーボンプライシング小委員会、この場において有識者の御意見もしっかりと承ってまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。間もなく今年もCOP27が開幕するわけですけれども、イギリスのスナク首相が一転して参加を表明するなど、100以上の首脳級が集い、G7では5か国ですか、参加するということで、岸田首相の今のところの出席の予定と、それから大臣としてどういった働きかけを、岸田総理に対して行ってきていらっしゃったのか教えていただければと思います。
(大臣)COP27の議長国でありますエジプト政府の方から、岸田総理宛てに招待状が届いているというふうに承知しております。岸田総理御自身も、こうした環境問題、非常に重要性を承知しておりますし、また一方で様々な外交案件を含めたものもございますので、今、官邸の方で検討しているという状況でございまして、現状においては何もまだ出欠に関してはですね、決まっていないという状況ではございます。
(記者)大臣としては、こうした国際会議に岸田首相自ら出席して発信していただきたいと、そういうお考えを持っていらっしゃるのでしょうか。
(大臣)気候変動、こういった環境問題というのは世界的に非常に重要な問題でありますので、できれば岸田総理に出席いただければというのは環境大臣としては考えますけれども、国際情勢も含めて、非常に緊迫したものもございますので、そうしたものを含めた上で、官邸としての御判断になるのではないかと思っています。
 
(記者)環境新聞の小峰でございます。一昨日、11月2日水曜日、首相官邸で開かれたモビリティ懇談会、このモビリティ懇談会に対する西村大臣の受け止め、及び西村大臣の御発言内容についてお伺いさせていただきます。
(大臣)2日に行われましたモビリティに関する懇談会では、我が国の自動車産業が今後も世界をリードしていくための課題について、幅広い議論が行われました。私のほうからは、脱炭素と経済成長の同時実現には、オールジャパンの取組が重要であるということを申し上げまして、具体的には、新たな国民運動によるライフスタイルの転換と消費の喚起、脱炭素先行地域やゼロカーボン・ドライブによる再エネと電動車の同時導入、燃料電池バスや水素トラックの導入、こういったものを進めていくという発言をしたところです。総理のほうからは、「自動車を核として、様々な産業が広がりを持ってつながることで、交通やグリーンなどの様々な社会課題を解決し、経済成長につなげ、持続可能な社会を作っていく」という御発言がございました。環境省としても、関係省庁、そしてまた業界の皆様と連携しながら、暮らし、また経済、地域、こういったものの脱炭素化というものに全力で取り組んでまいりたいというふうに思っています。
(記者)それに関連してお尋ねしますが、温暖化対策なども含めて、最近の環境省の自動車環境対策は、後手に回っている印象があります。かつて1970年の米国の大気浄化法、いわゆるマスキー法の成立後、環境省は1978年(昭和53年)に世界で最も厳しいとされている排気ガス規制を施行し、それをてこに、日本は世界に冠たる自動車王国になりました。しかし、今は水・大気環境局にある自動車環境対策課というのは、私の記憶にある限り5年以上、自動車環境対策課長を大気環境課長が兼務したり、そして現在も水・大気環境局の総務課長が兼務しているというのが実態です。大臣としては、これでは生ぬるいんじゃないか、やる気があるのかと、そういう印象を持ちますけれども、西村大臣、官邸に出かけるのもいいんですけれども、足元の環境省の取組体制がなっていないのではないでしょうか。以上です。
(大臣)今御指摘いただいた自動車環境対策課長、これは確かに兼任しておりますが、現在の兼任している課長も一生懸命、仕事に精励しているというふうに承知しております。ただ、そうした上で、モビリティ、これの重要性というのを踏まえて、令和5年度の機構要求において、モビリティを担当する専任課長、これの新設を要求しているところでございます。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水です。冒頭日経の、幹事社からの質問に関連して、GX実行会議での資料、経産省の西村大臣のペーパーを見ると、排出量取引が前面に出て、炭素税及びそういう賦課するシステムのスキームについては全く、日経の岩井さんも言っていたけど、触れていない。環境省は後退しているのではないですか、一口に言うと。要するに、この間、GX実行会議とか脱炭素化支援機構とか、国民に呼びかける国民運動とか、あれだけのことをやって、炭素税のことを何一つ語りかけない。それは、調整中だとおっしゃるけれども、しかしプロセスをやっぱり国民に示していく。すぐ導入できないなら、こういう形でとか。あるいは少なくとも、これからの施策の展開では、炭素の価格づけというのは炭素税にかかわらず絶対必要なものですよ。そういう御認識、そして炭素税の導入を環境省は「ちゅうちょなくやる」とか、「この1、2年が大変重要な節目だ」とおっしゃっていたけれども、大臣の決意のほどはどうですか。
(大臣)今御指摘ありましたけれども、確かに総理の発言の中では「賦課金」という言葉になっておりましたが、「賦課金」という言葉が炭素税のことだと承知しておりまして、我々環境省としては、先ほど申し上げたように、排出量取引、加えてこの炭素税、それぞれの手法のメリット、デメリットというか、よいところと課題があるところがございますので、その特徴をしっかりと見極めながら、ハイブリッドな形で、それぞれの特徴を活かした形になるようにということで、今この炭素税と、「賦課金」という言い方ですけれど、この部分と排出量取引、これを組み合わせた形でですね、できるだけいい形で予見化の可能性を高めて、そして企業の行動変容、これを促していけるものにしたいということで、お任せしているということではなくて、しっかり環境省の中はもとより、経産省と連携しながら、様々な制度設計を今やっているところです。
(記者)やっぱり、環境行政を前に進める、温暖化対策を前に進めるためには、大臣のリーダーシップが非常に重要だと思うんですよ。調整中というのはよく分かりますけれども、しかし大臣が、こういう炭素税なり、そういうもののプロセスを「こう考えるんだけど、国民はどうですか」という、そういうものが必要だと思うのですが、そこはどうですか。
(大臣)今、そういった制度設計の非常にデリケートな時期に入っておりますので、これをしっかりとした形に作り上げた上で、こういった形で進めていきたいので、ぜひ国民の皆様、そして業界の皆様に御理解いただきたいという手順になるのだと思います。
 
(記者)今、エネルギージャーナルの清水さんに関連する質問で、環境新聞の小峰ですけども、西村明宏大臣が炭素税は賦課金の一種として考えてもいいんじゃないかというふうに考えられるというふうにおっしゃいましたけど、なぜ総理は「賦課金」という言葉を使ったんでしょうか。総理が使うということは、事務局が「賦課金」という言葉を使わせたんですよ。もう百も御承知でしょうけれども。ただ、「賦課金」という言葉で、非常に気になることは、FIT賦課金、再生可能エネルギー固定価格買取制度の賦課金、電気料金に上乗せした賦課金がありますけれども、もうこれも何兆円という国民の負担金がかかってますけれども、要するに、炭素税を導入するとしても、このFIT賦課金を何らかの形で炭素税にも移行すると、こういう考えが総理の「賦課金」という言葉に込められていると私は解釈するのですけれども、大臣も同じ考えじゃないですか。
(大臣)総理がどういった思いで「賦課金」という言葉を使われたかは承知しておりませんけれども、繰返しになりますけれども、こういった、今まで言ってきた「いわゆる炭素税」といったもの、この言葉が、「炭素税」という言葉を使う、使わないという意味ではなくて、その炭素税としてのカーボンプライシングの部分、そして排出量取引の部分、こういった様々なやり方、考え方がある中で、それを組み合わせた良い形をつくり上げるようにというふうな総理の指示だったのだというふうに思います。だから、あまり言葉にこだわるというよりも、このカーボンプライシングが企業の行動変容を促していけるような、そういった形になっていける、実のある形、これをつくり上げるのが一番大事だろうと思っています。
 
(記者)電気新聞の湯川です。COP27で、すみません、何度も同じ質問出ていると思うのですが、G20で先進国と途上国が、なかなか意見がかみ合わなかった部分があると思うのですけれども、改めて日本としてどんな議論をしていきたいか、あと来年のG7にどうやってつなげていきたいか、御意見ください。
(大臣)これも以前からよくお話をさせていただいておりますけれども、昨年COP26においてパリ協定のルールブックが完成いたしました。COP27ではこういった交渉の段階から実施のフェーズにもう入ってきていると思いますので、今回のCOP27においては2030年まで一番重要な10年間、この中において野心と実行力を高める、そうした緩和作業計画を採択することで、この参加国の決意といったものを国際社会に示すということが重要だというふうに考えています。私も国会情勢が許せば、是非閣僚会議のほうに出席したいと思っておりますし、日本としても、パリ協定の6条の実施パートナーシップのこの立ち上げを我が国としてやってまいりたいと思っております。また、ジャパン・パビリオン、これも準備しておりますので、この中において国内の脱炭素に関する技術、そして取組、こういったものを発信すると同時に、途上国への脱炭素移行支援、JCM、こういったものを含めたものを発信していきたいというふうに考えています。
 
(記者)日経新聞の岩井です。カーボンプライシングについて追加で質問をお願いします。温対税の見直しという方向性を過去に出されていますけれども、先ほどの賦課金の議論とあわせてどう理解したらいいのか教えていただけますでしょうか。「賦課金」というのがカーボンプライシングの中では炭素税であるというお話がありましたけれども、温対税の見直しとはどう整合するのかっていうのを教えていただけますでしょうか。
(大臣)ちょっと、その辺のところを、御質問をちょっと詳しく教えていただけますか。
(記者)過去の小委員会で、温対税の見直しを検討したらどうかというのを事務局として出されていますけれども、有識者からいろいろな御意見があったと承知しています。事務局として、温対税の見直しという方向性を出したと理解していまして、その議論と先ほどおっしゃった賦課金の議論というのはどう交わってくるとか、融合されるというか、どうなっていくのかなと思いまして。
(大臣)様々、環境省としても発信してきている中で、今回のGX会議の中で総理からこういった指示がございました。それを受けて、今、GX担当の大臣のほうで形を今検討しているところでございますが、環境省とすれば、その議論にしっかり連携すると同時に、今度、7日に開催するカーボンプライシング小委員会で有識者の意見を伺うと同時に、また個別の様々な論点についてはですね、今申し上げたように、中で議論すると同時に、省庁と連携の中で整合性を図っていくものだと承知しています。
(記者)すみません、別のテーマでもう一問お願いします。2日の原子力規制委員会で高経年化した原子炉の安全規制に関して、30年以降10年ごとに認可していくというような制度案で議論を進めることが了承されたと承知しています。大臣の受け止めをお願いします。
(大臣)原子力規制委員会においては、かねてから、原子力発電所の運転期間に関する法律の定めにつきましては、原子力の利用の在り方に関する政策判断でありまして、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないという見解をお示ししております。2日の原子力規制委員会の定例会合においても、こうした前提をもとにして高経年化した発電用原子炉の安全性をどう確認していくのかという観点から議論が行われたものだと承知しております。原子力施設については、GX実行会議におきまして、総理指示に基づいて、現在、経産省において計画案を検討がされている段階です。今後とも独立性が高い原子力規制委員会、ここにおいてですね、どのような形になるとしても厳格に規制を行っていくというこの方針に関しては全く変わりはございません。そしてまた、環境省とすれば、そうした原子力規制委員会が適切な判断ができるようにしっかりとサポートして参りたいということでございます。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水です。生物多様性、自然保護について伺いたいのですが、30by30とか、今度COP15があって、非常に加速しなきゃいかんと。ところが、日本には自然保護協会という協会がありまして、これが再生エネルギーとか、そういうものによる自然の改変について意見書を出している、大臣のほうにも出ていると思うのですが、一口で言うと、再エネ、特に風力とか、そういうものへの生活環境の改変で非常に問題があるという個別の開発プロジェクトということなのですが、大臣はお聞き及びですか。そして、それに対しての見解、考え方を何かお持ちですか。
(大臣)風力発電、再エネとしては、非常に有意義なものだということで考えておりますけれども、ただ、この風力発電において、各地域で様々な課題が生じているというのは事実だと思います。各地でですね、住民の皆様との軋轢が生じているという事例もございますので、この辺は太陽光パネルにしても風力発電にしても、再生可能エネルギーを進めていくという上においては、環境省として進めていかなければならないのですが、これが地域の景観を崩したり、また地域住民の暮らしに影響を及ぼすということのないような形をしっかり進めていきたいというふうに思っています。
(記者)大臣の地元の宮城県と山形県との県境に陸上風力で非常に問題だという具合になっている、地元紙でも取り上げている、そういう事例がありますので、是非注意しておいてください。
(大臣)その事例につきましては、計画をしていた企業が撤退するというふうに承知しておりますけれども、とにかく丁寧なそういった事業というのを是非お願いしたいし、環境省としてもそういったトラブルがないということが風力発電にしても太陽光パネルにしても推進していける上での重要な基礎となりますので、丁寧な事業展開というものを見守っていきたいと思っています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。今度のCOPで化石燃料への補助金の問題というのもおそらくテーマになると思うのですけれど、日本でも足元のエネルギー価格の高騰からガソリンの補助金というのがずっと続いています。先日の会見のときに「一定期間は必要だけれども」というようなことをエクスキューズ的なことをおっしゃっておりましたけれども、その縮小並びに消していくその指標となるものといいますか、例えば価格とか、どういう考え方でもってこれをやめていく方向にもっていこうとされているのか、大臣のお考えを教えてください。
(大臣)環境大臣として、価格がいくらであったときにやめるべきだというのは申し上げるべきことではないと思いますので、その部分に関しては発言を差し控えますけれども、ただ、大筋とすればですね、そういった化石燃料の使用を減らしていくために環境省としては動きを強めてまいりますけれども、ただ、この前もお話したように、現在の国民の皆さんの暮らしを守っていくという一点においては、暫定的にそういう措置が必要なんであろうと思いますので、ただ、これがいつまでも続いて、化石燃料がずっと、石炭火力等々で続いていくということにならないようには、しっかりと目を配ってまいりたいと思っています。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=mLGqUSw_Pno&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 
(以上)