大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年10月25日(火) 09:39~09:51  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、私のほうから1点申し上げたいと思います。
 2050年カーボンニュートラルや2030年削減目標の実現に向けまして、国民、消費者の皆様のライフスタイルの変革を強力に後押しし、新たな消費・行動の喚起と、国内外での市場拡大にもつなげるべく、新たに「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」これを始動させます。来月のCOP27や、来年のG7を始めとした国際的な場においても、提案、発信をしてまいりたいと考えています。なお、今朝の閣僚懇談会におきましても、この国民運動を官民連携で推進するため、広く所管の業界や団体、企業、自治体の皆様への周知、働きかけなどの協力を各閣僚の皆様にお願いしたところでございます。この国民運動には、既に300を超える自治体、企業、団体の方々が参加を表明されております。そして、本日夕方に開催されます発足式には、私、そして山田副大臣、国定政務官のほかに、200以上のトップの方々にも御出席をいただき、そしてその中の多くの皆様方が意見表明をされたいという希望が届いております。この場におきまして、10年後の暮らしの全体像の発表などを行いたいと考えております。皆様にも奮って御参加いただければと思います。冒頭、以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社のテレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。日本最大のサンゴ礁の石西礁湖の白化について調査結果が出ました。これについての大臣の受け止めと今後の対策について伺わせてください。
(大臣)2005年以降、毎年実施しております沖縄の石西礁湖のモニタリング調査を、今年も9月に実施したところでございます。今年は、沖縄県の八重山諸島周辺で例年以上の規模でサンゴの白化現象が起きていることから、モニタリング調査結果の速報を取りまとめて、昨日その結果を発表いたしました。調査の結果、石西礁湖に設置した全31地点のサンゴの平均白化率は92.8%でありました。大規模な白化現象が起きた2016年、このときは白化率が97%でしたけれども、2016年以降では最も白化が進行しているということが分かりました。サンゴ礁は生物多様性が豊かであるだけではなくて、漁業や観光にとりましても極めて重要な資源でございます。白化によって、サンゴ礁の劣化が進むということは極めて深刻な問題だと考えています。環境省としては、今後、石西礁湖のサンゴ礁の状況を把握するために、本年12月頃に9月と同様の調査を実施する予定であります。これらの調査結果を踏まえて、今回の白化現象の影響の把握に努めるとともに、引き続き、石西礁湖で実施しているモニタリング調査とサンゴ礁の修復事業、これを継続してまいりたいと考えています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。冒頭、紹介のありました国民運動の件なのですが、その国民のライフスタイルの変容を促すには、いろいろな設備を新たに導入したりとか、いろいろ経費もかかってしまうという面もあると思うのですけれども、そういった初期投資とか、かかるお金に対して、国、環境省として、今後どのような支援をしていこうというふうに考えていらっしゃるのか教えていただければと思います。
(大臣)この国民運動の、まず立ち上げの狙い自体は2030年の46%削減、これを実現するためには、家庭部門においては66%の削減が必要であります。そして、国民や消費者の皆様の、まさに行動変容、そしてライフスタイルの変革ということが急務であります。ただ、そうした中で、国民の皆様の間においては、「何をしたらいいのか分からない」といった、削減に向けた取組がまだ、うねりを持って進んでいるというふうな状況ではないというふうに考えています。こうしたために、「何をすればよいのか」という疑問にお答えするために、政府としては、衣食住にわたる将来の暮らしの全体像というか、絵姿、これをお示しすると同時に、自治体や企業、団体の皆様と一緒になって、国民の脱炭素につながる豊かな暮らし、これを後押しするために、今回の新たな国民運動を立ち上げることとしたわけでございまして、その詳細につきましては、本日の発足式において発表させていただきたいというふうに考えておりますし、今、御質問のあった支援策等々の話につきましては、これからですね、国民各層の間で様々御意見や御要望を承りながら、「新しい豊かな暮らし」というものを実現するために、国民・消費者に対する必要な支援というのを考えて実行してまいりたいと思っております。
(記者)例えば、断熱化なんかは、今度の総合経済対策か何かにも含まれているようですけれども、具体的に、何か大臣の中で問題意識があるようなものがあれば、お示しいただければと思ったのですが。
(大臣)細かな具体策というところは、今、検討している最中でございますけれども、ともかくこの国民運動を立ち上げて行動変容を促していこうというのが今日のスタートでありまして、その中で国民の皆様にとってどうしたらいいんだろうというような、疑問の声も承りながら具体的に、今の御質問、「もう少し具体的な」という御質問でございますけれど、こういったところをさらに詰めていきたいというふうに考えているわけでございまして、本日がスタートというふうに御理解いただければと思います。
(記者)別件ですけれども、経産省のほうで、今後の長期の電源確保策の検討を始めているようですけれども、その中には、天然ガスなど、化石燃料を使った火力発電の新設、建設というものも含まれているようです。今年の春先のG7大臣会合で2035年に電源の大宗を脱炭素化するということを日本も含めて合意していると思いますし、あとは30年までにCO2の排出量を半減しないと、1.5度目標に達することができないという、そういうIPCC等からの警告もあると思うのですが、そういった、2050年よりもちょっと前の、30年近辺でのCO2排出量の指標と言いますか、ベンチマークといったものを環境省として、政府内での議論で求めていくといったようなお考えはございませんでしょうか。
(大臣)今、様々な脱炭素に向けた発電の取組、進めておりますし、報道にもありましたように、例えば、大規模発電所の収入保証みたいな記事も出ておりましたが、こういったものは、例えば、その件でいうと、小売電気事業者などから集めたそういった資金を、脱炭素電源の新規投資というものを行う発電事業者に対して、長期的に融通する仕組みなんかも、資源エネルギー庁で現在検討しているわけでございます。例えばこのシステムでいうと、石炭火力への新規投資は対象外でありますし、また、アンモニア・水素を混焼する投資、これに関しては、2050年の専焼化に向けたロードマップ、これを提出してくださいという形で、こういった制度によって、石炭火力発電自体を最終的にフェードアウトさせていくということでありまして、G7の気候・エネルギー・環境大臣会合の合意に沿った中で、そういった様々な施策を今進めています。環境省としても、気候変動対策の観点から、今後の制度設計と、そして事業者の取組というものを注視、支援して参りたいというふうに考えています。


(記者)フジテレビ藤村です。山際大臣の辞任を受けて所感をお聞かせいただけますでしょうか。
(大臣)山際大臣が昨日国会審議に支障を来すということで、総理のほうに辞任の申出をされて、了承されたというふうに承知しております。今後とも内閣、政府とすれば、直近の経済対策、補正予算もございますし、また、年末には来年度予算の取りまとめもございます。それぞれの所掌をする大臣が所掌任務の中でしっかりと仕事をしていく、環境大臣としてもこういった脱炭素化の取組を含めた、そしてまた本日の国民運動のスタートを含めた形で、しっかりと仕事をして国民の皆様の信頼を得ていきたいというふうに考えております。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=S2wiTG4R1-k&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE&index=1 
 
(以上)