大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年8月26日(金)11:29~11:59  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 皆さん、お疲れ様です。本日、私からは冒頭に、4点についてお話をさせていただきたいと思います。
 まず1つが、G20環境気候大臣会合についてでございます。この大臣会合に出席するために週明けの29日からインドネシアに出張いたします。G20は世界全体の温室効果ガス排出量の8割を占める主要経済国の集まりでございます。ロシアのウクライナ侵攻の中にありましても、こうしたG20が世界の環境や気候変動問題に揺るぎなく取り組むと、そういった決意とリーダーシップを示す会合にしたいというふうに考えています。来年は、我が国がG7議長国を務める予定になっています。来年、日本が議長としてG7で更に取組を加速することができるように、G7各国の閣僚とも現地で意見交換をし、また信頼構築の第一歩としてまいりたいと考えています。やはりこういった大きな問題に取り組むに当たってはですね、それぞれの人対人との信頼関係というのは非常に重要だと思いますので、今回、そういった第一歩の顔合わせを含めてですね、信頼の第一歩、そして、それが大きな成果を得る第一歩になるようにしたいというふうに考えています。
 次に2点目として、第2回のGX実行会議についてであります。8月24日に第2回のGX実行会議に参加しましたので、その結果を報告させていただきたいと思います。日本のエネルギー安定供給の再構築について幅広く議論が行われました。私のほうからは、足元のエネルギー危機に対応するために省エネや再エネ、蓄エネのセット導入といった即効性のある取組を地域で真っ先に進めることが重要であるということ、特に今、住宅ストックが5,000万戸ぐらいありますけれども、そういったうちのまだ9割弱が省エネ基準を満たしていない。こういったところを、例えば断熱リフォームをやったり、太陽光発電や蓄電池といったものを導入することによって、即効性のある取組を進めていく必要性について話をしました。そして、このような地域ぐるみの取組を全国展開、そしてさらには海外展開することで、長期かつ大規模な需要ということも創出して、脱炭素と経済成長、すなわちGX実行の土台づくりを進めることについて発言をいたしました。環境省としましては引き続き、地域脱炭素、ライフスタイル転換、カーボンプライシング等を中心に、これまでの経験や知見を活用しまして、政府全体のGXに関する議論に貢献してまいりたいというふうに考えています。
 3点目として、二国間クレジット制度の構築に係る日本とセネガルの協力覚書の署名についてであります。我が国は御承知のように、二国間クレジット制度、いわゆるJCMを通じて、世界の脱炭素化に貢献をしているところでありますが、明日からTICAD8が開催されますが、経済成長著しいアフリカ諸国の脱炭素移行の支援が今後重要となってまいります。こうした中、昨日、伊澤修駐セネガル大使とサル・アブドゥ・カリム環境・持続可能な開発大臣との間で協力覚書の署名がなされました。セネガルが18か国目のJCMパートナー国となったところでございます。今後、こうした優れた脱炭素技術の普及を通じて、セネガルにおける排出削減を実現して、両国の削減目標の達成に貢献してまいりたいというふうに考えています。その他の国々につきましても今、鋭意交渉を進めているところでございますので、こういった協力覚書の署名が行える結果になりましたら、またその都度、御報告をさせていただきたいというふうに考えています。
 次に、日本製鉄の東日本製鉄所からのシアン流出案件でございます。8月17日に日本製鉄株式会社から千葉県に対しまして、君津市の東日本製鉄所において、排水基準を超過した水質分析結果が記録されていなかった等の不適切な取扱いがあったという報告がなされております。現在、千葉県において立入検査等によって事実関係を確認してるところであります。法令に基づく適切な対応がされずに公共用水域の安全を脅かす事案でありますので、大変環境大臣として遺憾に思っております。当該事業者には、千葉県の指導の下で原因究明及び再発防止に全力を尽くすよう求めたいと思います。また、その他の事業者におかれましても、改めて水質汚濁防止法に基づく適切な排水管理、測定、記録などの対応をお願いしたいと思います。
冒頭、私からは以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社のTBSテレビの池田と申します。よろしくお願いします。改めてになるのですが、G20に参加されるということで、大臣がG20に期待されていることについて改めてお伺いをします。
(大臣)まず、ロシアのウクライナ侵攻があっても、G20が環境・気候変動問題に揺るぎなく取り組むといった姿勢を示すこと、これが重要だというふうに考えています。加えて主要経済国の集まりでありますG20ですから、このG20がパリ協定と整合する排出削減の姿勢を示していくこと。そしてまた、生物多様性条約のCOP15におけるポスト2020の生物多様性枠組みの合意に向けた後押し、また日本が2019年にG20議長国として取りまとめた、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを踏まえた取組の発展、こうしたものをしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。
(記者)ありがとうございます。2点目で、GX実行会議についてお伺いします。岸田総理から、次世代原発の建設を検討するようにという指示があったということですが、環境省としての受け止めについて教えてください。
(大臣)第2回のGX実行会議において、安全性の確保を大前提とした運転期間の延長など、既存原発の最大限の活用といったもの、そして新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設といった、今後の政治判断が必要とする項目が提示されました。こうしたものに関しましては、年末までに具体的な結論が出せるように、こういったエネルギー政策、エネルギーの利用を所掌しております経済産業省において検討が進められるというふうに認識しております。その検討状況を環境省としても注視してまいりたいと思います。
 
(記者)共同通信の出崎です。今の関連なのですが、次世代原発のところで、基本的に経産省が検討するということですが、環境省としてどのようにして、何かしら関わりがあるのか、まずお伺いできますか。
(大臣)原子力の利用に関しては経済産業省が第一で検討を進めるということでありますが、環境省とすれば、とにかく安全第一という、安全性について、しっかり確保していくという観点からしっかり見ていきたいと思っておりますし、非常に独立性の強い原子力規制委員会を所管しておりますので、この原子力規制委員会が適切に判断していくことを後押ししていきたいというふうに思っています。
(記者)関連なんですけど、これまで新設の話とかは政府としてしないという方針だったと思うんですけど、それが方針転換になったと考えることができると思うんですが、その点について、大臣としてどうお考えでしょうか。
(大臣)こういった検討に政治的決断が必要だというものに関して、提示があったというのは事実でございますが、環境省とすれば、先ほど申し上げたようにですね、安全性をしっかりと確保していくということにおいて対応していく話になります。
 
(記者)NHKの安藤です。今のに関連してなんですけども、山口前大臣は「再エネの拡大を図る中で、可能な限り原発の依存度を低減する」というふうに言っていて、環境省も再エネの拡大を図っていたと思うんですけれども、それについて大臣、今回、方針転換と思われるようなことになりましたけど、再エネの拡大についてはいかがお考えでしょうか。
(大臣)再エネはしっかりと拡大してまいりたいというふうに考えています。今ある太陽光、風力といったものもありますし、私も就任の記者会見で申し上げたように、地熱、まだ主力電源化には道のりは長いですけれども、こういったものを含めて、しっかりとした再エネの拡大は図ってまいりたいというふうに思っています。
(記者)その中で原発の新増設とか、そういったことも考えていかなければいけないということですか。
(大臣)環境大臣とすれば、次世代型革新炉についての提示がありましたけれども、これの開発等々を進めていく、開発、建設という話の中で、環境省とすれば安全を確保して、しっかりと原子力規制委員会がチェック体制を適切に行っていけるようにサポートしていくというのが環境大臣としての仕事だと思っています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。気象庁などのデータを見ますと沖縄周辺で海水温が非常に高い状態が続いておりまして、これによる影響と見られる白化現象などが石垣島や西表島周辺でも見られていることになりますけれども、このことについての大臣の所感と、あと環境省としての対応などがあれば教えてください。
(大臣)サンゴの白化の件ですね。サンゴの白化現象というのは、例年確認されているものではありますけれども、今年は特に7月の下旬から石垣島や西表島を含む八重山諸島周辺で、例年以上の規模で白化現象が確認されているというふうに承知しています。サンゴ礁というのは、御承知のように生物の多様性、非常に生き物の宝庫というか多様性が豊かなところでありますので、漁業、そしてまた、シュノーケリングを含めた観光といったものにとって、非常に重要な資源であります。白化によってサンゴ礁の劣化が進んでくということは、そういった漁業や環境を始めとした生物多様性にとって非常に深刻な問題だというふうに受け止めています。サンゴ白化の原因は、今おっしゃっていたように主な原因は海水温の上昇というふうに言われておりますので、根本的な問題の解決のためには、気候変動の緩和、これを我が国のみならず、地球規模でしっかりと進めていくというのが一番重要な問題だというふうに思っております。ただ、足元でサンゴの白化現象が非常に進んでいるという中ではですね、とにかく環境省としては現地の関係者、専門家の皆様に情報収集を行っております。9月頃に石垣島周辺にある石西礁湖において、モニタリング調査を実施する予定になっております。こうした調査結果を踏まえて、関係者とも対応を検討してまいりたいというふうに思っています。この海域、島の地域は、御承知のように国立公園ですので、大きな原因は、海水温上昇を抑えていくということでありますけれど、足元のサンゴが白化していくというものに関しては、死滅、絶滅しないようにサンゴの移植を行ったりして、ともかく再生に向けての取組も環境省として今、進めているところです。
 
(記者)日経新聞の岩井です。GX実行会議の原子力に関して重ねてお伺いしたいんですけれども、環境大臣として何をやっていくかということはよく分かるんですけれども、西村さん、一政治家としてですね、運転期間の延長と新増設については賛成されるんですか。
(大臣)今日のこの会見は環境大臣としてやっていますので、「一政治家として」というのは、また別の機会にお話しできればと思っています。
(記者)閣僚の一人としてですね、この原子力の扱い方についてのお考えをお伺いしたいんですけれども、経産省が出している試算で、太陽光発電のほうが30年時点で、原子力発電よりも電気の値段が安くなると。太陽光発電のほうが安くなるという試算も、経産省が出している状況で、果たして原子力の新設というのが経済的にどうなのかということを私は疑問に思っているんです。それをすることが日本の国の発展にとってプラスになるのか、マイナスなるのか、分からないなと思っているんですけど、どうお考えでしょう。
(大臣)安全性第一、これは大きな柱です。もう1つは日々のエネルギーの安定供給という意味においても、日本経済、そして皆さんの暮らしを守るということにおいて必要だと思っています。そうした中で、再生可能エネルギー、特に太陽光だけに限るとですね、採算性の部分のみならず、ベースロード電源としての電源が維持されるということが、エネルギーの安定供給において非常に必要になってきます。そのベースロード電源が失われると、北海道で起きたブラックアウト等を含めたですね、様々な皆さんの暮らしに大きな、また経済に大きな影響が出ることにもなりかねませんので、そうした安定供給の考え方と、そして第一に安全というところをうまくミックスしながらですね、やっていかなければいけない。だから、今回こういった提示がなされたということにおいて、経済産業省において、その検討を進めるでありましょうし、ただ、我々とすれば、安全第一でありますよということと、環境大臣としてベースロード電源うんぬんということについてですね、言及する立場にはないですけれども、ただ、先ほど申し上げたように、地熱、そういったものであればですね、非常に大きなベースロード電源になり得るわけですので、こういったものを環境省として進めていくことができればなというふうに考えています。
(記者)もう1点なんですけれども、環境省は福島の除染であったり、福島の復興というものを担当されていると思うんですが、これも環境省だけの話でないんですけれども、廃炉について、デブリの取り出しが遅れるというニュースもありましたが、いろいろ解決していない問題とか見通しがない問題というんですかね、または出せていない問題というのが山積している状況だと思います。
 その中で、原発の新設の方針、検討の方針ですかね、というのを議論するのがちょっと早すぎるんじゃないかというような考え方があると思うんですが、東北に選挙区がある西村大臣としてもいかがでしょうか、その辺り。
(大臣)先ほどから申し上げているように、今日は環境大臣として申し上げられるのは、そういった新しい開発等々において、しっかりと安全性が担保されるのかということを原子力規制委員会が職に精励して、適切に対応できるかどうかをサポートしていくというのが私の立場であります。そうした中で、今おっしゃったような福島の課題等々にはしっかり寄り添っていきたいと思っておりますし、今の福島の内堀知事とも就任早々、直接お伺いして、様々なお話を伺ってきましたし、関係した大熊、双葉を始めとした町長の皆さんとも意見交換しながら、今しっかり進めているところであります。
 
(記者)エネルギーと環境の大村と申します。よろしくお願いします。やはり原子力の話で、先ほどの大臣の言葉で、1つすごく気になったことがあります。1つ、それは「原子力規制委員会が審査をスムーズに進めるよう後押しをしていく」と言われたんですが、もちろん経産省はそういうことを公然と話をしていますが、それは一方で、規制委員会に圧力をかけるというような受け止め方もできる。僕はそのように聞こえます。そこは環境省の規制委員会への関わり方という意味で、そういったものを排除していく役割があると思うんですが、その辺はいかがお考えでしょうか。
(大臣)原子力規制委員会が、規制委員会として独立性を持ちながら適切な判断をしていくということに対して、環境省とすれば予算面や体制面において支援するということでありまして、その中身をどうこうしろという立場にはないです。
 
(記者)朝日新聞の関根です。聞こえておりますでしょうか。就任会見のときに伺って途中になっていた例の旧統一教会の件なんですけれども、宮城県での集会への大臣御自身の参加について、確認作業を可能な範囲でしていただけるということでしたけれども、その後の状況について教えていただければと思います。よろしくお願いします。
(大臣)2019年に仙台で開催された「激動の二〇一九年 日本の行くべき道 安全保障フォーラム 宮城県大会」の件でございますけれども、これは就任会見のときにも申し上げましたように、英霊にこたえる会の名誉会長、また防衛省統合幕僚長、そして有名大学の教授や評論家といった著名な保守系識者の方々が主催、世話人をされるフォーラムとして、県連に案内がございまして、当時、県連会長であった私が宮城県の世話人になったところでございます。その中で、出欠について、当時の状況を事務所に確認しましたが、出欠の記録が残っていないということで、更に確認をというふうに関根記者のほうからお話がございましたので、調べてみました。当時の依頼文書というのはなかったようですけれども、県連のほうに確認いたしましたら、英霊にこたえる会の名誉会長のほうから、宮城県でそういったフォーラムを開くので、協力いただきたいという旨の連絡があったと思われると。文書が残っていないので、当時の職員の話だと、そういう話がございました。それでは、その話をお持ち込みいただいた名誉会長にきちんと連絡を取って、私が出席したかどうか、そしてまた、それまでの経緯についても確認してほしいという話をしたところでございます。ところが、この方と連絡を取っていただいたところ、今年の3月に御逝去されていたということで、ちょっとこれ以上調べようがない状況になったところでございます。ただ、鋭意、そういったものに向けて、私としても調べた次第でありますけれども、御逝去されているということでございました。ただ、重要なことは、こういった社会問題で指摘されている旧統一教会としっかりと一線を画して、こうした関根記者を始めとした皆様の疑念を招くことが今後ないように、一層注意を払ってまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)日本テレビの松野と申します。よろしくお願いいたします。話が戻りまして、原子力の件なんですけれども、先ほどのお話の中で、年末までに判断するようにという指示があったということなんですけれども、原子力規制委員会のほうには具体的にはどういった判断を求めていくということになるんでしょうか。
(大臣)原子力規制委員会においては、そういった次世代革新炉の開発等々について検討した経済産業省の話が出てきた上で、その安全性をしっかりと確認していく。その原子力規制委員会の判断、さっきお話があったように、それは環境大臣として、環境省としてプレッシャーをかけるというものでは全くなくて、原子力規制委員会が独立して判断していくことを環境省とすれば支援していくということです。
(記者)ありがとうございます。経産省のほうで基本的には話を進めていて、それをもとに規制委員会が安全性を見ていくということになるかと思うんですけれども、先日、原子力規制委員会の委員長の会見でですね、今ある原発の審査の新規制基準というのは、既設の、今ある原発に対してのものであって、新増設であるとか新しいタイプの新型革新炉とか、新しいタイプの原発を審査するような基準とはなっていないというので、そのまま審査できないんですね。ということで、新たな基準をつくるには、やっぱり規制委員会でも1年から1年半はかかるかなというふうな、すぐにぱっとできるような話ではないというふうなお話だったんですけれども、この実現可能性といいますか、今後のスケジュール感などを含めて、年末の判断を踏まえた上でということになるかと思いますけど、この辺について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(大臣)繰り返しになりますけれども、そういった向こうからの経済産業省としての話が出てきた段階で、原子力規制委員会がしっかりとそれを判断するということを環境省とすれば、体制を支援していくということでございまして、その1年とか1年半とか、そういう細かい話は原子力規制庁のほうで対応すると思いますので、お問い合わせいただければと思っています。
 
(記者)NHKの林です。冒頭に発言があった千葉県のシアンの問題に関してなんですけれども、事業者に適切な管理を求めるということなんですが、今後、環境省として、例えば自治体であったりとか、何らか対応を検討していることというのはあるのでしょうか。
(大臣)今、千葉県において周辺の水質状況を確認しているということでございまして、今、シアン等については正常な水質が保たれていて、健康に影響があったという報告はないというふうに承知しております。ただ、6月19日に周辺海域で魚の死骸があったということが確認されていますので、千葉県とか地元市においては周辺の住民に対して、その水を飲んだり、魚を釣って食べたりしないように周知を行っているというふうには承知しております。詳細は担当部局のほうで細かく御説明できると思います。
(記者)同様の施設を持ちます他の自治体など、何かそういったことに対する注意喚起なり、そういったことというのは検討されているのでしょうか。
(大臣)そうですね、当然、こういったものは各自治体のほうでやっていただく部分の仕事でもありますので、環境省とすれば各自治体と連携しながら、排水基準を守ってもらって、また水質検査の記録や保存の義務をしっかりとやっていただくように、各自治体には周知、お願いしたいというふうに考えています。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=qsrFMFpVZKA&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE 
(以上)