大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録 (令和4年7月15日(金) 10:44~11:12  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日、私から発言させていただくのが1点、熱中症対策推進会議についてです。
 今年は6月末から全国的に記録的な暑さとなっています。熱中症による救急搬送者数や死亡者数が急激に増加しています。夏本番を迎えて、今後の熱中症の被害を最小限に食い止め、国民の皆様一人一人の命や健康を守るため、私が議長を務め、関係府省庁が参加する熱中症対策推進会議を来週7月21日に開催させていただきます。この会議ではこの夏の厳しい暑さの状況や関係府省庁における取組状況などについて共有を図るとともに、冷房の適切な利用やマスクの着脱などの熱中症回避策の徹底について議論する予定です。報道関係の皆様にも熱中症警戒アラート等の情報発信等について、引き続きの御協力をよろしくお願いします。以上です。
 

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の関根です。よろしくお願いします。この夏のGX実行会議、官邸で行われるものだと思うのですが、環境省として実現を求めていくことについてはどのように考えているのかということについて、改めて教えていただきたいのと、そのための検討体制ですね、経産省のほうは事務的な会議を立ち上げましたが、環境省はどんな体制を検討していらっしゃるのか教えてください。
(大臣)クリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会、そこが出発点ですけれども、1月18日に総理から私と萩生田経産大臣とが協力して、私に対しては地域脱炭素、それからライフスタイルの転換、あるいはカーボンプライシング、そういう論点について方向性を出すように指示があったところです。環境省として、炭素中立型経済社会変革小委員会における議論の成果を踏まえて、5月に中間取りまとめを示したところです。環境省としては、GX実行会議に向けて、新たに事務次官をヘッドとするタスクフォースを設置し、中間取りまとめの結果も踏まえつつ、経済社会変革のグランドデザインについて、関係省庁ともよく連携しながら検討を進めていきます。内容的には我々の宿題となっているところ、特にこの成長志向のカーボンプライシング、その具体化を前提に、このGX経済移行債20兆円を先行調達というのが総理の5月19日での取りまとめでしたから、そういう意味では、我々、これからGX実行会議の中でカーボンプライシングの方向性についてもきちんと議論をさせていただかなければと思っています。その中で一番のポイントが、脱炭素ということで、いろいろなイノベーションが必要な中で、この20兆円なり、その資金を官民で膨らましていけるか、そしてそれがESGマネーにアピールできるような、そういう内容にできるか、それを決めていくのがGX実行会議だというふうに思っています。環境省としては、その中の大前提であるカーボンプライシングの方向性、それと一緒に地域脱炭素、今までツールが整いつつありますから、それと省エネを含む国民のライフスタイルの変容、そういうことの具体化が、更にできるようにと思っています。体制としてはタスクフォースが必要だろうなと。そんなに大きい役所ではないですし、ふだんから、よく意見交換というか意思疎通図っているわけですけれども、やはりこのGX実行会議を念頭に置いたタスクフォースが必要だろうなと思うので、和田次官筆頭にしてそういう体制を新たに組んでいただきたいなというふうに思っています。
(記者)タスクフォースですけれども、細かくは事務方に聞きたいと思いますけど、もう立ち上がったということですか。いつ付で立ち上がったんでしょうか。
(大臣)これから立ち上げてもらいます。
(記者)近くということですか。どうしてもやはりカーボンプライシングというと炭素税が経産省は慎重で、環境省は求めているということで焦点になるかと思うのですが、こちらの導入を求めていくという理解でよろしいのでしょうか。
(大臣)例えばEUで炭素国境調整措置というものも議論になっているわけですから、それはこっちで炭素税をきっちりかけていないと、向こうで関税取られるという話で、それはもう漫画みたいな話になりますからね。そういう世界的な動き、経産省とのつながりも大事だし、炭素国境調整措置というものを念頭に置けば炭素税というのは議論せざるを得ないと思います。したがって、カーボンプライシングの排出量取引あるいはJCMのみならず炭素税、そういうことも議論をしなければいけないなと思っています。
(記者)GX国債20兆円の償還財源としてもこの炭素税の導入というのは検討されるべきだと、そういうお考えということでよろしいですか。
(大臣)償還財源だけの意味ではないですよね。いわゆる炭素税というのは二酸化炭素を使うことに対して価格づけをするわけですから、二酸化炭素を減らせば、またそういうものがいろいろとやり取りされるというのが排出量取引だろうし、いろんな意味があると思います。その20兆円をどういうふうに扱うかというのは、これから実行会議で決めていくことですけれども、私的には、やっぱり建設国債、赤字国債に加えて新しい国債としてそういうものがあってもいいのではないのかなと。これは未来に対する投資だと。今借金するというよりも未来に対する投資だという意味合いが非常に強いものですから、そういう扱いをしてほしいなというのもあります。それは実行会議を経ていろいろと決まっていくことでしょうから。炭素税ということであっても20兆円の償還はそれだけではとてもじゃないけど無理だと思います。だから今の地球温暖対策税、それが2,200億円というふうに頭に入っていますが、全然足りないわけですよね。もう何兆円レベルというか何十兆円レベルというか、そういうことでいけば、それプラス炭素税という論理づけがあるけれども、償還財源としては全然足りないと思います。だからそういう意味で国全体として国債を発行して、それを未来に対する投資という意味で発行して、そのことがESGマネー4,000兆円に対する強いアピールになるようにという呼び水としての意義づけを持たせたほうがいいのかなと。だから国内だけで支払ってしまうというよりも、幅広い返し方というのを考えられないかなというふうに思います。これ全部、実行会議の中で議論されていくことではあります。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。今のタスクフォースのお話ですけれども、設立の時期であるとか、あるいはメンバーなどはどういった方を想定されてますでしょうか。
(大臣)時期は決まってはいないと言いながらも、早急にやらなければいけないと思います。今日から即議論していただきたいし、メンバーはもちろん関係のメンバー、その中には地域脱炭素の話も含むし、それからライフスタイル変容の関係も含むし、それからカーボンプライシングも含むし。かなりの範囲に及びますけどね。そういう関係の部署の方々で編成していただきたいなと思います。
(記者)基本的には省内の方で、有識者とかを入れるわけではないということでしょうか。
(大臣)そうですね。事務的な作業のためのタスクフォースです。
(記者)そのタスクフォースとして、議論してほしい内容だったり、あるいは設立の狙いというか、その辺りもう一度教えていただければ。
(大臣)これから経済産業省と緊密に連携してコラボしていくわけですが、経済産業省的なポジションは当然あるわけだし、環境省としては地域脱炭素のことについてはこちらのほうで大分道具立ても整えてきたわけで、ライフスタイルの変容についても今までの蓄積があるから、これはこれで大丈夫。一番頭を使って心合わせしなければいけないのはカーボンプライシングだと思います。ですから、そういうところを作業するためのタスクフォースの中では、カーボンプライシングに関しての作業がかなり大変だろうなと思います。
(記者)ちょっと話が変わるのですが、安倍元総理の銃撃の関連で、旧統一教会、今の世界平和統一家庭連合と容疑者、あるいは安倍元総理と教団との関係が取り沙汰されています。一応確認なのですが、大臣は民主党時代も含めて関連はないのでしょうか。また、この件について所感などあれば伺いたい。
(大臣)いろいろな意味で政治家だから接触あるかもしれませんけど、私的には意識的にそういうことをした覚えがないです。そういう関係の方が、私の集会に来ておられたかもしれません。でもそれは分からないです、そこまでは。でも意識的に何か接触していたという意識はありません。
(記者)旧統一教会への印象というか、そういったものは何かありますか。
(大臣)まだ全貌分かってないから、あまりここで私が決めつけたような話をしないほうがいいとは思います。今、いろいろな意味で明らかになりつつあるんでしょう。すみません。
 
(記者)共同通信の水内です。カーボンプライシングに話が戻ってしまうのですが、炭素税を避けては通れないという御認識だと思います。EUのほうの動きを踏まえて、それに日本も対応するためには、早めにもう決めてしまわないと、炭素税の拡大だったり排出量取引だったり、どんな形であっても早めに決めてしまって準備をしたほうがいいと思います。年内に実行会議のほうでロードマップという話がありますけれども、カーボンプライシングについて、いつまでにこれを導入するというところまでいくという認識でしょうか。
(大臣)EUで作業が行われていることはもう確実ですよね。いろいろなメディアで伝わっているところですから、それは疑う余地がない。それに対してどう対応していくかということからいったら、今水内さんが言われたように、「こちらもこんなこと考えているんだ」という1つの原案を持って、接触を始めたほうがいいのではないかなと、私的には思います。ですから、原案は早いところ、やっぱり欲しいなというふうに思います。政府間で、EUの事務局と、それから日本の政府との間でいろいろなやり取りを当然やっているわけですから、そのうちの1つ、一環として、このカーボンプライシングについても突っ込んだ意見交換をこれからなされていくべきだなというふうに思います。いつまでに、というのはちょっと私も今まだ見当つかないのですが。私自身がまだその原案を見ているわけではないから。ただ事務的には相当な作業の蓄積はあるようです。ですから早いところ具体化を思い切ってしてもらってもいいのではないかなと思います。総理のほうから5.19に、成長志向のカーボンプライシングの具体化という前提で脱炭素国債20兆円の先行調達ということを明言されたわけですから、そういう意味ではカーボンプライシングというものを具体化する作業というのは総理の指示だと受け止めています。できるだけ早くしないといけないと思っています。いつまでかというのは、すいません、言い切れる状態ではありません。
 
(記者)環境新聞の小峰でございます。おとといの午後ですが、大臣室のある24階のフロアをうろうろしていたら、50代半ばの二人の男が、大臣室に入っていくのを見かけたんです。ぱっと見たら経産省の産業技術環境局長の奈須野太前局長と新任の畠山陽二郎氏の二人だったのですが、挨拶かなと思ったら、時間を見たら32分間もいたんですね。挨拶だったら5分くらいで済むのですが、何をお話しされたのですか。
(大臣)「経産省と環境省は一心同体に近いではないか」と、「緊密な連携」と、「コラボ」と、よく言わせてもらっています。奈須野さんはグラスゴーでのCOP26でも一緒に頑張っていただいた同志、あるいは戦友というぐらいの意識を持っています。私も、経産省の立場も十分に配慮したような対応ができるようにということを思って緊密に奈須野さんとも連携させていただいた次第です。特に石炭のことについても、いろいろなやり取りがあったわけですから、その場で決めずに、「経産省としての立場はそれで大丈夫かい」ということを確かめさせていただいた次第です。後任の畠山局長は、もともと環境省にも御縁のあった方のようですし、これからもさらに一体感を持って一緒に頑張らせてくださいということでお話をさせていただきました。石炭については、JERAでアンモニア混焼のプロセスを進めているわけですけれども、予定よりも1年前倒しということを聞いております。それから、今、ドイツでは急速に石炭回帰と。現実問題としてそういうふうにせざるを得ないということだと思いますけれど、そうすると、このアンモニア混焼というのが非常に参考になるようなことも聞いています。そういうことも含めて、これからもよろしくお願いしますというような会話をさせていただきました。32分でしたか。
(記者)記者ですから時間にこだわりまして。新任の畠山陽二郎さん、お父さんは経産省の貿易局長をやられていて、大臣も外務省で経済局にいらっしゃいましたから。
(大臣)御子息になるんですか。
(記者)そうなんですよ。御存じですか。
(大臣)ごめんなさい。今、教えていただきました。
(記者)畠山陽二郎さんの印象はいかがですか。
(大臣)きっちり仕事をされる方だろうなということはよく分かります。そうですか。御子息ですか。なるほどね。外務省の場合も親子二代でやっておられる方が時々いるんですけどね。経産省でもそういうケースがあるんですね。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。GX実行会議に向けたタスクフォースですが、目下のアウトプットについて、夏にあると言われているこのGX実行会議までに、何かアウトプットを、打ち出すということで考えていいのでしょうか。
(大臣)参議院議員選挙が終わったわけですから、言ってみれば、いろんなことの具体的なプロセスが始まっていく中の1つがこのGX実行会議だと思います。できるだけ早くやらなければいけないことの1つだと思います。夏と言われているわけですが、突然行われるかもしれないし、その場合でも何回か行われるのでしょうけども、その中で当然、1つは脱炭素国債と私が呼んでいるGX経済移行債20兆円、このことについての具体的な話がまずは話題なると思います。今、経済界のほうでもすごくいい話だなと思っていただいているかもしれませんけど、具体的にはどういうことになるのだろう、と待っておられると思うので、アウトプット的には、そのような気持ちに応えられる内容にしなければいけないなと思います。それから、もちろん不安とともに関心を持っていただいているのがカーボンプライシングのありようだと思うし、このGX経済移行債といわれる脱炭素国債の20兆円は大前提として成長志向のカーボンプライシングということがあるわけですから、それはセットになったものだと私は認識しています。したがって、カーボンプライシングについても若干なりとも議論が前に進むように、そこは頑張っていかなければいけないなと。それが総理の意向に沿うことなのかと思っています。どこまで具体にできるかは分かりませんけどね。特に脱炭素国債のほうは、どういう性格の国債か。要するに私が言うような建設国債、赤字国債等と別の新たな国債なのか。そういうことも含めて議論されてしかるべきなのだろうと思います。償還財源も当然に議論になるわけです。償還財源といっても地球温暖化対策税を延ばしたような炭素税で足りないことは目に見えていますから、国全体の枠組みで考えていくということになるだろうと思うのですが、そういうことも具体的な議論になると思います。それから、どれだけシードマネーとしての機能を果たすだろうか、例えば何倍ぐらいに官民で膨れ上がりそうなのか。それも少し分かるようなことになればいいなと思います。いろいろ具体化したいことはあるでしょうけど、やっぱり経済界の気持ちに応えられるような、「そういうことなのか」と納得していただけるような議論をしなければいけないなと思います。
(記者)もう1点、今の時点でのタスクフォースの立ち上げを表明したということは、これは、経産省は対策本部を既に立ち上げて、このGX移行債の償還財源の検討を進めているわけで、少し先行しているというよりは若干、遅かったかなという印象も受けるのですけど、その辺りについてはどうでしょうか。なぜ、このタイミングなのかは。
(大臣)別に遅いという感じはしないです。地域脱炭素については、全然早くて、全国行脚までやってしまいましたからね。法律を通して、我々は相当自信を持っています。今からやり始める作業ではなくて、改めて実行会議が始まりそうだから、構えを整えるかと。ガンダムの部品がバババッと集まってバッとできる、そんな感じですよ。パーツが全部あるのだから。そういう意味では別にゼロから始めるのだったら、今岡田さんがおっしゃったようなことだろうけど、かなりの部分ができていますからね。カーボンプライシングについても相当な蓄積を内部で持っていますから、何も遅れたということではなくて、「ここからきちんと構えを作っていくか」という話です。環境省はこの半年の間に相当なことを進めてきました。このことについては、1月18日の「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会が始まって以降、全国行脚でカーボンプライシングのこともいろいろと提議しながら、産業界との間でも提議しながら、産業界の提議といっても、鉄鋼、石炭、石油、ガス、自動車、航空、経団連、日本商工会議所、相当なところで種はまいてきました。それから、私もメディアでイノベーション国債200兆円ということを言い始めてから、それが大分伝わって、経団連ではグリーン国債400兆円というところまでたどり着いて、結果的に総理が10年150兆円ということを言われ、我々は先行調達20兆円。ですからいろいろなところをもう既にやっているわけですから、別にタスクフォースがあろうが、なかろうが相当なところまで来ています。そういう意味では、我々の、言ってみれば最終的な構えを整えるだけの話ですから、経産省と比べて遅れているどころか、経産省がやっていないことを既に相当実行してしまったというのが私の感覚です。別に主導権をどっちがとろうが政府としていいことをやれば、それでいいのですから。経産省と環境省が一体となってコラボして、やるという意味ですから、私は別にGXという言葉にはこだわっていませんし、これは経産省用語でしょうけど、GXを分かる国民は少ないと思いますから、漢字で脱炭素と言ったほうがいいだろうなという気持ちはあります。別に主役は経産省でも全然構いません。ただ、一体となってコラボしていくことがどうしても大事です。なぜかというとカーボンプライシングは先行調達の20兆円の大前提だから。環境省なしではこの話はできないです。排出量取引だけでは足りません。
 
(記者)朝日新聞の関根です。安倍元総理の話で昨日の総理の会見で国葬を行うという予定が発表されました。安倍元総理については多様な評価があり、この件についてもいろいろと意見が分かれる部分もあるのですけれど、大臣のお考えを教えてください。
(大臣)安倍元総理の心の中では岸田総理の存在が物すごく大きくて、しかも、一番親しみを込めて言うなら可愛かったのではないですかね。安倍元総理の心の中では岸田さんだったということが極めて明解ですよ。岸田総理もそのことに応えて、いろいろな記者会見なり、あるいはマイクの前でしゃべっておられる様子を見れば、それは一目瞭然だと思います。やっぱり岸田総理は安倍元総理との絆を物すごく大事にされているということを、さらに今、感じているところです。それから、ここのところ、お通夜のところから、いろいろなメディアで報じられる様子を見ていても、国民みんなの間で安倍元総理を悼む気持ちは普遍的なものだろうなというふうに感じています。その意味では吉田茂さん以来のというふうに言われます。私はそれに値する功績を残されているし、そういう意味では国民の間でも悲劇的な最期を遂げられた、凶弾に倒れるという意味でのことですけども、そういうことに対する、功績と、そして悼む気持ち、それが合わさると国葬儀というところが妥当なところだろうなと思います。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=lB96TtxJQgI&list=PL9Gx55DGS7x6h45ZmYE2D4y06yLCRW9kk 
(以上)