大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年3月29日(火)9:43 ~ 10:03 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は何点か御報告がございます。まず第1点目は、「環境省組織令の一部を改正する政令」及び「環境省組織規則の一部を改正する省令」を公布いたしました。本政令では、閣僚会議決定に基づいた政府全体の取組といたしまして、文書管理及び情報公開の実質責任者となる審議官級の公文書監理官を新設いたしました。公文書管理に関するチェック体制を強化するということで、引き続き公文書の適正な管理、ルールの遵守徹底をしてまいります。併せて、省令におきましては、地球環境局に気候変動適応室を新設いたします。この気候変動適応室が中心となり、政府一丸となって適応策を推進していきたいと思います。
 次に、「公害健康被害の補償等に関する法律」に基づく認定患者に対する療養手当等の補償給付額、及び各事業者から徴収する汚染負荷量賦課金の賦課金額を改定するため、政令を一部改正いたします。これについて本日閣議決定いたしましたので御報告いたします。引き続き、「公害健康被害の補償等に関する法律」に基づき、制度の安定的な運営に真摯に取り組んでまいりたいと思います。
 次でありますけれども、メダルプロジェクトについて、これが終わったという御報告をしたいと思います。「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」について、当初計画どおり本年3月31日をもって終了することとなりました。これを通じ、携帯電話、パソコン等の小型家電リサイクルの社会への定着、3R推進に関し、大きな成果を挙げたものと考えております。環境省では、この成果をレガシーとして活用し、来年度4月からは、「アフターメダルプロジェクト」と題しまして、更なる取組をスタートしてまいりたいと思っております。具体的には、まず第一弾として、知的障がい者のスポーツ推進を目的に開催される「スペシャルオリンピックス」と連携した回収を促進するため、自治体に対する回収ボックスの提供等を実施いたします。環境省、自治体、小型家電リサイクル認定事業者等が連携し、メダルプロジェクトを一過性のものとせず、循環型社会の推進にしっかりと結びつけてまいりたいと考えております。なお、これも今日の閣議後の閣僚懇談会で、私からも、終結と併せて、「アフターメダルプロジェクト」の御報告をしておきました。

 続きまして、平成30年度の福島県内の仮置場等から中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送量については、3月26日現在で予定としていた180万立方メートルを超えました。3月27日までの実績として181万立方メートルとなっております。来年度は今年度を大きく上回る400万立方メートル程度の輸送を予定しております。なお一層、安全第一に心がけ、地元の皆様に御協力いただきながら、中間貯蔵施設への搬入を着実に進めていきたいと思っております。
 さらに、今週の福島出張についてお知らせいたします。30日土曜日でございますけれども、福島県を訪問し、福島復興再生特別措置法に基づく自治体との法定協議会である「原子力災害からの福島復興再生協議会」に出席いたしまして、関係自治体の首長さんたちと意見交換をさせていただくつもりでございます。

2.質疑応答

(記者)幹事社の朝日新聞の川村と申します。「アフターメダルプロジェクト」についてお伺いします。こちらなのですけれども、一過性ものとして終わらせないで引き続き小型家電の回収などに力を入れていかれるということなのですけれども、メダルプロジェクトの場合、これで東京オリンピックのメダルをつくるという明確な分かりやすい目標があったと思うのですけれども、今回の「アフターメダルプロジェクト」はそういった目標、例えば「スペシャルオリンピックス」、何か今年も開催されると聞きますけれども、そちらのメダルをつくるとか、何かそうしたアウトプットの形があれば教えてください。
(大臣)地域のスポーツ大会等でのリサイクルメダル作成、ショッピングモール、小売店、交通機関や郵便局等の生活導線に沿った拠点での回収促進といった取組を自治体等と連携して行い、回収ボックスの提供や普及啓発イベントを開催すること等を想定しています。メダルプロジェクトを一過性のものとせずに、小型家電リサイクル制度の普及啓発につながる機会を捉え、自治体、関係者と連携することにより、循環型社会の推進に結びつけてまいります。今回のメダルプロジェクトは、もちろん明確に、金メダル、銀メダルを目指したところでありますが、スペシャルオリンピックスも含めまして、それぞれのゲームの趣旨、目的があると思いますから、そこは主催者等とも話し合いながら、どういう形で今回のレガシーが今後のリサイクル活動につなげられるか、いろいろ検討することはあろうかと思います。おっしゃるように、何かある程度具体的なものがないと、やはり励みにもならないところがありますから、それはいろいろ工夫して、本来、私どもが目指すリサイクル運動につなげていければいいなと思っております。

(記者)環境新聞の福原と申します。海洋プラスチック関係で少しお伺いしたいのですけれども、昨日も、「海洋プラスチック官民イノベーション協力体制」という関係で、福岡大学の松藤教授とお会いになったと思うのですけれども、この協力体制というのは、G20に向けて特にイノベーションということを高めていくということで始めていらっしゃると思うのですけれども、既にアサヒ飲料ですとか、はるやまですとか、幾つか意見交換を進めていらっしゃることと思います。これを通じて、G20に向けて、今までの意見交換でどういったことを学ばれてといいますか、吸収されて、これをどのような形でG20にいかしていこうという、今の思いを持っていらっしゃるか。
 また、同時にお伺いしたいのですけれども、G20が6月に迫っているわけですけれども、先日の国連環境総会の際に、大臣として、今回の決議を踏まえて、G20に向けて実効性のある枠組みということを検討していきたいということもおっしゃっていると思うのですけれども、こういった企業の方々とお話をしている中で、また、今回のUNEAでの決議も踏まえて、どういったような形で他国との合意を形成して枠組みという形をつくっていこうと考えられているのか、2点お伺いできればと思います。
(大臣)昨日、福岡大学、福岡市の皆さんと直接お会いできました。そのときの福岡方式という、廃棄物をどうやって処理するかということについて、非常に細かくお聞きしたところであります。いろいろな工夫でその問題に取り組んでおられることに心から敬意を表したところであります。6月のG20までに我が国の技術システム、アイデアに関するイノベーションを取りまとめて、G20の場で私から各国へ、我が国の取組、実績等をしっかり紹介したいと思っております。我が国のイノベーションを活用して、世界の海洋プラスチック問題の解決に貢献する旨を表明することによって、G20においてリーダーシップを発揮したいと考えているところであります。おっしゃるように、こういう政策的な議論では、多くの実績を踏まえた方々の実体験を踏まえることによって、私どもの主張がより厚みを持って迎えられるのではないかと思っております。全体の枠組みのお話がございましたけど、どういうような枠組みでこれからこういう国際的な問題に対応するか、また私どもとしては議論が尽くされておりません。しかし、当然のことながら、そういう場において、どういう国際協力の在り方があるか、また、例えば海プラだけをとりましても、つくって、流通して、そしてどうやって排出されるか、そしてまた、海洋での既にたまったプラスチックの廃材が大変なものがあるわけであります。そういうものを全体としてどういうふうに処理をしていくかというのは、これから相当詰めたスケジュールがなければならないと思っております。私どもも内々には、いろいろな考え方を、廃プラについても、今検討しているところでありますけれども、いずれはしっかりとした枠組みを打ち出して、イニシアティブをとれるように考えていきたいと思っております。

(記者)環境新聞で続けて質問です。環境新聞の小峰でございます。大臣、おととい27日の朝に、インドがミサイルを用いた人工衛星の撃墜実験に成功したと、モディ首相が発表しているのですね。これはまさに宇宙ごみ、つまりスペースデブリが拡大再生産されるという、宇宙環境を破壊する大変由々しき話だと思います。一方で、原田大臣は、3週間前の今月8日の閣議後記者会見で、このように発言されています。政治家、原田義昭として環境省の仕事の視野を地球全体の環境を守ることから宇宙にまで広げなければならない。G20エネルギー環境大臣会議でも発信したい、と。関係府省と調整を図るとおっしゃてます。2007年には中国も衛星破壊実験をしました。その前は、80年代までに米ロがやっておりますけれども、G20環境エネルギー大臣会合で、今回のインド、そして中国、または米ロにも、二度とこんなことをやるべきではないということを言うべきではないでしょうか。大臣のお気持ちはいかかがでしょうか。
(大臣)インドがそういう動きになったということは私どもも承知しておりますし、併せて、この問題について政府としてもどう対応するか、これは関心をもって注視しているところでございます。G20では、まだどういうスケジュールになるかは、まだこれからの関係諸国との話になりますし、私がどういうふうに発言するかについては、またこれから検討したいと思っております。いずれにいたしましても、宇宙空間の平和的、安定的利用というのは、これはもう既に国連でもしっかり決まったところでございますから、その辺も踏まえて、このことについても考えていきたいと思っております。

(記者)テレビ朝日の広瀬です。先ほど除去土壌を来年度400万立方メートル運ぶというお話をされていたと思うのですけれども、おととい大熊町で除去土壌を運んでいるトラックが軽トラックにぶつかったという事故があったと思うのですけれども、また、今月の上旬辺りにも、浪江町で除去土壌を運んでいるトラックが道路下に落下したという事故があったと思うのですけども、立て続けてに事故が起きているなという印象があるのですが、その辺りの受け止めを教えていただきたいのと、対策などあればお願いします。
(大臣)このところ除去土壌輸送車両が転落事故を起こしたり、そういう意味で、皆様方に、またとりわけ地元の皆様に大変御迷惑、御心配をかけているところでございます。大変、私の立場からも申し訳なく思っております。一つ一つの事故発生を重く捉えまして、丁寧に原因究明や再発防止策、これを行うとともに、同じ事故が発生しないように事前の事故防止に対してはしっかりと注意を促して指示を行っているところであります。一層、安全第一に心がけて、地元の皆さんに御協力いただきながら、予定である400万立米程度を輸送できるように今後とも努めていかなければけないと思っております。今、御指摘のように、少し今のところ続いているなという感じも、正直言って感じますから、もちろん私どもの福島事務所も含めて、また、当然、多くの事業者が関係しておりますので、その首脳部にはしっかりまた注意喚起を促しているところであります。原因の解明も含めて、私どもも含めて、慎重にいかなければいけないと思っております。

(以上)