大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年3月19日(火)8:54 ~ 9:08 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、私の方から4件予定しているところでございます。まず、フロンガスにつきまして、本日の閣議で、「フロン排出抑制法改正案」を閣議決定していただいたところであります。これは我が省が主管ということです。我が国全体の温室効果ガス排出量が4年連続で減少していることは、さきのCOP24でも、我が国の実績として各国を相手に報告したところであります。一方、代替フロンの排出量は増加の一途をたどっておりまして、全体は減っているにも関わらず、代替フロンの排出量はどうしても止まらない、こんな状況であります。フロン類の廃棄時回収率を向上させることは、温室効果ガスの排出削減等にとって非常に重要な課題であります。我が国では、平成13年のフロン回収・破壊法の制定以来、廃棄時回収率の向上に取り組んできましたけれども、どうしてもそこがうまくいきません。10年以上3割程度を低迷し、直近でもようやく4割弱と、こんなふうにとどまっております。本法律案は、こうした状況を打破し、廃棄時回収率を着実に向上させるため、その強化を目的に今国会に提出することにしました。また、法改正案の提出と併せて、環境省に早期に検討会を設置することとしまして、改正法案の施行と併せて、都道府県において効果的、効率的な指導監督を行うためのガイドラインの改訂、ビル用マルチエアコンについて1台あたり回収率を向上させるための技術的検討等に着手し、廃棄時回収率を向上させるための総合的な対策をとってまいりたいと考えております。
 次に2点目でございますけれども、本日「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令案」を閣議決定したところであります。今回の改正は、事業者に対し、直接環境保全上の意見を述べることができる市として、岡山市を追加するものであります。こうした市は、地方自治法上の政令市を中心に既に20市が指定されておりましたけれども、これに岡山市を追加するということでございます。
 続きまして、UNEA4について御報告します。これは既に皆様方に速報ベースでもコメントを出しておりますけれども、いわゆる国連環境総会、環境に関する国連総会ともいえるものでございます。第4回の形になっております。先週金曜日まで、ケニア・ナイロビにおいて、UNEA4が行われまして、私の代理として、勝俣政務官が出席いたしました。世界約160カ国が閣僚宣言及び決議に合意し、地球環境問題の解決に向けた将来のビジョンについて合意ができたところで、大きな成果だったと思います。我が国としても、決議案の交渉過程において、海洋プラスチックごみ問題に関する取組の強化や、循環経済に係る世界規模の普及啓発活動等について、取りまとめに貢献をしたところでございます。また、私からも談話を出したところでございます。環境省としては、今般のUNEA4の閣僚宣言及び決議も踏まえて、G20の場でさらに具体的な対策や国際協力を呼び掛けて、とりわけ、最も大きな排出国であります途上国を巻き込んだ地球規模での実効性のある枠組みを構築できるように、各国に対して積極的に働き掛けていきたいと考えております。
 続きまして、原子力防災の関係であります。本日、平成30年度第2次補正予算において計上しました「要配慮者等の屋内退避施設への放射線防護対策」という予算がついておりますけれども、その補助金の交付決定をいたしました。今日、お手元に資料を配っているようでありますから、それをご覧いただきたいと思っております。

2.質疑応答

(記者)幹事社・時事通信です。冒頭にもあったUNEAの総会の結果ですけども、日本が共同提案した分については、通ったというか、決議がなされたわけですけども、一方で、閣僚宣言の、2030年までに使い捨てプラスチック製品を大幅に削減するという部分については、アメリカが不参加ということになりました。これについての受け止めと、G20に向けて、アメリカに限らず、全会一致でまとまって宣言を出すとか、まとめることについてなかなか難しさもお感じになったのではないかと思うのですけども、G20に向けての所感もお伺いできますでしょうか。
(大臣)今回の会合では、海洋プラスチックごみ問題については全ての国が緊急性を認識し、取組を積極的に進める姿勢で、全ての国が参加したものと、こういうふうに思っております。決議では、科学的基盤の強化、行動強化のためのマルチステークホルダープラットフォームの新設、並びに国際的な取組の進捗レビュー等々を決定し、世界が海洋プラスチックごみ問題に対処する上で、何としても実質的な結果を得られるような方向でまとまってきたと私は考えております。また、勝俣政務官は、閣僚級会合でプラスチック資源循環戦略案を紹介するとともに、今年のG20議長国として「環境と成長の好循環」というこを実現する取組を進め、世界のモデルを目指すとの方針を表明したところであります。確かに、多少各国、温度差はございまして、例えば米国は、閣僚宣言の一部に参加しないというような態度をとっていましたけれども、特定製品の一律の規制等を国際的に議論することは柔軟性の観点等から反対というふうに言っているようであります。要するに、おしなべてやればいいのですけど、どこか特定製品がシングルアウトして、それについてどうだという書き方は今の段階では認められないということのようであります。今回の会合では、我が国が共同提案をしました「海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチック」に関する決議等について、アメリカを含めて、全ての国が合意することができました。また、アメリカは、我が国が議長を務めるG20で海洋プラスチック問題を取り上げることに、むしろ評価をして、積極的に関与する、そういう姿勢を示しているところであります。我が省としては、今般のUNEA4の結果を踏まえて、G20の場で更に具体的な、また、突っ込んだ国際協力に合意して、何と言っても途上国を巻き込んだ地球規模での実効性のある対策をやらなければいけない。これについては、米国を含む先進国、関係国と緊密に連携をしていきたいと思っております。言うまでもありませんけれども、もちろんG7も含めて先進国も一生懸命でありますし、しかし何と言っても、圧倒的な排出国というか原因国は途上国でありますから、彼らにしっかりと呼び掛けなければならない、こういうふうに考えております。

(記者)日本経済新聞の安倍です。フロンの関連で1点お尋ねします。今後、早期に検討会を立ち上げて、効果的にどう運用していくかというような議論をするというお話でしたけれども、現状の運用面での課題というのはどのようなところがあるかということを教えてください。
(大臣)今回も幾つか改善点がありますけれども、冒頭申し上げましたように、全体の気候変動については、数字が十分ではありませんけれども、間違いなくよくなっている、よくなるように努力をしてるのですけれども、どうもフロンの回収率、また、フロンが原因の部分だけは、むしろ逆になっていると。これはやはりフロンという影響力からすると、絶対に食い止めなければいけないということであります。いろいろな議論が当然ありましたし、また、これからありますが、何と言っても、それを発生する人、そして、処理業者へ持ち込むプロセス、流通過程が緩いというか、少し締めなければいけないのではないかということから、今回、その辺の、機器を廃棄する最初の業者から処理業者に至るまでの手続きを厳格にするということと、これに違反した場合には、今まではまずは改善命令を出してその結果を見てというふうな方法でありましたけれども、直罰式を今回取り入れまして、見つけたときには罰則にいくという、そういう厳しい制度を導入するところであります。もちろん、しっかりまたこの運用については、私どもも注意しながらやっていかなければいけないと思っております。

(以上)