大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年3月8 日(金)10:33 ~ 11:07  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は5点ほど、私の方から報告いたします。また、皆さん方いろいろ御参画いただければと思います。まず、国際的な件でございますけれども、タイで「アジア太平洋3R推進フォーラム」が行われたところであります。これは実質的に、私ども環境省が、国際的にも、声掛け、かつ経費の一部も環境省がもつという、ある意味では本当に本格的な国際活動ということでございます。環境省は、3月4日から6日にかけて、タイ天然資源環境省及び国際連合地域開発センターとの共催で、タイ・バンコクにおいて「アジア太平洋3R推進フォーラム」第9回会合を開催いたしました。我が国からはあきもと環境副大臣を派遣し、我が国の廃棄物管理に関する政策や経験等について発信したところでございます。会合の結果、3R及び循環経済によるプラスチックごみ汚染防止に向けた「バンコク3R宣言」を採択いたしました。採択に当たっては我が国からのインプットも反映される等、有意義な成果を得られたものと考えております。引き続き、アジア太平洋地域の各国と連携しながら、さらなる3Rの推進や海洋プラスチックごみ問題の解決に貢献していきたいと考えております。
 なお、その際に同じバンコクにて、組織は違いますけれども、バンコクで開催された「海洋ごみに関するASEAN特別閣僚級会合」、これに副大臣がしっかりと参加していただきまして、日本の立場を発信したというふうに理解しているところであります。環境省としては、今後ともASEAN地域における海洋プラスチックごみ対策の推進に向けて、関係国と連携しつつリーダーシップを発揮していきたいと思っております。
 続きまして、これは私でございますけれども、明日9日と10日、内閣府の原子力防災担当大臣として、北海道に出張する予定でございます。泊地域における現地の原子力防災対策の状況や泊発電所を視察するとともに、北海道の阿部副知事、地元町村長と面会し、意見交換を行う予定でございます。お手元に簡単なスケジュールだけはお配りしているところでございます。防災担当として、これはもう本当に大事な案件でございますから、暮れには愛媛県にも行ったところでありますけれども、今回、北海道と。地域は全国たくさんあるわけでありますから、時間と、あと国会の都合等を見ながら、できるだけ多く視察しまして、皆さん方の現状認識、そしてまた問題点があれば、当然、しっかりとまた対応できるようにしていきたいと思っております。
 次は、本日の閣議におきまして、「『復興・創生期間』における東日本大震災からの復興の基本方針」についての変更が決められたところであります。今回の見直しでは、残り2年となった「復興・創生期間」における取組、及び復興・創生期間後における復興の基本的方向性が示されたところであります。環境省としては、本基本方針に沿いまして、被災地の復興と環境再生に向けて、誠心誠意取り組んでいく旨を、その中で発表したところであります。とりわけ、環境省が中心となっております「福島再生・未来志向プロジェクト」、このことについても、閣議の前の閣僚懇談会で、総理もおられましたけれども、しっかり「福島再生・未来志向プロジェクト」を推進するんだと、自治体の皆さんと協力しながらやるんだということも、私もこのことも報告をしてきたところであります。
 続きまして、東日本大震災の発生から、いよいよ3月11日で8年が経過いたします。改めて、震災で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。当然、私も、11日月曜日に行われます「東日本大震災八周年追悼式」に参加いたしまして、追悼の意を表することとしています。また、福島で行われる「東日本大震災追悼復興祈念式」には、当省からはあきもと副大臣を派遣する予定でございます。私自身、就任以来、現地への訪問や、福島県知事や首長の皆様との意見交換を通じまして、地元の多くの方々の声を伺うとともに、先日も福島を訪問し、中間貯蔵施設、特定復興再生拠点区域の整備等々を、直接この目で確かめてきたところであります。言うまでもありませんけれども、被災地の復興はいまだ道半ばであることを改めて強く感じました。当然のことながら、環境省の総力を挙げて、これに取り組んでいくという決意を新たにしたところでございます。今日の、「復興・創生期間」等に関する閣僚会議、そしてまた閣議においても、総理から何度にもわたって、それこそ福島の復興なくして日本の再生はない、それから東日本の復興なくして日本の再生はないということを繰り返されたことを御報告しておきたいと思います。実は、環境省の取組の状況や私、大臣としての決意につきましては、今日、「東日本大震災から8年を迎えるに当たって」という資料を配布しております。これはもちろん全体としての意気込みはもとよりでありますけれども、また環境省、また環境大臣として、どういう心構えでこれから臨むかということを、その一端を書き記したところでございまして、参考までにお読みいただければありがたいなと。被災地の復興・環境再生に向けた取組を、とにかく一歩一歩着実に進めていかなければいけない、こういうことでございますし、とりわけ原子力防災につきましては、もう言うまでもありません、東京電力福島第1原発の事故というのは、本当に私どもにとって衝撃的な事象でありました。これを、いわば原点として、この原子力問題について取り組まなければいけない。決して、「終わり」や「完璧」はないというような意味で、この事故の教訓を将来にいかしていくと、こういうつもりでやりたいと思っております。

2.質疑応答

(記者)時事通信の市原といいます。冒頭も、東日本大震災のお話ありましたけれども、大臣、就任されてから何度も現地に行かれていると思うのですけれども、思うところもいろいろあると思うのですけれども、先ほどあったように、復興まだ道半ばというところ、特にどの辺りに感じておられるのかというのと、環境省としてどこに注力をしなければいけないというふうにお感じになってますでしょうか。
(大臣)道半ばという意味では、都度、中間貯蔵施設も含めて、いろいろ自治体の首長等と会談をしつつ、現場の視察も心掛けるようにしております。それは、あの状況を見ますと、これからまた本当に大変だなという意味では、道半ばという以上に、これからの仕事こそが本当に大変だなということを感じるところであります。さはさりながら、8年間、福島の皆さんが、また、それぞれの市町村の皆さんが、本当に我慢強く今日までやってこられたということについては、心から敬意を表するとともに、やはり彼らに寄り添い、また、彼らをエンカレッジする、やはり様々な施策をやらなければいけないと改めて強く感じたところであります。具体的には、土壌を、しっかりまた中間貯蔵施設に運び込むという、これはまた大事業が残っているわけでありまして、またそれを最終的にどう処分するかについても、本当にこれからこそがやはり大変な仕事だと思っております。同時に、先ほど閣議のときでも御報告しましたけれども、「福島再生・未来志向プロジェクト」が、やはり着実に進みつつあるなと、私どもそういう観点から、やはり特に自治体の責任者には、しっかり応援をするということで元気づけているところであります。そのように、本当に事態は進んではいるけれども、はるかに道半ばということを私自身、感じておりまして、これからの環境政策、また、防災政策の中で頑張りたいと思っております。

(記者)毎日新聞の五十嵐です。福島の除去土壌の再生利用についてお尋ねしたいと思うのですけれども、昨日の夜だと思いますが、南相馬市で常磐道に再生利用するための地元区長への説明をなさったと伺っておりますけれども、この説明会、非公開で行われていましたが、概要について、把握されている範囲でお聞かせください。
(大臣)昨日、地元関係区長の皆様に対して、南相馬市内の常磐自動車道に係る工事における除去土壌再生利用実証事業の案について、御説明させていただいたところであります。まだ私自身、その担当者から、詳しくこれからお話、聞きたいと思いますけれども、それはそれで平穏に終わったということであります。昨日の説明会は、賛成とか、反対とかという結論を出す場ではございません。まずは環境省の考えを御説明させていただいて、皆様方に御理解いただく、また同時に御意見を伺うと、こういう場だというわけであります。説明会の状況の詳しい御報告を聞いた上で、また関係者の皆さんと今後、御相談をしながら、対応を検討していきたいと思っております。もちろん、除去土壌のこれからの扱いについては、大きな流れとしては、減容化する、さらには何か再生利用する手法はないかということで、大きくその動きへ向かって進んでいるところでありますけれども、当然、現場現場では、関係者も地元の皆様もおられることでありますから、その辺は丁寧に、また皆様方の御意見もしっかり聞きたいと考えているところであります。
(記者)関連で、少し基本的な御認識を伺いたいと思うのですけれども、除去土壌については、これまでの経緯からして、中間貯蔵施設に運び込んだ上で、30年後に県外最終処分をするという方向性になっていると思うのですけれども、こういった再生利用については、特に福島県内の方からすると、既に中間貯蔵施設に入れるという方向性で決まっていたのではないかとか、最終的には県外で最終処分をするというふうに決まっていたのではないかというような御認識があって、その中で、これまで二本松であったりとか、今回の南相馬も含めて、反対の意見が出ているという、そういった背景があるのではないかというふうに思っているのですけれども、そもそもこの再生利用する土というのは、結局、地元の方からすれば、福島県内で、もう実質的に最終処分をすると同じように捉えられてしまっても仕方ないのではないかと思うのですけれども、これは最終処分ではないというふうにどのように説明されておられるのでしょうか。
(大臣)この問題は、再生利用する場合は、その利用先の地元の皆様からの信頼と御理解がなければ、そもそも再生利用という方向は成り立たないと考えています。最初に申し上げましたように、実証事業等を通じて、再生利用の安全性の確認を行うとともに、再生利用の必要性、安全性について御理解いただけるよう丁寧な説明を行うということを、やっていかなければいけないというふうに思っています。実証実験ということで、もちろん、再生利用というのは、やはり地元の了解が一番大事でありますから。ただ、そのためにやはり実証事業という形で、皆さんが納得できるようなものをお示ししながら、やはり全量のうち減容化、自然にシーベルトが小さくなることによって、安心なもの、再生利用がうまくできるものについて、様々な技術開発も含めて、皆さんが納得できるレベルで、やはりそれを実証実験を通じてつくり上げていくと、こういうふうに考えております。
(記者)最後にしますけれども、この件、今のところ、ここ数年の動きを見ていますと、福島県内で減容化・再生利用するというふうな動きが先行していて、これも中間貯蔵、30年後、県外最終処分という方向性と、何かそごがあるのではないかと捉えられる面があると思うのです。最終的に県外最終処分ということをうたっているのであれば、再生利用・減容化についても、福島県外と同時並行で進めていくというのが筋なのではないかと思うのですけれども、その辺りについては、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
(大臣)全国に、その扱いについては、いろいろなアンケート調査等も実施しているところであります。その中では、必ずしも除去土壌の再生利用の認知度が十分ではない、こういうようなことも結果として得られるところであります。除去土壌の再生利用についての考えをいただくための判断材料として、除去土壌の再生利用の具体的な内容について知っていただく必要があると考えております。そういう意味では、正確かつ適切、丁寧な情報発信等を通じて、全国民的な理解の醸成に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

(記者)北海道新聞の片岡と申します。明日からの泊原発視察について伺います。冒頭でも大臣、大事な案件との御発言もありましたけれども、今回、どのような点を重視して視察するか、改めて狙いを教えていただけますか。
(大臣)原子力防災対策については、地域の実態や特徴等を踏まえて、現場に立脚しながら検討を進め、対応策を具体的かつ実効性のあるものにしたいということが大事だと思っております。このため、原子力防災担当大臣として、泊地域の原子力防災対策の現状を現地で確認するとともに、北海道また地元町村と意見交換を行い、しっかり現場の状況、私どもからすれば、しっかりやっているかどうか、さらに、また皆さん方からいろいろな御意見、要望等もあるかもしれませんから、泊地域を始めとして、今後の原子力防災対策の充実・強化にいかしていきたいと思っているところであります。
(記者)昨日、ハガティ駐日大使と意見交換されていると思いますけれども、冒頭、G20の話をされていましたが、他にどんな話をされたか、具体的に教えていただけませんか。
(大臣)昨日は、主としてG20、さらにはCOP24で私がポーランドの現場に赴いたものですから、そのときにアメリカが非常にしっかりやってたということを、私の立場から敬意を表したところであります。その際に、米国がパリ協定から脱退するというような動きに対しても、これについては非常に私どもから心配してるけれども、それを超えて、米国の代表がCOP24でもしっかりやっていただいていると、こういうことを申し上げた上で、米国、日本、環境分野でもしっかりとした協力関係を結んで、特にG20では、我々、主導的な立場を両国で引っ張っていきたいと。特に私ども日本は議長国でございますので、その際は、米国の協力を特段にお願いしたいと、こういうことをお話ししたところであります。

(記者)NHK・金澤と申します。最初、1点お伺いしたいのは、先ほど大臣、再生利用の理解を図るために、全国で理解の醸成を図っていくというお話をされましたけれども、そもそも、いまだに震災8年たっても、放射線に対する価値観というのは、日本全国見ますと、それぞれ個人によって価値観は違うわけで、その中で再生利用の実証事業を進めようとしても、その前提知識となるところがしっかりしていないと、仮に土壌を再生利用として受け入れたとしても、周りから見られる目というのが、そこで風評被害が生まれてしまったりだとか、いろいろな偏見が生まれてしまったりだとか、今回の南相馬でもそういう声も上がっていますし、そのそもそもの実証実験を進める以前に、全国民に関しての放射線に対する知識をどれだけ正しく持っていただくかというところに関しては、理解の醸成も含めてですけれど、どうやって進めていきますか。
(大臣)非常に大事なところでございます。もちろん放射線の問題について、様々な努力も国としてはしてますし、また、それぞれの国民の皆様も、いろいろな勉強をされている。しかし同時に、不安を持っておられるのも間違いないし、それが風評という形で、害を残しているのも事実でございます。最終処分量を低減するために、除去土壌等の減容・再生利用を進めることが、今、私どもとしては、先のことを考えても、どうしても重要だというふうに思っております。あくまでも、これらの取組に対する住民の御理解は重要であって、とにかく丁寧な説明に努めながら、一歩一歩進んでいく以外に方法はないかなと思っているところでございます。なかなか、これは一朝一夕にできませんけど、しかし、やはりそれぞれの除去土壌をどうやって処分するかというのは、いずれはやはりしっかりやっていかなければいけませんし。それはあくまでも関係する地元の皆さんに、しっかり御理解をいただきながらやらなければいけないという意味では、本当にこれからこそが大事な時間ではないかと思っております。
(記者)関連して、もう1点いいですか。そうしますと大臣、考えの整理なのですけど、再生利用を最優先に進めていくという理解でいいですか。あくまで福島の人たちは、県外最終処分という言葉が、どうしても当初のイメージとしてありまして、当初から再生利用については検討していく方向で、これまで来られているとは思いますけれど、国の立場としては、再生利用が第一義的にあって、県外最終処分の負担をなるべく減らすためにはもう再生利用を一義的に進めていくという、そういう御理解でいいですか。
(大臣)是非、再生利用も、除去土壌について、ぎりぎりまで努力するし、しかし、いずれにしても30年というターゲットがきっちり決まってますから、当然、そのときには県外移出というのがどうしても必要になりますけれども、しかし同時に、その間は、やはり、ぎりぎりの努力をしなければいけないなと。また、そのための御理解をいただかなければいけないなと、こういうふうに思っているところであります。

(記者)環境新聞の小峰でございます。今週月曜日、3月4日、スペースデブリ対策の関係8府省副大臣・政務官の第1回会合がありました。私も記者として、これを傍聴しましたけれども、この会議は環境政策、環境行政が、地球環境対策から、いよいよ宇宙環境対策まで守備範囲を広げる歴史的な副大臣会合かなと思ったのですけれども、ところが、勝俣大臣政務官の、多分、意に反してだと推察しますが、事務局が作成したであろう同会議での勝俣政務官の発言は、残念ながら、環境省が運用・開発する温暖化ガスの観測技術衛星「いぶき」の運用だけを守りたいという、非常に範囲が狭い発言をなさったのは非常に残念だと思いました。原田義昭大臣、あなたの命で勝俣政務官は出席したのですから、当然、原田大臣は、そんな狭い了見ではないと思ったのですけれども、勝俣政務官の発言を見ると、原田大臣、あなたの度量、心は、そんなに狭いものなのですかと。自分のところの衛星を守るユーザーとしてだけの関心事項でいいのかと。他省庁の衛星は知りません。世界各国の衛星を守るとか、それから世界の経済社会のインフラにもうなってる衛星を、宇宙のごみ拾い対策まで取り組む姿勢を示すことが必要なのではないかと。もう、あと少しで御世も平成から新しい御世となります。そんな折、このような重要な問題は事務レベルで判断することではないと思っています。政治家・原田義昭の政治決断が迫られていると思います。
(大臣)非常に力強い御指摘をいただいてありがとうございます。このスペースデブリ問題は、いよいよ日本も本格的にこういう観点から取り組まなければいけないということで、当然のことながら、外務省、国際関係の中で、また防衛省、いろいろなセキュリティーの問題も含めて、御指摘のように、やはり我が国の「いぶき2号」やらを守るだけのための場所ではないと私は思っております。政務官は政務官で一生懸命、そのことを頭に置きながら発言したのだろうと思いますけど、おっしゃるように、地球全体の環境を守るのが環境省の仕事でありますし、それが視野が宇宙まで広がれば、おっしゃるように、高い広い見地からやらなければいけないと思っております。政治家・原田義昭としては、しっかりまた、その線で努力しますから、いろいろ御指導いただきたいと思っております。
(記者)それに関連して、6月に軽井沢で、原田大臣、あなたと世耕経産大臣が共催するG20環境エネルギー大臣会合が開催されます。温暖化対策が大きな柱ですけど、原田大臣は海洋ごみ対策で、この軽井沢会合をリーダーシップをとっていくということですけど、併せて、宇宙ごみ対策にも、日本が積極的に取り組む姿勢を示すべきではありませんか。G20というのは、20年に1回しか回ってこないですからね。
(大臣)まさにG20を、どういうアジェンダ、テーマにするか、これはこれからのことであります。同時に、おっしゃるように、エネルギー環境大臣会議ということでありますから、合同の会議も行われます。それで、例えば、エネルギーと環境というのは、ある意味では全くの裏腹であり、そのエネルギーの構造をどうするかということと、また、例えば、省エネルギーは、そのまま環境対策にもなります。そういう意味では、この場で環境大臣として環境を守る立場から、しっかりと発信をしなければいけないと私自身考えているところであります。その中で、今、お話のように、宇宙まで視野を広げた認識、発信は、私自身も非常に大切なことだと思っておりますので、その方向でしっかり検討したい。また、各省とも調整を図りたい、こう思っております。ありがとうございます。

(以上)