大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年1月22日(火)10:33~10:47 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日は私の方から3件御報告をさせていただきたいと思います。
 まず本日の閣議におきまして、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録に必要な推薦書をユネスコへ提出することについて、御了解をいただいたところであります。奄美・沖縄については、国際的にも希少な固有種が多く生息するなど、生物多様性保全上重要な地域であり、人類共通のかけがえのない財産として、将来の世代に引き継いでいくべき宝物でございます。今般の決定を受けて、ユネスコ世界遺産センターに対して2月1日の提出締切日までに、推薦書を提出したいと思っております。これについては、既に事務的には皆様に御報告していると思いますが、今日は正式な手続きを閣議で了解していただいたということでございます。言うまでもありませんけれども、前回良いところまでいったのですけれども、いろいろ御指摘を受けて、一回引き取らせていただきました。足らざる部分をしっかりまた補正をしまして、今回改めて登録のお願いをするところでございます。今度は失敗は許されませんので、私ども、さらには地域の皆様と協力をしっかりやって臨みたい、こう思っているところでございます。環境省としては、こうした経験も踏まえまして、関係省庁や地元自治体等の皆様とも引き続き十分に連携し、世界自然遺産への確実な登録に向けて万全を期していきたいと思っております。
 2点目でございますけれども、生物多様性保全のための海洋保護区の設定について御報告いたします。昨日の第37回中央環境審議会自然環境部会におきまして、「生物多様性保全のための海洋保護区の設定について」の審議が行われ、同日、環境大臣に対して答申されましたところでございます。答申の内容については、お手元の資料を御覧いただければと思っております。2010年の生物多様性条約締約国会議で採択されました愛知目標で「2020年までに各国が海域の10%を海洋保護区等として保全する」とされていることも踏まえまして、海洋環境の保全が近年国際的な潮流となっており、我が国としても積極的に海洋保護区の設定に取り組んでいくことが必要であると考えています。今後、本答申を基に、自然環境保全法を改正し、沖合の海洋保護区制度を創設すべく、各方面との調整を精力的に進めていきたいと思っております。
 3点目でございますけれども、新宿御苑の今後の取組について御報告いたします。来園者の満足度を高めることについて、新たな取組を実施することといたしました。新宿御苑は、皆様も素晴らしい場所だと認識しておられると思いますけれども、私自身も個人的にもこんな素晴らしい施設が東京のど真ん中にあるのだと、こういう観点から、先日は菊花の展覧会のときにも伺ったところであります。まず、3月15日から9月末まで、開園時間を午後6時まで、夏には午後7時まで延長いたします。また、快適な利用環境の整備として多言語標識等の充実、国指定重要文化財である旧洋館御休所の通年開放等を行うとともに、イベント等の夜間開放ルールの策定、春、秋のライトアップを行いたいと思っております。さらに、全国の国立公園に関する情報発信等を積極的に実施いたします。これらの取組を進め、旧皇室庭園としての価値を後世に残しつつ、質の向上とサービス充実を図るため、料金を改定いたします。大人料金を500円、今は200円でございますけれども500円とする一方で、子ども料金を無料といたします。リピーターの皆様に配慮し、年間パスポート料金は大人2,000円に据え置きたいと思っております。詳細は配付資料のとおりでございます。取組を通じて、訪日外国人観光客を含む多くの来園者の皆様に一層楽しんでいただき、我が国を代表する庭園としての新宿御苑の価値を最大限引き出してまいりたいと思っております。冒頭申し上げましたように、これは本当に、我々国民が、こんな立派なんだと自信を持てるような施設であります。ただ、従来少しそれを、例えば閉園時間が16時半でしたかね、ちょっと早過ぎるんではないかとか、シーズンによっていろいろその特色を踏まえて多くのお客さまが来てもらうことも大事ではないかと。とりわけ、このところインバウンドの方も含めて、外国人のお客さんがたくさん来ているのと、その皆様から本当に素晴らしいと、こういう声も聞いておりますので、様々検討し、かつ東京都の皆さんにも御相談した上で、先ほどのような、料金が少し高くなりますけども、逆に子どもの料金を無料にするとか様々な工夫を凝らし、かつ、夜のライトアップ等もこれから充実をさせていって、とにかくこれは素晴らしい日本の施設だということを内外に知らせたいと。併せて、これを一つのきっかけにしまして、全国に私どもは国立公園、国定公園もございます。それぞれの施設についても様々な工夫を今後凝らしていきたいなと、こう思っているところでございます。
 以上3点、取私からご報告をさせていただきました。

2.質疑応答

(記者)読売新聞の安田です。先ほど発表のあった沖合域における海洋保護区の設定についてお聞きします。大臣も仰ったとおり愛知目標で沖合域、海域の10%を覆うという目標があって、そこでのさらなる沖合域の設定になるかと思いますが、深海を含む地域を初めて生態系保全の観点から保護区に設定することで、深海の生物はまだ未知のものも多いと思いますけれども、そこを保全することはどういう意義があると大臣はお考えかお聞きします。
(大臣)沖合域ではこれまで自然環境の保全のための海洋保護区制度が存在していませんが、海山、熱水噴出域、海溝等があり、地形・地質や自然の現象に応じて固有性が高いものや脆弱なものなど、様々な生態系や生物が育まれておりまして、体系的な生物多様性保全の観点からこれらを保全することが必要であります。要するに非常に遠いところになりますので、せっかくそういう自然の営みがあるところを、法律、社会制度としては出来上がっていなかったんですけど、これについてこの際、しっかりまた保全することが必要だと、こうなったところであります。また、深海生物は、暗闇や高温、高圧等の陸上とは異なる過酷な環境下に生息しておりまして、様々な分野で活用されていたり、今後、利用が見込まれていたりと、生物資源の利用の観点からも保全を進める必要があります。このように、沖合域における海洋保護区制度の創設は、これまで実施してきた様々な施策と相まって、総合的な海洋の生物多様性保全に寄与するものと考えています。

(記者)郵便局の新聞を作っております、郵湧新報の園田と申します。今、金融機関がSDGsに取り組んでいるところが増えてきておりますけれども、日本郵政グループもSDGsを頑張って、冊子などを作っていますが、そうしたことに対する御見解を一言お願いいたします。
(大臣)SDGsの大事さといいますか、その意義が今間違いなく着実に広まっているところであります。実は私もこのバッジをできるだけ付けるように努力しております。また、この間COP24とかアブダビでの国際会議でも、このSDGsというのは本当に大事な思想として広まっており、心から誇りと、また、私たち日本国としてもいろいろ大事なことだなと、進めていかなければいけないなと、こう思っております。ただ今、日本郵政のお話がございました。SDGsブックをはじめとする非常に積極的な取組をしておられることに心から敬意を申し上げたいと思います。経済の血流であります金融にもESG、特に環境の視点を組み込むことで環境に配慮した取組を促進していくのが、これは世界の潮流でございまして、SDGsやパリ協定の目標の達成に向けて不可欠だと思っています。私もこのSDGsブックを今拝見させていただきまして、実によく多角的な取り上げ方をしておられるなと。また、非常に読んで楽しい表現が使われておりまして、こういうものが一つ一つ広まることによって、このSDGs、さらには金融、経済の分野ではESGの取組、効果が広まっていくことを大変期待しているところであります。是非郵政グループの皆様も率先をして、国民の皆様にもそのことを呼び掛けていただければ、よりその行動が進んでいくのではないかと、こう思っております。

(以上)