大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤副大臣記者会見録(平成30年2月22日(木)11:32~12:04 於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

それでは、私のほうから1点お話を申し上げたいと存じますが、いよいよ東日本大震災の発生から間もなく7年という月日が経過をいたそうといたしております。改めて、この大震災で亡くなられました方々に心から哀悼の意を表したいというふうに思います。被災地の復興、再生は引き続き何よりも最優先の課題と認識して、環境省といたしましても総力を挙げて取り組んでいく必要があることであるというふうに認識をいたしております。この1年を振り返らせていただきますと、除染特別地域における面的除染が完了をいたし、中間貯蔵施設での除去土壌の貯蔵の開始、特定廃棄物埋立処分施設、旧エコテッククリーンセンターへの廃棄物の搬入の開始、帰還困難区域の復興拠点整備の着手など、被災地の環境再生に向けた取組は着実に進んできておるものと認識をいたしております。かかわる大勢の皆様方に改めて感謝を申し上げるとともに、更にこの作業を進めていく上では、地域の皆さんの御心配を取り除く配慮、そうしたことをしっかりとさせていただきながら、こうしたことが進んでまいるようにしたいというふうに考えております。私自身、一昨年の夏の就任以来、福島県の浜通り地域を始め、被災地の様々な現場に足を運ばせていただきまして、各事業の状況を確認させていただきますとともに、地元の皆様から様々なお話を伺ってまいりました。その中で、事業を進めるに当たっては地元の方との信頼関係の構築が特に重要であるということをその度その度に感じさせていただいて、心にして実行してきたと思っております。引き続き地元の皆様方との信頼関係の構築に努めるとともに、安全には先ほど申し上げましたとおり万全を期して、残された課題の解決に向けて一歩一歩取組を進めていけるように努力を続けてまいりたい、こう考えるところでございます。今日は、私からは以上とさせていただきます。

2.質疑応答

(問)産経新聞の市岡です。よろしくお願いします。今、震災から7年ということで御発言をいただきましたたが、進捗状況についてお話をいただきましたが、今後の更に進めていく上での課題となっていることとして、もうちょっと整理していただければなと思います。
(答)課題は極めて山積しておりますので、漏れがあってはならないことと思いますけれども、今、福島の、特に特定復興再生拠点区域の整備、これにつきまして、それぞれがこの復興再生計画を出してきていただきまして、双葉町、大熊町、浪江町は、これで次第次第にその分野について進んでいくことになりますが、残る地域につきましても、富岡町、飯舘村、葛尾村においても検討が進められているということを認識しております。双葉町、大熊町、浪江町において、既に計画が認定されていて、計画が認定され次第速やかに除染・解体工事に着手をし始めておりますが、これも、地域の皆さんのお気持ちをしっかりと伺いながら、一つ一つ丁寧に進めさせていただきたいと思っております。特定復興再生拠点の整備は、福島の復興再生の更なる前進に向けた大変大切な取組だと認識をしておりますので、今後本格化する拠点整備において、私たち環境省としても関係省庁と連携をしながら、ただいま申し上げた家屋等の解体、除染を始め、引き続きしっかりと役割を果たしてまいりたいと考えております。そして、本当に避難をされた皆さんが安心して戻ってきていただけるように、我々は努力をしてまいらなければいけないと思っております。それから、中間貯蔵に係る用地取得の推移なども申し上げておきますと、おかげさまで、御協力をいただきまして、現在、民有地については、801ヘクタールが契約済みとなりまして、全体で申しますと50.1%でございます。これに公有地等を足してまいりますと63.1%程度になってくるものと思いますけれども、なお一層地域で御信頼いただく会話を重ねながら御理解をいただきまして、これについても進めてまいりたいと思っております。それから、中間貯蔵施設への輸送の面でございますけれども、29年度の輸送実績が、締めて46万1,084立方メートルになってまいりました。始めましたときからの累計を足し算いたしますと、69万200立方メートルということになってまいりました。29年度は50万立方メートル程度を輸送する予定としておりますが、この数字を少し超えていくことになるかどうか、これは、量の問題よりも、事故のないように慎重にこれをやっていかなければならないということは当然のことと思いますけれども、これもまた、大勢の運送に関わる皆さんを始めとする皆さんの大変な御協力をいただいておりますけれども、さらにまた、引き続いて、輸送対象物の全数の管理、輸送車両の運行の管理、環境モニタリングを行って、安全かつ確実な輸送を更にまた実施をしてまいりたい、かように思う次第でございます。ちなみに、輸送の総輸送車両数が、今現在7万6,488台、累計で申しますと11万4,526台ということになっております。それから最後に、福島、あちこちでやらせていただいておりますけれども、放射線にかかわることについて安心をしていただくためにも、理解を深めていくというダイアログを、やはりやっていかなければならない。これに対して、大変ありがたいことに国際社会からの協力も多くございまして、先般も、南相馬市、川俣町、双葉町の住民、あるいは県外避難者の皆様方を対象といたしましてICRP、そしてまた、ノルウェー放射線防護庁等々、さらには、広島大学、福島県立医大等の皆様の御協力もいただいて、この懇談をする機会をいただきました。こうした会話というのが、また地域の皆さんにも、様々な形で自分たちの地域がどんなふうになってきたかということを知っていただくのに大切な活動だと思いますので、これからも私どもとしても、こうしたことも含めてしっかりやらせていただきたいと、こう考えております。
(事務方)ちょっと1点補足をさせてください。すみません。先ほど、中間貯蔵用地の状況について御説明いただきましたけれども、契約済みのところが、全体1,600ヘクタールのうちの801ヘクタールで50.1%、それで、民有地1,270ヘクタールに対して、この801ヘクタールというのは63.1%ということです。

(問)環境新聞の小峰です。副大臣を留任されて、一貫して、ほかのこともやっていらっしゃいますけれども、福島の除染、そういう中間貯蔵等をやってきましたけれども、その間、復興大臣もかわったりしていますけれども、政務担当の副大臣として、大臣も含めて、一番長くやられているのは伊藤さんではないかなと思うのですけれども。
(答)え、そうですか。
(問)この問題は、はい。それで、ざっくばらんに聞きますけれども、伊藤副大臣の地元は愛知ですよね。
(答)はい。
(問)こんな福島の除染のことをやっても、愛知で1票にでもなるのですか。そこら辺の政治家としての心境をお聞きしたいのです。
(答)私は、この除染のことについても、やっておることについて、しょっちゅう、あちこち呼ばれれば伺ったところでお話をします。そして、そうした皆さんに、福島に出かけてほしいと、こういうことだから出かけてほしいと。1泊か何かでバス旅行に行ってもらって、そして、あちこち見て回っていただいて、少しお金も使ってもらって、最後に、例えばおいしい夕食を食べたり、おいしいお酒を飲んだら、「おいしかった」と、「また来るからね」という一言を言い残して帰ってきてほしいと。それが、私がみんなを代表して、福島のことについてやらせていただいていることを、大勢の人たちで応援をしてもらうことになるので、ぜひ、そういうことをしてほしいということを申しております。それは、非常に、私の選挙区の中でも理解をしていただける方々も多くて、この間行ってきたぞという話を、またお会いするとしていただく方もおられますので、私は決して、何というのでしょうか、選挙のことだけを考えて政治活動をするのではなくて、やっぱり自分のやっていることを全部お話を申し上げて、理解をしていただいて、支えていただけるような国会議員になってまいりたいと思いますので、決して自分の選挙区の仕事だけではなくて、今、日本で一番大事な課題にふれさせていただいていることを、もっと頑張れと言ってもらって押し出していただいて、仕事をさせていただいていることがありがたいことだというふうに思ってやっておりますので、それは、逆に言うと、だから両方のみんなに理解をしていただく、両方の話をするということが大事なことかなというふうに思います。

(問)2点お伺いします。テレビ朝日の吉野と申します。1点は、先般、原子力規制委員会のほうで、空間線量と被ばく線量の関係についての言及がいろいろと委員の間から出ていまして、空間線量イコール被ばく線量ではないというのは従前言われていたことなのですが、どんなに保守的に見積もっても、空間線量の実態としての被ばく線量は、4割ぐらいだということが言われていまして、専門委員も委員長もそのようにお話をしているので、環境省にもそのような情報が伝わっていると思います。そうすると、今、その被曝の基準となっている0.23μSv/h、当然のことながら、科学的な知見が積み重なっていくのであれば、この辺もすぐに見直すということはハレーションが起きるにしても、何か検討委員会を立ち上げるとか、そのようなお考えはないのでしょうか。
(答)一つ目ですね、吉野さんの。
(問)はい。そこからまずお答えいただければ。
(答)あの、今のお話は、報告は上がってきておりますが、私も、最初にこれに着任したときに、福島にある基準というのは、世界との比較をしても、大変厳しい基準で何もかもやってきたわけですね。私は、最初これをどう思ったかというと、厳し過ぎることによるいろいろな影響について、大きいなと思っていたのですが、今こうして年月をいただきながら仕事をさせていただきますと、その厳しい中にあるからこそ、安心をつくっていくことができるという大事なポイントを、大勢の人からも伺っています。したがってこの件は、慎重にこれを議論していかなければいけないというふうに思って、見守ってまいりたいと思っておりますが、私たちもそのことについての参加ということについては、考えてまいらなければいけないのかという気はいたします。なぜならば、そのことをメインにして仕事をしている以上は、やはり、そうしたことにも責任を持っておかなければいけないというふうに思うからです。
(問)これに関連して、なぜこれをお聞きするかというと、やはり、小中学校が、飯舘や、浪江もそうですけれども、開校が今春から始まりますね。帰還というものを現実的に将来につなげていくのであれば、この線量の見直し、空間線量と被曝線量、この見直しはもう必須の条件ではないかと思うのです。もう、すぐ検討会ぐらい立ち上げるぐらいの勢いでいかないと、本当に復興進むのかなと、心配になるのですけれども、少し動きが遅いのではないでしょうか。
(答)御指摘は御指摘としていただいておきたいと思います。そうしたことが、逆に言うと、マスコミの皆さんから心配をしていただいているということが、我々の議論としても、どう捉まえていくかということを考えなければいけないというふうに思いますので。親の立場や、本当にそれが身体的にどうであるかというようなことというのは、極めて大事なことだと思います。ただ、世代を超えて、これはどういうふうになっていくかということを私たちも基準に考えていかなければなりませんので、慎重なことと、それから、ふるさとに戻ってきてもらうことと、そして、安心して暮らしてもらえるということが、どう調和、きちんと調和することができるか、それをしっかり捉まえて、ただいまの御指摘の件も考えて、実行できるようにしていきたいものだというふうに思います。
(問)二つ目の質問ですけれども、これは中間貯蔵にかかわらずの話ですが、例えば、飯舘村においては、今も、もちろんフレコンバックが山のように、あちこちに積んであるわけですが、これを、その中間貯蔵に入れるということではなく、帰還困難区域にある長泥地区に谷とかがたくさんありますので、そこに持っていって保管を実施する。そして、しかるべきときに再利用も考えるというような取組というのが始まっていて、これはこの方向で進もうと今しているのですね。それは大きな可能性を、私個人は秘めていると思っているのです。中間貯蔵に一点に集めていくということではなくて、あるものは分散していくと、そして、しかるべきときは再利用も考える、こういう、もちろん、特措法で今、縛られてしまっている部分があって、環境省の多くの職員は、縛られているから仕方なくやっている部分もあると思うのですが、やはり、この見直しも含めて、本当に中間貯蔵にばっと集めることがいいのか、分散して再利用することを考えていくことも視野にあるのか、その辺は政治としてどのようにお考えですか。
(答)今の話で、少し事は正確に申し上げておかなければいけないなと思うのは、基本、中間貯蔵に集めてまいります。その上で、その再生利用の土壌というものについて、どういうことができるかと。あれは、長泥の谷間を一時お借りして埋めるというのではなくて、長泥でやろうとしていることは、実は再生利用で、農業としてこれができるかということをやってみようということで、少し入れさせていただいております。この間、私も長泥の地域の中に分け入ってまいりまして、今どういうふうな状況になっているかということも地域の方とも話をしながら、やってまいりましたので。何だかこの、今の吉野さんのお話で長泥がどどーんと埋まってしまうように思われた方がおられたとしたら、そうではなくて、今やろうとしていることは、再生利用の実証をここで少しやらせていただいてみようか。そして、できたものがどんなふうになるかということを調べてみたいということでやろうとしています。これは、これだからといってというわけではないのですが、ただ、一方で、私たちは、ルールとはいえですけれども、まず、目の前のフレコンバックをできるだけ早くなくしてさしあげることが極めて重要だというふうにも思っていますので、まずそれを、中間貯蔵で大変大勢の人に御理解をいただいて進めさせていただいている事業だけに、ここに集約をしっかりとさせていただきたいなと思っています。その次は、やはり、あちらこちらで手を挙げていただきながら、御理解をいただいて、本当に再生利用というものがどこまで役に立っていくかということについても、できるだけどういう結果が出るかを、我々も実行しながらやらせていただいているところでございますので、確かに、身近なものを身近でというふうに思われるかもしれませんが、そこは秩序というものをきちんと持ってこの作業を進めていく必要があるのだろうと。そちらをまずは一つ、重きに思いながら、地域の皆さんの思いが、ぜひ、目の前から、このフレコンバックが早くなくなるといいなということを考えておられますので、そう思っておられるのは当たり前だと思いますので、それをなし遂げてさしあげたいということが、私たちの大切なことかというふうに思います。
(問)最後になのですけれども、おっしゃることはわかります。ただ、特措法で決められている法律の枠というものがあって、それが重しになっていることは大変わかるのですが、そうはさりながら、1カ所に集約して何十年後に県外に持っていくというのは、もう既にこの段階で破綻していると考えたほうがいいのではないでしょうか。だから、そこをきちんと合理的に地元に説明しつつ、別の方向性を探っていくという努力を今からなされるお考えはないのでしょうか。
(事務方)法律に基づいて、30年後の県外最終処分を目指す取組を進めるという、この線は全く変わりはございません。その最終処分を実現する際には、できるだけ減容することが重要であるということで、そのための再生利用を進めると。再生利用を進めるべしという点では御指摘のところは全く同じ方向を向いておると思います。そのための第一歩として南相馬の実証事業、そして第二段として、今も話題に出ております二本松、あるいは飯舘での取組等の実証を進めておるところでございまして、いずれにしても再生利用を最大限進めることによって最終的な解決につなげていくという方針を進めていきたいと思っています。

(問)関連してなのですが、読売新聞の中根です。除染土を再生利用するという取組に対して、二本松市の市民団体が市内での事業を中止するように申し入れしたようなのですけれども、この点について受けとめを教えていただきたいのと、あと、いずれにしてもこういう再生利用というのは進めていきたいという気持ちはあると思うのですが、どのように国民にわかってもらえるようにするのか、どういう理解を求めていくための取組が必要だと考えていらっしゃるのか教えていただければ。
(答)2月20日に、環境省福島地方環境事務所及び福島県庁に対しまして二本松市の市民団体から再生利用実証事業について申し入れがあったことは承知をいたしております。福島県外での最終処分の実現には、除去土壌等の減容・再生利用を進めることが大切であります。引き続き実証事業について御理解をいただけるよう丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。だからこそ、先ほど話もございましたとおり、私自身も再生利用について南相馬市でもスタートいたすときに伺ったわけですけれども、これでどこまで再生利用することができる土壌ができるかということをまず大勢の皆さんとしっかりとまなこを開いて、安全であるかどうかということも含めて、どういう結論が出るかということを今は一生懸命取り組ませていただいているわけでございます。ここでやっぱり減容できるものがまだまだあるなということが確認できて初めて次の段階ということになろうかと思いますので、今の段階では各地域で、まずできるだけ各地域で、福島県下でそうしたことに御協力をいただける皆さんに御協力をいただきながら、地域の皆さんの理解をいただけるように私たちもしっかりさせていただきたいなというふうに思います。

(問)毎日新聞の五十嵐です。先ほど冒頭の発言で復興拠点について少し言及があったので簡単にお尋ねいたしますが、お話があったとおり、双葉、大熊、浪江で計画が出て、それに対して認定、除染を始めるという流れになっていますが、一方で、あのあたりの地域も、まちによって地形が異なりますし、そもそも人が集まって住んでいた、中心市街地がもうできているところもあれば、村というか集落が点在しているようなところもあれば、その町、村によってそもそもの人々が住んでいる形というのも違うところがあって、もちろんそれに応じて計画を出してもらうというのも仕組みのたてつけなんだとは思いますけれども、実際その計画が上がってくるということを待つというのを続けていく考えなのか、ちょっとこの計画をつくっていく上で、環境省としてどういうふうに、相談にのったりとか、そういったところやっていくのかということに対してのお考えがあればというところ、とりあえずそれについてお伺いをお聞かせください。
(答)私どもと、それから、まちづくりという点でいうと、もう一つ、国土交通省を始めとするまちづくりをやっている人たちもいるわけですよね。今おっしゃったとおり、それぞれのまちのありよう、以前のありようが違うんだよねということは、それはそれでよくわかるのですけれども、新たなまちづくりというのは、どうしていくべきなのかというのは、これはこれで新しい考え方で進めていくということもあり得べしだと思うのです。ですから、そこは地域地域の行政体の皆さんともよくよく相談をしながら、これからあるべき姿として、最もある意味合理的で、そして、ある意味温かみのあるまちを、世代を超えて大きくなっていく要素の種をどうつくるかということについて、よくよく地域の皆さん、今の行政体のトップ並びに関係者の人と、よくその辺を相談していく必要があるのかなという気はいたします。思いのあることですので、思いを否定してスタートするわけにはまいらないと思います。でも、その思いが強過ぎて、まちづくりができるかどうかという点が、先ほどお話のあった過去がどうであったかも含めて、それが今度つくるときというのは、全く違う状況の中でつくっていかなければなりませんので、それをどう結びつけられるかというのはまた別の問題だと思って整理していかなければいけないと思います。そのときに私たちが、しからば家屋の解体ですとかそうしたことを含めて、どこまでやっていくか、どれをやるのかということを今度は請け負ってまちづくりに参画をしていくことになろうと思いますので、そういうことかなというふうに思います。