大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成30年12月25日(火)10:31 ~ 10:44 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私から2件ほど御報告いたします。まず1件は、先週の21日、第4回目の「パリ協定長期成長戦略懇談会」が行われました。会合では、これまでの主要テーマに関するヒアリングを含めた議論を踏まえつつ、今後の提言の取りまとめに向けて戦略に必要な要素を更に充実すべく、委員各位からいろいろな御議論をいただいたところであります。具体的には、委員の皆様からは、共感性の高い社会像を示すということ、地域やくらし、ライフスタイルからの視点の重要性、戦略策定後のフォローアップの仕組みなどの提案がございました。大変有益な御意見をいただいたというふうに考えております。また、私からは、先日のCOPにおいて、政府代表演説や各国とのバイ会談などあらゆる機会を捉えて日本の取組や貢献について説明し、高い評価と期待を得たということも御報告させていただきました。同時に、パリ協定に基づく長期戦略をしっかりと作り上げるとともに、その中で1.5℃目標に向けた努力と向き合うことや、2050年80%削減の先にある脱炭素社会の実現を目指していくことなども明らかにすることが重要である、こういうことも発言したところであります。懇談会には提言案の取りまとめに向けた議論をお願い申し上げるとともに、その結果も踏まえ、しっかりした長期戦略の策定に向け、引き続き尽力してまいりたいと思います。
 それから2点目でございますけれども、本日、障害者雇用に係る、本年6月1日現在の状況について、環境省ホームページにて公表したところであります。環境省では、法定雇用率達成に53人の不足が生じていることになります。環境省としては、障害者雇用率制度の対象となる障害者のずさんな計上があったことを重く受け止め、反省し、組織全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底し、取組を強化していくということにしており、2019年12月末まで、来年の末までに60人を採用する計画を立てております。この計画に沿って、本年中に新たに7人の障害者を雇用すべく、公募・採用手続きを進めてまいりましたが、計画を上回り、現時点で11人を新たに採用いたしました。引き続き、スピード感をもって、障害者雇用を推進してまいりたいと思っております。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の五十嵐です。御発言のありました長期戦略の懇談会の関連で1点お尋ねいたします。日本政府は今の時点で国連に長期戦略そのものは提出していないという認識ですけれども、一方で、数値目標として2050年の80%削減というものはもう対外的に公表はされていると思います。一方で、今年のCOPを御覧になったお立場からも多分お分かりだと思いますけれども、欧州連合が2050年の時点で実質的に排出ゼロを目指していくというふうな考え方を打ち出すなど、かなり国際社会で脱炭素に向かって動きを進めているというか、具体的にどう進めていくかというのは今後だと思いますけれども、少なくともそういうプランというか、ビジョンというのは出している国も多く出ていると思います。その中で今回、長期戦略を新たに策定する上で、2050年の80%という目標については、現時点でこれで妥当というふうにお考えなのか、それとももう少し高い目標を掲げていくというお考えなのか、その辺について大臣のお考えを聞かせてください。
(大臣)先々週になりますか、COP24に私も、一番大事な結論の部分ではしっかり参加をさせていただいたところであります。それぞれの国が、本当に環境問題に真剣に取り組んでいるというところを感じまして、私ども日本もそういう意味では、他国に負けないようには、他国を引っ張れるぐらいの施策をこれからつくっていかなければいけない、そういうことを思ったところであります。ただ今の80%につきましても、これから正に国際社会の動きの中でしっかりまた捉まえながら、これから国内でしっかりまた議論をしていこうと、こう思っております。多少私の個人的な受け止めも含めまして、今回の会合では、長期戦略の基本的な方向について、野心的な目標・ゴールを設定し、それを発信することにより、国内外での取組を引っ張っていくと、こういうことは必要でありますし、地域や暮らしの観点も踏まえながら共感性の高い社会像を掲げるべきである、こういうことも考えているところであります。21日のパリ協定長期成長戦略懇談会においての議論を踏まえながら、今申し上げているところでございます。いずれにいたしましても、これからの動きについては、極めて国としても大事なことでありますし、しっかり取り組んでいかなければいけないと思っております。この間の懇談会におきましても様々な意見が出たところであります。例えば具体的な対策の方向として、水素や再生可能エネルギー、原子力、また、CCS等による石炭の脱炭素利用を進めることなどのエネルギー分野の取組を進めることの必要性、蓄電池、モビリティなどの技術革新とその低コスト化等による社会実装を進めること、TCFDによる企業の情報公開などを進めることにより、ESG投資を促進すること、長期戦略を策定した後のレビューの仕組みを構築すべきであると、こういうような御意見がありました。いずれにいたしましても、政府としては、しっかり懇談会でのこういう議論を取り込みながら、最終的にはできるだけ早く国としての長期戦略も出していきたいと思っているところであります。いずれにいたしましても、この各般各層の御意見をしっかりまた踏まえて、いずれにしても環境省は、やはり主導的な立場で施策を皆さん方に出していかなければいけない、こういうふうにまた考えているところでございます。

(記者)関連でもう1点なのですけれども、今の御発言を伺ってますと、やっぱり今、懇談会で議論を進めているということも踏まえて、御自身の意見が出ると懇談会の議論に影響を与えるということももしかしてお考えなのかもしれないと思うのですが、懇談会で議論を進めていく上で、地球環境問題、特に地球温暖化問題を所管する主たる大臣が、この長期戦略についてどうお考えになるかというところで、もう少しはっきりとしたメッセージを送っていただいたほうが議論を行う上でも有益なのではないかなと個人的には思うのですけれども、その辺りも含めてもう一言だけ。
(大臣)おっしゃるとおり、しっかり審議の状況を見ながら、しかし、それ以上にあるべき姿を環境省としてきっちりつくり上げて、これから施策という形で発信していきたいと思っております。

(記者)熊本日日新聞の内田といいます。先日、チッソの後藤社長が辞任を表明されました。長年、水俣病問題に深く関わっていて、他に適任者がいないということで社長に復帰して1年半余りの突然の辞任だったわけですが、大臣のこの辞任に関しての受け止めをお伺いしたいのと、また、こういった経緯をよく知る人物が会社を去るということで、今後の水俣病問題への影響などお考えがあれば併せてお聞かせください。
(大臣)先週の21日、チッソ株式会社の臨時取締役会において、後藤舜吉代表取締役社長からの辞任届が正式に受理されたと、また、後任として木庭竜一氏が選出されたというふうにお伺いをしております。会社のことでございますので、後藤氏の辞任理由については承知はしておりませんけれども、同社からは、引き続き水俣病問題に対し真摯に対応していくとの意思は確認しているところでございます。

(以上)