大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成30年10月5日(金)11:27~12:00於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 一昨日、福島県に出張いたしました。内堀福島県知事に御挨拶をさせていただいたところでございます。日頃から除染や中間貯蔵施設の整備、汚染廃棄物の処理などに御理解と御協力をいただいていることに対して、心から感謝と、また福島の復興に対し全力を尽くすということをお伝えしてきたところであります。その上で、内堀県知事からは、「有事」、「中間」、「信頼」の三つの言葉について御発言をいただきました。具体的には、7年半の時間がたったが、地元は今もなお「有事」の最中であると、こういうことでございます。今の状態というのは「中間」段階という認識であって、国が責任を持って最終処分に取り組んでほしいと、こういうことであります。併せて、地元との「信頼関係」を大切にしながら取り組んでほしいと。この三つのことについて御発言があったところであります。当然ながら私としても、知事や関係自治体と密に連絡を取りながら、福島の復興に向けて全力で取り組むと、こういうことをお話をしてまいりました。7年半の時間がたって、今もなお「有事」だという御指摘は、私どもも正に道半ばであると、こういうことをしっかりお話しした上で、様々な点について、これからこそが国としてしっかりやるんだということを申し上げてきたところであります。いずれにしても、信頼という言葉を、知事、私も、強調してきましたけれども、いずれにしましても、そのためには、私ども国、更には地方の全てのいろいろな自治体、更には関係者、住民の皆様も含めて、しっかりと信頼関係を持ちながら連絡体制をとっていくと、こういうことが必要ではないかと思っているところでございます。
 それから、トキの話をこの際申し上げたいと思います。本年5月9日の日中首脳会談におきまして、中国から提供されることで合意されました2羽のトキの引渡しが10月17日に行われるということになりました。これらトキの引渡しのため、李春良中国国家林業・草原局副局長さんを団長とする10名の代表団が訪日をいたします。成田空港において、日本側代表と引渡し署名を行い、2羽のトキは佐渡トキ保護センターで受け入れる予定となっております。新たなトキの提供は、日本のトキの遺伝的多様性の確保の観点からも重要で、これにより今後の野生復帰が更に安定的に進むことを期待しているところでございます。

以上が私からお話したいことでございますけれども、また皆さん方からいろいろ御意見等もあると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(記者)テレビ朝日の広瀬です。茨城の東海第二原発についてです。この原発は、先月新規制基準の主要な審査が終了して事実上の合格になりました。ただ、再稼働に向けては課題が山積していて、特に住民の避難計画については周辺のほとんどの自治体が固まっていない状態です。この避難計画なのですけれども、原発の30キロ圏内に住民がおよそ100万人いる上に、大きな道路が常磐道とか国道6号線とか、限られている状態です。このような環境で、国が避難計画の指針を作ると思うのですけれども、果たして安全でしっかりした避難計画を作るということが現実的なのか、大臣の御見解をお願いします。
(大臣)東海第二地域につきましては、原子力災害対策重点区域内に今、96万人、そのうちPAZ内でも約8万人と、人口が非常に多いことが特徴の一つでございます。こうした特徴を踏まえながら、国としては、県外避難先や移動手段の確保、要支援者への対応など、地域防災計画・避難計画の具体化・充実化に向け、「東海第二地域原子力防災協議会」の枠組みの中で、地域の実情を熟知している関係自治体と一体となって検討を重ねているところであります。今後とも、国がしっかり関与しながら、関係自治体とともに、防災計画・避難計画の具体化・充実化に取り組んでいきたいと、こういうように思っているところであります。

(記者)朝日新聞の川村です。昨日の、私が出ていなかったグループインタビューの方で、プラスチックごみの問題で、使い捨てのプラスチック製のレジ袋について、個人的な御見解として、有料化すべきという思いを示されたというふうに伺っていますが、このお考えについて改めて教えていただきたいのと、もしそう考えていらっしゃるのであれば、どういう問題意識や理由でそのようにお考えになっているかということを教えてください。
(大臣)プラスチック廃材の環境、また生物等に与える影響というのは非常に深刻なものがあります。そういう観点から、私は海洋プラスチックごみ対策として、使い捨てプラスチックの無駄な使用を削減していくということが非常に重要なことであって、特にレジ袋については有料化を義務付けることも検討すべきではないかということを申し上げたところでありますけれども、現在、産業界や自治体、NGO等の関係者が集う中央環境審議会の場で、これらプラスチックの削減策を含め、プラスチック資源循環戦略の御議論を続けていただいているところであります。したがいまして、具体的な進め方については、そこでの御議論も踏まえながら今後しっかりと検討していきたいなと、こう思っているところであります。現在、プラスチック資源循環戦略小委員会において、事務局からレジ袋有料化に向けた具体的な方針が示されるかどうか、これは現在調整中でありますけれど、いずれにしましても、早急にこういう委員会で議論していただいて、それを踏まえて政策としても取り組んでいきたいなと思っております。

(記者)日本経済新聞の安倍と申します。今のレジ袋の関連で幾つか伺いたいと思います。今、企業は有料化といっても、今自主性に任せられている。もう既に1袋2円とか、そうやっているところもあります。なぜ企業の自主性に委ねないのか、なぜ国が一律にやるようにお考えになっているのか理由を聞かせてください。
(大臣)こういう経済活動は、基本的にはそれぞれの自主性に委ねられている部分が大部分でありますけれども、いずれにしても、この海洋プラスチック廃材の問題につきましては、この数年のお話でありますけれども、特に深刻になってきたという意味では、製造から流通、様々な工夫をしなければ、なかなかそれが解決しないという部分もあるのではないかなと。ちなみに来年の6月には日本でG20の会合がございますし、その中で環境閣僚会議という、これは初めての会でありますが、そういう意味で私も日本も、非常にこの問題には力を入れているというのが現状でございます。申し上げましたように、その辺のいろいろ、基本的な考え、更には政策をどうするかについては、プラスチック資源循環戦略小委員会の方で、これから早急に、しかも非常に真剣に検討していただくというふうに伺っておりまして、その辺の動きも見ながら最終的には判断をしていきたいなと、こう思っているところでございます。
(記者)大臣の今の問題意識、分かりました。その上で、深刻化しているという背景があるということですけれども、有料化するといっても、例えば価格ですよね。高ければ高いほど控える人は増えると思いますけれども、その価格というところも国が何か定める、そういうお考えもございますか。
(大臣)その具体的なやり方については、それこそ小委員会等でしっかりまた議論していただかなければいけませんけれども、ただ、私が昨日も今も申し上げましたように、何らかのそういうアプローチというのは必要ではないかなと。そういう意味で、あくまでもこれからの議論に委ねたいと思っております
(記者)有料化するとして、使うことを禁じるとか、そこまで踏み込むことはしないのですか。
(大臣)それは私はそこまでは今、考えておりませんけれど、小委員会でどういう御判断をいただくのか、それに任せたいと思っております。
(記者)最後に。期間はどれぐらいをお考えになっているのか。早急に取り組むのであれば来年ぐらいに議論しないと。
(大臣)それは、今の段階ではできるだけ早くということでありますけれども、しかし、申し上げましたように、今年12月にはCOP24も、これはポーランドでありますけれども、同時に来年の6月は我が日本で、環境大国としてしっかりとした環境閣僚会議、またG20としてしっかりとした議論を引っ張っていきたいという思いがございますが、できるだけ早くこの議論を進めていきたいなと、結論をだせればいいなと、こう思っております。

(記者)毎日新聞の五十嵐です。先ほど御発言がありましたトキの関係で、ちょっとお尋ねがあります。中国から新たなトキの提供が17日に決まったということですが、それに絡んで、就任の会見の際にも少しやりとりがございましたが、これまで大臣就任の前に、南京事件について政府の見解と少し異なるような御立場から発言されてきたところもございますし、あとは東シナ海のガス田開発についても御懸念されるような御意見がこれまであったかと思います。その一方で、環境大臣としての所管を担っていく上で、中国との関係というのは、近い国ということもありますし、非常に重要な部分があると思います。今回のトキの話に限らず、プラごみの件も中国からの禁輸という件がございますし、それ以外にも日中韓の環境大臣会合というのも今後、大臣、御出席なさる予定もあると思います。その上で、就任前の話で、先ほどの会見ではコメントを差し控えるということでしたが、大臣の持論は持論として、中国との国際協力に取り組んでいくおつもりなのか、その辺りの所見をもう一回改めて教えていただけますか。
(大臣)私は今、内閣の閣僚の一員としておりますので、所管外のことも含めて、独自の見解を述べる立場にはないというふうに御理解いただきたいと思います。
(記者)所管外というお話ですけれども、このまま大臣として任を務めていく上で、所管外だからこの件については言えないという話で果たして済むのだろうかという個人的な疑問はありますけれども、何か追加であれば。
(大臣)環境政策については、ひたすら決めたことをしっかりやりますけれども、申し上げましたように、閣僚の一員として、自分の所管外のことについては独自の見解を述べるという立場にはないと御理解いただきたいと思います。
(記者)今日は所管内のことをお聞きいたします。申し遅れました、環境新聞の小峰でございます。先ほどのごみ袋の有料化の件なのですけれども、今、中環審の方で鋭意検討していると。義務化について前向きな発言を大臣はおっしゃいましたけれども、大臣は経産省に、昭和45年入省以来長らくいらっしゃって、経産省の感覚というのは分かると思います。ごみ袋の有料化を反対する省庁といえば経産省だと思いますので、反対かどうか分かりませんけれども、ただ、機を見るに敏な経産省のことですから、その辺、経産省の感覚はよく分かっているのではないかと思います。またG20で成功させるのは、安倍総理の強力な支援大臣である世耕さんもG20を成功させたいがために非常にこれには協力するのではないかなとも思えるのですけれども、経産官僚の経験を基に、経産省はどんな対応を見せると大臣はお思いでしょうか。
(大臣)そういうキャリアを持っているというのは事実であります。政治家としては様々なキャリアを積んできたつもりであります。併せて、本件については国家的な、また国際的な見地。国際的なといえば、このプラスチックの処理については、諸外国も非常に進んだ方向を、既に出しておりますので、そういう観点から、今、御質問、御指摘のように、いろいろな観点から、産業界も含めて当然のことながら、これからその調整は十分にしていかなければいけないなと思っております。先ほどから申し上げますプラスチック資源循環戦略小委員会というのが、正にそういう観点から関係者がたくさんそこに参じて、そして当然のことながら、かんかんがくがくの議論をしていただくところでありますから、そこでの議論を十分踏まえながら最終的な結論を出していかなければいけないなと思っております。併せて、やはり今まであまり長い間気が付かれていなかったけれど、プラスチック廃材の問題は、これは大変深刻な問題であると。これは環境に対してもそうですし、生物、動植物に対してもそうですし、また当然、人の体にもそういう観点から大変な問題でもありますから、できることならしっかり方向は間違えずにやれればいいなと思っています。いずれにしましても、その辺の国内的な調整というのは、これは極めて重要でありますから、そこは私も全力を尽くして対応したいなと、こう思っております。

(記者)フジテレビの加藤と申します。レジ袋の関連の件で、昨日いろいろ調整について、やっていきたいというお話がありましたけれど、自ら産業界だったり、関係省庁と実際にお会いして意見を交わしたいというお話がありましたが、そこら辺のことについて具体的なことがあれば教えていただけますでしょうか。
(大臣)まだ具体的な考え、行動までは、私もまだ十分、着任したばかりで勉強しておりませんけれども、しかしいずれにしましても、そこは何が問題点だろうかというようなことを消費者行政も含めて、これは当然のことだと思いますから。いずれにしても、日本の民主的な政治というのは、当然のことながら、しっかりまた調整できる、合意できることから出発いたしますので。大変な仕事だと思っておりますけれども、何とかこの問題は解決しなければいけないなと、こういうふうに思っておるところであります。
(記者)レジ袋、プラスチック廃材、問題がかなりあるというふうな認識をされているということですけれども、レジ袋以外にも、環境省でもいろいろプラスチック代替素材だったり、いろいろ検討、生分解性だったり、いろいろそういうのをやっておられると思いますけれど、他に大臣が懸念されている無駄なプラスチック製品だったり、使い捨てだったり、そういうのはありますでしょうか。
(大臣)まだ具体的なことまでは思い付いておりませんけれども、ただ方向は私もやはり大臣としてしっかり出していかなければいけないなと、そういうふうには思っております。

(記者)時事通信の市原です。一応、確認ですけれども、先ほどの発言の中で、レジ袋を有料化することを検討すべきではないかということで、この検討というのは、有料化の義務付けを検討すべきではないかという意味でおっしゃったということでよろしいですか。
(大臣)それはそういうふうに御理解いただいていいです。
(記者)インターネット放送メディア・IWJの青木と申します。大臣就任おめでとうございます。今現在、電気自動車に関しては、日本と中国が統一規格を、実用化に向けて2020年、実行しようとしている中で、こういった経済界の中で、やはり大臣の中国に関する歴史認識に関して、注目されている、注視されている方は非常に多いかと思います。先ほど所管以外のことはお語りにならないということでしたが、今現在もYouTubeの方で、原田大臣の、中国において南京大虐殺は無かったというタイトルの動画が、今現在も閲覧することができます。これはこのまま放置されるということでしょうか。
(大臣)再々申し上げますけども、やはり所管外といいますか、私は環境政策、原子力防災政策に専心したいと思っております。所管外のことについては、今の段階では、しかと申し上げられないというふうに受け取っていただきたいなと、こう思っています。
(記者)このYouTubeの動画は、では、このまま削除せずに皆さんが閲覧できるままにするということでよろしいでしょうか。
(大臣)それも含めて、この場では、そういう場ではないというふうに思っております。
(記者)大臣のツイッターですとか、フェイスブックのキャッチフレーズには、「正しく、強く。ブレない!」というふうに書いてあります。そういった意味からも大臣に、こういった場できっちりとぶれずに発言を期待している支援者の方も多いかと思いますけれど、いかがでしょうか。
(大臣)よく考えて、適切に対応していきたいと、こういうふうに思っております。

(記者)NHKの杉田です。2点あるのですけれども。1点めが、トキについてなのですけれども、残念ながら14日の、佐渡で行われる野生復帰10周年の式典には間に合わないと思うのですが、11年ぶりの提供となると思います。これについての大臣の受け止めと、あと、期待されることをもう少し具体的に教えていただけたらと思います。
(大臣)新たなトキの提供は、本年5月9日の日中首脳会談で合意して、その後の署名式において前大臣の中川大臣が覚書に署名されたものであります。そのトキが実際に中国から到着する日程がいよいよ決まったということで、大変私はうれしく思っているところであります。現在、日本の野生のトキは佐渡島の野生下に350羽程度生息するほどに回復してきていますが、新たなトキの提供は、遺伝的多様性の確保の観点からも、私は重要に考えておりまして、今後の野生復帰が更に安定的に進むことを期待しているところであります。トキは日中友好のシンボルでもありますから、日中両国によるトキ保護協力が進むことにより、トキが日中友好の架け橋となるということを、併せて期待しております。
(記者)もう1点あるのですけれども、東京オリンピック・パラリンピック関連の施策で、環境省が、水素ステーションを設置した自治体に経費の一部を補助していると思うのですけれども、これに関して会計検査院が、補助の対象となった水素ステーション19カ所のうち2カ所しか二酸化炭素の削減目標を達成できなかったという問題を指摘していると思うのですが、これに関しての受け止めと、今後の御対応についてお伺いできればと思います。
(大臣)環境省が補助した再エネ水素ステーションについて、これを利用する燃料電池車の走行距離が少なくて、その結果、CO2排出削減効果が十分得られないのではないかと、こういう指摘を、会計検査院に指摘されたというふうに聞いておりますけれども、この要因というのは地域の実情によって様々異なりますけれども、燃料電池車を市民へのPRイベントとして使用することが当面は優先されたことと、燃料電池車利用の関係者に周知が十分ではなかった、というふうに聞いておるところであります。環境省としては、再エネ水素ステーションを十分に利用していない事業主体について、その状況を把握した上で、低炭素な水素社会の実現に向けて、事業主体への助言・指導を、今後しっかりと行ってまいりたいと思っております。

(記者)環境新聞の小峰です。先ほどもレジ袋の有料化の義務化の件を聞きましたけれども、それに関連して、大臣は今後産業界と、また関係省庁とも積極的に調整していきたいというふうにおっしゃってましたけれども、大臣就任に当たりますと、いろいろなところから表敬訪問も来ると思います。例えば、経団連の会長・中西宏明さん。日立の会長ですね。それから、経団連の副会長で環境安全委員会の委員長。これは、JXTGホールディングスの社長の杉森さん。特に、環境問題と経済の両立のためには、経団連の会長の中西さんと早急に会う必要があると思いますし、またプラごみ問題では、経団連副会長で環境安全委員長の杉森さんと早急に会う必要があると思いますけれども、もう既に予定は組まれていますでしょうか。
(大臣)今、御指摘のとおり、何事も政治的、行政的、経済的な国内の調整というのは、本当に十分な関係者との意見交換が必要であります。そういう意味では、まだスケジュールとかまではいっておりませんけれども、当然、必要ならば、また多分必要になると思いますけれど、そういうタイミングが来れば当然のことながら、関係者に、お話がありました経団連ばかりではなくて、多くのそういう関係団体には、当然のことながら出向いて、御挨拶、また御相談するということになろうと、また私も当然のことながらそこは決意しておるところであります。

(記者)共同通信の藤井です。原子力防災の関連でお尋ねします。今朝、北海道で震度5弱の地震がありました。9月には泊原発の外部電源喪失もありましたけれども、今朝の地震で原子力関連施設に何か影響がなかったのか、情報収集の対応等、確認できている状況を教えてください。
(大臣)地震発生後すぐに泊原子力発電所、これは北海道、北電でありますけれども、異常なしとの報告を受けています。なお、大臣就任後すぐに原子力災害時の初動対応について説明を受け、原子力防災大臣として改めて身の引き締まる思いを感じました。引き続き、住民の安全・安心の確保のため、万が一の原子力災害に備え、万全の体制で臨む覚悟でございます。

(以上)