大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年10月2日(火)12: 06~12:17 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 11時半からの閣議におきまして、閣僚の辞表を提出いたしました。振り返りますと、この1年2か月になるわけでございますが、いろいろなことがございました。それぞれの局面におきまして、記者クラブの皆様方には大変お世話になりましたことに厚く御礼を申し上げます。この御縁をこれからも続けさせていただきたいと思っておりますので、引き続きの御指導、またお付き合いのほど、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。 本当にありがとうございました。

2.質疑応答

(問)幹事社のテレビ朝日・吉野です。大臣、1年ちょっとの間、お疲れ様でした。一つだけ質問させていただきます。IPCCの総会が韓国で始まり、世界平均気温が1.5℃上がった場合の異常気象等について報告書がまとめられるということなのですが、1.5℃の上昇に抑えたとしても、世界各地で異常気象が続くというような内容になるようですが、大臣のお受け止めをお願いします。
(答)この特別報告書は、3年前にパリ協定が採択された際の気候変動枠組条約締約国会議・COP21からの要請を受け、1.5℃の気温上昇に関連した影響や温室効果ガス排出量等について、最新の科学的知見をまとめるものでございます。気候変動対策は最新の科学的知見を踏まえて進めることが重要でありまして、現在議論中の今回の報告書につきましても、年末のCOP24の成功及び世界の気候変動対策の進展を後押しするものとなることを期待しております。パリ協定では、2℃目標を定めつつ、1.5℃まで抑える努力を追求することについても規定されておりまして、このパリ協定の目標自体は不変であります。まずは2℃目標を確実に達成することを目指し、その上で1.5℃まで抑える努力を追求することが重要であると考えております。今後の更なる技術革新や将来の社会経済の姿などの要素が鍵となると認識しておりまして、国際社会、国、地域、企業、一般市民とあらゆるレベルにおいてしっかりと取組を進めていくことが重要であると考えております。

(問)毎日新聞の五十嵐です。先日、秋田港の火力発電所で大臣意見を出されましたが、この在任期間中もいくつか、大臣、石炭火力発電に対して厳しい御意見を出してこられたと思います。この前の秋田港の際も、丸紅が事業者ということで、大臣から言及もございましたが、ほかの案件も含めて、今、アセスメントの対象となった各事業者が、世界の潮流を踏まえて、どのように石炭火力に向き合っておられるか、大臣御自身の所見でもかまいませんので、どのように御覧になっているか言及いただければと思います。
(答)石炭火力発電所の新増設につきましては、いわゆる2月合意というのがございまして、2030年度のベンチマーク指標の目標達成の道筋をしっかりと確認をするということでございます。したがって、その道筋が描けないまま、あるいは示されないまま、石炭火力発電所の新増設を容認することはできないわけでございます。この点について、環境省としては、事業者の計画的な取組をしっかりとフォローして、仮にCO2排出削減の具体的な道筋が示されない、あるいは当初の道筋がうまくいかないということになれば、あらゆる選択肢を考えて、再検討していただくということになるわけでございます。ただ、いずれにしても2050年80%削減、そのあとは排出と吸収がイコールになる、実質排出ゼロと、こういう社会にしていかなければならないわけでありまして、そういうことを考えますと、石炭火力発電というのは事業リスクが極めて高い、そういうものだというように考えております。したがって、石炭火力発電は長期を考えれば卒業していくべきものだと私は考えておりまして、いわゆるアセスで申し上げている意見は意見として、しかし、事業者の方におかれましては、将来の事業リスクを考えた判断をしていただかなければならない。また、環境省としても、石炭火力発電所の新増設に対しましては厳しい姿勢で臨む必要があると、こういうように認識をしております。

(問)朝日新聞の川村です。今の質問の関連でなのですけれども、先日、神戸製鋼の新設の石炭火力をめぐって、地元の住民の方が神戸地裁に訴訟を起こしました。原告団が訴えていることは、大気汚染による健康リスク、あと気候変動による将来的な健康リスクなどということを訴えていらっしゃるのですけれども、大臣、今、石炭火力については将来の事業リスクということをおっしゃいましたけれども、こういう神戸や仙台で起きているような訴訟のようなことが、将来、こういう訴訟が石炭火力についても新たな事業リスクになるというふうにお考えでしょうか。その辺り、お聞かせください。
(答)訴訟との関係については、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。この神戸製鋼所の石炭火力発電は、神戸製鋼所からの書面やヒアリングによる情報収集を、環境省として行って、2030年度のベンチマーク指標の目標達成の道筋については、神戸製鋼所が最新鋭の高効率LNG施設を設置するというようなことによって可能だということを確認したわけでございますけれども、ここは今後とも本当にそういうことで、しっかりと道筋を歩むことができるのかどうかフォローをしていかなければならないというように考えております。個別の訴訟がどういうふうに起きて、進むのかについてのコメントは差し控えますけれども、石炭火力発電について一般論として申し上げれば、長期的に見た場合には、やはり事業リスクがあるということで、そこは事業者の方もそういったリスクというものをしっかり認識していただきたいと思いますし、環境省としても、石炭火力発電所の新増設については厳しい姿勢で臨む必要があるというように認識しております。

(以上)