大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年9月25日(火)10:22 ~10:40 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、土壌汚染対策法の改正に伴う2件の政令を閣議決定いたしました。一つ目は、昨年5月の通常国会で成立した改正土壌汚染対策法の施行期日を平成31年4月1日と定める政令、二つ目は、同法の施行に伴う所要の規定の整備を行うとともに、土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがある特定有害物質に「1・2-ジクロロエチレン」を指定する土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令です。引き続き、改正土壌汚染対策法の円滑な施行に向けて取り組んでまいります。
 また、「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」を閣議決定いたしました。この政令は、「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律」の一部の施行に伴い、廃棄物埋設施設の防護措置に関する深さの基準の変更等を行うほか、関係政令の規定の整備等を行うものです。内容は御手元にお配りしているとおりでございます。
 次に、私は9月18日から20日に開催されましたG7ハリファックス環境・海洋・エネルギー大臣会合に出席いたしました。気候変動、海洋プラスチックごみ、循環経済と資源効率性といった環境問題等について議論が行われ、G7各国が結束・連携し、引き続きこれらの環境問題に積極的に取り組むことを確認いたしました。特に海洋プラスチックごみ問題につきましては、私から、我が国の考え方といたしまして、海洋プラスチックごみ対策は喫緊の課題であり、途上国を含めた世界全体で取り組む必要があること。我が国は、海洋プラスチック憲章の内容を取り込み、また、それを上回る内容とするよう、来年6月のG20日本開催までに「プラスチック資源循環戦略」を策定すること。そして、G20日本開催では、G7各国が結束して、G20の枠組みで、途上国を巻き込んだ実効性のある取組を議論する考えであること、を主張いたしました。そして、各国の理解と賛同を得ました。公開サイドイベントでも、これらの考えを世界に発信いたしました。我が国の考えは、今回の会合の成果文書である「海洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ」にもよく反映されています。私といたしましては、今回の会合の成果も踏まえ、気候変動や海洋プラスチックごみ問題等に関する内外の取組を、揺らぐことなく進める決意を新たにしました。世界の環境政策を我が国がリードできるよう、しっかり取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)幹事社の共同通信の深谷です。大臣、冒頭発言にありましたG7の環境・海洋・エネルギー大臣会合で採択されました「海洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ」なのですけれども、こちらは、我が国の考え方がよく反映されているとおっしゃってましたけれども、特に数値目標や年限がなく、G7サミットのときの海洋プラスチック憲章から後退した印象を受けるのですが、これについてはどのようなお考えかということと、あとはもう1点なのですけれども、この大臣会合で今回コミュニケという形ではなく、議長総括という形でカナダが取りまとめたということなのですけれども、ちょっとG7として足並みがそろっていないのではないかというような感じを受けるのですが、この件についてもお聞かせください。
(答)まず、今回の会合を通じて感じましたのは、世界各国はプラスチック憲章の数値目標、それを前提にしているところ、そしてまた、それを超えてもう既にいろいろな行動を起こしている。そういう国がございます。我が国も、私から申し上げましたように、このプラスチック憲章の内容を取り込んで、それを上回るといいますか、それを超える内容のプラスチック資源循環戦略を来年のG20までにしっかりと取りまとめようということで、今、関係者と調整をするステップを踏んでいるわけでございます。そういう意味で、各国はそのプラスチック憲章の内容を超えて、もう議論をしているという印象を強く受けました。もう、いわゆる数値目標ということではなくて、具体的な行動を議論する、そういう段階に入っていると。そして、G7がまず結束をして、G20でもってしっかりと実効性のある取組を取りまとめる、そして世界に広げていく、こういう合意をした。こういうふうに考えておりまして、元々、数値目標はもう既に先ほどのG7のサミットで議論したわけであります。したがって今回の会合では、もう各国はそれを超えて議論をしている段階ですから、具体的な行動に移すときだと。こういうことで、G7のイノベーションチャレンジというものが出来上がり、非常に、今回の会合で大きくこの問題に対する各国の対応が前進をしたと、こういうふうに私は理解をいたしております。
(問)合意文書が議長総括という形でまとまったことについては。
(答)それは、いろいろなやり方があるのだろうと思いますが、カナダが議長国でございまして、議長サマリーという形で全体の総括をされたということで、それはカナダ側の議長としての御判断ということだというふうに思います。

(問)熊本日日新聞の内田といいます。明日で水俣病が公害認定をされて丸50年の節目を迎えます。いまだに訴訟などが続いていて、解決に至ったと言える状況にはないと思いますが、こうした現状や、この間の行政の在り方について、御所感等あればお願いします。
(答)水俣病は、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた、我が国の公害、環境問題の原点となる問題であるというように認識しております。行政としては、政府統一見解から50年という長い時間を経過した現在もなお、公害健康被害補償法の認定申請や訴訟を行う方が多くいらっしゃるという事実を重く受け止めております。現在に至るまで、大変長い時間が経過しているわけでございますけれども、私としては、当初の対策の遅れが被害を拡大したこと、環境や健康への深刻な被害は回復が容易でないこと、そういったことを改めて認識をしているところでございます。環境省といたしましては、地域の方々が安心して暮らせる社会を実現するために、真摯に考えて取り組んでまいります。関係県・市と密に連携しながら、公健法の丁寧な運用を積み重ねることはもとより、地域の医療・福祉の充実や地域の再生・融和・振興に、しっかりと取り組んでまいります。
(問)関連でもう1点なのですが、この50年を経てもなお、先ほど大臣もおっしゃったように、認定申請や訴訟が続いていて解決に至らない。この原因について、大臣としてお考えは何かありますでしょうか。
(答)それにつきましては、今申し上げましたように、やはり当初の対策の遅れが被害を拡大した、そして環境や健康への深刻な被害は回復が容易でないこと、こういったことが背景にあるというように考えます。

(問)日本テレビの中村と申します。プラスチックの問題にまた戻るのですけれども、先週、プラスチック資源循環戦略会議の第2回が終わりました。来月の中旬にも、一旦取りまとめるというふうな流れになっていますけれども、現状の議論の状況について、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)いろいろな関係者の方にお入りいただいて、正に真摯に、真剣に議論をしていただいているところでございます。この問題につきましては、海洋プラスチック憲章の内容を取り込んで、それを超える内容にしていきたいという、我々の考え方がベースにあるわけですけれども、業界の方も、また自治体や様々なステークホルダーの方も、プラスチックごみ問題につきましては、世界の流れもありますし、深刻な被害の状況、また将来にわたっていろいろな健康問題や環境問題に発展をしていくという危機意識というものを、皆さん共有しておられると思います。そういう意味では、本当に真剣な、正に前向きな議論を今していただいているというように認識しております。
(問)次官も出席される、非常に、環境省として力を入れている会議だと思うのですけれども、前回もいろいろなステークホルダーの方がいろいろな意見を言われている。主にメーカーの方だったのですけれども、関係者が非常に多いので大変だと思いますが、他方、消費者がプラスチックを求めている現状だとか、流通の状況だとかというところは、まだちょっと審議会の話が及んでいないような状況の中で、来月、一旦取りまとめということになると、ちょっとまだ十分にいろいろな意見を聞けていないのではないかという委員からの意見もありましたけれども、その辺は大臣はどのようにお考えですか。
(答)それは委員会の方で御判断していただきたいと思います。いずれにしても、今、喫緊の課題という認識の下で、消費者の意識も非常に大きく変わってきていると思います。そしてまた、産業界、これに携わる方の意識も変わってきていると思いますので、前向きな取りまとめをしていただけるものと思います。ただ、現時点においてはまだ、中間的なステップを踏んでいる段階でございますので、最終的には日本がこの問題をしっかりとリードできるような、そういう取りまとめをいただけるものと期待をしております。

(問)北海道新聞です。世界遺産の登録に向けた手続きについて3点伺いたいのですけども、ユネスコは作業指針で、9月末までの暫定版提出を推奨しているのですけども、あくまで任意なのですが、自然遺産候補の奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表については、この期限までに暫定版の提出をする予定があるのかどうかという点について、まず1点教えていただきたいです。もし提出しないのであれば、その理由を伺いたいです。あと、1国の推薦が1件になったことで、自然遺産候補と文化遺産候補が競合することになると思いますけれども、その選定作業、調整の状況について進展があれば教えていただきたいです。
(答)暫定版を申請するかどうか、今調整中でございます。自然遺産と文化遺産との調整につきましては、これは最終的には閣議で決めるわけですけれども、官邸の方で調整をしていただいておりまして、その作業の状況については、環境省の方は、現時点では特に把握しておりません。したがいまして、まだこれからの調整になるだろうというふうに思いますので、官邸の方には環境省の考え方は十分にお伝えをしているということでございます。

(問)読売新聞の蒔田です。今の関連なのですけれど、その暫定版の提出をするかしないかも、官邸の一本化の判断を待って判断するということだという理解でよろしいですか。
(答)いや、そこは直接関係ないと思います。
(事務方)事務方がいませんので、正確なところは事務方にお尋ねいただければと思います。

(以上)