大臣談話・大臣記者会見要旨

とかしき副大臣記者会見録(平成30年7月12日(木)14:46~15:06 於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

 まず3点申し上げたいと思います。
 まず一つ目が、7月の今回の豪雨の話をさせていただきたいと思います。7月の豪雨により亡くなられた方々に対し、心よりお悔やみを申し上げます。そして、被災された多くの方々に、御見舞いを申し上げます。また後で報告をさせていただきますが、ASEANの会議に出てまいりまして、そこでも各国から、この豪雨に対しては、皆さん非常に温かいメッセージを寄せていただきました。特に、ASEANの気候変動に関する会議でありましたので、これは多分、間違いなく気候変動の影響なのではないかと想定されるので、私たちは気候変動対策を各国協力をしながらやっていかなくてはいけないと。これは日本だけの問題ではなくて、どこの国でも今後、起こり得る話なのだから、自分たちのことだと思って、そして、被災なさった方々にきちんと心を寄せて会議に臨みましょうと、そういうことを各国、必ず会議の冒頭で言っていただきましたので、その旨もお伝えしたいと思います。環境省といたしましては、環境省災害対策チームを設置させていただきまして、今、被害の状況の確認を行っているところで、まだ全体像が確実につかめていない状況ですので、その辺は御理解いただければと思います。特に被災の状況が厳しい地域の中国四国地方環境事務所及び近畿地方環境事務所に、それぞれ現地災害対策本部を設置して、今、情報収集に当たっているところであります。また、災害廃棄物の処理に対しましては、9日より順次、福岡県、岡山県、広島県、愛媛県、京都府、岐阜県、こちらに環境省の職員及びD.Waste-Netの専門家で構成する現地支援チームを派遣させていただいております。当該自治体に対して、廃棄物の具体的な取扱いに関する助言を行っています。もうすぐ3連休に入ってまいりますので、各地から、ボランティアの方々が被災地に入られます。そのときに廃棄物を分別をしたりとか、そういうことに配慮していただかないと、また二度手間、三度手間になってしまいますので、その辺の助言がきちっとできるように、自治体との連携がとれるようにということで派遣をさせていただきました。あと、もう一つ大切なのは、避難所が設置されておりますので、その避難所の被災者への支援も重要になってまいります。特に環境省の所管としましては、し尿や廃棄物の処理、そして、ペットの対応。これはまた地域によって、その場所によってニーズも違いますので、それも適宜対応できるように、まずは現場のニーズをしっかりつかまえることです。それに基づいて対策を考えていくということで、関係の自治体及び関係団体とも連携した対応に努めていこうと、職員を派遣させていただいて、現場のニーズをしっかり把握できるような体制を整えたところであります。
 二つ目、昨日、私も出張から帰ってまいりまして、10日にシンガポールで開催されました、拡大特別ASEAN気候変動閣僚会合に出席をいたしました。この会合は、今年は、もう皆さん御存じのようにパリ協定の実施指針を採択していかなくてはいけませんので、そのためにタラノア対話というものがCOP23で提案をされ、それをみんなで盛り上げていこうということで、東南アジア地域における気候変動対策について、建設的な対話を行おうと、シンガポールが議長国になり、行われました。ここには、主催国でありますシンガポールのチーヒエン副首相を始め、ASEANに加えて日中韓が招待をされたということであります。さらにCOP23の議長国であるフィジーと、そして、今年のCOP24の議長国であるポーランドの閣僚、あと、エスピノーサ国連気候変動枠組条約の事務局長も参加されました。会合では、参加した閣僚と東南アジアの地域における気候変動対策について意見交換を行いました。各国、気候変動対策を推進していこうと。先ほどお話ししましたように、日本の災害もありましたので、そういう事例も話が出て、みんなで積極的に取り組まなければいけないということと、やはりパリ協定の実施指針を何とかCOP24でまとめなくてはいけないので、それに対して意識共有をしていこうということで、ハイレベルで理解が進み、大変意義のあった会議だと思います。私のほうから申し上げましたのは、日本として、昨年の日ASEAN首脳会議で、安倍総理が提唱しました日ASEAN環境協力イニシアティブに基づいて、日本が今まで取り組んできた、透明性や適応及び緩和、この三つについて、我が国がどういう取組をしているのか、今後どうしていきたいのかということを具体的に提案をさせていただきました。気候変動分野において、ASEANとの協力を更に強化していこうということと、先ほど言いましたように、パリ協定の実施指針についてASEANとしてもまとまるように、国際的な努力をみんなでしていきましょうということを申し上げました。我が国としては引き続き、東南アジア地域における気候変動対策に積極的に取り組んでいくということをお話させていただきました。日本のプレゼンは、結構前向きだったようで、ほかの国から、日本がこんなに頑張っているのを知らなかった、我が国もぜひ一緒にやらせてほしいということをわざわざ言いに来てくださるような国もありました。やはり、ASEANの中で日本の立ち位置というのはすごく重要ですし、環境政策においては各国にいろいろな形で技術提供とか、そして、資金のGEFとか、JCMとか、いろいろな形でサポートさせていただいておりますので、いい関係が築かれているのかというふうに思います。
 あと、三つ目に、働き方改革とCO2削減等の両立を応援する取組のスタートについて、報告をさせていただきたいと思います。私、御存じのように厚生労働関係のお仕事を長くしておりましたので、今までの経験を踏まえまして、厚生労働と環境とをリンクさせた仕事をしていきたいと、この会見でも申し上げましたが、その一つの取組で、今日は具体的な実績を御説明をさせていただきたいと思います。厚労省が取り組む重要課題の一つが、御存じのように働き方改革であります。この働き方改革については、環境省としてもどうやって取り組んでいけるのかということを考えていました。今、厚労省が考えている働き方改革は、時短、要するに、なるべく時間を短く、効率よく生産性を高めるような働き方をしましょうということを言っているのですが、これだけだと新しさもないだろうということで、やはり、大切なのは企業が社会的責任をきちんと果たしていく、その姿勢も大切なのではないかと。その姿勢がしっかりしていれば、従業員にも優しいということが言えるのではないかと。ですから、そこをきちんと評価できるように新しい物差しをつくるべきではないかと考えたときに、物差しとして非常に有効なのがSDGsです。国連のほうで採択して、今私もバッチをつけていますけれども、企業もSDGsを取り組んでいくという姿勢を持っておくことが大切ではないかというふうに思います。ただ、SDGsは17項目ありますので、17個全部をやるのかというと、これはなかなか大変だということで、でしたら、その17項目の中で、最も象徴的なもので取り組みやすく、そして数値化しやすいものは何かといって考えたときに、これは環境政策が比較的やりやすいのではないかということで、企業のそういった社会貢献度をしっかりと評価する軸の物差しの一つとして環境を、さらに環境の中で、CO2削減を数値化できないかということで、今回、まとめさせていただきました。環境省としましては、中小企業にも、ぜひこれに取り組んでいただきたい。環境省の悩みとすれば、環境政策というと大企業だけが取り組んで、中小企業は、どうぞ大企業さん頑張ってくださいとなっているのが今現状なので、そうではなくて、中小企業の皆様にも我がごとのようにきちんと取り組んでいただけるような環境をつくるためにも、こういった働き方改革の物差しの一つとして、環境、CO2削減を入れていくというのは有効なのではないかということです。実際、今、中小企業の環境経営の評価をするエコアクション21の認証取得している企業は、同じ規模であれば社会的信用度が非常に高いというデータも出てきていますので、だったら企業を評価する物差しとして非常に有効であるということがある程度分かるので、今回エコアクション21の枠組みを活用していくということになりました。働き方改革と連動した取組ということで、CO2削減を象徴として見える化していこうということです。具体的にどういう数値化を入れるかというと、例えばテレワークを入れましたといったときにどれぐらいCO2の削減効果があるのかということを簡単に算定できるツールなどをつくらせていただきました。例えば、省電力に変えていくとか、エレベーターを使わないようにするとか、オフィスのエネルギー効率を高めるとか、そういったことの項目を数値化して入れていくと、あなたのところはどれぐらいできましたねということが数字としてきちんと出てくるように。そして、それをグラフで見られるようにしていこうということであります。行く行くは、先ほど申し上げましたけれども、SDGsを経営の中にきちんと入れていただくように持っていくということで、ゴールはSDGsだよということで、それを解説した、SDGs活用ガイドも作成して、一緒に各企業にお配りしていこうというふうに考えています。厚生労働省にも、この秋オープン予定の職場情報総合サイトに載せていただくということと、あと、4月から各都道府県に設置されている働き方改革推進支援センター、こういうものがありますので、そこを通じて、地域でもきちんと情報共有できるようにお願いしたいというふうに思っております。CO2削減という物差しを働き方改革においても取り入れていって、そういった課題に挑戦する企業を、環境に挑戦する企業を応援していきたいと。そして、1社でも増やしていって、気候変動対策に対して多くの方に取り組んでいただけるようにしていきたいなというふうに思っております。
 私のほうからの説明は以上であります。

2.質疑応答

(問)朝日新聞社の川村です。よろしくお願いします。今の働き方改革の算定ツールをつくったということで、この算定ツールを企業が使うことで、どんなメリットが想定されるかというのと、もう一つ、せっかくつくったので広めていくことが大事だと思うのですけれども、その辺、普及に対して試案というか、このようなことができればというのが教えてください。
(答)企業のメリットは、やはり、これできちんと自分の社会的貢献度というものを数値化して見せるということができるようになるということです。多分あの会社はいい会社なのだろうなと思われて、終わってしまっている。それが、例えば採用とか、いい人材を集めたりとか、今は特に環境に対して資金も流れてくるようになってきたので、資金を集めていく上でも必ずプラスになるということで、企業評価とか環境に対する姿勢とか、そういったものを世の中に示すことによって、いい人材やお金も集まってくるという、いい循環を起こしていきたいです。それをすることによって、また積極的に環境に配慮した経営に取り組んでいこう、行く行くはSDGsも全体的に取り組んでいこうと、そういうふうにモチベーションを上げるような形をつくっていきたいなというふうに思っています。
(問)あとは普及策が何かあれば。
(答)普及策は、厚生労働省といかに連携をしっかりとっていくかということが大切ということです。あともう一つは、この算定ツールを使ったことによってどんなメリットがあったのか、ここをきちんとしっかり見ておかないと意味がないので、それを受けて、評価がなされ、そして資金やいい人材が集まるようになって、企業の業績がアップしていったという、そこまできちんと私たちも追いかけておかないと、頑張ったけれども何だ、という話になりかねませんので、そこのフォローアップがすごく重要かなと思っています。ですから、制度はつくりましたけど、ここに命を吹き込んでいくのは私たち役所の仕事だと思っておりますので、そこも、ぜひ、力を入れていきたいなと思っております。環境省としましては、エコアクション21という枠組みはありますので、これを上手に使っていきたいなと思っております。エコアクション21、私も個人的に入っているのですけれども、結構細かくいろいろ指導してくださって、すごく有効な活動をしているのですけれども、残念ながら、まだまだ知名度も低いところがありますので、ぜひ、こういったエコアクション21みたいな仕組みを、もっと積極的に御利用いただいたほうが、結局企業にもメリットがあるのだということも理解していただけたらありがたいと思います。国の大きなテーマである働き方改革ですが、他省庁とこうやって連携をしながら環境政策に取り組んでいく、これは第一歩でありますので、しっかりこれからやっていきたいです。環境省も、今まで他省庁と連携することが少なかったので、これからは積極的にかかわっていき、いろいろな形でウイングを広げていけるように、これから環境政策はなるべく多く、あちこちアプローチして、多くの人に理解していただいて賛同していかないと、ごく一部の人たちの取組だけでは、この気候変動対策を乗り越えていくことはできませんので、ウイングを広げていくような、その第一弾として頑張っていきたいと思っております。

(問)環境新聞の小峰です。今の点に関連して、来年度の概算要求及び今年度また組まれる予定だろう補正予算で、これを厚労省と環境省が予算要求するときは当然出されるでしょうか。
(答)まだそこまでの話はしていないですけれども、でも何かしらこういう新しい政策を実現していくのですから、やはりそれは考えていかなければいけないかと。財政的な措置も必要になってくるでしょう。そこまで細かい数字にはなっていないので、ひとまず、まずやるということでスタートしたところですので、まだ、これからの時期になってきますので、頑張っていきたいと思います。
(問)もう一点。とかしき副大臣は、額賀派、竹下派、今は竹下派ですか。
(答)はい。
(問)それで、厚労大臣の加藤さんも竹下派ということですが。
(答)そうです。
(問)同じ政策の志がある方同士ですから、この辺の話は。
(答)何度もお話しました。
(問)そんなことがあったのですか。
(答)はい。加藤大臣にも。私は、環境省の立場で初めはCO2削減とか環境政策でと考えていましたが、実は、このSDGsを入れたほうがいいのではないかとおっしゃっていただいたのは、加藤大臣なのです。
(問)そうなのですか。
(答)はい。私が、環境省だから、環境政策のCO2削減と言ったら、とかしき、それだけでは足りないよと。やはりゴールは遠くに、もっと野心を持たなければいけないと言って、SDGsを入れたほうがいいというアドバイスをいただいたのは加藤大臣からです。それだったら、そういうふうにさせていただきましょうと。入り口は、先ほど言いましたように環境、CO2削減から入っていき、最終的にはSDGsに持っていけるようにということです。いろいろコミュニケーションをとらせていただいて、お話をさせていただきました。

(問)毎日新聞の五十嵐です。確認ですけれども、これは厚労省の施策としての働き方改革に他省庁の施策がコラボレーションしていくというのは、環境省が初めてということになりますか。
(答)初めてかどうかは分かりませんが、今まで全くないと私は思わないです。例えば、環境教育をやろうと思っても、文科省と一緒にやったりとかしていますから、全くやっていないことではないとは思いますけれども、今こういうタイムリーな話題のところに、こうやってかんでいって、環境省としてもお役に立てることはないかなということを考えて、今回、提案させていただいた次第であります。これは環境省にとってもありがたい話でありますし、厚労省にとってもありがたい話のようです。物差しが今まで一つだったのが二つになって、新しさも加わって、そういう意味では企業もきちんとそれで評価をされるということで、双方、みんなハッピーな状況で、それだから受け入れられたのだと思いますけれども、これをしっかり進めていこうという考えです。他省庁との連携は、別に全く今までやっていないとは思わないですけれども、今回こういう象徴的な国として大きな方向性を打ち出すこういう政策に、しっかり環境省としても、どんどんこれから前向きに取組んでいくというやり方を習慣づけていけたらいいなということを思っております。
(問)昨日、再エネの実証事業で、補助金の返還命令が環境省から出されまして、この件で、平成24年度の事業なのですけれども、この蓄電池が設置されてから、平成27年に稼働できていないという事由の報告を環境省が受けて、それから3年以上フォローアップがされていなかったという説明が昨日あったのですけれども。この件で、こういった事態を起こさないための今後の対策などをもしお考えでしたら教えていただけますでしょうか。
(答)今、過去5年分について、この3カ月をめどに事業の実施報告を、その提出の有無をもう一回、全部確認していこうということで、事業実施報告書が保管されている5年分について一生懸命これから、3カ月かけてきちんと確認して、事業実施報告の提出が確認されていない案件があれば、きちんと実地確認を行っていくということを徹底させていこうということであります。
(問)今、手元にある報告書を再確認すると同時に、その報告書が出されていないものがあれば、それを実地で調査するということですか。
(答)(そういう案件が)あれば、実地にきちんと行ってチェックする。それをきちんと漏れがないようにやっていこうというふうに思っています。
(問)それを今後3カ月間で行うということですか。
(答)はい。
(問)わかりました。