大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年7月10日(火)10:05 ~10:22 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 はじめに、この度の平成30年7月豪雨により亡くなられた方々に対しまして、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。また、被災された多くの皆様に改めて御見舞いを申し上げます。環境省としては、後ほど詳しくお話をいたしますが、省内に災害対策チームを設置するなど体制を整備し、全力で対応していきたいと考えております。
 それでは、まず、本日の閣議におきまして、環境省幹部職員の任免が了承されましたので御報告いたします。発令は、7月13日付けとなります。具体的には、早水輝好水・大気環境局長、亀澤玲治自然環境局長及び縄田正環境再生・資源循環局長の勇退を認めました。水・大気環境局長の後任に田中聡志大臣官房付を、自然環境局長の後任に正田寛大臣官房審議官を、環境再生・資源循環局長の後任に山本昌宏同局次長を充てることといたしました。なお、勇退する縄田正環境再生・資源循環局長は、7月14日付けで環境省参与に就任していただきます。あわせて、その他の審議官級の人事についてお伝えします。環境再生・資源循環局の次長には、森山誠二国土交通省道路局環境安全・防災課長を充てることとしました。また、米谷仁大臣官房政策立案総括審議官は勇退し、その後任に和田篤也大臣官房審議官を充てるとともに、鳥居敏男サイバーセキュリティ・情報化審議官を大臣官房審議官に充てることとしました。さらに、江口博行大臣官房審議官兼内閣官房内閣審議官を財務省に出向させ、新たに、上田康治大臣官房秘書課長と、松澤裕地球環境局地球温暖化対策課長を大臣官房審議官に、奥田直久自然環境局自然環境計画課長をサイバーセキュリティ・情報化審議官に、それぞれ昇任させます。上田審議官は、内閣官房内閣審議官を兼ねることとします。詳しくは、配布資料を御覧いただきたいと思います。なお、環境省といたしましても、平成30年7月豪雨にしっかりと対応していくために、幹部人事に併せて行う環境省全体の人事におきましても、併任発令の活用などにより、災害対応業務に支障をきたすことがないよう努めてまいります。
 次に、冒頭で申し上げました災害対応につきまして、環境省では、7日15時30分に環境省災害対策チームを設置し、環境省関係の被害状況や対応状況について確認を行っているところでございます。また、特に被害の大きい被災地を管轄する中国四国地方環境事務所及び近畿地方環境事務所におきましては、それぞれ現地災害対策本部を設置し、情報収集と対応にあたっております。災害廃棄物の処理につきましては、7月6日に環境省から全都道府県に対し、初動時の対応、仮置場の確保及び災害廃棄物の分別の徹底などの事務連絡を発出いたしました。また、7月9日から岡山県及び福岡県に、10日から広島県及び愛媛県に対し、環境省及びD.Waste-Netの専門家により構成される現地支援チームを派遣し、当該自治体に対して災害廃棄物の具体的な取扱い等に関する助言を行っております。なお、今回の大雨による災害は多くの避難所が設置され、被災者への支援も重要でございます。環境省としては、特にし尿や廃棄物の処理、またペット対応について、関係団体等に対して協力依頼を行っております。現場のニーズを踏まえ、必要な対策を行えるよう、引き続き状況の把握に努め、関係自治体及び関係団体とも連携した対応に全力で努めてまいります。
 水俣病関係団体の一つ、水俣病不知火患者会の大石会長が、先週金曜日、7月6日に亡くなられたことに、心から哀悼の意を表し、お悔やみを申し上げたいと思います。
 次に、IPBESの技術支援機関の日本設置について御報告いたします。生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム・IPBESが、侵略的外来種の現状や傾向、防除のための政策・対策について評価する「侵略的外来種に関する評価」を、来年から3年間かけて行うこととしており、我が国は、本年3月の第6回総会において、この作業を支援する機関を日本に設置することを希望すると表明いたしました。その後、正式に応募いたしましたところ、IPBES事務局長からの7月5日付けの書面で、この技術支援機関が我が国に設置されることが決定いたしました。具体的には、公益財団法人地球環境戦略研究機関・IGESにこの支援機関を設置いたしまして、専門家による評価報告書の執筆作業を支援いたします。詳細は御手元の資料を御確認いただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の川村と申します。大臣、冒頭でおっしゃっておりました平成30年7月豪雨に関してです。おっしゃったように、大規模な冠水や土砂崩れの発生など、西日本の広い範囲で膨大な災害廃棄物の発生が今後予測されています。今後、広域処理など、災害廃棄物処理に当たって、環境省の長期的な方針や支援の在り方などありましたら教えてください。またもう一つ、まだ情報収集中だとは思うのですけれども、現時点で把握されてます廃棄物発生量の規模など、見通しがあればお示しください。
(答)災害廃棄物の処理が適正かつ円滑に進むよう、仮置場の速やかな設置、災害廃棄物の分別、円滑かつ適正な処理について、現地支援チームを派遣いたしまして技術的な支援を行っているところでございます。派遣先は、現時点で支援の必要性が高いと判断される被災自治体でありまして、今後、被災状況の把握の進展や被災自治体の要望等を踏まえ、追加派遣の必要性等を随時検討することとしております。現時点におきましては、まだ、被災状況や災害廃棄物の発生状況について確認をしているというところでございまして、発生見込み量を申し上げられる段階にはございません。災害廃棄物の発生量や性状によって、処理期間も異なりますし、また、広域処理というものが必要になってまいります。受入れする自治体との調整、また技術的な問題などございますので、環境省の方で、アドバイス、支援をしながら、しっかりと災害廃棄物の処理に全力を挙げてまいりたいと考えております。

(問)テレビ朝日の吉野と申します。先週、原子力規制委員会において、茨城県の東海第二原発の審査書案が取りまとめられました。一方で避難計画については、かなり進捗はちょっと進んでいないように見えるのですが、現状における大臣の御認識を教えてください。
(答)東海第二地域につきましては、対象地域に約96万人と、非常に多くの方が住んでおられるということが最大の課題でございます。このため、東海第二地域の緊急時対応の策定に当たりましては、住民の避難先として県内はもとより、周辺5県において具体的な協議を実施しておりまして、これまで、多くの市町村で、避難先市町村と広域避難についての協定を締結するなどの取組も進んでいるところでございます。さらに、避難に必要な車両の確保につきましても、現在、バス協会などとの協力体制の構築に向けた調整を進めております。要支援者への対応につきましても、福祉車両の確保や一時的な屋内退避ができる放射線防護施設の整備を進めているところでございます。現在の状況につきまして、広域避難について、避難先市町村との協定の締結はかなり進んでいる状況だというふうに評価できますけれども、避難先の市町村におきましても、具体的にどの施設にどのくらいの方をというようなところまで、まだ具体的に決めていないという状況もございまして、まだまだこれから調整を進めなければならない課題がございます。そういう意味で、東海第二地域の緊急時対応の具体的な策定時期については、まだ申し上げられる段階にはございません。内閣府原子力防災担当といたしましては、引き続き東海第二地域原子力防災協議会の枠組みの下、これらの課題に的確に対応できる避難計画の策定に向けて、関係自治体と一体となってしっかりと検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
(問)もう一つお伺いしたいのは、茨城県が最近、PAZの要支援者の1万人から1万5000人は動かせないというようなことを、最近言い始めていまして、ただ、動かせないという限りにおいては、放射線から守らなければいけないので、そういう施設を造らなければいけないのですが、全く足りていないという現状があります。それからまた、5000人の在宅の要支援者については、避難のめども全く立っていないという、ちょっとこういう異様な状況にあるのですが、大臣、一言だけ短く感想をお聞かせください。
(答)原子力規制委員会が示しております原子力災害時の防護措置の考え方として、概ね5km圏内の住民は放射性物質が放出する前から予防的に避難することが基本でございますが、避難行動に伴う健康影響を勘案し、特に高齢者や傷病者等の要支援者につきましては、近傍の遮へい効果や気密性が高いコンクリート建屋の中で屋内退避を行うことも有効である、というようにされております。内閣府原子力防災担当といたしましては、東海第二地域につきましても、こうした考え方の下で、概ね5km圏内の要支援者への対応について、屋内退避できる放射線防護施設の整備や福祉車両の確保等を含め、引き続き、地域の実態等も踏まえながら、茨城県を始めとする関係自治体などと一体となって、しっかりと検討を進めてまいたいと考えております。

(以上)