大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年6月12日(火)9:46~10:03 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議で、原子力規制委員会の平成29年度の年次報告を、国会へ報告することを決定いたしました。

2.質疑応答

(問)NHKの松田です。G7の中で議論をされた海洋のプラスチック問題についてなのですけれども、日本とアメリカを除く各国でプラスチック憲章というものに合意をしたと。日本とアメリカが合意をしなかったわけですけれども、日本が合意できなかった理由について、具体的にどういったところが合意ができなかったというところを教えてください。
(答)「ブループリント」の附属文書であります「G7海洋プラスチック憲章」は、プラスチックを含む製品の使用や廃棄等が海洋環境等への重大な脅威をもたらすことを認識した上で、プラスチックの資源効率的なライフサイクル管理のために、プラスチックの利用に年限付きの数値目標を設定するなど、同憲章に参加する各国の取組を表すものでございます。我が国としては、同憲章が目指す方向性を共有しつつも、生活用品を含め、あらゆるプラスチックを対象とした使用削減の実現にあたっては、市民生活や産業への影響を慎重に調査・検討する必要があることから、今回の参加を見送ることとしたものと聞いております。加えて申し上げますと、安倍総理はサミットのセッションにおいて、海洋ごみ対策は、G7や先進国だけの努力で解決できるものではなく、途上国を含む世界全体の課題として対処する必要があり、来年日本が議長国を務めるG20の場においても取り組みたい意向を表明しているところであります。環境省としては、海洋プラスチックごみについて、国会で審議されている海岸漂着物処理推進法改正案を踏まえ、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策を着実に進めるとともに、来年のG20までに政府の「プラスチック資源循環戦略」を策定し、海洋ごみ問題に加えて、資源・廃棄物制約、地球温暖化対策等のプラスチックを取り巻く幅広い課題に対応したいと考えております。また、秋にカナダのハリファックスで予定されているG7環境・エネルギー大臣会合や、来年日本が議長国を務めるG20に向けて努力してまいります。
(問)年限付きの数値目標が設定されたというところが、やはり合意ができなかった理由ということなのでしょうか。
(答)その数値目標が義務的なもので年限が示されているということで、我が国としては、産業界ともある程度調整した上で、そして政府部内で関係各省と調整をして、こうした合意に臨むというのが一般的でございますが、今回はそうした調整を行う時間が足りなかったということでございます。今申し上げましたように環境省としては、この第四次循環基本計画、これから閣議決定を予定しているわけですが、その計画において策定することとしております「プラスチック資源循環戦略」、これを検討する中で、今回の「G7海洋プラスチック憲章」で掲げられた項目を含めて、この憲章で掲げられた目標等についても、環境省としては前向きに考えなければいけないことだと思っておりますので、まずは議論を喚起していきたいと。この「プラスチック資源循環戦略」を検討する中で、こうした問題についてもしっかり議論をして、我が国が世界をリードする、そういう意気込みで頑張っていきたいというふうに考えております。

(問)朝日新聞の川村です。今のプラスチック憲章について、もう1問お尋ねするのですけれども、今も世界をリードすると、世界全体の脱炭素化に向けて国際的なそういう議論をリードしていくというのが、大臣常々おっしゃっていることなのですけれども、今回憲章に同意しなかったということだけを見ると、国際的には、日本というのはそういう環境対策に対して消極的だというふうにとられかねないと思うのですけれども、その辺のお考えと、もし今後、誤った見方なのか、そういうのがついてくると、どういう形で払拭するのかとか、その辺の意気込みをちょっと教えてください。
(答)これは、日本の今までの合意に向けてのプロセスは、やはり政府の部内でしっかりと調整をする。そして、産業界ともある程度調整をして、そしてこの合意に臨むということでございますが、今回は調整を行う十分な時間がなかったということでございます。決して後ろ向きだとかそういうことではなくて、環境省としては、今申し上げましたように、「プラスチック資源循環戦略」を検討する中で、今回の「G7海洋プラスチック憲章」で掲げられた事項も含めて、まずは議論を喚起して、日本も世界に貢献できる、そういった観点からの「プラスチック資源循環戦略」を策定していきたいと、こういうふうに考えております。

(問)毎日新聞の五十嵐です。今の関連でちょっと確認もこめてですが、一般的にG7サミットで何が議題に上って何が合意文書に入っていくのかというのは、会議の当日決まるというものでもないでしょうし、恐らくそれまでにシェルパを含めたいろいろな議論が積み重なっているということもあると思うのですが、今回のプラスチック憲章に関していえば、事前に日本の省庁ですとか産業界との検討というところまで間に合わないというか、そのくらい議論が早く進んだというか、各国との議論の進め方という意味で差があったというようなことなのでしょうか。
(答)他国において、どういうふうに合意の手順を踏んでいくのかということでございますけども、まず先に目標を定めて、そしてプロセスは後からという、そういう考え方もあるのだろうと思いますが、日本の場合には今回、年限を決めて義務的な数値目標を定める以上は、やはり実現可能なものとすべく、まずは産業界の御理解をいただく、国民各層のプラスチックの問題についての議論を深めて、そして御理解をいただくと。そして、関係各省も納得した上で政府として対応をしていくと、こういうプロセスを踏むというのが、日本の今までの、現在もそういうことだと思いますが、やり方だと思うのですね。そういう意味では、時間が足りなかったというふうに考えております。
(事務方)事務方から事実関係の補足でございますけれども、詳しくは外務省さんに御確認いただければと思いますけれども、私どもの認識では、今回カナダからプラスチック憲章部分につきまして案が提示されたのが4月半ばであったというふうに記憶しております。これは通常の首脳プロセスの会議から比べますと、常識外に非常に短いタームであったというふうに思いまして、今大臣がおっしゃったとおり、その後の調整というものには時間が足りなかったということが事実関係としてあろうかと思います。
(問)今の関連なのですけれど、4月の半ばにカナダから案が提示されたということなのですけれど、1カ月半というか、もうちょっとですか、時間の間には、一応、環境省としては政府の各、他の関連の省庁だとか、政府内の議論、もしくは業界、産業界なりにこういうふうなことをやりたいという意思というのは伝えて、だけど結局のところG7には間に合わなかったと、そういう理解でよろしいのでしょうか。

(答)まだこれは政府内の調整作業の最中ということで、詳細については控えさせていただきますけれども、シェルパの中での議論も含めて、環境省としてはいろいろ、こういうふうにしたらいいのではないか等々のやり取りというものはいたしました。ただ、詳細については現時点では控えさせていただきたいと思います。

(問)時事通信の市原です。先ほど、大臣は来年のG20でも、先ほどの関係を取り組みたいというふうに総理がおっしゃっているとおっしゃいましたけども、G20のサミットは今年も11月に開かれるわけで、来年といわず、今年何かできることというのはあるのでしょうか。これも間に合わないということなのでしょうか。
(答)今のスケジュールでいきますと、来年のG20までに政府の「プラスチック資源循環戦略」を策定するというスケジュールを描いております。そして、来年は日本が議長国を務めるG20ということでございますので、そこでしっかりと日本のこうしたプラスチックの問題についてもリーダーシップを発揮していきたいと、こういうふうに考えております。もちろんそれまでにも、いろいろな調整を経て環境省として進めたい施策について合意が得られれば、それはもちろん一つ一つ進めていきたいと考えております。

(問)読売新聞の中根です。今日、米朝首脳会談が開かれることにちなんで、日本から北朝鮮への支援について伺いたいのですけれども、先日、朝日新聞のインタビュー記事で、拉致被害者の蓮池薫さんが拉致被害者を救い出す鍵として、効率のいいクリーンな石炭火力発電所の整備というものを提案されていたのですけれども、石炭火力というのは地球温暖化への影響というのは深刻だと思う一方で、北朝鮮の電力事情等を考えると、一つ、現実的な選択肢でもあり得るのかななどというように思えるのですけれども、大臣としては拉致問題と石炭火力の支援の関係についてどのような認識でいらっしゃるのか教えていただけますか。
(答)御指摘の報道については承知しております。我が国としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す考えでございます。そして、同宣言に明記されているとおり、日朝間の国交正常化が実現すれば、経済協力を行うことになります。しかし、これを言い換えれば、拉致、核・ミサイルといった諸懸案の包括的な解決なしに、国交正常化はあり得ず、経済協力も行わない、ということでもあります。この方針に何ら変わりはございません。政府として、引き続き,諸懸案の解決のために全力で取り組んでいく所存でございます。現時点では、これ以上の発言は差し控えさせていただきます。

(以上)