大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年3月20日(火) 8:50 ~ 9:01  於:衆議院分館1階ロビー)

1.発言要旨

 再生可能エネルギー関係で、2点御報告いたします。まず第1点目ですが、「再エネ加速化最大化促進プログラム2018年版」の取りまとめについてでございます。昨年、環境省では、再エネの導入を加速化・最大化するための施策の検討を開始し、8月に中間報告を発表しました。その後、更に検討を進めて、この度、再エネ拡大の具体的なアクションを、プログラムとして取りまとめました。このプログラムの最大のポイントは、消費者・企業・地方公共団体の皆様が、地域資源である再エネの拡大の主役であるという点でございます。このため、再エネに取り組むチャンスやメリットを整理し、地域が主体となって再エネ拡大の取組を促進するために環境省が実行する、予算事業による支援を中心とする当面の主要な施策アクションをまとめたものでございます。多くの皆様に御覧いただき、環境省と皆様で連携協力しながら、実際に地域で再エネを導入する地に足のついた取組を、一つ一つ実現させていきたいと考えております。また、こうした実践を通じて、関係省庁や地域の主体の皆様とのコミュニケーションを深めて、このプログラムも、より幅広いものにしていきたいと考えております。
 2点目は、風力発電に係るゾーニングマニュアルの公表、実証事業の公募についてでございます。環境省では、環境保全と両立した風力発電を促進するため、地方公共団体の協力を得て、風力発電を促進するエリアと環境保全を優先するエリアを予め設定するゾーニング事業を行っています。今般、その結果を踏まえて、地方公共団体向けのマニュアルを取りまとめ、公表するとともに、さらに、ゾーニングの実効性を確保する仕組みを検討するための実証を行う地方公共団体を公募いたします。特に洋上風力につきましては、政府として、一般海域において導入促進区域を設定して長期の占用許可を出す法案を提出いたしておりまして、こうしたゾーニングの取組が活用されるよう、環境省としても、引き続き協力してまいります。

2.質疑応答

(問)テレビ朝日の吉野です。1点だけ。最大化促進プログラムと長期戦略との関連性について教えてください。
(答)長期戦略は、2050年に向けた我が国全体の脱炭素社会づくりの在り方を示すものでございます。長期大幅削減に向けて、再エネを主力エネルギー源に引き上げることが重要でありまして、そうした考え方の下で、長期戦略の議論を進めていきたいと考えております。このプログラムは、再エネを主力エネルギー源に引き上げるために、地域の担い手を主役として足元から再エネを増やす取組を促進していくために環境省が実行する当面の主要な施策アクションなどを取りまとめたものでございまして、このプログラムの、言ってみれば延長線上に長期戦略の議論をして、さらにその長期戦略においては、再エネの議論というものを深めていきたいと思っております。

(問)NHKの松田です。今の再エネの加速化・最大化促進プログラムについてなのですけれども、これまでも環境省がやっている政策、これまでも見たことがあるような政策が並んでいるなというような印象を受けるのですけれども、これを取りまとめて、今後、具体的にこれをどういうふうに政策にいかしていくのかと、地域に対してどういうふうにコミュニケーションしていくのか、具体的なところをちょっと聞かせてください。
(答)これは、昨年の8月に中間報告を発表しておりますので、既に御覧になられた内容も多いかと思います。その後の検討を更に進めて、再エネ拡大の具体的なアクションをプログラムとして取りまとめたものでございます。要するに、環境省と、それから消費者・企業・地方公共団体の皆様方が連携、協力しながら、実際にそれぞれの地域で再エネを導入する、本当に現実的な、地に足の着いた取組を一つ一つ実現させていきたいということで、抽象論ではなくて、現実の実践を通じて、しかもそれぞれの地域の関係者の皆様とのコミュニケーションを深めて、さらにこのプログラムも幅広いものにしていきたいと思っておりますけれども、いずれにしても、現実的な、そういう実践ということに重点を置いた、そういうプログラムというふうに考えております。
(問)2018年版ということなのですけれども、19年版があったり、その次が続いていくようなものなのですか。
(答)それはまた今後の課題でありまして、さらにプログラムをより良きもの、幅広いものにしていきたいと考えておりますので、次を目指しております。

(問)毎日新聞の五十嵐です。今の関連なのですけれども、再エネの導入に関しては、もう既に民間レベルで再エネを導入して、それをビジネスなり地域活性化につなげていきたいという動きは、もう既に芽生え始めているし、具体的な動きというのもあると思うのですけれども、その一方で、どうやってその系統につないでいくかというところを含めて、その先の部分でのハードルというのがまだ依然として残っていると思うのですが、その辺りというのは、実際に足元の取組もさることながら、実際に政府全体の政策としてどのように再エネの導入を促していくかというところにこそ、やはり問題の本質があると思うのですけれども、今回のこの件も含めて長期戦略を作っていく上で、環境省として、しっかりどういうふうな意見を出していきたいのかというところについて、今一度、御意見を聞かせてください。
(答)系統にどういうふうにつないでいくのかという話は、今、各方面で大変大きな問題になっておりまして、経産省を中心にどのような改善が図られるのかということを検討しております。長期戦略の議論につきましては、間もなく始まりますが、来年度の早い時期に政府全体としての長期戦略の検討の場を立ち上げて、政府全体としての議論に入っていきたいと考えているわけであります。その議論の中で、当然環境省としても再エネの拡大について議論を当然してまいりますし、場合によったら数値目標なども含めて、そういった政府全体としての検討の場で議論をしていきたいというふうに考えております。
(問)もう1点だけ。更に言うと、長期戦略の議論に入っていくという前段で、今、経産省がエネルギー基本計画の改定作業中だと思いますが、そういった作業中の局面で、環境省がこういった形で再エネを重視していくというメッセージを出していくのというのは、やはり一種のエネ基の見直しに対する環境省としてのメッセージというのも感じられるところがあるのですが、その辺りもう少し明確におっしゃれるところがあれば。
(答)今の経産省のエネルギー基本計画の見直しというのは、2030年の議論だというふうに考えております。いよいよこれから2050年、80%削減、さらにはその先の大幅削減、脱炭素社会の道筋、絵姿というものを議論していくということになると思います。そこの場におきましては、環境省としても、パリ協定の下でどういった長期戦略を世界に提示できるのか、また、日本の脱炭素社会の絵姿というものを国民の皆様にしっかりとお示しをすることができるのかという観点から、環境省もいろいろな議論を提起して、しっかりと政府全体の議論をリードしていきたいというふうに考えております。