大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年2月20日(火)8:57~9:06 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議におきまして、「気候変動適応法案」を閣議決定いたしました。近年、高温による米や果実の品質低下、魚種の変化、大雨の頻発化に伴う災害の増加など、気候変動の影響が全国各地で起きておりまして、さらに今後、長期にわたり拡大するおそれがございます。こうした気候変動に対処するためには、温室効果ガスの長期大幅削減に全力で取り組むことはもちろん、現在生じており、また将来予測される被害の回避・軽減等を図る気候変動への適応に、多様な関係者が一丸となって取り組むことが重要であります。本法律案は、こうした状況を踏まえ、政府による気候変動適応計画の策定、環境大臣による気候変動影響評価の実施、国立環境研究所を中核とした情報基盤の整備、地域における広域協議会を通じた国と地方の連携促進等の措置を講ずるものでございます。国会にて速やかに御審議していただいて、成立させていただきたいと考えております。

2.質疑応答

(問)産経新聞の鵜野です。今、お話にもありましたけれども、気候変動に関しては、適応計画ということで27年11月に閣議決定がありますけれども、今回法制化されるということで、その意義についてと、また適応計画の今回の法制化でどのような違いが出てくるのかということについて教えてください。
(答)気候変動への対策といたしましては、温室効果ガスの排出削減対策、これは緩和策と呼ばれていますが、それと気候変動の影響による被害の回避・軽減、これが適応策でございますが、この緩和策と適応策の二つを車の両輪で進める必要があります。排出削減対策につきましては、地球温暖化対策推進法という法律が既にございまして、これに基づき取り組んでいるところでございますが、適応策の方は法的位置付けがなかったところに、今回、新たに気候変動適応法案を制定をし、関係者が一丸となって適応策を強力に推進するものであります。法制化をすることによってどういう意義があるのかということでございますが、現行の適応計画は法律に基づかない閣議決定による行政計画でありまして、各省庁の取組を記載するのみであったわけですが、適応計画の法定化をしますと、国とか地方公共団体、事業者、国民、それぞれの役割に応じた取組が記載できる、それぞれの責務なりやるべきことを法律に書いて、そしてそれぞれの役割に応じた取組が記載できる、国を挙げて適応を推進することが可能となる、こういうことが挙げられます。また、国立環境研究所に地方公共団体への技術的助言等の新しい業務を付与する。これは法律上付与する。国立環境研究所の仕事にしっかりと位置付けると。これは、この法律でもそうですし、国環研の設置法にも附則でそういった新たな業務を位置付けるということによりまして、国立環境研究所を中核とした情報基盤を整備し、充実した科学的な知見と精度の高い予測・評価に基づく実効性の高い適応策を展開することが可能になる。例えばそのようなメリットがあるというふうに思っております。

(問)NHKの松田です。昨日、外務省の有識者会合が、今後のエネルギー外交の戦略についてということで提言をまとめて、石炭火力発電の輸出への公的支援を速やかに廃止を目指すべきだとか、再エネを中心として今後は進めるべきだというような提言をまとめられました。それについて大臣が読まれてどのように受け止められたか聞かせてください。
(答)本提言は、気候変動分野の有識者の方々が気候変動やエネルギー分野における最新の国際的な動向を踏まえた上で、客観的なデータに基づく議論を経て、作成されたものと聞いておりまして、大変有意義な御提言であるというふうに受け止めております。この提言の内容を、これからどのように政策に反映していくかということについては、外務省の検討会でございますが、政府部内でよく検討していくということになるのではないかというふうに思います。
(問)読んだ感じの印象では、環境省のお考えとも近いところがあるのではないかなと思ったのですけれども、その辺、大臣としての印象、そして政府でこれから、政府内での検討に移していくということなのですけれども、環境省としてこの提言に対してどのように、政府の中での議論の場でこの提言に対して、この提言をどういうふうな位置付けにされていくのかお聞かせください。
(答)環境省として、また環境大臣として、有識者の御提言について共感できる部分というのは非常に、大いにありますし、大変有意義な提言だというふうに思います。ただ、これは外務大臣の諮問機関というのでしょうか、外務大臣の方から依頼された有識者会合という位置付けでございますので、外務省がまずはこの提言を政府全体でどのように取り扱っていくのか、あるいは政府全体の政策にどのように反映させていくのか、外務省の方でこれからお考えになるかと思いますが、環境省としても、有意義な御提言でありますから、政府全体としてその御提言をどういうふうに反映させていくのか検討される過程において、環境省の方で意見を申し上げる、そういう機会があればしっかり申し上げていきたいというふうに思っております。