大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年1月19日(金)10:31~10:46 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 バーゼル法施行令等の閣議決定について御報告いたします。本日の閣議において、「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」及び「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律施行令及び行政不服審査法施行令の一部を改正する政令」の2件が閣議決定されました。今回閣議決定された二つの政令は、昨年の第193回通常国会で成立した「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律」、いわゆる改正バーゼル法の施行期日を本年10月1日とすること、改正バーゼル法において新設した再生利用等を目的とする輸入事業者の認定制度について、認定の有効期間を5年とすること等について規定するものです。詳細については、御手元の資料を御覧ください。

2.質疑応答

(問)共同通信の藤井です。原子力規制委員会の更田委員長が、おとといの定例会合と記者会見で、被ばく線量年間1ミリシーベルトの数値を、一定の条件で1時間当たりの空間放射線量に換算した毎時0.23マイクロシーベルトという数値について、保守的であり改めるべきだという認識を示しました。汚染状況重点調査地域の指定基準で環境省令に定められており、環境省に対しても検討を促すような発言もありました。この指摘に対する受け止めと、環境省としてどのように対応されるかということをお伺いします。あと、0.23マイクロシーベルトの数値の妥当性についてと、これを今から改める必要性はあるのかということについても、大臣の御見解をお伺いします。
(答)御指摘のような更田委員長の御発言があったことは承知しております。いずれにいたしましても、17日の規制委員会において、規制庁の担当者から環境省に対して話をする旨の発言があったということでございますので、まずは規制庁から環境省の担当に話があるものと承知しております。専門家の規制委員会の先生の御発言ですから、まずお話をきいてというふうに考えております。そして、毎時0.23マイクロシーベルトが、年間追加被ばく1ミリシーベルトとの関係についてなのですけれども、0.23マイクロシーベルトという数値は、放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域の指定の基準となっておりまして、除染の目標値ということではございません。この数値は、除染を含めた総合的な放射線防護策により達成すべき長期の目標として設定している「個人の年間追加被ばく線量1ミリシーベルト」という数値を、安全側に立った特定の生活パターンの条件下で、便宜上、空間線量率に置き換えたものでございます。環境省としては、このような安全側に立った一定の基準を設けて、適正に除染を行ってきたものというように考えております。この問題については、まずは規制委員会、規制庁のお話を伺ってからというふうに考えております。
(問)1点確認なのですけれど、まだ規制庁からの相談なり、打診というのはないということでよろしいでしょうか。
(答)まだ、ないですね。
(事務方)はい、ございません。

(問)朝日新聞の小坪です。環境省の行政と直接関わるわけではないのですが、昨日、各紙で報じられてますとおり、元総裁の谷垣さんが退院をされたというようなニュースがありました。レンジャー議連の顧問などを務め、環境行政に対しても大変関心をお持ちの方でいらっしゃいますので、その回復について一言コメントいただけないでしょうか。
(答)谷垣先生は自民党の総裁をお務めになった方でありますし、環境省にもご縁がありますし、私自身も本当にずっと御指導いただいてきた方でありますので、退院されたというニュースを聞いて、これから更に、恐らくリハビリをされるのでしょうけれども、元気になられて復帰をして、復帰というのは我々に対するいろいろな御指導をいただけるような、そういう形で元気になられて復帰されるということを願っております。

(問)NHKの金澤と申します。質問が前後してまた戻ってしまうのですけれども、更田委員長の発言について、除染がほぼ完了する中で、改めて震災から7年経つこのタイミングで、この線量についての言及があったことについて、どういう背景があってこういう発言が出るのかと大臣はお考えかというのが1点と、あとはこの発言を踏まえて、既に環境省としてはどのような回答といいますか、どのような考えでいるか、更田委員長に伝えようとしているのか、その辺を今もし言えることがあれば一言お願いします。
(答)0.23マイクロシーベルトという数値は、正に安全側に立った特定の生活パターンの条件の下で、便宜上、空間線量率に置き換えたものでありまして、安全側に立った一定の基準を設けて適切に除染を行ってきたというように考えておりまして、環境省としては、これからも安全に十分配慮した適切な除染を行っていきたいというように考えております。その上で、更田委員長の御発言は専門家としての御見識の下になされたものでしょうから、まずはお話を伺ってから環境省の対応を考えなければならないと思いますが、環境省はもう既にずっと安全第一と、安全側に立った基準というものの下で除染を行ってきておりますので、そういう考え方はこれからも続けていきたいというふうに思っております。
(問)もう1点なのですけれど、今この見直しを行うと、住民はこの0.23マイクロシーベルトという、いろいろな見解はありますけれど、この時期、例えば委員長の発言を受けて見直しとか、そこについての説明を求められた場合に、今後協議するとしても、より丁寧な説明をしないと余計住民には混乱が招かれるんじゃないかと。そういう懸念もありますけれど、そこについてはどう対応していくお考えですか。
(答)環境省としては更田委員長の御発言の趣旨を確認して、いずれにしても最新の知見を基にリスクコミュニケーション等を行っていくということが重要だというように考えております。

(問)共同通信の丸田です。鳥インフルエンザの関係なのですけれども、先日、東京での事例も陽性ということで、警戒レベルが3に上がりました、昨シーズンは野鳥で過去最多でしたし、動物園等でも発生が確認されたと思いますけれども、そういった辺りを踏まえて、今シーズンのこれまでの発生状況、あるいは防護対策の整備状況についての御認識をお願いします。
(答)これは警戒をしていかなければならないということで、監視地域を10キロの範囲で設けまして、野鳥が通りそうな、そういうふうに過去の経験則からしてそういう場所がございますので、そういった所を重点に監視を強めておりまして、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

(問)共同通信の深谷です。温暖化対策の関係で、昨日、経済同友会が温室効果ガス削減についての提言を発表しまして、環境省の方にも提出したと聞いているのですけれども、その中でカーボンプライシングについて、今、環境省が考えているような企業の直接課税、炭素税について直接課税ですとか、排出量取引には反対をすると。そして、カーボンフットプリントを活用した炭素消費税といった形、需要側に負担をさせるような形での制度については将来的には検討の余地があるというような趣旨の提言をしまして、パリ協定の目標達成に向けて、大幅削減のために効果的な対策が待ったなしで、環境省の方でもカーボンプライシングについて検討会で検討してますけれども、このような状況の中で、こういった提言について大臣はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)カーボンプライシングにつきましては炭素税、それから排出量取引いずれについても様々な御議論があることは承知しております。環境省としては、脱炭素社会というものを目指して大幅な削減を実現していくための有効な経済的手法だということで、今、検討会で勉強していただいているわけでございます。やはり諸外国の例を見ても、かなり試行錯誤をしながらも有効な炭素税あるいは排出量取引というものが各国で実施されております。そういったことを踏まえて、いろいろな批判や慎重な意見もございますけれども、一つ一つ、なぜ、どこが具合が悪いのかというようなことを、一つ一つ議論しながら、そこを乗り越えていく、どういうふうにしたらそういった問題を乗り越えられるのかということを、諸外国の例なども参考にしながら前向きに検討していくということが大事ではないかというふうに考えております。