大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年1月5日(金)11:44~12:16 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私からは福島出張について御報告いたします。既に発表いたしておりますとおり、来週9日火曜日、10日水曜日、福島県に出張いたします。1月9日火曜日に福島県を訪問し、内堀知事、吉田福島県議会議長と面会いたします。翌日10日水曜日は、中間貯蔵施設予定地、これは大熊町ですね。そして双葉町の特定復興再生拠点区域、そして富岡町の特定廃棄物埋立処分施設を視察いたします。
 次に、小型家電回収ボックスの設置について申し上げます。中央合同庁舎5号館、この建物でございますけれども、本日1月5日金曜日13時から1月31日水曜日の約1か月間、1階に小型家電回収ボックスを設置いたしますので、御自宅に眠っている携帯電話等の小型家電がありましたら、お持ち込みください。このことをお知らせいたします。回収した小型家電は「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」として、東京2020年大会の入賞メダルの原材料として活用いたします。

2.質疑応答

(問)幹事社の共同通信の藤原です。幹事社から1点質問いたします。気候変動対策や福島の復興など、環境をめぐる課題がまだまだ山積していると思います。環境大臣として、今年1年、どのようにこういった課題に対して向き合っていかれるのか、抱負をお聞かせください。
(答)私の今年の抱負ということでございますが、まずは復興関係でございます。中間貯蔵施設につきましては、10月末から除去土壌の貯蔵を開始することができ、11月中旬には、福島県の特定廃棄物埋立処分施設、旧フクシマエコテッククリーンセンターへの廃棄物の搬入が始まりました。帰還困難区域における特定復興再生拠点区域については、認定された計画に基づき、これから順次、整備が進んでまいります。復興の更なる加速化に向けて、本年も引き続き、安全・安心にも十分配慮しつつ、地元の理解を得ながら、様々な取組を進めてまいります。気候変動対策に関しましては、COP23で実感した気候変動に対する国際世論をしっかり受け止めて、パリ協定が着実に実施されるよう、本年もしっかり対応してまいります。原子力防災についても、皆様の安全・安心のため、避難計画を継続的に充実・強化していく所存でございます。本年も、真剣に、誠実に、職務を、職責を全うしてまいりたいと考えておりますので、本年もどうぞよろしくお願いを申し上げます。

(問)中日新聞・東京新聞の坪井といいます。除染事業について伺います。中日新聞・東京新聞では1月1日の朝刊、1月3日の朝刊で、除染袋の内袋を閉めない作業が横行していたという記事を書いております。2015年、飯舘村比曽地区の事実、それから本紙は、今年の10月、本紙で調査をした事実、それから各作業員の証言から、内袋を閉めない作業が横行していたという報道をしておりますが、まずこのことについて受け止めをお願いいたします。
(答)除染事業の円滑な実施に当たりましては、地域の皆様に信頼をされ、御理解をいただきつつ進めていくことが不可欠であるというふうに思っております。このため、除染工事の受注者に対しましては、地域からの信頼と理解を損なうことのないように、適切な施工管理を指導していくとともに、仮置場等を適切に管理し、安全確保に努めてまいります。一方、土のう袋の仮置場は、基本的には、その構造や日常の保守管理を通じて安全を確保しているために、仮に大型土のうの内袋がしっかり閉じられていなかったとしても、周辺環境への影響は、常にモニタリングによって把握できるようになっておりまして、現在のところ、特に異常値は検出されていないということでございます。いずれにしても、仮置場等の管理は適切に行い、安全確保に今後ともしっかりと務めてまいる所存でございます。
(問)重ねてお伺いします。この問題について、私どもが取材をしたところ、環境省の現場の担当者の話では、内袋は、当然、現場の受注者の業者がするものと考えていて、あえて内袋をするよう指示の徹底というのは図ってはいなかったという趣旨のことをおっしゃっていました。今後は、その作業に関しては内袋をちゃんとするように改めて徹底をするし、仮置場から搬送する際には、必要があれば新たに袋を入れるなり、対応をとっていくことになるだろうとおっしゃっていましたが、大臣としては、今後どのような対応が必要だとお考えでしょうか。
(答)内袋については、これは当然、中で重ねるわけなので、そういう形でいわゆるフレコンバッグが出来上がっていますので、当然これは内袋を閉めるといいますか、中の遮水の部分をきちっと閉める、重ね合わせると。これは当然のことであるというふうに思います。そういった折り畳まれていない事例があったということで、除染事業の受注者に対しては、内袋の施工も含めて適切な作業を行うよう、昨年12月26日に指導を行ったところでございます。飯舘村の事例でございますけれども、これは平成27年10月に仮置場に搬入された一部の大型土のう袋の中に、内袋がしっかりと折り畳まれていない状態のものが見つかったということで、この件につきましては、受注者が同年11月までに、念のため他に同様のものがないか確認した上で、内袋がしっかりと折り畳まれていない土のう袋は詰め替えを行ったということでございます。これは、いわゆる作業の途中の段階でそういった事例が見つかったので、そこのところはきちっとやり直しをして、内袋が折り畳まれていない、そういう状況のないようにしたということでございます。このフレコンバッグにつきましては、大部分は、幾つか積み上がって仮置場に置かれているわけですが、下に遮水性のシートを敷いて、それから上には同じように遮水性のシートをかけて、雨水が各フレコンバッグの中に入らないようにしている。ただ、こういった内袋に入れて、内袋で遮水性のところを確保するような仕組みになっているものについては、遮水のビニールシートみたいなものをかけていない例が幾つかありますが、大部分はかけているんだそうです。そして、仮置場の、置いているそばの地下水、そしてまた仮置場のごく周辺の線量については、常時測っていると。常時といっても毎日ということではございませんが、何週間に一遍は、地下水は毎週なのでしたか、そして線量も月1回とかそういうペースで、ちょっと違ったらまた訂正をしてもらいますが、そのくらいの間隔を置いて、いわば常時モニタリングをしているということでございます。その結果は、今のところどこも、全ての仮置場についてそういうモニタリングをしておりますが、線量が上がったという事例はないということです。それからまた、除去土壌等を中間貯蔵施設に運び出した後は、当然その仮置場跡地の線量を測りますが、そこも特に線量が上がっているというような例はないということであります。ですから、もし仮に線量が上がっているような事例があれば、そこは徹底的に調べなきゃいけませんが、土のうが積み上がっておりますので、今ここでフレコンバッグを開けて一つ一つ線量を調べていく、あるいは水がたまっていないかどうか調べていくということは、かえって中の土壌等が飛散してしまう恐れもありますので、現状はしっかりモニタリングをすると。で、異常がもし仮にあれば、そこの地域を徹底的に調べると。こういうやり方で確認をしていくということになるというふうに考えております。
(事務方)今の大臣のお答えに補足でございますけども、仮置場における空間線量率の計測は週1回。それから、地下水の計測は月1回行っています。全ての仮置場で、遮蔽土のうを積む形の構造での管理を行っております。線量のデータについて言いますと、地下水の監視結果で放射性物質を検出した例はございません。それから、敷地内の空間線量率で異常を検出した例はありません。この異常というのは、一時的に線量が急に上がるとか、敷地の外側よりも内側の方が高くなるとか、そういう例は今まで一例もありませんということで、モニタリングとこの点検、仮置場の構造を通じて安全確保を実施しておるという状況でございます。
(問)すみません、度々。線量を測るなり、モニタリングで安全確保をしているというお答えだったのですが、まず1月3日の、南相馬の屋上の現場に保管されていて、うちの新聞の責任で調べたケースでは、仮置場ではないので、そのような保管がされてはいないと想定される。元々、現場での保管の際には、この内袋の導入の経緯からいって、シートをかけることを、作業として省略するということを前提に作業効率を図るというのを大きな趣旨で導入されていると聞いていますので、現場での保管に関しては、この内袋をしないことによって、恐らく南相馬の現場ではそうだったのですが、汚染が拡大する恐れがあるのではないかという懸念を私どもは持っていますが、それに関してはどうでしょうか。
(答)今、御指摘のように、南相馬市の例は仮置場ではなくて、除染現場で一時的に置いていると、こういう位置付けになっております。大型土のう袋の中に内袋がしっかりと折り畳まれていない状態のものが見つかったという東京新聞・中日新聞の報道を承知しております。これにつきましては、昨年の12月26日に一時置き場の、これは既に南相馬市の今の一時置き場につきましては、昨年11月に一部の土のうを搬出して燃やしております。これは可燃のものと不可燃のものとございまして、可燃のものは燃やしていると。燃やしておりますから撤去したわけですが、撤去した後の跡地の空間線量率を測定をいたしましたが、周辺よりも高くなっていないことを確認しております。ですから、特に今のところ汚染が生じていないということを確認しているということでございます。いずれにしても、除去土壌の管理の安全確保を損ないかねない行為というのは極めて遺憾だと考えておりまして、再発防止のため、そういう報道がございましたので、現場の管理を強化してまいりたいというふうに思っております。
(答)もう1点だけ。遺憾だというのは、この行為に関して、今回の南相馬の行為に関して遺憾ということですか。
(答)いや、一般論として、土壌管理の安全確保を損ないかねない行為というものがあれば、これは当然、地元の皆様方の信頼や御理解を損なうことになりますので、そのようなことがないようにしていただかなければならないという意味で申し上げました。
(問)もう1点だけ。モニタリングや線量を測ることによってしっかり管理をしているというお話だったのですが、先程、大臣がおっしゃたように、仮置場において、最近の一部の仮置場では遮水シートを省略しているものが導入され始めていると。それは内袋が二重構造になったのか、計三重構造になったものなどを想定してらっしゃると思うのですが、従来の仮置場では遮水シートでくるむ構造にしていたのが、遮水シートでくるまない構造の仮置場が登場し始めている。ここに関しては特に懸念をされるので、もう少し調査チームをつくるとか、業者さんに聞き取り調査を改めてするとか、何らかの実態調査をすべきではないかと考えるのですが、そこはどうでしょうか。
(答)今の、仮置場ではなくて、現場置きの今の例については、昨年12月26日に除染事業の全ての受注者に対しまして、内袋の施工も含めて適切な作業を行うよう指導を行いました。今までのフレコンバッグについては、今も申し上げましたが、膨大な量でありますので、それを一つ一つ何段かに積み上げて仮置場に保管されてますので、それを下ろして、また開けて確認していくということをしますと、かえって、万が一中に入っているものが飛散してしまうとかいうような例が出てきますと、これはかえって問題になります。そういう意味で、モニタリングをきちっとして、線量が特に高くなっているというような状態がないことを確認していきたいと。そして、もし仮に高くなっている部分があれば、それはちゃんと下ろすなりして原因を究明しなければなりませんが、今のところはそういう状況は出ていないということなので、出てくればきちっとやると。ですから、全量を下ろしてやるということは、ちょっと物理的にも不可能でありますし、また、それをやるのは適当ではないのではないかというふうに思っております。

(問)NHKの松田です。小笠原の飛行場の建設に関してなのですけれども、東京都が来年度の予算案に、小笠原の飛行場の建設に向けた調査費というのを計上するというような報道が昨年末ありました。地元の方からは、今年中にも方向性を出してほしいというような要望が話されているというふうにも聞いています。小笠原諸島は世界自然遺産にも登録されているわけなのですけれども、そういった中での飛行場の建設ということに関して、大臣、環境大臣としてどういうふうに捉えていらっしゃるか、その必要性も含めてどういうふうに見ていらっしゃるかお聞かせください。
(答)小笠原の空港につきましては、地元の皆様方からも御要望がある一方で、貴重な日本の宝ともいうべき世界自然遺産であったり、国立公園であったりしておりますので、その小笠原の自然環境を守るという要請も地元の皆様方からも強くなされております。そういう意味では、環境省としては、小笠原村、東京都、そして関係省庁としっかりと連携を取りながら、小笠原の自然環境を守る中で、小笠原村の住民の皆様方の御要請でもある空港建設に協力をしていきたいと。これは、どういうふうにしたら小笠原の自然がしっかり守れるのかというような技術的なアドバイスをすると、こういう意味での協力ということになろうかと思いますが、そういった協力をしていきたいというのが環境省の基本的な考え方でございます。それで、現在のところは、小笠原諸島における航空路に関しましては、昨年7月に東京都が開催しました小笠原航空路協議会におきまして三つの案が検討されたということでありますが、その中で、洲崎地区活用案というのを中心に、自然改変の程度を軽減した場合を含めて、より具体的な検討が進められることになったと承知をしております。その状況以後、環境省の方に、特にこういう動きがあるとか、今、東京都の中での検討の状況がこうだといったような報告がございません。ですから、まずは東京都で検討していただくべきものだというふうに考えておりまして、環境省としては、小笠原の自然環境を守るという中で東京都に協力をするというスタンスでございますので、今の段階で特にコメントすることは適当でないといいますか、コメントをする時期ではないというふうに思っております。
(問)これまでどおり、地元、東京都が建設に前向きになれば、それに協力をしていくと。
(答)元々そういうスタンスです。自然を守るという環境省の任務から、どういう技法を採れば自然が守られるのかといったようなことをアドバイスをすることができれば、そういった協力はいたしますということですが、まず、どういうような案を採られるのかということについては、まずは東京都が検討されるべきものだというふうに思っております。昨年7月の協議会で、今、三つの案が検討され、そのうちの洲崎地区活用案というものが取り上げられて、さらに、その案でも、もっとどういうふうにしたら自然改変の程度が軽減できるのかということを検討されるということになったということは承知しているわけですけれども、その後の進展について、あるいは進展があるのかどうかも含めて、東京都から今のところ環境省の方に特に報告や連絡がないという状況でございますので、今の段階でコメントは控えたいというふうに思います。
(問)すみません、最後に。丸川さんが大臣のときに、プロセスの段階から積極的に関わっていくことによって、自然を守るという中で空港建設が進んでいくことに協力していきたいとの発言があるのですけれども、今の大臣のお話ですと、東京都の方からアドバイスなり何か求められたときに、環境省として関わっていくというようなスタンスなのでしょうか。
(答)まずは東京都の方でどういう案を採られるのかということを、それは決める前の段階でもいいわけですけれども、検討していただく必要があると思います。環境省の方からこういう案でどうかとか、そういうことではなくて、やはり第一義的には東京都、小笠原村というところで、どういう案にしたいのかということを、決めていただく前の段階でもちろん結構ですけれども、そこのところの方向性を出していただいた上で、その場合には、自然を守るという見地からのアドバイスができれば、環境省も協力をしますと、こういうことでございます。
(問)先程、ちょっと質問の意図が正確に伝わっていなかったので改めて質問させていただきます。大臣がおっしゃるように、全部改めて、今積まれている袋を開けて調べるというのは、おっしゃるように更に汚染を拡大する恐れがあるし、非常にお金がかかるので現実的ではないということはもっともだと思うのですが、仮置場から中間貯蔵施設などへ搬送が行われているものがありますので、そこで搬送作業をする際にサンプル調査をするとか、そういう周辺への汚染の懸念がない方法、もしくはお金のかからない調査方法というのは当然あると考えられるのですが、そういうことを検討される考えはございませんでしょうか。
(答)そこは、今でも、搬送するときに水分を含んでいるような場合には水切りをして、その水はもちろん処理します。あるいは、水がない状態にして、そういうものについては搬送しておりまして、水がたまったまま中間貯蔵施設に入れるというようなことはないようにしております。
(事務方)水切りに加えて、必要に応じて遮水性の袋への詰め替えも行っております。
(問)調査をするお考えがあるかどうかということに関しては。サンプル調査を、その際に。
(答)ですから、その際に、一応水分が出ているのかどうかという調査はしているということですよね。サンプル調査というか、そこは調査はしているということです。
(問)私が言っている意味は、そこで内袋が閉められているかどうかの実態をちゃんと、例えば数を取って把握されるような調査をするお考えがあるかどうかということなのですが。
(事務方)安全管理は仮置場のモニタリングと、それから中間貯蔵へ運ぶときのそういった施工管理を通じて適切に行っています。モニタリングを含めて行っておりますので、周辺環境に影響がないということを旨に、適切な管理をこれからも同じように続けていくということで考えております。