大臣談話・大臣記者会見要旨

水銀に関する水俣条約第1回締約国会議 中川環境大臣ステートメント

 議長、水銀に関する水俣条約第1回締約国会議ならびにこのハイレベルセグメントをホストし、水俣条約の実施においてリーダーシップを発揮しておられるスイス政府のご尽力に心より感謝申し上げます。

 また、水俣条約の効果的な実施に向けた、各国の熱意と努力に敬意を表します。

 私どもは、我が国の都市「水俣」の名を冠したこの国際環境条約の発効を心から歓迎するとともに、ここジュネーブにおいて、多くの国々とともにこの船出を祝えることを嬉しく思います。

 我が国はこれまで、水俣病を経験した国として国際社会の先頭に立って力を尽くす決意のもと、条約交渉や国内外における水銀対策に取り組んでまいりました。

 国内においては、世界の範となるべく、製品や製造プロセスにおける水銀の使用について、条約の規定よりも厳しい措置や規制年限を前倒しした対応を、条約発効と同時に本格実施しました。

 また、グローバルな水銀対策の推進のため、世界各国が手を携えて、水俣条約のもとで1つとなって取り組むため、多くの国の条約への参加と実効性の確保を積極的に支援してきました。

 2013年10月に熊本市と水俣市で開催された外交会議においては、「MOYAIイニシアティブ」と冠した途上国支援と水俣発の情報発信を推進することを表明しました。「もやい」とは、船と船をつなぎとめる綱(ロープ)のことであり、共同で1つのことに取り組むという意味もあります。

 我が国は、水俣病という苦しい経験をしました。様々な犠牲が払われましたが、関係者の御努力により一歩一歩、前に進んで参りました。

 そしてその過程において、水銀による被害を防ぐための技術やノウハウを蓄積してまいりました。私たちは、このような経験を経て得たものを世界の方々に積極的に伝える役割を担っています。

 今、私たちはその決意を新たにしています。

 議長、我が国は、これからも条約の実施を促進するため、国際機関とも連携しつつ、水俣が有する様々な知見や人的なリソースを活用し、水俣に根ざした貢献をより一層実施してまいります。

 水俣条約の命名には、「水俣病のような水銀による深刻な環境汚染と健康被害を、世界のいかなる国や地域においても二度と繰り返してはならない」という決意が込められています。

 我が国は、世界の水銀対策を推進すべく、世界の国々とともに、引き続きリーダーシップを発揮することをお約束して私のスピーチとさせていただきます。

 ありがとうございました。

(2017年9月29日(金) 於:ジュネーブ)