大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年12月5日(火)9:02 ~9:17於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 名古屋・クアラルンプール補足議定書締結の閣議決定について御報告いたします。本日、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書」の締結に関する閣議決定が行われました。これを受け、現地時間の12月5日にニューヨークの国連本部で我が国の受諾書を寄託する予定でございます。我が国は40カ国目の締約国となる見込みでございます。これにより補足議定書は40カ国の締結という発効要件を満たすことから、来年3月5日に発効し、寄託から90日後の来年3月5日に、我が国について効力が発生をすることになります。今後も、カルタヘナ議定書及び補足議定書の国内外における適切な実施に向けて一層貢献していきたいと考えております。

2.質疑応答

(問)TBSの樫田です。新潟水俣病の控訴審なのですが、新潟市の方は上告しない決定を表明しました。国として改めてコメントをお願いいたします。
(答)11月29日の新潟水俣病抗告訴訟の東京高裁判決につきまして、新潟市が上訴を行わない旨を公表いたしました。環境省としては、新潟市が、訴訟の当事者として検討の上で判断したものであり、その判断を尊重したいと考えております。環境省としては、関係県・市と連携しながら、今後とも丁寧な認定審査を行ってまいります。

(問)新潟日報の中島と申します。先ほどの新潟水俣病の高裁判決に関連して2点お伺いしたいのですけれども、今回、同居家族に公健法上の認定患者がいない原告も、特措法の救済対象者が家族にいる点などが考慮されて水俣病と認められました。2014年の環境省の通知では、家族歴は公健法上の認定患者を念頭に置かれていたと思うのですけれども、判決はその枠を広げた印象があります。新たな通知を含め、認定制度と基準を見直すお考えはあるかということと、今回の判決の確定を受けて、新たな認定申請に踏み切る被害者が出てくる可能性もありますが、被害の全容解明に向けた住民健康調査などを行うお考えはあるかという、その2点についてお伺いしたいです。
(答)現行の認定基準は昭和52年の判断条件ということでございますけれども、この昭和52年の判断条件につきましては、水俣病の症状は非特異的であり、高度な学識と豊富な経験に基づき総合的に検討することが必要ということがまずございまして、ただし、暴露歴及び症状の組合せがある場合は、通常、水俣病と考えるというようになっております。今回の判決におきましても、総合的な検討ということで対応できるというふうに考えておりまして、認定基準を否定するような判示はされておられません。今回の判決におきましても、症状や生活歴等の具体的事情を総合的に考慮して判断すべきということでございまして、今回の訴訟の個々の原告の方が水俣病に罹患しているか否かについて判断を行ったものであるというふうに認識しております。ですから、現行の認定条件を変える必要はないと思っております。いずれにいたしましても、関係の県・市と連携しながら丁寧な認定審査を行ってまいりたいというように考えております。それから、今回の判決で、あくまで過去の認定審査をやり直す必要はないということで考えておりまして、これからも丁寧な認定審査を行ってまいりたいということに尽きるというように思います。
(事務方)1点補足をさせていただきます。健康調査についてのお尋ねでございましたけれども、政府といたしましては、水俣病特措法の規定などに沿いまして、メチル水銀が人の健康に与える影響を把握するための調査などの手法の開発を図るとされておりまして、現在、着実に取組を進めているところでございます。時間を要しておりますけれども、引き続き、水俣病に関する調査研究を着実に進めてまいりたいと考えております。

(問)熊本日日新聞の内田と申します。今、総合的検討の範囲内だというようなお話だったと思うのですけれども、ということは、今後、同居家族に認定患者がいないケースであるとか、感覚障害にブレ等が発生するようなケースも認定審査の中で認めることもあり得るということなのでしょうか。
(答)これは第一義的には、今回のケースですと新潟市でありますし、熊本のケースですと熊本県が判断をしていくということになると思います。今回の判決も踏まえて総合的な検討ということで、まずそれぞれの自治体が第一義的に判断をしていくということになろうかと思います。

(問)読売新聞の中根と申します。石炭火力発電の件で伺いたいのですけれども、石炭火力発電の新規建設の計画がされている仙台市において、石炭火力の新設抑制方針というのを策定しました。この取組は全国初の方針だということなのですけれども、大臣としても、先般から、石炭火力への思いというのはあると思うのですが、この件について所感を教えていただけないでしょうか。
(答)仙台市におきまして、「杜の都・仙台のきれいな空気と水と緑を守るための指導方針」というのを策定して、市内における更なる石炭火力の発電所の立地について自粛を求めたと聞いております。私もかねがね申し上げておりますが、石炭火力発電には地球温暖化対策上の懸念がありまして、石炭火力発電所の単なる新規増設に対しましては、地球温暖化対策の観点から厳しい姿勢で臨む必要があると認識をしております。そういう意味では、今般の指針が、地域レベルにおいてもこうした状況も踏まえて策定されたものでありまして、私としては歓迎したいというように思っております。電気事業者におかれましては、こうした石炭火力を取り巻く厳しい状況を是非、今一度よく勘案していただきたいというように考えております。

(問)共同通信の深谷です。冒頭に発言された名古屋・クアラルンプール補足議定書なのですけれども、採択から7年がたって批准、そして40カ国目として補足議定書の発効になるというのはちょっと遅いなという気がするのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)確かに、補足議定書の採択から7年以上が経過しているわけでございます。この議定書の国会審議におきましても、当時、私も質問に立ったのですけれども、何で7年も経過しているのかという質問は各党から出ました。実際には、カルタヘナ法の改正をするということにつきまして、例えば損害という概念が国内法においてどのように規定するのかというようなことなどで、いろいろな産業界を含めていろいろな意見があって、関係省庁間で慎重に検討を進めてきたということで相当な時間がかかったということでございました。それにしてもかかり過ぎているという批判は、当時国会でもあったわけですけれども、いずれにしても、国会で通って、そして、こうして今回発効の段取りが整ったということでありまして、非常に良かったというふうに思っております。

(問)熊本日日新聞の内田と申します。再度、新潟水俣病についてで恐縮なのですけれども、先ほど、各自治体がこの判決を踏まえ、それぞれ判断をしていくというお話だったのですが、そうしますと、自治体ごとに判断が分かれる可能性もままあるかと思うのですが、その点、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)そこは環境省としても、患者さんの方から、環境省の方で審議、審査をしてもらいたいという、そういう手続を取れば、国の方で認定審査をするという道もございます。まずは、自治体で審査をするという、そういう手順になっておりますので、自治体の方で適切な判断をしていただけるものというふうに思っております。
(事務方)1点補足をさせていただきます。大臣が申し上げましたように、臨時水俣病認定審査会という枠組みがございますので、国の方での審査も可能だと思っております。また、認定基準自体は全国一律でございますので、判断が異なるというのは少しよく分からないのですけれども、それぞれの自治体におきまして、得られた情報を基に、医学的な見地から、専門的な見地から総合的に御判断いただくものと考えております。