大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年12月1日(金)9:03~9:32 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日は、私の方からは特に御報告することはございません。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の小坪です。昨日、キックオフの催しもありましたけれども、来年2018年は国際サンゴ礁年ということを聞いております。これに関連しまして、環境省としての取組や、どういった気持ちで取り組んでいかれるのか、そういった辺りをお聞かせいただけないでしょうか。
(答)国際サンゴ礁イニシアチブというのがございまして、37カ国が参加をしておりまして、これは1994年に発足したものでございますが、略称ICRI、イクリと呼んでおりますが、このICRIが、2018年を3回目の「国際サンゴ礁年」に指定すると宣言したことを受けまして、国内でも、幅広く多様な主体に対し、国際サンゴ礁年2018への参加を呼びかけることといたしました。具体的には、サンゴ礁保全の活動登録制度、保全活動を支援する企業等を任命するオフィシャルサポーター制度などを実施する予定でございます。詳細は、追って御案内する予定でございますけれども、これにより来年、サンゴ礁保全の取組が国内外で加速するよう努力していきたいと考えております。サンゴ礁は「海の熱帯林」と呼ばれるほど複雑で豊かな生態系を織りなしておりまして、私たちにとっても、豊かな漁場、津波・高潮等の被害を軽減する天然の防波堤、あるいは癒やしや観光資源などの恵みを与えてくれます。しかし近年、世界中でサンゴの大規模な白化現象が起きておりまして、こうした国際サンゴ礁年の内外での活動というものが、サンゴ礁保全に繋がっていくということを期待しているところでございます。

(問)新潟日報の平賀と申します。新潟水俣病の29日の抗告判決についてお伺いいたします。一審の判決が覆って、一審で敗訴した2人を含めて9人全員の認定を新潟市に命じるという判決が出ました。これについて所感を伺います。
(答)29日に東京高裁において、新潟水俣病抗告訴訟の判決言渡しがあったわけでございます。環境省としては、新潟市の対応を注視しているところでございまして、コメントは差し控えたいと思います。いずれにしても、当事者である新潟市が今後の対応等について御検討されるというふうに思います。環境省といたしましては、今後とも、関係の県や市と密に連携しながら、公健法の丁寧な運用を積み重ねてまいりたいというように考えております。
(問)後半部分と少しかぶるかもしれないのですけれども、公式認定から、新潟水俣病の場合は半世紀以上たつのですけれども、今回の行政訴訟のように、司法の場に訴えて救済を求めるというような状況が続いています。先ほども話したとは思うのですが、認定制度の見直し。その辺りについてはいかがでしょうか。
(答)政府といたしましては、水俣病特措法の規定に従いまして、現在はメチル水銀が人の健康に与える影響を把握するための調査等の手法を開発しているところでございまして、着実に進めているというふうに考えております。これからも、このメチル水銀が人の健康に与える影響を的確に診断する手法について、慎重かつ確実に開発していかなければならないと思っております。そしてまた、水俣病というのは、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた、我が国の公害・環境問題の原点となる問題だというふうに認識しております。環境庁というのが設立されましたのも、そういった背景があるものと考えているわけでございまして、長い時間を経過した現在もなお、認定申請や訴訟を行う方が多くいらっしゃるという事実は、重く受け止めなければならないと思っております。環境省としては、今申し上げましたが、関係の県、市と密に連携しながら、公健法の丁寧な運用を積み重ねるということはもとより、地域の医療福祉の充実や、地域の再生、融和、振興に努めるといったことにしっかり取り組んでいきたいと考えております。
(事務方)補足をさせていただきます。大臣がおっしゃいましたように、新潟水俣病が発生してから長くたっているところにつきましては、重く受け止めているところでございます。そしてまた、今回の訴訟の判決の内容につきましては、今、鋭意、事務方でも精査をしているところでございますので、制度への影響等につきましては、現時点ではコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

(問)日本テレビの中村と申します。環境省ではなくて、原子力防災の方で伺いたいのですけれども、東海第二原発に関連して、日本原電が、立地自治体を含めて、周辺市町村と協議をしています。その内容は、県や東海村だけに、サイトの重要な情報について事前の了解権というのが与えられている状況に対して、周りの市町村も同じような権利というか、そういう事前の了解権を得たいということですけれども、原子力防災を担当される中川大臣としては、この件はどのようにあるべきだとお考えですか。
(答)まず、再稼働の適否につきましては、独立性の高い第三者委員会であります原子力規制委員会が、専門的な科学的な技術的な審査を経て判断をされることでございます。環境省、また原子力防災の担当大臣としては、そこのところについてはコメントを差し控えたいと思います。原子力防災計画、避難計画ですね。これは原発の再稼働の有無にかかわらず、災害対策基本法に基づいて、それぞれの地域の実情を熟知している地元の自治体が策定をするということになっております。しかし、住民の皆様方の安心・安全を確保するということで、国が、この避難計画の策定に際しましては、当初の段階から関与をして、そして地域原子力防災協議会の枠組みの中で議論をしながら、正に国と地元の自治体と一体となって策定する仕組みにしております。今の東海村の原発につきましては、関係する自治体の住民の数がものすごく多いわけですね。従いまして、PAZ・UPZ圏内に96万人の方がおられるということでございますので、茨城県内のみに避難させるということは現実的に不可能でありますので、周辺の県にも避難をしていただくということで、各県と調整をしているところでございます。避難先が多岐にわたるということもございまして、計画の策定までには時間がかかりますけれども、いずれにしても、再稼働の有無に関係なく、住民の皆様の安全・安心確保のために、できるだけ早く計画を策定できるようにしっかりと、国としても自治体と一緒に対応していきたいというように考えております。
(問)まだ協議の最中ですので、言いづらい部分もあるとは思うのですけれども、大臣がおっしゃったように96万人ということでいうと、突出した原発の状況であるということを考えると、広域の緊急時対応については、これまでのものと違ったいろいろな工夫もいるだろうから、そうなると、東海村のみならずという今の議論の流れに関しては、大臣は支持されるという理解でよろしいでしょうか。事前了解の件に関しては、そのようにあるべきだというふうに思われますか。
(答)いずれにしても再稼働と関係なく、原発が、発電所が存在しているということであれば、当然、原子力防災計画を立てると。そして避難計画を作って、住民の皆様方の安心・安全をしっかりと確保していくということが重要だと考えておりますので。確かに96万人の方がPAZ・UPZ圏内におられるわけで、避難先を確保していくのも大変調整が難しいことは事実でありますけれども、しかしこれは、原子力防災の充実をしっかり図っていくというのが我々の責務ですから、これは関係自治体と協議しながら進めていきたいと思っております。
(問)最後にします。そういう自治体と協議を進めることも含め、これから更に行われる中で、自治体の理解を得るためには、最初の質問に戻るのですけれども、周辺自治体にも重要な事項の事前了解権というのを広げる必要があると思われますか。
(答)それは再稼働についてということですか。
(問)いいえ、違います。再稼働のみならず、原発のサイトについていろいろ新しい設備をつくったり、そういう重要な動きがあるときには、東海村のみならず、周辺の自治体に事前に了解する権利というのを求めていくという議論が進んでいるということについては、大臣どのようにお考えですか。
(答)事前に了解する権利という形か、権利というふうに言われますと、それは果たして権利ということなのかどうかですが、実際には、避難計画を作っていくときには、受け入れ側の自治体が了解しなければ避難計画はできませんので、当然受け入れ側の自治体の御理解をいただくように、関係の自治体間で協議をしていくということが必要になってくると思っております。

(問)朝日新聞の小坪です。ジュネーブで開かれているワシントン条約の常設委員会の関係で1点伺いますが、象牙の国内取引について、日本での取組の状況の報告というのが求められそうな状況になっておりますが、これについての受け止めをお聞かせいただけないでしょうか。
(答)11月28日から30日まで、象牙取引及び国内市場の管理を強化し、違法取引を撲滅するために作成する国別象牙行動計画、NIAP、ニアップと言っておりますけれども、これに関する作業部会が開催されまして、日本をNIAPプロセスに含める必要はないとする事務局の提案を含む検討が行われました。作業部会では、日本をNIAPプロセスに含めないこととした上で、次回の常設委員会で日本の象牙取引管理の取組状況を報告することということで合意が得られたと聞いております。この作業部会の結果は、全体会合に報告されて審議されるというふうに聞いておるところでございます。この作業部会では、当初一部に、日本をNIAPプロセスに含めるべきとの意見はあったわけでありますけれども、議論の結果、現時点で日本をNIAPプロセスに含める必要はないと、そういう結論になったと聞いております。この常設委員会としての最終決定はまだ行われておりませんけれども、仮に、この全体会合で作業部会での結果についての反対意見が出た場合には、再度日本の取組を丁寧に説明して、締約国の理解を促してまいりたいと思っております。日本では御承知のとおり、種の保存法の改正をいたしました。そして、官民協議会の開催をしておりまして、象牙取引の強化に向けて様々な取組を行ってきたところでございます。こういったこともございまして、また、日本が密輸に関与しているというようなことは言われていないわけでございます。ですから、これからも適正な象牙取引の管理のための必要な国内措置を採ってまいりたいと思っております。ただその上で、これから将来、いろいろな世界的な流れというものが出てくるでしょうし、仮に日本の市場が、いろいろなことが分かって非難されるようなことになれば、当然、適正な取組、対処をしていかなければならないというように思っております。

(問)環境新聞の小峰です。先日もまた北朝鮮から新型のICBMが飛ばされて日本海に落ちましたけれども。あれは、米本土を射程に収めたということが専らですけれども、それとは関係なしに、新型ICBMとは関係なしに、中距離ミサイル・ノドンも数百発あって、日本は完全に射程内に入っているということで、先日も大臣にお聞きしましたけれども、そのノドン等のミサイルが、原発に、核弾頭なしでも狙われる可能性が非常にあるというふうな指摘が一部にあります。それに関連して、先般、先月だと思いますけれども、原子力発電市町村長協議会だとか、原子力発電の道府県会議の議長会等が、中川原子力防災担当大臣の方に原子力防災の要望をしたと思うのですけれども、その中に、ミサイル防衛ということが入っていましたでしょうか。
(答)入っていたとは記憶しておりません。
(問)それに関連してですけれども、確か9月でしたか、福井県知事の西川知事が来て、中川原子力防災相に面談して要望したときには、ミサイル防衛についても、ミサイルに対する原発防衛をしっかりしてくださいという要望をしたと思うのですけれども、今回、原子力関係自治体の要望にミサイル防衛が入らなかった理由は、大臣としては、その理由は何だと思いますか。
(答)原子力防災担当大臣の職責というのは、それぞれの原発が、今申し上げましたが、再稼働するかしないかにかかわらず、住民の安心・安全を確保する。そのために、原子力防災計画を作成して、避難計画を作って、住民の皆様の避難訓練をしながら安心・安全を確保していく。こういうことでございまして、原子力発電所へのミサイル攻撃に対しては、海上自衛隊のSM-3搭載のイージス艦による上層での迎撃と、それから航空自衛隊のPAC-3ミサイルによる下層での迎撃を組み合わせ、多層防衛により対処をするという方針であります。また、武力攻撃事態などに該当すれば、事態の状況に応じて、国民保護法等の関係法令や国民保護計画等に基づき、警報の発令や住民の避難等の措置を迅速かつ的確に採ります。並行して、原子力発電所については、こうした事態に至れば、原子力規制委員会が、これが関係法令や計画等に基づき、原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命じます。加えて、平素より様々な事態を想定し、関係機関が連携して各種シミュレーションを行い、国民保護のための訓練等を実施するということで、いかなる事態に対しても国民の安全を守るために備えております。今申し上げたことは、政府全体としてやるべきことでございまして、いわゆる私の守備範囲であります原子力防災というその範囲は超えているわけです。ですから、これは当然、関係省庁全部を含めた政府全体で考えて、そして対応していくべき問題だというふうに思っております。
(問)最後に一つだけ。中川大臣が最後にもおっしゃいました政府全体としてということで、冒頭、海上自衛隊のイージス艦SM-3ということで、まず成層圏で撃ち落とすということですよね。それに関連して、今度、防衛省が来年度予算の要求で、今、予算編成で大詰めに入ると思うのですけれども、地上配備型のイージスシステム、いわゆるイージス・オフショアでしたか。これを要求していますけれども、最初は調査費か基礎工事費か何か知りませんけれども、そういうことを要求していますけれども。原子力防災担当大臣及び一国務大臣として、防衛省の要求は原子力防災にとって有効なのではないでしょうか、イージス・オフショアは。
(答)そこのところは今申し上げましたように、ミサイル攻撃に対する政府の対応ということに伴うことでございますので、原子力防災担当大臣の守備範囲を超えてますので、コメントは差し控えたいというふうに思います。

(問)日本テレビの中村と申します。ちょっと今の質問にも関連するのですけれども、昨日、参議院の予算委員会の質疑の中で、ミサイルが着弾したときの訓練を、政府としても自治体と連携して積極的にやっていくべきだということを安倍総理大臣がおっしゃっておりました。その際には、核物質を積んでいることも想定して、例えば遮蔽機能のある建物だとか、あるいは地下に逃げることも重要であるというような答弁もされておりましたけれども、政府全体の話とはいえ、内閣府の原子力防災におけるノウハウだとか、これまでの避難計画策定の経験というものを何かしらいかせる部分もあるのではないかと思うのですけれども、こういった動きに原子力防災として何かしらの形で関わっていかれる部分というのはあるのでしょうか。
(答)それは、原子力防災で今作成しております原子力防災計画・避難計画とは観点が違ってくると思いますが、そういったミサイル攻撃に備えた避難訓練等の際に、原子力防災計画のノウハウというものがいかせられるということであれば、当然そこは、そのノウハウをお示ししていくということになるというふうに思います。