大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年10月27日(金)11:03~11:29 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私から、全国豊かな海づくり大会への出席について御報告いたします。明日28日土曜日から29日日曜日にかけて、「第37回全国豊かな海づくり大会」に出席するため、福岡県北九州市及び宗像市を訪問いたします。この大会は、天皇・皇后両陛下の御臨席を賜り、毎年開催されているもので、水産資源の保護・管理と海や川の環境保全の大切さを広く国民に発信するものあります。
 次に、平成29年度ウォームビズについて御報告いたします。環境省では、毎年、冬の時季の地球温暖化対策の取組の一つであります、ウォームビズの実践を広く呼び掛けております。ウォームビズは、暖房時の室温を20℃を目安として快適に冬を過ごすという、暖房の適切な使用を呼び掛けるものであります。本年度も、例年と同様に11月1日から3月31日までを実施期間といたします。1枚多く服を羽織る、ひざ掛けを使うといった工夫をしていただきつつ、暖房時の室温を適切に管理していただきますよう、皆様方の幅広い御協力をお願いいたします。
 次に、内閣府特命担当大臣原子力防災として発言をいたします。本日、閣議後に第9回原子力防災会議が開催され、一昨日、25日に福井エリア地域原子力防災協議会で確認を行った「大飯地域の緊急時対応」について報告し、これを了承いただきました。その際、私から緊急時対応の取りまとめに御協力いただいた関係省庁に御礼を申し上げるとともに、引き続きの御協力をお願いいたしました。総理からは、関係自治体や事業者と一層緊密に連携し、実動部隊を含めた実際の訓練を通じ、「緊急時対応」を継続的に検証、改善する旨の御発言がございましたので、しっかりと取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)読売新聞の中根と申します。まず、来月に開幕するCOP23について伺います。今回の会議ではパリ協定脱退を表明している米国を戻すにはどうしたらいいのかという点も、恐らく話し合われて注目されるのではないかというふうに思われます。この点について、日本はどのような立場で臨まれるのか教えていただけますか。
(答)気候変動問題は世界全体で取り組むべき課題でありまして、各国が大きな関心を持って取組を進めていくことが重要であります。アメリカは引き続きCOP23に出席をして国際交渉に参加をするという立場であると聞いておりますので、会合中、対話の機会を持つことができれば、我が国としても、気候変動問題に取り組むことの重要性をしっかりとお伝えしてまいりたいと思います。世界各国が一致団結して、後戻りすることなく、気候変動問題に取り組んでいけるように、会議を通じて、我が国としても、リーダーシップを発揮していきたいというふうに思っております。
(問)もう1点なのですけれども、先日、CDPエグゼクティブチェアマンのポール・ディッキンソンという方が来日されまして、都内で開かれた会議で、日本の環境政策の取組ですとか、日本の企業の取組について言及されていたのですけれども、そこで、日本は環境分野の技術面でリードする気はあるのかという、若干挑発的なコメントもされていたようなのですけれども、現状、世界の中で、日本の環境技術ですとか環境政策というのは、どれぐらい進んでいるのか、逆に進んでいないのか、そういったところを大臣としての認識を教えていただけますか。
(答)日本の産業部門ということで見ていきますと、CO2の排出量は年々減少しておりまして、各企業においてなされている温暖化対策の成果が現れているというように考えております。また、日本企業による、例えばLED等低炭素型の製品の開発も進んでおりまして、そういった面ではCO2削減に大きく寄与しているというように考えております。ですから、日本も従来から環境技術という面においては、非常に先進的な取組をして世界に貢献しているというふうに認識をしているわけでございますが、他方、例えばCO2排出量当たりのGDP、これは炭素生産性という言葉で呼ぶこともございますけれども、こういう数字を見ますと、日本はかつて世界最高水準であったわけでありますが、日本は数字が横ばいなんですね。ところが、他の先進国はこの数字が非常に向上しているということで、日本は国際的な順位を低下させております。そういう数字から見ますと、日本の場合、企業をもちろん含めて、全国でより脱炭素化の取組を加速化させていかなければならない、そういう認識を持っております。環境省としては、様々な企業の方々と連携し、2050年80%削減という目標があるわけでございますので、さらに低炭素製品の開発、普及、再生エネの最大限導入による電源の低炭素化といった様々な課題について、引き続き全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。

(問)NHKの松田です。今の読売新聞さんの質問にからめてなのですけれども、炭素生産性の数字は日本は横ばいだということですけども、一番の原因は大臣はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
(答)これは数字のとり方ですから、為替のレートの問題もあると思いますが、やはり基本的に日本の電力部門において、特に十分に再生可能エネルギーの促進がなされておりませんし、そういった諸外国と比べて、まだCO2の排出量が、電力部門においてまだ十分な削減がなされていないということも一つの大きな原因だと思います。ですから、これは電力部門だけではなくて様々な産業部門、日本全体としてはCO2の排出量が減少しているわけですけれども、諸外国に比べて減少の割合がまだ足りないのかなということで、一層の取組を推進していかなければならない、こういうふうに思っております。
(問)今、電力のところがやはり、低炭素化というところが主流だということのようなのですけれども、一方で今エネルギー基本計画の見直し、エネルギーミックスの見直し案を経産省の方で進めている中で、エネルギーミックスの割合などについては、あまり大幅には見直さないような方向ではあるのですけれども、だからあまり現状から変わるというような方向性が見えないのですけれども、その辺について大臣はどうお考えでしょうか。
(答)エネルギーミックスの数字というのは、政府全体として調整をしている数字だということであります。環境省としては、その数字よりもっと、さらに再生エネの割合を高めていくということを実現していきたいと思っております。ここまででいいという数字ではないので、政府全体としても再生エネルギーの導入というものは、より促進をして、そしてまた同時に原子力の比重も低くしていくという、そういう政府全体としての方針がありますから、エネルギーミックスの数字以上に、更に達成ができるように頑張っていきたいなと思っております。
(問)そうすると、今のエネルギーミックスの再エネ22~24という、それより更に引き上げる、そして原子力はそれとは反対に引き下げるというのが環境省として望ましい在り方だと。
(答)エネルギーミックスの数字は政府全体として調整しなければならないので、そこの数字を引け上げるということを申し上げているわけではなくて、それより更に、そこで提示されている数字よりもっと再生エネルギーの数字が結果として高まるように努力していきたいなと、こういう思いです。

(問)朝日新聞の戸田といいます。原子力防災のことをお聞きしたいのですが、大飯と高浜が同時に発災した場合の対応についてと、あと県内には美浜と敦賀もありますが、こちらが同時に発災した場合の対応について教えてください。
(答)大飯と高浜が同時発災した場合についてのお尋ねでありますが、大飯とそれから高浜とそれぞれ計画を作っているわけなんですが、いずれにしても避難先が重複することのないように、それぞれの計画を作っております。ということは、それぞれの計画を作る段階で、同時発災が起こっても避難先がしっかり確保できるようにということで計画を立てておりますので、基本的には同時発災が起こったとしても対応できる計画になっているわけです。その上で、例えば同時発災時に、高浜、大飯のどちらのオフサイトセンターを使用するのか、これもそれぞれの事故の状況によって、もう少し厳密に整理をする必要があるというふうに思いますので、そこのところは今後、関係府県等とも調整をして検討を進めていかなければならないと思っております。ただ、基本的にはもう、同時発災が起こったとしても対応できる計画になっていると、こういう認識であります。それともう一つは、敦賀とそれから美浜の同時発災。こちらの方は、まだ、そこのところも含めてこれから検討していくと。順番に検討を進めておりますので、こちらの方はこれからの検討になるというふうに思います。
(問)もう1点。福島原発のときに、ペットの避難で問題になったと思うのですけれども、大飯地域の緊急対応時のペット対応はどうなっているのでしょうか。
(答)ペットの避難につきましては、原子力災害時においても自然災害時の対応と同様になるというふうに考えております。もし、そこのところの詳細が必要であれば、後ほど担当の方から説明いたしますので聞いていただければと思います。

(問)共同通信の藤井です。中間貯蔵施設の件でお伺いしたいのですが、中間貯蔵が始まって30年以内に県外で最終処分をするということが法制化されていますけれども、現状としては、処分地選定に向けたいろいろ取組がされていますけれども、処分地選定の議論も、検討も始まっていない状況で、地元からは中間貯蔵施設が最終処分場になってしまうのではないかという懸念が根強く残っているのですけれども、福島県の除染で発生した除染土や廃棄物を県外に持っていって最終処分するということについて、県外の人にも理解してもらわなければいけないと思うのですが、県外で最終処分をするという理由について、環境省として、どう説明されていくのか、大臣のお考えをお伺いします。
(答)県外の最終処分を実現するためには、まずは除去土壌の量を減らしていく。ですから減容化をして、そして再生利用できるものは再生利用をしていくと。こういうことが大事でありまして、除去土壌等に関する減容処理技術の開発、再生利用の推進、最終処分の方向性の検討等の中長期的な方針として、昨年の4月に中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略及び工程表を取りまとめたところであります。これによると、まずは減容・再生利用を実施するための基盤技術の開発を今後10年程度で完了すると。まずは分級して、そして熱処理や化学処理によって減容していくという、その技術の、まず開発が大事だと。その後に、線量の低い部分については再生利用していくということで、その再生利用の量を可能な限り増やしていくということが大事だと思います。再生利用すると、例えば公共工事などに使っていく、しかしそれは、安心・安全なものに、もちろん限るわけでありますので、そこのところの国民的な御理解というものをいただく努力をしていく、これが大事だというふうに思っております。ですから、まず県外の最終処分の、その前段階の減容化、再生利用、そこの努力をし、その面での国民の皆様方の御理解をいただく、そういう努力をまずはしていくことが大事ではないかという認識でございます。
(問)その理由についてなのですけれども、福島県の除染土をなぜこちらに持ってくるのかという反対の意見が出てくることも予想されるので、なぜ他の県で出たものをこちらに持ってくるのかという意見に対しては、環境省はその理由をどう説明するのでしょうか。
(答)それはまず法律でそこが決まっているわけでありますが、そこの御説明をする前の段階で、御理解のいただき方も、どの程度の最後の処分をする土壌が存在することになるのかという、そこのところが見えてこないと、恐らくそれを受け入れるところの住民の方の御理解も違ってくると思いますので、まずは今申し上げた、減容して再生利用のところの努力をしていく必要があるというふうに思っています。
(問)重ねてすみませんが、県外最終処分という方針を決めた理由は、どう捉えていらっしゃいますか。
(答)法律の審議の過程でどういうふうな議論があったかは事務方から説明を。
(事務方)県外最終処分については、福島県の方々にこの災害で与えられた御苦労ということを十分考慮して、その上で県外最終処分という方針というのが出てきたということは法律の立法の過程で審議されてきたことでございますので、将来的にそういったことについて、改めて国民的な理解を得ていくということも当然必要な課題かというふうに理解をしております。

(問)環境新聞の小峰です。今日は一国務大臣として中川大臣にお聞きしたいと思います。総選挙の総括の一つとして、安倍現政権の女性活躍の方針を見直す、あるいは修正するというお考えはありませんか。とりわけ政治の分野で。というのは、今年春から総選挙にかけて、森・加計問題の発端となった安倍昭恵総理夫人の公私混同問題、稲田朋美防衛大臣のPKO報告問題、豊田真由子氏の問題等々、一方、野党では山尾志桜里元民進党政調会長の不倫疑惑、そして小池百合子希望の党代表の国民ファーストなのか自分ファーストなのかの問題等々、今日の政治の混乱の源は皆女性でした。古い階層の国民の中には、やはり女に任せていては駄目なんだという率直な声もあります。一国の大臣として、とりわけ政治の分野で女性活躍路線の見直し、修正はあるのかどうかについて御見解を伺いたいと思います。
(答)自らの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることは重要であると考えております。女性が輝く社会をつくるということは、安倍内閣の最重要課題の一つでございまして、国務大臣としても政治家としても、安倍内閣のこの方針というものにのっとって、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。