大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年10月6日(金)10:50 ~11:10 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私からは特にございません。

2.質疑応答

(問)読売新聞の中根と申します。まず1点目なのですけれども、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査で、原子力規制委員会が合格内定に当たる審査書案を了承しました。東電は原発事故を契機に安全性を向上させてますけれども、まだ世間の東電に対する視線というのは厳しいものがありますけれども、今回の事実上の合格ということについて大臣の受け止めを教えていただけますか。
(答)10月4日の原子力規制委員会におきまして、柏崎刈羽原発6、7号機の新規制基準への適合性に係る審査書案が審議され、今後約1カ月かけて技術的な意見の募集を行うことなどが了承されたと聞いております。本件につきましては、原子力規制委員会が独立した立場で対応しておりまして、私からコメントすることは差し控えたいと考えております。私の担当としては、原子力防災担当大臣ということで、この柏崎刈羽地域の原子力防災体制につきましては、新潟県等の関係自治体において地域防災計画等の充実強化に取り組んでいるところでございますが、引き続き柏崎刈羽地域の原子力防災体制の充実強化に向けて関係自治体等と連携を図りつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
(問)もう1点、別の質問になるのですけれども、クールビズの期間について伺いたいのですけれども、今年、クールビズは9月末で終了したということになりましたけれども、10月に入っても来週辺りに、25度以上の夏日に東京が予想されたりとかして、結構暑い日が続いたりとかすると予想されています。また、例年も10月に真夏日を観測するということも頻繁にあるのですけれども、クールビズ期間を延長するとか、何か期間を変えるとか、そういった方針というのは今後、変える御予定はありますでしょうか。
(答)クールビズの期間ということで、5月1日から9月末までをクールビズの推奨期間ということにして、冷やし過ぎない冷房の使用と、その温度に適した軽装を広く呼び掛けてまいりました。クールビズの期間が終わりましても、ですから10月ですね、10月におきましても、暑い日があれば、適正な室温管理と各自の判断による軽装を実施していただければと思います。そのことにつきまして、環境省としても、そういった適正な室温管理と、それから各自の判断による軽装というものを呼び掛けてまいりたいというふうに思っております。

(問)共同通信の藤井です。先ほどの柏崎刈羽の件なのですけれど、新潟県の米山知事が、規制委員会の審査には避難計画などが含まれていないということで、改めて検証が必要だという指摘をされていますけれども、現在の柏崎刈羽地域の避難計画の策定状況と今後の課題について、どのように認識されているかということをお伺いします。
(答)柏崎刈羽地域における避難計画、課題でありますけれども、例えば、住民避難に係る避難手段の確保、具体的にはバス協定をどうするのかとか、それから病院や社会福祉施設等の放射線防護対策、例えばそういった施設にフィルターを付ける、あるいは外の空気が中に入ってこないように建物の改修をする、大分進んではおりますけれども、まだ病院や社会福祉施設等の放射線防護対策が十分に進んでいない、そういう所もございます。こういった点がまだ課題として残っております。ただ、柏崎刈羽地域の原子力防災体制につきましては、新潟県等の関係自治体が災害対策基本法等に基づく地域防災計画等を策定済みでございます。ですから、こういった課題に係る検討を含めて、地域防災計画等の更なる充実化に向けて柏崎刈羽地域原子力防災協議会というのがございますので、その枠組みの下で関係自治体等と一体となって、国も検討を重ねているところでございます。

(問)毎日新聞の五十嵐です。ちょっと話題は変わりますけれども、いわゆる気候変動の適応策について、現状の認識のお尋ねをしたいと思います。確か6月頃だったと思いますが、自民党の環境部会のほうから適応策の法制化に向けての提言があったと思うのですけれども、これを受けて現時点で環境省としての対応状況、さらには、例えば次期の通常国会なりでの法案提出ができるのかできないのか、そうしたところも含めて現状をお知らせください。
(答)今言われました適応策というものは、気候変動の影響に対処して、被害を回避、軽減するために極めて重要なことでございます。一昨年の11月に、気候変動の影響への適応計画、これを閣議決定いたしまして、関係省庁においてそれぞれ対策を進めているところでございます。環境省も適応の情報基盤である気候変動適応情報プラットフォームの整備などを進めているところでございます。これを何とか法制化して、格上げしていきたいというふうに思っておりまして、今、検討中であります。与党からも必要な法的措置の検討をするようにと、こういう御提言、御要望もございまして、今、環境省を中心に関係各省と法制化について検討をしているところでございます。まだ具体的にいつのタイミングで、どういう内容になるのかということまできちっと詰まっているわけではございませんが、そういう方向で今やっているということであります。
(問)関連でもう一つなのですけれども、法制化というところももちろん大事だと思うのですけれども、現状として気候変動がこのまま進むと、日本国内での気象だったりとか農作物への影響だったりとか、実際にどういうことが起こり得るのかということについては、今後また改めて、想定される影響などを環境省もしくは政府として何らかの形で国民に提示したりする考えはあるのでしょうか。
(答)地域ごとの予測される気候変動リスクの情報の収集、分析、提供、こういったことにつきまして、政府として今、申し上げた必要な法的措置を講じまして、きちっとそういう情報提供をする権限というものを明確にして、こういったことが適切に行われるようにしていきたいということであります。ですから、そういう情報の提供をしていく体制を整備していく。権限といったようなことも含めて体制を整備していきたいというふうに思っております。

(問)環境新聞の小峰です。まず、日経新聞でおとといから、大臣には大変気にさわる言葉かもしれませんけれども、「環境後進国ニッポン」とタイトルをうちまして連載を始めてます。確かにいろいろな、1キロワット時あたりの二酸化炭素排出量だとかGDPあたりのCO2排出量等々は、指標の悪化は環境省の審議会等でも指摘されていますけれども、ここまで環境後進国と言われて、大臣の所感をお聞かせ願いたいのですけれど。
(答)環境後進国というのはどういう意味で言われているのか。それは、一つはCO2排出量あたりのGDPが、日本はかつて世界最高水準であったわけでありますけれども、その後、ほぼ横ばいで推移しておりますので、他の先進国はどんどんそこの水準を上げているわけですね。結果として、いわゆる炭素生産性という言葉がありますが、これが日本の場合、ほとんど横ばいになっておりまして、他の国はこの炭素生産性が上昇しているということで、結果として日本の炭素生産性が相対的に諸外国に比べて低くなってきているということでございまして、私もこの数字自体には大変危機意識を持っております。非常にそういう御指摘は重く受け止めなければならない、何とかしたいと、こういう思いでございます。他方で、我が国でも経済成長を増大させながらCO2を削減するという、いわゆるデカップリングというふうに言っておりますが、そういう傾向も見え始めているわけでありまして、私も就任以来申し上げているとおり、環境政策と、それから経済の成長、経済成長をけん引する環境政策というものを打ち出していきたい。ですから、脱炭素化に向けた取組というものは、経済成長を阻害するものではなくて、経済、社会的諸課題の同時解決に資するものだということで、我が国でも大胆に気候変動対策を推進して、中長期的な成長にもつなげていきたいと、こう思っております。
(問)続けて環境新聞の小峰です。今、総選挙がもう間近に迫っておりますけれども、注目の党である希望の党、とくに党代表の小池百合子都知事。希望の党の一部公約案が明らかになっていますけれども、この中で環境政策について小池さんが何も打ち出していないのですけれども。ただ、小池百合子さんは環境大臣を2003年9月から2006年9月と異例に3年間もやられて、クールビズを打ち出して、実質普及させましたけれども、実は小池元大臣はクールビズだけではなくて、環境税を初めて打ち出した、環境省史にとっては歴史的な大臣だったということは中川大臣も御存知だと思います。一方で中川大臣が事務次官当時、2002年11月15日に経産省の当時の村田成二事務次官との間にエネルギー政策の見直しと環境配慮の抜本的強化という、大臣同士で覚書を交わしましたけれども、実質的には当時の中川さんと経産省の事務次官の村田成二さんとが交わした文書であるというふうに考えられますけれども、それが2012年度には温暖化対策税に発展しています。こういうところから見て、衆院選の公約に新たに小池さんが環境対策を打ち出すとは思えませんけれども、衆院選終了後になんらかの、小池さんの希望の党が環境政策で何か打ち出してくるのではないかなということは本紙としても予測しているのですけれども、話が前後してすみませんけれども、東京都は特に排出量取引を実施している自治体でもありますし、そういう意味で大臣は環境政策の面から小池百合子さんに対して注目をしているところは何かございますでしょうか。
(答)他党のことについてコメントすることは差し控えたいと思います。その上で申し上げれば、選挙というのはそれぞれの党が政策を掲げて戦うわけであります。ですから、しっかりと自民党、そして与党としては、公約も発表いたしましたが、そこに掲げているとおりの内容を国民の皆様方に提示をして御理解をいただく、そういうことに全力を注いでいきたいというふうに思います。今、御指摘の排出量取引とか環境税の関係ですが、いわゆるカーボンプライシングと言われている政策につきましては、今、環境省で検討会、勉強会を立ち上げて議論しているところでございます。そういう意味で、これは環境省としては、しかるべき時期に結論をいただいて、それで環境省の考え方というものを提示したいと思っております。ただ、まだ今途中の段階でありますので、確たることは申し上げるわけにはいきませんけれども、いずれにしてもカーボンプライシングというのは温室効果ガスのコストに意識を持っていただき、費用効率的な排出削減を促す政策手法でありまして、世界の潮流になっているというように思っております。ですから、こういった諸外国の様々な知見や経験をも踏まえまして、我が国にとって実効的な政策の在り方は何なのかということを検討していきたい、また、この検討会で検討を重ねていただきたいというように思っております。