大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年10月3日(火)10:34~10:47 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私から水銀に関する水俣条約、COP1の結果について御報告いたします。9月29日に水俣条約の第1回締約国会議の閣僚級会合に出席いたしました。水俣条約の下でグローバルな水銀対策をしっかり実施していくことの決意を、参加者の皆様と共有できたという点で大変有意義な会合であったと考えております。我が国といたしましては、各国における条約の実施に貢献するとともに、国内の水銀もしっかり実施することにより、引き続き、リーダーシップを発揮する考えでございます。

2.質疑応答

(問)読売新聞の中根です。今、水俣条約のCOP1の成果受け止めについて御発言いただきましたけれども、一方で資金支援の仕組みについては締結国の統一見解を出せるか注目された部分もありましたけれども、この点まとめることができないなど条約の立ち上げ段階で課題が残った点もあったかと思うのですけれども、この点を踏まえて大臣としてはどのような認識でいらっしゃるのか、あるいは日本としては今後どのように議論を見守っていくのか教えてください。
(答)今、御指摘の資金支援の一部について合意に至らなかった事項があるということは承知いたしております。これは地球環境ファシリティGEFによる資金供与のための覚書について、一部の国の合意が得られずCOP2に先送りになったということでございます。もちろん今回合意できなかったことは残念でございますけれども、大筋の、他の事項含めて、着実に締約国が水俣条約を実施していく、そういう全体の合意はできておりますし、事務的ないろいろな合意も成立しております。そういう意味では、今回の会議は大きな一歩だったというふうに思います。残された合意につきましては、引き続き我が国もしっかりとフォローして、次の会議では合意ができるようにしていくべきだというように考えております。水銀対策、国内も含めて条約に課せられた様々な課題を実現できるように、引き続きリーダーシップを発揮していきたいというふうに思っております。

(問)共同通信の丸田です。同じく水俣の関係なのですけれども、水銀対策という意味では日本は前倒しで各種の施策を進めているというお話だと思うのですけれども、そもそも国内では水俣病の問題、これは前回の会見でも伺いましたけれども、健康調査の話でありますとか、各種の係争中の裁判でありますとか、まだ進行中の部分が多いと思います。水俣病そのものについて大臣の現状の御認識、あるいは今の課題についての今後の解決への方向性、その辺りを改めて伺えますでしょうか。
(答)水俣病の問題は現在でもまだ多くの方が苦しんでおられる問題でございまして、我が国の正に公害問題の原点ということであります。いまだ解決されている状況にはないわけでございまして、そういう意味では、これからも公健法の運用を丁寧に積み重ねていく。そしてまた、住民の健康調査につきましても、その手法の開発を早く行うように努力をしていく。そしてまた、その地域の問題、住民の皆様方のそれぞれの生活がしっかり立て直すことができるような、そういった施策というものをこれからもしっかりと実施をしていかなければならない、そういう課題であるというふうに認識をいたしております。
(問)現地で患者の坂本さんがスピーチをされましたけれども、その辺り聞かれて、もしかしたら現地の会見でもお話されたことかもしれないですけれども、患者のそういった声を聞かれてどのような感想をお持ちになりましたか。
(答)坂本しのぶさんの演説の時間は、残念ながら私は国会の関係で出席しておりませんけれども、坂本さんのお話を各国の方が聞かれて、水銀対策の重要性というものを各国の参加者が非常に感動を持って感じ取った。この条約をしっかりと実施し、特に途上国のまだ水銀を使用している、そういった状況もございますので、全世界的に解決していかなければならない課題だという思いを共有することができた。その一つの大きなきっかけを提供されたという、そういうふうに私も報告を受けて、感動を持って、坂本しのぶさんのお話を聞かせていただきました。そして、私も坂本しのぶさんと面会をさせていただきまして、坂本さんの正に悲痛な声というものをお聞きし、まだ水俣病は終わっていないと、こういう思いを強くしたところでございます。今申し上げましたように、これからも公健法の運用を丁寧に積み重ねていく必要性、また健康調査の問題等々、地域の皆様方の生活をしっかりとつくり上げていく施策が重要だというようなことを改めて決意をさせていただいたということでございます。

(問)熊本日日新聞社の内田といいます。私も引き続き水俣条約関連で1点お聞かせいただきたいのですが、先ほど資金支援の仕組みについて合意に至らなかったというお話があったと思うのですけれども。そうなりますと、次のCOP2は1年以上先になると思うのですが、特に途上国でのそういった水銀対策について遅れが生じるというふうに捉えていいのでしょうか、その辺りの見解をお願いします。
(答)これは覚書が各国間の意見の相違によって締結できなかったということでございますが、大方はもう途上国に対する資金支援、それからまた我が国としては技術支援等々を行っていくという方向はしっかり出ているというように思います。ですから、COP2に先送りされたとはいえ、我が国としては条約の効果があがるように、いろいろな形でこれからも途上国に対する支援を続けていくという態度には変わりはございません。

(問)朝日新聞の小坪です。ちょっと話題が変わるのですけれども、沖縄の辺野古の基地の予定地の周辺で絶滅危惧Ⅱ類のサンゴが発見されたということに関してなのですけれども、これに関して、環境省としてどのように関わっていかれるのか。あるいは、移植というような話も出ていますが、どういった対策が望ましいとお考えなのか、その辺をお聞かせいただけないでしょうか。
(答)この問題は事業者である防衛省が自然環境に十分配慮して実施をするということが重要であり、防衛省がそのような対応を取るというふうに認識いたしております。ですから、環境省として、特に防衛省とそれから県との間のやりとりについて、環境省の方からコメントすべき問題ではなくて、やはり事業者である防衛省が対応していただく、そういう問題だというふうに考えております。
(問)仮に何か相談とかがあった場合にはどういったことが環境省としてできるのでしょうか。
(答)その相談の内容にもよるわけですけれども、環境省の所管に関する事項について御相談があればもちろん誠実に対応いたしますけれども、この普天間代替施設の建設ということに関連する問題は防衛省によって対応していただく、そういう問題だと思っております。

( 以  上 )