大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年9月1日(金)9:44 ~10:05  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日9月1日は「防災の日」でございます。政府では、首都直下地震を想定して、総理、全閣僚参加の下、緊急災害対策本部の運営訓練を官邸で実施いたしました。また、このあと、環境省においても緊急災害対策本部の設置・運営訓練を行います。首都直下地震や南海トラフ地震の発生が想定される中、このような訓練を通じて災害に備えるということは極めて重要でありまして、環境省としても、本日の訓練をきっかけに改めて防災意識を高め、防災・災害対応の実施と向上に努めてまいります。
 次に “COOL CHOICE LEADERS AWARD~環境省と爆笑問題が大募集。日本と世界を「クール」にする人。~”の募集開始について、お知らせいたします。本日9月1日(金)から、「COOL CHOICE」推進の一環として、広く国民の皆様から「COOL CHOICE」に率先して取り組んでいる“人・グループ”及び「COOL CHOICE」を広げるための“アイデア”を募集いたします。優秀な内容については表彰を行い、その内容を各種メディアやCOOL CHOICE WEBサイト等で発信するとともに、今後の普及啓発活動に活用いたしますので、ふるって御応募いただきたいと考えております。
 次に、「選ぼう!3Rキャンペーン」について御報告いたします。持続可能な循環型社会の構築のため、限りある資源の大切さと3Rについて、分かりやすく伝える取組の一つとして、「選ぼう!3Rキャンペーン」を、今月4日からスタートします。これは、環境省自身がプロデュースした初めての消費者キャンペーンであります。リデュースにつながる省資源商品やリサイクルに関連する対象商品の購入を通じて、国民一人ひとりに、3Rや資源の大切さを認識・共感いただき、日頃の消費行動、商品選択の定着へ結びつけることを目指しております。全国1,000店舗以上のスーパーやドラッグストアなどで展開いたします。詳しくはお手元の資料を御覧いただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)NHKの松田です。大臣29日と、30日に玄海原発の地元の佐賀県、長崎県、福岡県を訪問されて、知事ですとか、地元の方との意見交換をされたと思うのですけれども、改めて原子力防災の観点でどういったところに課題があったと感じられたか教えて下さい。
(答)今回の出張で玄海地域の原子力防災対策の現地視察は、九州電力の玄海エネルギーパークや放射線防護施設の特別養護老人ホーム、あるいは唐津市にあります佐賀県オフサイトセンターに行ってまいりました。また、3県の知事、副知事と意見交換をいたしまして現地の実情を自分自身でしっかりと確認し、またいろいろな課題について認識することができました。特に玄海地域は離島が多いという特徴がございまして、こうした地域の実情に応じ、きめ細かな計画を立てていかなければならないということを改めて痛感したところでございます。今後も原子力総合防災訓練で得られる教訓を踏まえ、また浮かび上がってくる課題があると思います。そういった課題や得られた教訓を一つ一つクリアして改善して、また地元の皆様方の声をしっかり聞きながら避難計画を改善して、関係自治体と一体となって原子力防災対策の一層の充実強化に努め、地域の皆様方の安心・安全を高めてまいりたいというように考えております。
(問)玄海原発は来年の1月にも再稼働の見込みとなっています。住民の方から避難に不安があるというような声も出ているところでありますけれど、今回の総合防災訓練が再稼働にどういった影響を与えると大臣はお考えでしょうか。
(答)再稼働につきましては、独立性の高い三条委員会であります原子力規制委員会の判断を尊重するということでございますので、その再稼働自体についてのコメントは差し控えたいと思います。いずれにしましても、今申し上げましたように避難訓練を通じてさらに住民の皆様方の安心・安全を確保できるように努力をしていくというふうに考えております。
(問)玄海原発の再稼働と今回の総合防災訓練の結果は別のものであって、互いに影響するものではないというお考えでしょうか。
(答)やはり住民の皆様方の安心・安全を確保するということが住民の皆様方の理解につながっていくと、こういうふうに考えております。

(問)時事通信の市原です。昨日、環境省の概算要求が発表されましたけれども、テーマとして挙げられていた環境問題と社会経済問題の同時解決ということですけれども、環境問題というのは経済成長をある程度犠牲にしなければいけないと考えている方はまだたくさんおられると思うのですけれども、そういう考えに対する思いがあればお聞かせ願えますか。
(答)環境問題の解決を図っていくということが経済成長の阻害要因になるという考え方は、これはもうかなり古い考え方だというように思います。環境と経済の統合された社会という言葉が言われて久しいわけであります。最近ではさらに一歩進めて環境技術の発展、また環境産業を育成していく、また国民の皆様方の環境意識を高めて、そして環境によい製品を購入していく、そういうマインドを高めていく、こういったことによって環境問題の解決、あるいは環境分野での競争力を強化していくということによって我が国の経済成長、経済発展のけん引力になっていくという、そういう考え方は最近特に強くなってきていると思います。経済界も、また国民の皆さま方の意識もそういう方向に向かっているというように思います。今度の平成30年度の環境省の概算要求におきましても、そういう考え方を基に様々な政策を実施していく、そのための必要経費を要求しているというふうに思います。

(問)読売新聞の中根と申します。よろしくお願いします。中部電力の武豊石炭火力発電所の建設計画についてお尋ねしたいと思います。経済産業省が今月、二酸化炭素の排出削減を講じるよう勧告しました。経産省は環境大臣の意見に沿うような形の勧告になったと思うのですけれども、この件についてどのように受け止めていらっしゃるのか教えていただけますか。
(答)本件につきましては8月1日に山本前大臣から経済産業大臣に対しまして環境大臣意見を提出したところでございます。それと同内容の勧告が経済産業大臣から事業者に提出されたというふうに認識しているわけでございます。ですから、事業者には環境大臣意見および経済産業大臣勧告の内容を十分に踏まえ、事業実施について再検討を含め、あらゆる選択肢を検討していただく必要があるというふうに考えております。その上で、なお石炭火力発電所を建設、稼働するということであれば、事業者としてそれ相応の覚悟を持って所有する低効率の火力発電所の休廃止、稼働抑制などにより、さらなるCO2排出削減を計画的に実施していただく必要があります。環境省としては環境大臣意見および経済産業大臣勧告を受けた事業者の取組について今後定期的にフォローしてまいります。

(問)環境新聞の小峰でございます。昨日、概算要求の発表が環境省と大臣の御所管である内閣府の原子力防災からあった。これを見ますと、今、北朝鮮の対核・ミサイルや安全保障問題が非常に喫緊の課題になっているということ。そして、温暖化問題による災害の多発が日本でも非常に大きな問題になっているということで喫緊事になっていると思います。そういう中で、昨日、発表の環境省の概算要求を見ると、防衛省との連携事業が盛り込まれていないということが今の喫緊事に対する大臣の認識としてはいかがなものかというふうな気がしたのですが、いかがでしょうか。
(答)特に原子力防災の問題につきまして、環境省、また内閣府、そして防衛省との連携というのは大変大事なことでございます。ただ、これは内閣府の原子力防災の担当や環境省と防衛省が一緒になって何か補助事業をやるとか、そういうことではなくて、お互いに緊急時対応として協力し合うということでございますので、これは環境省において防衛省との連携のための予算を確保するという性格のものではなくて、防衛省の方で必要な予算をしっかりと計上していただいているものというふうに思います。もともと防衛省はいろいろな災害に対応する、あるいは国家の緊急事態に対応するということであらかじめ一つ一つ事態を決めてそのための予算を確保していくというものではないわけです。防衛省自体がそういったいろいろな緊急事態に対応できる、そのための必要な予算は防衛省がしっかりと確保している、確保するべきでありますし、計上しているというふうに思います。そういった中で環境省なり内閣府の原子力防災の方から要請があれば、もちろん防衛省・自衛隊としても対応していただけるというふうに思っております。現実に原子力防災会議におきましては防衛省も防衛大臣もメンバーにもちろん入っておりますし、地域の原子力防災協議会におきましても、その地域、地域の防衛省の出先といったところが参加をしております。そして、今回玄海発電所に関連する防災訓練を行いますけれども、伊藤副大臣が自衛隊機で佐賀空港まで乗って参加するわけであります。この予算ももちろん防衛省に計上されている予算を使ってやるわけで、環境省でその予算を計上しているということではないのです。ですから、やはり自衛隊という組織は不測の事態が生じた場合にいろいろな形で協力をしていただくわけでありますが、もともと国民の生命や身体、財産を守るという国の重大な責務、これをもちろん政府一体となって責任を持って対処する。その大きな役割を担っていただいているのは自衛隊であり防衛省でありますから、その必要な予算はそちらの方でもともと確保していただいているというふうに認識をしています。

(問)関連して質問なのですけれども、温暖化対策でエネルギー特別会計がありますし、地球規模の観測などでは防衛省も非常に航空機、潜水艦、艦艇といろいろ持っていますので、そういうのを活用することにおいて将来の観測に関する協力ということも連携事業などで考えられるのではないかということと、現在、特別会計のエネルギー特会の対象になっておりませんけれども、今後適応計画が実施段階に移されますと橋だとか海岸線だとか大規模な工事になりますから。このときに陸上自衛隊の隊員たちはブルドーザーのプロだから、こういう工兵部隊の活躍、これは世界の、アメリカなどでもみな国交省というのはないのですよ。国防や軍、それから州兵がやっているので、この辺の技術の活用は適応計画で考えていくべきだと思いますが、将来の防衛省とその辺の連携について、大臣の大所高所からのお考えをお聞かせいただきたい。
(答)大変貴重な御提言だというふうに思います。地球温暖化対策、適応に対する対応など、これは政府一体となって推進していかなければならない課題でございます。そういう意味では今の御提言をですね今後のいろいろな課題の解決、施策に生かせるものがあればしっかりと生かしていきたいというふうに思います。