大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年8月4日(金)10:52~11:14 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、本日の福島出張についてお知らせいたします。本日、福島県を訪問し、内堀福島県知事に御挨拶させていただく予定でございます。また、6日、日曜日に再度福島に出張し、福島復興再生特別措置法に基づく自治体との法定協議会である「原子力災害からの福島復興再生協議会」に出席いたしまして、関係自治体の首長等と意見交換をさせていただきます。
 次に、「阿寒国立公園」について、摩周地域の公園区域の拡張等に併せまして、8月8日に「阿寒摩周国立公園」に名称を変更することといたしましたのでお知らせいたします。「阿寒摩周国立公園」は、世界水準のナショナルパークを目指す満喫プロジェクトで先行的に取り組む国立公園にも選定されております。環境省としても、地元の皆様としっかり協力しながら、今回の名称変更を、国立公園を軸とした更なる地域の活性化につなげてまいりたいと思います。詳しくは、お手元の資料を御確認いただければと思います。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の五十嵐です。一点お尋ねいたします。本日及び6日の福島出張に関連してお尋ねいたしますが、大臣、昨日の会見でも、復興まだ道半ばというような御発言がありましたが、一方で震災から6年が過ぎ、環境大臣始め、関連する大臣がこの間も短期間で交代することが度々ありました。地元の首長さんからは、道半ばでの短期交代ということで、時にはとまどいの声が聞かれたりというところも、かつてございましたが、大臣これから内堀知事とお会いするのを始めとして、地元の首長さん、地元の住民の方々と信頼関係を構築する上で、今の時点でのお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
(答)環境大臣が交代いたしましても、環境省の組織は継続しております。もちろん、役人、役所の職員の方も人事異動で交代をするわけですけれども、組織というのは人が代わってもしっかりと引継ぎをして、そして継続しているものでございます。その点は、もちろん知事も御理解をいただいているというふうに思います。今回は、御挨拶と、今後福島の復興に対し全力を尽くす覚悟、決意をお伝えしたいと考えております。その上で、環境省の様々な取組について御要望があればお伺いをいたしまして、また、しっかりと取組を継続していくということをお伝えしてまいりたいというふうに思います。

(問)読売新聞の野崎です。昨日ちょっと聞きそびれたことがあって、昨日、安倍首相が中川大臣に期待するところは、記者会見で、地球温暖化の長期戦略の策定について期待するというような趣旨のことをおっしゃっていたのですけれども、地球温暖化の長期戦略の策定についてどのように臨んでいくかという、中川大臣のお考えをお願いします。
(答)これは正に長期的な長期戦略ということで、これから更にいろいろ関係省庁とも協議をしながら進めていかなければなりません。やはり省エネ、再生可能エネルギーの拡大、これを経済成長につなげていく、そういう社会経済というものを実現していかなければならないわけでございまして、そういう意味では、安倍総理から具体的にそういった御指示があったわけではございませんけれども、一方で、国内での大幅な排出削減を目指すということで、世界全体の排出削減に最大限貢献をする。しかしそれが、我が国の更なる経済成長につなげる、そういうための長期戦略ということを2020年の期限に先立って策定をしていかなければならないわけでありまして、これはいろいろな省庁と連携をしていくということが必要だと思います。もちろん一部には考えの相違があるということは私も承知をしておりますけれども、そういった点も含めて、関係省庁と意見交換を進めて、今申し上げた基本路線に沿ってまとめていきたいというふうに考えております。

(問)共同通信の堀口と申します。昨日聞き損ねてしまったのでお伺いしたいのですけれども、大臣が東京電力福島第一原発事故について現状どのような認識をお持ちなのか教えてください。
(答)現状の認識を私が今この段階で正確にお答えするのは難しいかと思いますけれども、原発事故で収束はまだできていない、そしてまた被災地の復旧、復興は道半ばだと、こういう認識を持っております。現実に多くの方が、今なお避難生活を余儀なくされているわけであります。そういう現実がございます。そういう点から考えまして、収束はもとより、被災地の復旧・復興は道半ばだと。こういう認識の上に立って、二度と原発事故を起こしてはならないということはもちろんのことでありまして、そのために徹底的な事故防止のための対策を講じていくということは当然のことでございますが、万が一の事故に備えた原子力防災を進めていかなければならないということで、私もその担当大臣を命ぜられたわけでございますので、各地域の原子力防災体制の充実・強化にしっかりと取り組んでいきたいと、そういう決意でございます。

(問)共同通信の丸田と申します。施策の話とは関係ないのですけれども、大臣の御経歴を拝見すると、大蔵が長くて、環境次官を務められて議員になられた後も、そういった分野のことに取り組まれていたようなんですけれども、環境という言葉と御自身の接点というと、経歴に入っていることもそれ以外のことも含めてどのようなエピソードがあるのでしょうか。もともと大蔵に入る段階でまだ環境省はなかったと思うのですけれども、環境庁ですかね。そういった省庁がもし既にあるのであれば、あったのであれば、もともとそういった霞が関に入る前からこういった環境問題について御興味を持たれていたのか、それとも局長、次官とする中で何か天啓のようなものを感じられたのか。またあるいは仕事が永田町に移る時に、失礼な話ですが、環境問題というのは有権者に届くだろうと、そう考えてそういうように打ち出されたのか、または永田町のお仕事の中でこういった分野に更に興味を持たれたのか、その辺りをお願いします。
(答)私は旧大蔵省で財政、税制の仕事を中心にやってまいりました。その中で思っておりましたのは、ここまで財政事情が悪くなる、つまり現在の世代の人たちが歳出をどんどん拡大をして、そしてそれに見合う税収を得るということについては、いろいろな状況を考えてなかなか十分にそれが実現できない。つまり将来世代にツケを先送りにしていると。こういう状況が続いてきたわけであります。そのことを考えますと、いわば持続可能な社会ということを考えますと、このようなことを続けていたら本当にどこかで行き詰まると。将来世代の負担が非常に大きくなる。そしてまた、国家的な財政状況がどこかで破たんするような事態になれば持続可能性というものは失われるという危機意識を持っておりました。環境省にまいりまして、これは大蔵省の人事、政府の人事ということでこちらにまいったわけですけれども、その環境省での経験というものはやはり、今度は環境問題、現在の世代の人たちが快適な生活をするためにCO2を排出をする。そして地球温暖化を招く。正に地球の危機というものが訪れていると。これは、財政危機というのは日本国内の問題ということでありましょうが、この地球の気候変動の問題というのは正に地球の危機ということで、持続可能な社会を構築するという意味においては、もう待ったなしのところにきていると。そういうことで、私は持続可能な社会を作っていく将来世代への思いやりを持った政策を進めていかなければならない。そういう意味においては、財政も環境も本当に似たような局面にあると、こういう認識を持っておりました。今でももちろん持っているわけでございますが、それで、政治家になってからも、この二つを柱にして、持続可能な社会を作るんだという思いの下に活動し発言を続けてきたというふうに思っております。ですから、今回こうした大役を頂いて、私のそうした思いを少しでも実現できる、そういうことになれば、本当に自分としてもやりがいがあるなと。こういうふうに決意をしているところでございます。

(問)共同通信の藤井と申します。原子力防災担当大臣を兼務されるということで、原子力発電に対するお考えをお伺いします。先ほど福島第1原発事故に絡んでも発言がありましたけれども、温暖化対策とも絡んで、原子力発電をどう考えるかというのはエネルギー政策上重要だと思うのですけれども、原子力発電所の再稼働について是非を含めて大臣のお考えをお伺いします。
(答)私は、環境省の外局として独立性の高い3条委員会であります原子力規制委員会を所管しておりますし、原子力防災担当大臣も兼務している立場にございます。この原子力規制委員会を立ち上げたときには、私も自民党のプロジェクトチームに参加をしておりましたし、当時、民主党政権の下でございますが、参議院の環境委員会でこの問題を審議をした、そういう経験もございます。いずれにしても、そのときの議論としては、独立性の高い委員会にしなければならないと。3条委員会というふうに決まりましたけれども、この原子力規制委員会というのは科学的、技術的に審査をすると。それは、政治や内閣から独立して、正に世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合するかどうかと。これを専門家の方が科学的、技術的に審査をするという仕組みを作ったわけでございます。そしてそういう仕組みの下で、原子力規制委員会がその基準に適合すると認めた原発につきましては、その判断を尊重するというのが一貫した政府の方針でございます。その原子力防災との関係から言えば、原発が稼働するか否かに関わらず、原子力防災対策の充実というのは住人の皆様の安全・安心の観点から重要でございまして、これは万が一の場合に備えて、原発の稼働が認められるかどうかということにかかわらず、しっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。それと地球温暖化対策との関係について申し上げれば、原発への依存度につきましては、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入などによりまして、可能な限り低減させるというのが政府の方針でございます。この方針に沿って、環境省としても、私も、再生可能エネルギーの最大限の導入を引き続き進めてまいりたいというふうに考えております。

(問)環境新聞の小峰でございます。昨日の就任会見でも多少関連したことをお聞きしましたけれども、今の大臣の政治家としての御発言で財政危機を先送りしない、環境環境の危機を先送りしない。これの二つを一緒にしますと、2019年10月に予定している消費税増税と、それを大型炭素税の導入によって代替措置とすると。消費税見送りの代替措置とすることで、大臣の先ほど表明された政治的な二つの関心事項を統合するようなことになるんじゃないでしょうか。
(答)これは昨日も申し上げましたが、財政危機の財政健全化といいますか、財政規律の回復、維持ということにつきましては、もちろん税収を確保するという意味で税制の改革をしていかなければならない。また、歳出の改革もしていかなければならない。そしてまた何よりも経済を成長させて、その果実ですね、税収という形で増やしていくという意味で、財政再建の前提には経済の発展、成長というものが必要だというふうに思います。ですから、そのことと炭素税の問題とは、私は直接リンクしているというふうには考えておりません。そして炭素税の問題は、昨日も申し上げたわけですが、価格効果によるCO2の抑制効果ももちろんあるわけですけれども、それ以上に、炭素税による税収を地球温暖化対策に効果的に使っていくという、歳出による削減効果というものも期待されるわけでありまして、いわゆる炭素税というものを、今おっしゃった消費税に代替するような規模で導入して、一般歳出に当てていくというようなことは、今どこでも、そういう頭で検討されているようなことはないというふうに思います。