大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年7月25日(火)9:38~9:53 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から3点御報告いたします。1点目は、以前検討するとお知らせしていた「環境インフラ海外展開基本戦略」を取りまとめましたので御報告いたします。戦略では、3つの柱を掲げております。1つ目は、大臣を含む政務によるトップセールスです。政務が参加する二国間政策対話をキックオフとして、ワークショップや企業の技術紹介等を集中的に実施する、「ジャパン環境ウィーク」を開催します。2つ目は、個別プロジェクトのみならず、技術、環境法制度や人材育成等まで含めたパッケージ支援です。3つ目は、環境省内の体制整備、及び各省・関係機関との連携体制の構築です。このほか、分野別、地域別の取組方針をまとめています。さらに、廃棄物や温暖化の分野については、より具体的な戦略を年度内に策定します。この基本戦略を基に、質の高い環境インフラの海外展開を進め、途上国の環境改善、気候変動対策の促進とともに、我が国の経済成長にも貢献してまいりたいと思っております。詳しくは、お手元の資料を御覧になっていただきたいと思います。
 2点目は、国立公園の統一マークの発表についてです。国立公園満喫プロジェクトでは、2020年に日本の国立公園の訪日外国人利用者数を1,000万人にするという目標に向けて、世界水準の「ナショナルパーク」としてのブランド化を図ることといたしております。そのためには、海外の方々に日本の国立公園の価値や魅力を認識いただくと同時に、その価値や魅力を、国立公園の所在する地域を始め国内の関係者と共有していくことが必要であります。そこでこの度、国内外に日本の国立公園の価値や魅力を発信していくため、我が国で初めての国立公園統一マークを作成いたしました。このマークは、太陽が地平線から昇る様子をデザインしたもので、満喫プロジェクトをきっかけにした国立公園の新たな始まりも示しております。また、統一マークを補完するブランドスローガンも作成いたしました。レンジャー、有識者等の意見を踏まえまして、日本の国立公園の価値や魅力を、「その自然には、物語がある」という言葉に集約し、ブランドスローガンといたしました。今後、このマークをSNSなどの様々な媒体や国立公園の標識に活用していくことで、国内外の多くの方に日本の国立公園の価値や魅力を伝えていきたいと考えております。さらに、今後の取組として、全国に34ある国立公園についても、統一マークと一体感のあるデザインとなるよう留意しつつ、それぞれの多様性や魅力を表現するマークの作成を、来年度にかけて進めていく予定でございます。詳しくはお手元の資料を御覧になっていただきたいと思います。
 最後にヒアリ対策について御報告をいたします。ヒアリ対策については、これまでも個別に専門家の意見を聞いて取組を進めてきたところですが、科学的知見に基づきこれまでの対策について確認をいただくとともに、今後の効果的・効率的な対策について助言をいただくため、ヒアリの防除等に関する専門家会合を27日木曜日に開催することといたしました。専門家会合では、環境省等から取組状況を報告し、御意見をいただく予定であります。なお、詳細は後ほどお知らせいたしますので、事務方にお問い合わせ願いたいと思います。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の五十嵐です。ヒアリについてお尋ねいたします。これまでもヒアリ対策を進めておられるところだと思いますが、その中で、68港の調査と防除を進めていくという方針がありました。この件について、いつ頃どのような体制で進めていかれるか、現時点でのスケジュールを教えてください。
(答)今後の68港湾における調査・防除については、まずはヒアリの確認調査を実施するとともに、ヒアリが確認された場合には速やかに駆除できるよう68港湾の事務所等に殺虫餌を配布することといたしております。ヒアリの確認調査については、国土交通省の協力も得つつ、各港湾において目視及び捕獲トラップ等による調査を実施いたします。現在、国土交通省等の関係者と詳細を相談しているところでありまして、専門家会合での助言を踏まえつつ、早急に順次調査を開始していきたいと考えております。ヒアリ確認地点の周辺2km程度の規模を拡大した調査についても、目視及び捕獲トラップ等による調査を想定しておりまして、同様に、できるだけ早く順次開始できるよう準備を進めているところでございます。また、68港湾の事務所等への殺虫餌の配布については、21日より順次開始しておりまして、来週中には、当面必要な量が全港湾に配布される予定でございます。

(問)NHKの松田です。環境インフラの海外展開、基本戦略についてなのですけれども、途上国のインフラ輸出に関しては中国などはかなり力を入れて日本と競合するようなところもあると思うのですけれども、環境インフラというところにおいて日本の強みだとか、どういった日本の環境インフラの輸出の可能性があるというふうにお考えでじょうか。
(答)今まで政務の一人である伊藤副大臣が、かなり各国を回って実情を聞いてきております。その報告を聞きましても、日本がまず得意な分野で取り組んでいく、それは何だろうと考えたときに、やはり廃棄物の分野だと思っております。その廃棄物の分野で、やはり国によっては廃棄物の概念がまずない。国民にも、その政府にも。その辺りから日本の廃棄物行政の仕組み等を伝えていくことが非常に大事なことではないかと。これは松田さん御指摘の強み、他の国にはないほど日本では完璧に廃棄物行政が出来上がっていると自負をいたしております。これは必ずや他の国においても役に立つ、概念そのものもそうですけれど、法制度、その辺りについてもやはり日本の仕組みというのは参考になるのではないかと思っています。その後に、様々なインフラというものを当然提供していくことが必要なのだろうと思っておりますけれども、まず、いきなりポーンと最新技術を持っていって、これでことが足りますというような感じではないという報告も聞いておりますので、そういう面において環境省らしい地道な、ソフトも含めて援助ができるのではないかと思っておりまして、大いに期待をいたしているところでございます。

(問)共同通信の藤井です。伊方原発のことでお尋ねします。先週の金曜日に松山地裁の決定で運転差止が認められなかった一方で、避難計画に関しては今後課題が修正されない場合、合理性を欠く事態になることもあり得るということで、原子力防災対策の見直しを求める意見もありましたが、大臣の地元でもあると思いますけれども、今後、原子力防災体制をどう見直していくかということをお伺いします。
(答)原子力防災担当大臣ということで申し上げたいと思いますけれども、仮処分の決定においては、今後も継続した訓練や避難計画を含む原子力災害対策の見直しが必要との指摘があったことは承知をいたしております。国としても、避難計画の整備には、いつも申し上げますように「終わり」や「完璧」はない、という意識でございます。これからも訓練等を通じて、継続的に避難計画等の改善等を図っていくことが必要との認識でありまして、取り組んでまいりたいと思っております。伊方地域の避難計画は、平成27年11月に実施された原子力総合防災訓練の結果も踏まえまして、平成28年7月に改定が行われており、仮処分決定においても必要な修正がなされている旨指摘をされました。今後も、愛媛県を始め関係自治体等と一層緊密に連携をいたしまして、そしてまた訓練等を通じまして、避難計画を含め原子力防災体制の更なる充実・強化を図ってまいりたいというふうに思っております。地元の国会議員としては、四国電力にとにかく万全を期した安全運転を心掛けてもらいたいということに尽きるわけでございます。

(問)共同通信の丸田と申します。ヒアリに関してですけれども、このタイミングで専門家会合を設置された狙い、これまでやってきたことの効果の確認と、今後どうやって進めていくかというお話をされたと思うのですが、改めて6都府県で見つかっているという現状を踏まえて、このタイミングでの設置の狙いをお願いします。
(答)いつも申し上げますとおり、今回のこの一件は水際でとにかく防除をするということに尽きるんだろうと思っておりまして、そのために環境省、国交省、関係省庁がこれまで懸命に頑張ってきたところでございます。そうした中で専門家の方々が随分いらっしゃって、御意見をお持ちであると聞いておりますので、専門家の方々の御意見も、効果的、効率的に対策を進めていく上においては非常に貴重なものであるという認識で、今回会合を開くことになったわけでございます。表現はおかしいかもしれませんけれど、NHKの日曜討論でヒアリを取り上げられるとは、ちょっと地元の人もびっくりしていまして、それほど国民的関心は高まってきているんだろうと思っております。であるならば、環境省がやれることはとにかく何でも早急に精いっぱいやると私自身は決意を強くしているところでございまして、その一環が今回の専門家会合だと捉えていただければと思っております。

(問)NHKの松田です。ヒアリの関係なのですけれども、NHKの日曜討論の中でも専門家の方が、荷物が中国などから来てその中にヒアリが含まれていたりするということで、他国との調整であったり、多国間での対策というのも考えるべきではないかという指摘もありましたけれども、中国や他の国と何か対策をやっていくとか、そういった検討をされているということはあるのでしょうか。
(答)この件については一番最後のところで、うちの亀澤局長がそのことについても話したと思います。大変難しい話ではあるのですけれども、やっぱり根元のところでこの問題の意識を持ってもらわないと、なかなか完璧な事がなせないのかなということを私も思っておりました。ただ、物流という世界を調べておりますとなかなか難しい。一国だけでは事が成らないという世界でございますので、そこら辺も含めて亀澤局長はこれから検討させていただきたいと言ったんだろうと思っておりますが、一番有効な手段だろうとは思っております。ただ、難しい、物流は本当に。