大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年7月14日(金)10:42 ~10:55 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方からは2点御報告させていただきます。新組織、新体制が発足しました。本日より、「環境再生・資源循環局」及び「総合環境政策統括官」の新設、福島環境再生事務所の地方環境事務所への格上げを内容とする新組織が発足いたします。また、併せて、森本事務次官以下の人事の発令を行いました。新たな体制の下、原子力災害からの環境の再生に、環境省の最重要課題として省を挙げて取り組むとともに、地球温暖化対策を始めとする環境行政の諸課題に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に環境産業の市場規模・雇用規模等の推計結果がまとまりましたので、昨日公表をいたしました。2015年の環境産業の市場規模は、前年に比べ1.4%増の約104兆円で過去最大となり、2000年の市場規模と比べると約1.8倍になっております。特に地球温暖化対策分野が大きく伸びております。環境産業は、我が国の経済成長を支える重要な主体です。環境省としては、環境政策を積極的に推進していくことを通じて、環境産業を促進し、環境と経済の統合的な向上に向けた取組を進めてまいりたいと思っております。以上でございます。

2.質疑応答

(問)日本テレビの中村です。改めてになるのですけれども、北九州の大雨の災害で今もってまだ全体像が膨らみ続けて把握できないと思うのですが、総理が行かれて激甚災害に言及されていますし、報道を拝見しますと廃棄物の仮置き場に長蛇の列という凄まじい量の廃棄物の量というのが明らかになってきておりまして、現時点での環境省の取組の情報についてお聞かせ下さい。
(答)7月7日から順次、被災市町村が開設した仮置場で災害廃棄物の受入れが始まっております。現在、被災家屋の片づけが本格化し、多くの市民の方が仮置場に災害廃棄物を運んでおられます。災害廃棄物の受入れ前に、被災市町村と環境省現地支援チームが連携して、受入れ可能な災害廃棄物の種類や分別方法などについて市民に周知をしています。これにより、概ね順調に分別や搬入が行われていますが、御指摘のように入口で渋滞が見られたり、災害と関係のないごみが搬入されるケースもあると聞いております。このため、被災市町村では、職員に加えて、福岡市から4名の人的支援を受け、受入れの体制の円滑化を図っております。さらに、産業廃棄物処理事業者に管理を委託し、搬入車両の円滑な誘導、搬入される災害廃棄物の監視を行っております。また、市民の搬入手続の簡素化や分別方法の周知等を行い適正な運営に努めております。環境省現地支援チームは、連日、仮置場を巡回をしまして、仮置場の適正な運営方法に関する助言、追加の仮置場確保などの支援を行っております。さらに、環境省現地支援チームの調整によりまして、広域処理を進めております。福岡県朝倉市の仮置場にたまった可燃物を、7月13日から福岡市、北九州市に受入れていただいております。引き続き、災害廃棄物の処理が適正かつ迅速に行われるよう、福岡県及び大分県と連携して、被災市町村に寄り添い、全力で支援を行いたいと思っております。
(問)もう1点ヒアリ対策についてですけれども昨日、例の大井ふ頭のコンテナの中で繁殖しているのを確認されたということですが、今日も東京港で行われておりますが、東京での国際コンテナふ頭の調査というのは大体このぐらいで一通り全部回ることになると思うのですけれども、今後の調査等について考えをお聞かせ下さい。
(答)まず、大井ふ頭の当該コンテナから蛹や卵が複数確認されたということでございますが、大井ふ頭の当該コンテナについてはヒアリを確認後速やかに殺虫餌の設置等を行いまして、更に燻蒸消毒を行っています。今回の確認調査では、女王アリは確認されておりませんが、床の合板をはがし分解して確認・駆除したので、女王アリが潰れたり粉々になった可能性もあると考えております。いずれにせよ、コンテナ全体は燻蒸消毒を行っており、周辺での液剤の散布や殺虫餌の設置等を行っているため、コンテナから逃げ出した可能性は低いと考えております。なお、コンテナが運ばれた君津市についても、7月8日以降、地元自治体とともに調査を実施しており、現在までにヒアリは確認されていません。今後のことでございますけれども、これまで港湾エリア外でヒアリの繁殖や定着を示す証拠は確認されておりませんが、10日の名古屋港の事例は6件目であり、いずれも中国との関係が疑われることを踏まえ、対策を強化していく必要があると思っております。このため、11日に、新たに消防庁及び文部科学省の参加も得て、第2回目のヒアリ対策関係省庁連絡会議を開催し、中国等からの定期コンテナ航路を有する68港湾における調査・防除を新たに実施する等、関係省庁が一体となってヒアリ対策を推進することを確認したところでございます。

(問)朝日新聞の小坪です。2点お伺いしたいと思います、まずは1点目はヒアリ対策に関して最初の確認の発表から1ヶ月ほど過ぎました。広がりがわかってくると共に、外来種行政で他の種類の外来種も居るわけですけれども、ヒアリに限らず外来種行政を今後どう取り組んで行かれるおつもりなのかを教えて下さい。
(答)今回の一連の皆さん方の報道によって、先般も申し上げましたけれども国民的関心はかなり高まっていると私は思っております。実際に広報室あたりにもかなりの問い合わせがあるやに聞いております。ヒアリに対して我々は今やれることは全部やるという態度でやってきたわけでございますけれども、やはりこの際申し上げておきたいことは、御社でしたでしょうか、書いておられましたけれども、やはり「正しく恐れて侮らず」ということに尽きるだろうと思います。いたずらに、いたずらにといっては語弊があるかもしれませんけれども、この問題でパニックになるようなことは避けていただきたいと思っております。そういう意味において環境省は各省庁と連携をしながら何とか対策を講じてていきたいと、効果的な対策を講じていきたいということで全力を挙げているところでございまして、是非御理解をいただきたいと思います。
(問)政府としても生物多様性国家戦略ですとか、あるいは外来種のヒアリ被害防止行動計画などありますけれども、例えば、ちょっと大げさかもしれませんが閣僚級でこういった問題を共有して下さいとか、その辺りのお考えは特にございますでしょうか。
(答)閣僚同士の立ち話と言ったらあれですけれど、国交大臣とは是非一緒になって協力をしていただきたいということは再々申し上げております。
(問)もう1点だけお願いいたします、別件ですが、石炭アセスについてお尋ねいたします。愛知県の武豊火力発電所のリプレース計画について先月末には愛知県の県知事から意見が出されたとお聞きしておりますが、中でもCCSの設置の検討ですとか色々なコメントもついていたと把握をしておりますけれども、環境省としては現在の進捗の状況はいかがでしょうか。
(答)今まとめ中でございまして、経済産業省の方から意見照会がありまして、現在その内容を審査しているところでございます。この問題につきましては常々申し上げておりますとおり、地球温暖化対策の観点から申し上げても極めて厳しいものがあると思っております。今回の武豊のことにつきましても、リプレース事業と言いながら、石油から石炭への変更でありまして、間違いなくCO2が現状よりも相当増えるということだけは分かっている話でございます。従いまして事業者にはこうした現実をしっかりと自覚をしていただいて、個々の事業について今一度考えるとともに、事業者全体として長期的なCO2削減を確実に実現していく見通しを示していただきたいと思っております。今CCSのお話がございましたが、CCSについての僕の今のところの理解では、CCSのいわゆる本格的な事業展開というのはまだまだ緒にもついていないという認識を持っておりますので、CCSをやるからいいだろうとか、今回の武豊のように、バイオマスを混焼するからいいだろうというのは、何か本末転倒のような気がしてしようがないんですけども。
(問)追加で1点、大臣の一内閣一大臣というお考えも承知した上でですけれども、やはり石炭アセス、並々ならぬ思い入れを持っておられると思います。来月早々には内閣改造という声もございますが、その辺りのスケジュール感はいかがでしょうか。
(答)改造があるからうんぬんではなくて、今回のアセスの問題については、経済産業大臣からの意見照会は今の環境大臣である私に対してあったと思っておりまして、当然、私が意見を返すのは当たり前だろうと思っておりますので、私の考えで是非それをしたいと思っております。

(問)読売新聞の野崎です。ヒアリの話に戻るのですが、一部報道で予防的防除、先に殺虫餌を設置することについては疑問が出されており、見直しも含めて検討というような報道があったのですけれども、事実確認としてどのようになっていますでしょうか。
(答)今の御指摘については、そのような御意見があったことについては私ども承知しております。いずれにしましても殺虫餌というのは効果的であることは間違いない。ただし、他のアリ属に対して影響を及ぼすのではないかという御指摘があったやに聞いておりますが、かなり限定した区域で効果があるものだとすれば、トラップだけではなくて殺虫餌というのは捨てがたいツールであると私は思っております。ただし、御指摘のあったようなことも十分に考慮に入れながら、今後の殺虫餌の使用については検討していきたいと思います。