大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年6月16日(金)10:13 ~10:30  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方からは3件御報告をします。1点目は本日の閣議で、いわゆる平成28年度国会事故調フォローアップ報告書を決定をいたしました。
 それからG7ボローニャ環境大臣会合に出席をいたしました。成果としては既に発表しているとおりでございますけれども、私としてはG7の一体感を示すことができた会議であったと評価をしております。会議全体は私は成功裏に終わったと表現したいと思っております。アメリカのプルイット長官とのバイの会談を、私も注力しなければいけないと思っておりましたが、最終的には引き続き閣僚間で政策対話を行うということで一致しました。気候変動についての私の考えは事細かにお伝えいたしました。長官からは気候変動対策と経済成長は両立をすると、引き続き気候変動枠組条約の締約国として、国際的な関与を続けながら、国内の排出削減に取り組んでいくという考えが示されたところでございます。私としては、今回の会合の成果も踏まえまして、3Rだったり、海洋ごみ等の分野において、G7を始めとする各国と連携しながら、国内での環境対策を強化していく決意を新たにしたところでございます。特に、気候変動については、揺らぐことなく国内の排出削減に取り組むことで、パリ協定に基づく世界全体の排出削減に貢献してまいりたいと思っております。
 次にSBTサイエンスベースドターゲットについて御報告申し上げます。パリ協定の2度目標の達成を目指す企業の募集についてでございます。パリ協定の2度目標に沿った中長期の意欲的な目標を策定する企業の取組であるサイエンスベースドターゲットが注目を集めており、世界では多数の企業が続々と参加を表明しております。この輪をさらに広げていくため、こうした取組を行う日本企業を、本日より広く募集をすることといたします。お手元にお配りしている紙に書いてあるとおりでございまして、詳細は、事務方にお尋ねを願いたいと思います。

2.質疑応答

(問)テレビ朝日の古賀と申します。G7環境大臣会合についてお伺いします。先ほど大臣がG7の一体感であったり成功裏に終わったというふうにおっしゃいましたけれども、また一方で、アメリカ自体はパリ協定にネガティブな姿勢を今後も取り続けると思うのですけれども、それに対して、改めてG7会合へ行った大臣の所感と、そういった状況が今後続く中で、日本として国際社会の中でパリ協定の目的を達成するためにどういった役割が今後日本に求められるか、大臣の考えをお願いします。
(答)先ほど申し上げましたように、一番恐れていたのは、あの会合が6プラス1というような雰囲気にならないことを、多分私のみならず、他の国の閣僚も同じように考えていたんだろうと思っております。そういう意味において6プラス1という形ではなく、G7としてのコミュニケをまとめることができたということからも、皆が多分共通の思いで、アメリカを孤立させてはいけないという思いがあったんだろうと思っております。そういう意味において、あの会合を成功と評価したいと思ってはおります。さはさりながら、プルイット長官とのバイの会談でも、アメリカがパリ協定を離脱をするということを改めて我々は確認したところでございます。その上でアメリカはCO2削減に取り組んでいくということを明言いたしました。不思議な気がするんですけれども、気候変動枠組条約には、我々は締約国としてCO2削減に取り組んでいくんですよと一方では明言をしているわけでございまして、アメリカの今後の対策というのを我々は注目をしていきたいと思っております。いろいろな裏の事情があるんだろうとは思いますけども、トランプ氏、もしくはプルイット氏がいわゆるキャンペーン中に発言をされていたことを思い起こしますと、かなり前進をしてきた考えは持っているなということは、我々確認をいたしましたので、その上において今後の対策として、2020年までに少し時間もございますので、あらゆるアメリカの対策に注目しながら、対話の窓口だけは閉ざすことなく話していきたいなと思っております。

(問)毎日新聞の五十嵐ですよろしくお願いします。G7に関連してお尋ねですが、アメリカの離脱の表明を受けて、国際社会の中で日本の役割というものの重要性というのはどんどん増していると思います、その上でお尋ねしたいことが1点あります。いわゆる温室効果ガス削減に向けての長期戦略、日本は提出が遅れているという事情があると思いますが、この件について現状どのように調整が進んでいて、いつごろ提出する見通しが立っているのかということと、この件についてG7の中で他国から何らかの言及があって、日本側としての立場を表明する場面があったのか、その点についてお尋ねいたします。
(答)後段からお話ししますと、言及はございませんでした。しかし、私の方から発言したかもしれません、バイの中で。日本としてはとにかく長期目標というものに対する考え方はこのような考えを持っておりますということは私の方から話したかもしれませんけども、いずれにいたしましても、今、作業中でございますということを向こうの方に話したことはあっただろうと思っております。今、日本がやろうとしている長期戦略というのは、やっぱり僕の言葉でいきますと、もう既に提出をされている国もありますけども、日本らしいといっては表現があれかもしれませんけども、かなり野心的な長期戦略でありたいと思っておりますから、今、関係各省のことも思い浮かべながら作業を進めていると理解していただきたいなと思います。いつ頃という表現はあれですけども、とにかくできるならば1年前には出したいなと思っています。
(問)もう1点関連ですけれども、今の省庁間での調整も含めてあると思いますが、ネックとなっている部分というか、なかなか調整がクリアにならない部分は、もし例示できるとすればどんなところがあるかお尋ねいたします。
(答)まだ調整しておりませんから、思い浮かべながらという表現でお話しましたが、将来的にここは問題になるんじゃないかというようなことを思い浮かべながらの、わが省の作業だというふうに御理解をいただきたい。あえて申し上げますならば、いつも例に申し上げますカーボンプライシングの取扱いについては、大きな争点になってくるだろうと思ってはおります。

(問)共同通信の津川です。所管外の話で恐縮なのですけれども、昨日、加計学園をめぐる文科省の追加調査で松野大臣が民進党から示された文書が結局幾つかあったということを発表されました。当初なかったという文書が出てきたわけなのですけれども、これに対する受け止め等ありましたらよろしくお願いします。
(答)加計学園の話はいろいろ報道で承知はいたしておりますけども、私自身が全体像を全く把握いたしておりませんので、なかなかお答えのしようがございません。

(問)NHKの橋本です。アスベストについてお伺いしたいのですけれども、先日NHKの報道で公営住宅の少なくとも2万2千戸にアスベストが使われていて、専門家の試算では23万人余りが暴露リスクを負ったのではないかということを報じておりますけれども、現実に住宅での被害が疑われるケースも出ている中で、こうした被害については環境省所管の救済制度の対象になってくると思いますけれども、環境省としてこうした被害者への救済の必要性についてどう考えているのか教えてください。
(答)NHKの調査によって過去にアスベストを使用していた公営住宅の戸数が明らかになったとの報道は承知しております。アスベストは国民の健康に関連する重要な課題であり、広範な分野で使用されてきたことから、関係省庁が総合的に対応することが重要であろうと思っております。そこで環境省においては、大気汚染防止法に基づく建築物の解体作業における石綿飛散防止対策の徹底や、廃棄物処理法に基づく石綿含有廃棄物等の適正な処理の推進、石綿健康被害救済法の着実な施行に現在も取り組んでいるところでございまして、今後とも関係省庁と密接に連携を保ちながら、アスベスト対策に全力を尽くしてまいりたいと思っております。今お尋ねがあったことでございますけども、石綿健康被害への対応としては、石綿により中皮腫、肺がん等を発症した方に対し、救済制度に基づく医療費等の支給、石綿による健康被害への不安をお持ちの方に対して、保健所等における健康相談の支援や協力自治体における健康管理のモデル事業の実施を行っておりまして、引き続き石綿健康被害の対応に万全を期してまいります。いろんな意味において、平成18年以前の様々なものに石綿が使用されていることは事実だろうと私も思っておりまして、これは公営住宅に限らず、例えば私は船舶を所有しておりますけれども、船舶にも石綿というのを実は使っているんです。おいそれ簡単に、船というのは取り壊したりリプレイスというのはなかなか難しいので、当然のごとくまだ使っているということはこれは事実でございます。そういうのが社会の様々なところにあるんだろうとは理解いたしております。そういうなかで健康被害が生じてきているという実態が生まれてくるならば、関心を寄せるべき事項だろうと思っておりますが、一義的には国土交通省において様々な調査をされているんだろうと思いますし、私も劣化による飛散というのが住宅の中でどういう状況になっているのか全てを確認したわけではございませんので、これから関係省庁と対応を協議してまいりたいと思っております。
(問)もう1点、これまで被害者のパターンといいますと、例えば工場の労働者とかさっきおっしゃった船舶ですとか、あるいは工場周辺のクボタショックのようなケースがメインではないかと思われていた中で、身近な住宅にも被害の疑いが出てきているのではないかと。こういう事態になっていることについて率直な大臣の所感をお願いします。
(答)今申し上げたように、住宅に使用されていた石綿が経年劣化によって飛散するという状況というのが、今まで誰も多分、ほぼ注目していなかったんだろうと思うんです。その辺については、一義的には国土交通省のいわゆる建築を担当する所管のところが調査をされる必要はあるかもしれません。

(問)朝日新聞の戸田です。安藤ハザマの件をお聞きしたいのですけれども、環境省も調査チームを立ち上げて調査を始めたということなのですが、1週間ほど経って現在の進捗をまず教えてください。
(答)安藤ハザマの社長は9日に本社において記者会見を開きまして、領収書の改ざんを認めたものの、不正の有無や改ざんの理由については「調査中」と述べるなど、不明な点が多いと認識しております。徹底した調査を行っていただいて、できる限り速やかに結果を公表していただきたいと思っております。仮に報道されていることが事実であるとすれば極めて遺憾でございまして、事実関係が判明次第、厳正に対処したいと思っております。環境省としては、安藤ハザマの調査状況を注視するとともに、福島県を始め関係自治体と連携して徹底した調査を行った上で、先ほども申し上げましたように、厳正に対処したいと思っております。現在、環境本省と福島環境再生事務所からなる実行チームにおいて、福島県、いわき市及び田村市と連携して、調査を開始したところでございまして、今後について確定的なことを申し上げられるものではございません。いずれにしても、近く公表されるであろう安藤ハザマ自身による調査結果も踏まえつつ、行政の側でも徹底した調査を行ってまいりたいと思っております。連携相手のいわき市や田村市も、本件の対応に追われているといった状況でもあり、いずれにしてもしっかり対応してまいりたいと思っております。私自身の所感を申し上げますと、個人として非常にこの種のものが私は大嫌いでございまして、不正ということが。この不正がまかり通るようなことがないように今後厳正に対処していまいりたい。そのためにはきっちりした調査をそれぞれのつかさつかさでやっていただきたいと思っております。
(問)調査なのですけれども、かなり大掛かりなものになりそうな気もしていて、公表の段階とか、まずここまで分かったから公表するという形にするのか、全部終わった時点にするのかとか、その辺りはいかがでしょうか。
(答)いずれにしても、安藤ハザマがまずは内部調査をきっちりやっていただきたい。どうしてこういうことが起きてきたのか、それから、いろんな意味で誰がどう指示したのかとか、いろんな具体的なことがあろうと思います。この一件があったということだけを取り上げて、これで調査が終わりましたというのでは困るのであって、あくまでもなぜこんなことが起きたのかということを御自身が解明をしてもらいたい。それを受けて我々は判断したいと思っています。