大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年6月2日(金)9:18~9:39於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

私の方から報告させていただきます。本日の閣議で原子力規制委員会の平成28年度の年次報告を、国会へ報告することを決定しました。そして、パリ協定については御承知のとおりでございまして、日本政府としてのコメントは岸田大臣が既に発表しており、席上に配布しているとおりです。その上で私のコメントをこれから述べさせていただきたいと思います。これからもやっぱり、基本的に先進国がリーダーシップを発揮していく必要があろうかと考えております。直前に開催されたG7首脳会議においても、パリ協定について様々な議論がなされ、安倍総理からも、米国に対し、その関与の重要性について説明をしていただいたところでございます。我が国としては、パリ協定の枠内で米国と協力を重ねたいと考えていたところ、今般の、トランプ政権がパリ協定からの脱退を表明したことに失望をいたします。一方、世界の潮流は変わらないというふうに、私は考えておりますので、環境省としても、世界をリードしていく覚悟で2030年また2050年の目標に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

2.質疑応答

(問)産経新聞の市岡です。一点お伺いしたいのは、本日カーボンプライシングの検討会第一回が開かれますけれども、折しもこの日と重なったわけなのですが、消極的な意見というのは経済界を中心にあるわけなのですけれども、国内のそういった情勢に与える影響と、どのように取り組んでいくのか改めて御所感をお願いします。
(答)今朝の出来事は出来事で別として、先ほど申し上げましたように、我が国としては30年目標、50年目標に向けて取組は変わらないわけでございますから、当然のごとくカーボンプライシングの議論は開始していかなければならないと思いますし、やはりカーボンプライシングというのは、我々が考えるこれからの脱炭素社会に向けての有効なツールであるということだけは間違いございませんので、深掘りをしてもらいたいと思っております。

(問)共同通信の深谷と申します。トランプ大統領のパリ協定脱退に関連してなのですけれども、日本として、アメリカにこれからどのように働きかけていくのかということと、日本国内の影響についてお聞かせください。
(答)率直に今回のトランプさんの決定に対して、私自身、環境大臣として、また山本公一個人として、大変に失望をいたしております。何年か前に同じようなことを私は経験いたしましたけれども、京都議定書からアメリカが離脱するというような決定等々、そういう経験もいたしましたけれども、そのときには比べものにならないほどの失望感を覚えております。といいますのは、やっとここまできたという人類の英知に背を向けた、今回のアメリカのトランプ大統領の決定は、まさにそういうことだろうと私は思っておりますので、大変な失望を覚えております。そして、今後のことについては、まだ脱退という最終的な表明があっただけで、形にはなっておりませんので、これからも機会があれば、説得といいますか、していきたいと思っております。
(問)日本国内の影響については、どのようにお考えでしょうか。
(答)それはやはり、今までも、いろいろな方々のいろいろな御意見があったことは承知をいたしておりますから、いろいろな御発言が出てくるのだろうとは思いますけれども、環境省としては、今までやってきたことに、何ら姿勢を変えることなく進めていきたいと思っております。

(問)ブルームバーグの渡辺です。確認ですが、アメリカがこういう表明をしましたけれども、日本政府としてはパリ協定にコミットしているということには変わりはないでしょうか。
(答)それには変わりはありません。
(問)それに関連してなのですけれども、引き続きコミットしていくという中で、日本では、国内の話になりますけれども、NGOの調査などで、石炭火力で20ギガワット分以上あるという建設計画があるということで、こういう事実が、こういう計画などが日本のコミットメントを弱体させるのではないかという懸念もあると思うのですけれども、その石炭火力とパリ協定の日本のコミットメントというのはどのように折り合いをつけていったらいいとお考えですか。
(答)今までも私は、同様なことを石炭火力については申し上げてきたし、アセスの意見書においても私の考え方を述べてきたつもりでありますから、今朝の出来事によってこれが変わるということはありえませんし、石炭火力というものに対する厳しい目というのは、日本だけではない話なので、まさに世界の潮流だと私は思っておりますので、そうあってもらいたい、日本という国内においてもそのようにこれからも言い続けていきたいと思っております。
(問)大臣が先ほどおっしゃった世界の潮流は変わらないと考える、とおっしゃったことについてですが、その世界の潮流の中で代表的な特にこれは大事だなと考えることを2つぐらい挙げていただければと思います。
(答)やはり基本的に今回のトランプさんの御発言等々を色々と勘案するに、いわゆる選挙中におっしゃったような気候変動に対する物事の考え方を全否定するような発想ではないやに伺い知れますので、やはりそういう意味においては、世界の潮流というのは脱炭素という世界に向かっているということだけは間違いない。これはやはりトランプ大統領個人はどうか分かりませんけれども、アメリカの州であったり、企業であったり、そういうところが既にそのように動いておりますので、それがまさに世界の潮流なのだろうと思っております。

(問)読売新聞の野崎です。続けてパリ協定の関係なのですが、先ほど説得したいとおっしゃられたのですが、具体的に日程が固まっていないと思うのですが、11日、12日にG7環境大臣会合で、もしかするとプルイット氏と直接話す機会があるかもしれませんが、そこでやはり説得を試みたいとお考えでしょうか。
(答)G7環境大臣会合について、実はまだ国会のお許しが出ておりませんので、この場で行くと断言できないのがつらいですけれども、もし行くことになれば、当然プルイット氏ともバイで会談することもあろうかと思います。そういうときには我が国の考え方を伝えていきたいと思います。
(問)そういうときには、今先ほどおっしゃられていた世界の潮流、再エネとか省エネとか脱炭素の動きが止まらないということを伝えるということでよろしいのでしょうか。
(答)環境の重要性というのを説くのではなくて、これはやっぱりアメリカのトランプ政権も関心があろうかと思うのですけれども、いわゆる企業の動向を含めて経済という面でもう一つの流れができてきているということは、もし機会があれば私の口から説明したいと思っております。

(問)産経新聞の田邊です。今の関連なのですが、G7環境大臣会合にもし行かれましたら、先進国として、今回の問題に対してどういう点を確認すべきかというふうにお考えでしょうか。
(答)この間既に行われたG7のサミットにアメリカを除く6か国が一つの統一の見解を出したと思っておりますけれども、同じようなことがあるのだろうと思っております。
(問)NHKの橋本です。大臣から深い失望感ということでお話がありましたけれども、今回の発表で世界の温暖化対策に与える影響についてお伺いしたいのですけれども、既に中国とかあるいはフランスとかイギリスなど欧州の主要国からはパリ協定をしっかりやっていくというふうな声明が出ているかと思うのですけれども、その点アメリカに追随するような動きがあるのかないのか、世界の潮流に与える影響について教えてください。
(答)それについては予断を持って申し上げることではないと思っております。いずれにしましても一つの大きな出来事であったということは間違いありません。しかしながら何度も申し上げますけれども、京都会議以降、長い時間をかけてやっとここまできたということはどの国も思っていることだろうと考えておりますので、基本的に流れ自体は変わってこないのだろうと思います。したがって追随する国があるのかないのかということでございますけれども、そういう国があってもおかしくはないし、また、ないほうがいいとは思うのですけれども、あってもおかしくはないと思います。

(問)フジテレビ加藤です。今の話で、あってもおかしくはないということですけれども、やはりそのパリ協定に削減の義務がないというのが離脱ということが起こりうる要因だと思うのですけれども、どのようにしてそのような流れにしていこうというようなお考えありますでしょうか。
(答)私が知る限り個人的な見解ですけれども、随分とやっぱり温暖化問題には異論のある方が国内はもちろん国外においてもいらっしゃるわけでして、当然そういう方々は、世界第2位の排出国であるアメリカがパリ協定を抜けることの影響といいますか、それはやっぱりそれなりに評価されて、いわゆる一つの御自分の主張に対して、いわゆる理論づけをいただいたみたいにおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。だけど私の感覚は、少なくとも世界の8割、9割の方は今の温暖化の流れはCO2による温暖化、温室効果ガスの増大によるものだと大方の方は理解をしていらっしゃるだろうと思っておりますし、現に気候変動が世界の中でいろいろな国々に影響を与えていることは、それぞれの国の国民の方々が肌身で感じていらっしゃると思っております。もう頭の体操の段階を飛び越えていると私は思っておりますので、実感として皆さんが感じていらっしゃる世界だと思っております。
(問)アメリカが離脱したことで、先ほど大臣がおっしゃっておりましたけれども、京都議定書の二の舞になるのではないかという話も出ているかと思いますけれども、それについていかがでしょうか。
(答)二の舞にならないようにと思って努力をしてきたわけですけれども、ただあのときと違いますのは、あのときは世界の経済という発想はほぼなかったと私は意識しておりますけれども、先ほども少し申し上げましたように、世界の経済という分野において、環境というものが大きく関与してきたということは間違いないわけです。京都の時はまだそこまで意識はなかったと私は思っておりまして、今回はある意味で皆さんは本当に人類の知恵で積み上げてきたパリ協定だと評価をいたしておりましたので、私自身はそういうことはないだろうと思っております。

(問)共同通信の津川です。話変わりまして、働き方改革についてお伺いいたします。厚労省が長時間労働の抑制策の一環として、来月28日に午後8時に一斉消灯をする取組をやるそうなのですけれども、併せて環境省でもやるということなのですけれども、改めてこの協力する目的と、環境省として何か独自で働き方改革を進めるような考えがありましたらお聞かせください。
(答)職員の働き方改革や省CO2対策の観点から有効なものであると考えておりまして、今回、厚生労働省から協力要請がございましたので、賛同することにいたしました。7月28日の一斉消灯及び施錠の取組について、一昨日、職員に対して周知をしたところでございます。是非環境省記者クラブの皆さんにおかれましても、趣旨に御賛同いただきまして、28日は20時で消灯及び施錠に御協力をいただきたいと思っております。たった1日じゃないかというお声もあろうかと思います。それが働き方改革に寄与するものであるかどうかというお声もあろうかと思いますけども、まずはやってみて、特に私もこの立場になって、役人の方々が本当に仕事が多いなというのを見ておりましたので、できるだけ仕事を減らしていくという表現がいいのかあれですけども、無駄な動きをカットしていく、そういうふうなことができればいいと思っております。この20時消灯というのは1日だけですけど、やってみて不都合があるのかないのか、その辺は是非検証していきたいと思っております。
(問)追加で、検証してみて効果があるようだったら、繰り返し実施していくことも考えるというイメージでいいでしょうか。
(答)まずはそういうことですね。

(問)時事通信の市原です。パリ協定に戻って恐縮ですけれども、トランプ大統領は協定に関して、公平な協定というものを求めて再交渉に意欲を示したということですけれども、再交渉の余地について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)再交渉という言葉が出てきたことは承知いたしておりますけれども、もう少し詳細を把握する必要があろうかと思います。何をもって再交渉されるのか、何をもって不満に思っていらっしゃるのか、どの部分をどうするのかという、そういうこと等々をまだ詳細を把握しておりませんので、この時点において再交渉のことについてはお答えしかねるなと思っております。

(問)環境新聞の小峰です。パリ協定の脱退の話があったが、それに関連して気になりましたのは、山本大臣のシャツが半袖ですが、これはトランプ大統領に対する不満表明の表れなのでしょうか。
(答)これは、御承知だろうと思いますが、今日はかりゆしの日ということで、閣議もこれで参加して、昨日これ翁長知事にいただいたものです。ただ正直言って、半袖だと朝から寒くて。だから、かりゆしというのは、そういう意味からいってクールビズの原点みたいな服装なのだということを改めて感じております。本当に涼しいですよ。宣伝するわけじゃないですけど。このぐらい涼しいものかと思って。この間、うちの大騒ぎがうそのような話なんです。
(問)それにもう一つ関連して、クールビズについて、クールビズといえば小池百合子都知事が提唱者で実際始動しましたけれども、広報室から、エコライフ・フェア2017を都立代々木公園で今週の土曜、日曜に開催するというお知らせがありました。そしてその日曜日には「みんなのメダルプロジェクトトークショー」、携帯などから金・銀・銅をとって、メダルを作ろうという環境省肝いりのプロジェクトを始めるという。これに関して、山本環境大臣と丸川五輪担当大臣が出席して15分間のトークショーをやるいうふうにここに書かれていますけれども、ここに一人足りないのではないですかね、小池都知事が。都知事もこのエコメダルについては非常に熱心に取り組んでいるというので、都議選が6月23日の告示の前とはいえ、オリンピックの精神というのは戦争中でも一旦休戦してやるのだという精神ですから、山本大臣としては当然小池都知事にあとまだ2日あるから要請するということはいかがでしょうか。
(答)小峰さんがそういうお考えを持っていらっしゃるということはちょっと耳に入ってまいりまして、率直な言葉でお答えしますと、小池さんが目立つと困るので。あくまでも環境大臣が目立つフェアでございますので。そういうことです。
(問)これ以上質問しません。

(答)パリ協定のアメリカ離脱に関して最後に一言、失望という言葉にプラス、私は怒りも覚えておりますので。